翌朝ーー
空からこぼれる太陽の光。
シエリアの意識は徐々に覚醒する。
外は文明圏外国家故なのか、機械音は一つも無く、スズメのような鳥がさえずる。
「ふぅ……すっきりした」
これほど深い睡眠は何年ぶりだろうか。
一気に旅の疲れが取れた気がした。
「お目覚めですか?大広間で朝食をとりながら、本日の行程をお話します」
エイミはシエリアに伝えた。
二人は洗面の後、大広間へと向かう。
大広間ーー
主要メンバーが集まり、食事が始まる。エイミが立ち、グラ・バルカス帝国の重鎮に説明を始めた。
「結論から申しますと、商船の手配が出来ました。
3泊分見ておきましたが、昨日優秀な部下達によって手配が出来ましたので、本日昼には出発出来そうです。
一応宿は7泊分とってありますが、いかがしますか?」
1日で疲れが取れていないゲスタの顔が歪む。
「もう何泊か休んでいきたいところだが……」
「いや、すぐに出発しましょう」
ゲスタの発言に、シエリアが被せて話した。
シエリアは続ける。
「レイフォルにおいて、私たち幹部は見つかっておらず、戦死した訳でも無い事に敵が気付き、手配をかける可能性があります。
ワイバーンもいる。
見た目の文明よりも情報伝達速度は遙かに速い。
一瞬の動きの遅れが命取りになる場合があります。
すぐに、今日出発しましょう!!」
シエリアの正論に、ゲスタはただうなだれる。
彼らは出発の準備を急ぐ。
◆◆◆
レイフォル国 首都レイフォリア
ソナル王国第一魔法剣士団
「ソナル王国第一魔法剣士団のソードという、家を捜索させてもらうぞ」
グラ・バルカス帝国ダイジェネラ山岳要塞は、列強エモール王国「極みの雷炎龍」の攻撃により崩れ落ちた。
グラ・バルカス帝国幹部は巻き込まれて死亡したのか、もしくは未だ王都に潜伏しているのか判明しなかったため、各連合団は手分けして「各家庭をしらみつぶしに探す」といった作戦に入っていた。
屈辱的支配下にあったレイフォル人のほとんどは協力的であり、スムーズに事は進んでいた。
そんな中、ソナル王国第一魔法剣士団のソードは、割り当てられた今日のノルマのうち、4件目にあたるレイメビウス商会第16別館を訪れていた。
もう自分だけで311件も回っている。
重要な仕事であることは理解していたが、度重なる「異常なし」に嫌気がさしていた。
「ソナル王国第1魔法剣士団第1大隊第5中隊第2小隊第3分団長のソードという。
これより第二文明大陸共通緊急法案77条、グラ・バルカス帝国対策法に基づき、貴邸宅の臨検を行いたい」
「……はい」
レイメビウス商会第16別館を管理する女はソードを中に通す。
彼はしらみつぶしに臨検していく。
(今日も異常なしか)
帰ろうと思ったその時、ふと本棚に目が行く。
(これは……)
ソードは本棚の間に置かれた珍しい時計を見た。
(ムー式?いや、グラ・バルカスか!!?)
「おい、娘」
「はい」
「グラ・バルカス帝国を追い払う事、これは第二文明圏の意思である。
包み隠さず話せ」
「……はい」
レイ・メビウス商会第16別館を管理する女はあらかじめ準備された想定に従い、話しを始めた。
○ グラ・バルカス帝国の位の高い者がいたこと。
○ レイ・メビウス商会の商会長の娘を人質にとってニグラート連合に向かったこと
○ 向かった理由までは知らされていないこと
○ 人質をとられていたため、言うことを聞かざるを得なかったこと
事実とは大きく異なる想定であった。
「おのれ!!人質をとるとは何と卑怯な!!!」
ソナル王国のソードはすぐに待機所へ戻り、魔信で報告を行う。
帝国の残党が、人質を取って逃げようとしている。
その情報は第二文明圏全ての国家に共有されるに至るのだった。
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電子買ってくださった方、誠にありがとうございます。
頑張っていこうと思います。
やはり商用出版が出てると思うと、モチベーションが上がりますね。
前、実質打ち切りみたいなものだった時のモチベーションの下がり方は結構すごかったです。
ありがとうございます。皆様に感謝。
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