2020年02月20日

第99話 超空の要塞P5

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 翌日早朝ーー

 帝国内に数多ある空港のうち、4つの空港から破壊が離陸しようとしていた。
 圧倒的な大きさを誇り、何者も寄せ付けない超高空から大量の爆弾を投射する事が出来る。

 帝国の破壊神とーー超重爆撃機グティマウン

 各空港から飛び立った計200機もの大編隊は、日本国の都市を火の海とするため、蒼穹の空に飛び立っていった。
 
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第99話 超空の要塞P4

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 グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ 特殊殲滅作戦部

「カイザル将軍から直々に、超重爆撃連隊の出動要請がまいりました」 

 執務室で、幹部職員が作戦部長アーリ・トリガーに報告する。

「ほう??何故今頃……」

 超重爆撃連隊……その歴史は新しく、この世界に転移する直前に発足した。
 敵の戦闘機の届かぬ超航空から敵本土を爆撃する。

 無誘導弾の爆弾を大量にばらまくため、戦略目標への爆撃というよりは、都市そのものの殲滅爆撃。
 大規模無差別爆撃に使用される。

 新型重爆撃機グティマウン……帝国で量産され始めた過給器と呼ばれる新型機関をエンジンに取り付ける。
 少し旧軍に詳しい日本人がグティマウンを見たならば、第2次世界大戦中に日本軍が計画した幻の超重爆撃機「富嶽」に見える事だろう。

 空気をエンジン内に強制的に送り込む過給器は空気の薄い上空で燃焼不良によるエンジン出力の低下を防ぐ効果がある。
 通常の戦闘機では上がれぬ超航空を飛行する事が可能になった。
 防弾装備が施された大型爆撃機に6発のエンジンを取り付け、帝国の戦闘機ですら届かぬ航空を飛行して爆弾の雨を敵基地に降らす。
 その航続距離は極めて長く、帝国内でも「空の要塞」の異名を持つ。
 超高空から落とす殲滅爆撃。神聖ミリシアル帝国の空中戦艦対策としても、考えられていた。
 同新型重爆撃機は、特殊殲滅作戦部にのみ配備されていた。
 
 帝国の皇太子殿下、グラ・カバルが日本国によって身柄を拘束されるという前代未聞の事態。
 当初は連合艦隊派遣前に、超重爆撃連隊で1つ都市を灰にしてしまおうという案が出た

 しかし、リーム王国やその他の国での空港燃料整備状況が見えなかった事と、整備された後は陸軍航空隊の爆撃のみでも十分に効果が発揮出来そうな事、そして戦艦による威圧効果を考慮し、無理に虎の子の部隊が参加することは無いと立ち消えになっていた。

「司令、どうされますか?」

 カイザル将軍が発案し、海軍本部を経由してきた命令ならば聞かざるを得ないだろう。
 ただ、報告文の一部に日本国は誘導弾を使用し戦闘の際は十分に注意が必要だとある。
 
「艦隊はどの程度の被害が出たのだ?」

「まだ作戦途中であり、軍秘にあたるので情報は来ていません」

「ふーむ……誘導弾の射程距離、そして到達高度、推進法式。そして誘導方式。
 未知だらけだな」

「はっ……」

「有視界飛行で誘導弾を撃ったのか、それとも見えぬ距離から撃ったのか。それだけでも知りたい。情報を集めてくれ。
 国をあげた作戦。行かぬ訳にはいかんだろう」

「はっ!!超重爆撃連隊は、ユグドにおいても無敵でした。
 今回も見事日本国の都市を殲滅爆撃してきてくれる事でしょう。
 日本国を攻撃する場合、出発後、ダールミラ、レイフォル、チエイズで補給を行い、リームへ到達、その後陸軍航空隊、53隻の駆逐艦隊、82隻のリーム王国魔導戦列艦隊による攻撃と呼応して日本国の都市、名古屋を目指します」

