2019年07月24日

第94話 覇王の行進P5


 グラ・バルカス帝国 連合艦隊 第1先遣隊
 皇太子拘束という事件に伴い、歴史上最大規模の艦隊を派遣、日本国を攻撃することが決定された。
 最低限の帝都防衛艦隊と、レイフォル防衛艦隊を残し、海軍力のすべてを投入して行われるかつて無い作戦。
 グラ・バルカス帝国は連合艦隊を組織し、その司令長官に帝国三将のうち、もっとも戦績を上げているカイザルが就任する事となる。
 しかし、今回の連合艦隊は、駆逐艦構成数が非常に多い。
 〇 神聖ミリシアル帝国での世界会議の際、全世界に宣戦布告をした後、駆逐艦に力を入れて量産していた。
   これは、世界文明のレベルが低い為に駆逐艦を撃沈できる文明が限られていた事にが原因だった。
 〇 新型駆逐艦は就航していたが、弾薬の規格が異なるため、弾薬量産まで十分な弾数が無く、戦闘可能艦に数えられていなかった。

 また、予備艦も引っ張り出して来たため、大艦隊ではあるが、駆逐艦の構成が異常に高い
艦隊となっていた。

 帝国三将のうちの唯一の女将、ミレケネスは第1先遣隊司令を任される事となった。
 
「補給はあとどのくらいで終わる?」

「はっ!!あと1時間ほどで終了いたします!!」

 補給時に狙われると非常に弱いため、艦隊は港で補給中であっても上空にはアンタレス型艦上戦闘機が編隊を組んで飛んでいた。

 海上に砲撃音が鳴り響き、帆船が撃沈される。

「またか……バカな奴らね」

 先ほどから飛行禁止に五月雨のように侵入するワイバーンを撃墜し続けている。
 すでに13機を撃墜した。

 帆船も、事前連絡の無い12隻が向かってきたため、撃沈している。

「はやく済ませてさっさと出ましょう。弾を無駄にしたくない。
 どうやら本当の敵に当たるまで、この鬱陶しい攻撃は続くようね」

 グラ・バルカス帝国は項を焦った冒険者達の攻撃に悩まされる。

 
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第94話 覇王の行進P4


◆◆◆

 第3文明圏外国家 ニューランド チエイズ王国

 冒険者アルホーはチエイズ王国の空を竜に乗り、飛行していた。

『そこの竜!!直ちに引き返せ!!』

 先ほどから聞こえる魔信をすべて無視する。
 竜を操る腕は誰にも負けない自信がある。王国竜騎士団の、直轄隊長にだって決して負けないだろう。
 冒険家業について一八年、大物をつかんだのは1回しか無い。
 邪竜侵攻、この時に自分がワイバーンの導力火炎弾を当てた事がきっかけで、仲間達が作戦を実行し、邪竜の侵攻から王国を救った。
 この時、王国から多大な褒賞を与えられ、前途有望な冒険者とされ、嫁も娶った。
 しかし、その後の冒険では全く上手くいかず、嫁や子供にも貧乏な思いをさせてきた。

 そんな中降ってわいたミリシアル帝国の褒賞の話。
 しかも、グラ・バルカス帝国はチエイズの港で停泊しているという話だ。

 列強だろうが何だろうが、止まってる目標など自分にとっては的だ。
 鉄竜が強かろうが、自分も竜を操る腕に勝てるわけが無い。
 上から導力火炎弾を撃って離脱する。自分なら必ず当てることが出来る。

 上までたどり着けば自分の勝ち、嫁や子供と神聖ミリシアル帝国の市民権を得た上で一生遊んで暮らせる。
 夢のような話。

 アルホーは、風を切り、竜を操っていた。

「ん?」

 前方に点が見える。
 
「噂の鉄竜か!!」

 念の為、すぐに急降下し、地を這うように進んだ。
 しかし、鉄竜はこちらを見つけて急降下してくる。
 脳裏に浮かぶ嫌な予感、アルホーは右に急旋回を行った。

「なっ!!」

 自分の先ほど進んでいた進路の先に光弾が降り注ぎ、地面に当たった光は大きく爆発して土煙を上げる。
 鉄竜は急降下して来た後、神速とも言える速さで機首を上げて上昇する。