「ほう?要請は首都ではないのか?」

「はい、首都近辺は防空も厚いでしょうし、名古屋は日本国の技術都市……ダメージも大きい。そして、なにより……空爆は艦砲射撃に対して精度が悪いためです」

「万が一にでもカバル殿下を我が特殊殲滅作戦部が攻撃してしまっては、確実に左遷されるからな。
 名古屋攻撃、良い案だ」

 グラ・バルカス帝国 特殊殲滅作戦部 超重爆撃連隊は、日本国攻撃に参加する事を決定した。
 

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第99話 超空の要塞 P3

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 第3文明圏 リーム王国 王都ヒルキガ

 総務を任されている王都諸侯キルタナは、脂汗をかいていた。
 目の前にはグラ・バルカス帝国外務省ベイダート・スバルが足を組んで座っている。

「こ……これは?どういうことでしょうか」

「書面のとおりだ。リーム王国へ貸与している駆逐艦隊は直ちにセニアの港を出港し、本日夜には王都ヒルキガの港へ停泊。
 明日朝帝国へ返還し、日本国本土を攻撃する。
 また、王都均衡基地から陸軍航空隊も合わせて出撃し、攻撃を行う。厳密には他にもあるが、まあ良いだろう」

「いえ、それは解りました。
 その件は我が国の国王が同意した案件です。ただ、最後の一文。リーム王国海軍艦隊は、全艦出撃を行い、日本を攻撃せよ、ワイバーンもすべて日本を攻撃するために使用せよと。
 これは規定にございませんし、そもそもワイバーンの航続距離では日本国本土に届きませぬ」

「説明から読み取れぬのか……この世界は野蛮人で満ちあふれておるな」

「ぐっ!!」

「お前たちは自分の立場が解っているのか?我らは一瞬でお前たちを滅ぼす事も出来るのだぞ。
 我らが大規模な攻撃を行う。
 お前たちはそれに伴って全力で支援する。
 何がおかしいのだ?まさか、我が国が万が一負けた時には、自分たちは関係ありません。帝国が勝手にやった事ですとでも言うつもりか?
 攻撃に一切参加せずに利益だけ享受するような甘い汁が吸えるとでも思ったのか?」

 ベイダート・スバルは確信をついてくる。

「ワイバーンの航続距離が足りぬのは解っている。
 お前たちは竜母を数隻だが持っているだろう?
 まずは竜母に積めるだけ積め。艦隊も、出せるだけ出すのだ。
 ワイバーンが大分余るだろうが、隣国に停泊する日本商船に対する攻撃くらいは出来る。
 パーパルディア国の東にデュロという町があるだろう?
 そこに停泊する日本商船及び、日本領事館に対して、ワイバーンによる攻撃を加えよ」

「なっ!!お待ち下さい」

 王都諸侯キルタナは必死に追いすがる。

「パーパルディア皇国、国力は以前よりも遙かに落ちたとはいえ、元列強国にございます。 彼らの竜騎士団は、我らのワイバーンよりも遙かに強力なワイバーンロードを運用しています。
 作戦を我が国が実行すれば、我が国は日本国と、パーパルディア皇国との両国に宣戦布告をするも同然。
 国が滅びます。どうか再考を!!」

「我らが命に従えば国は滅ばん。
 滅ぶのは日本国だ。今回の侵攻は、詳細は言えぬが、お前ら如きの国を何十も打ち負かせる規模の戦力である。
 それに……パーパルディアごとき気を遣う必要はない。我が国の敵では無いからな。
 これは命令だ。王に伝えよ。
 本作戦は、グラ・バルカス帝国の帝王府から降った命令である。
 我が国が、本腰を入れて作戦を行う際に、協力せぬ物達は我々の考える世界には不要だ。
 受け入れるか、国滅びるのかを選択せよ」

「ぐっ!!」

 王都諸侯キルタナは、グラ・バルカス帝国外務省ベイダート・スバルの言を王に伝える。 即日、王前会議でリーム王国は帝国に従う事を決定した。
 
 夜ーー

「あああぁぁぁーーー!!
 あああああぅうううぉぉぉぉぉぉ!!!」

 王城の中に響き渡る奇声。

「国王陛下!!どうされました!!??」

「ああああぁぁぁぁぁーーうぁぁぁぁーー」

 国王バンクスは泣き叫びながら、顔をひっかき、付近の花瓶をたたき割る。

「お気を!!お気を確かに!!」

「奴らが、奴らが強くなかったら、終わりだ!!なにもかも終わりだぁぁぁぁ!!!」

 側近は、本日王が話していた事に思い至る。
 
「国王陛下!!帝国に脅されてしたと言えばなんとかなるのではないでしょうか?」

「相手は日本国だけではない、パーパルディア皇国に、神聖ミリシアル帝国だぞ!!無理だ。無理だぁぁぁぁ!!おおぉぉぉぉ」

 国王バンクスの泣き叫ぶ声は夜通し王城に響き渡るのだった。
 

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