「は……速い!!」

 アルホーはすぐに敵に頭を向け、導力火炎弾を発射した。
 しかし……。

「ば……バカな!!あれをあっさり避けやがった!!!
 速いのに何て旋回性能だ!!!」

 すぐにこちらに機首を向けられる。
 鉄竜の高いうなり声がさらなる恐怖をかき立てた。
 地面は砂で覆われ、隠れるところは何処にも無い。

「く……くそっ!!!」

 死の予感……。敵から放たれる光弾は至極ゆっくりに見えた。
 今までの人生が脳裏に浮かぶ。
 最後に嫁と子供の泣き顔が見えたような気がした。

「す……すまん」

 体に走る熱い感覚、薄れ行く意識の中、アルホーは家族の生活を心配するのだった。


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第94話 覇王の行進P3

◆◆◆

 日本国 首都 東京 防衛省 本土防衛作戦司令部

 日本国政府は、グラ・バルカス帝国の脅威が表面化し、本格侵攻が予想されたため、陸、海、空の情報を一元化し、迅速に意思決定を行うために本土防衛作戦司令部を新設していた。
 グラ・バルカス帝国に関するすべての情報はここへ集約される。
 同司令部には、陸、海、空のエキスパートや幹部が集まっていた。

「神聖ミリシアル帝国から、外務省に緊急文章が送られてきました」

 パソコンを操作しながらメールを開く。
 外務省から至急連絡で、原文のままPDFファイルが送られてきており、すぐに印刷され、各人に配布された。
 幹部達はさっと目を通す。
 艦艇数1000を超える艦隊を感知したとあった。

「ミリシアルも捉えたか」

 すでに先行している艦隊はリームの港に、その他の先行艦隊はニューランド島と呼ばれる大きな島の、チエイズ王国、グルート騎国にすでに停泊しているのを人工衛生で確認していた。

「他にも補給先の国家を確保しているのかも知れないが……順に補給を行い、いずれかの場所で集結してから一気に侵攻してくる可能性が高いな」

 リームに56隻、チエイズ王国付近に230隻、グルート騎国に210隻、そして中央世界東側に996隻を確認している。

「帝国はおそらくロデニウス大陸の南を回ってくるだろう。北は島が密集しすぎている。
 迎撃に備え続けなければならず、嫌がるはずだ」

「出来れば300隻以下を順に撃破していきたいな……一気に来られるとやっかいだ」

「しかし、基地建設に賛同した国は、アルタラス王国、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ナハナート王国のみ、その他一時的使用許可だけならば多数あるが……」

「今回は敵が多すぎる。気は抜けんぞ」

 議論は続く。
 
「ん?」

 防衛省幹部、三津木の目線は書類の最後で止まった。

 ○ 敵艦隊減衰のため、空中戦艦パル・キマイラ1機を派遣する

「困りましたね、神聖ミリシアル帝国の空中戦艦に敵味方識別装置は……」

「当然無いな、確かに来ると邪魔だな」

 現在対艦誘導弾の対空目標プログラミングは開発完了していたが、更新作業前であったたため、対空目標に誤って飛んでいく事は無いだろう。
 しかし、対空誘導弾は間違って飛んでいく可能性が否定できない。

「しかも……これ……」

「ああ、神聖ミリシアル帝国の通達によって各国のワイバーンが五月雨のように攻撃を行う可能性が高い。
 下手に基地周辺で迎撃に加われると誤射しかねんな。
 対空戦で有視界戦闘など冗談では無い。外務省を通じてエリアを指定、この範囲には入らぬよう申し入れを行う必用がある」

「しかし、申し入れを行えば敵に内通されて作戦がばれるリスクを伴う」

 防衛省は、動き続ける情勢に頭を悩ますのだった。


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posted by くみちゃん at 22:40| Comment(18) | 小説