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クルセイリース大聖王国 古代兵器 聖帝ガウザー
『敵、12発もの迎撃兵器を放出、神の炎に向かって飛翔中』
「くそっ!!これほどの数をも単艦で対応してしまうのか!!迎撃が12発、相当に命中率に自信があると見える」
やるべき事はやった。
レーダー上に写る敵と自分の放った神の炎。
その距離は徐々に近づく。
艦長の思考は巡る。
敵は先ほど、1発の神の炎に対して2発の誘導弾による迎撃を行った。
つまり、100%当てる自信は無い。
今回も、12発を放っている。
撃ち漏れを警戒しているのだろう、20発撃たないのは、おそらくは管制能力の限界なのかもしれない。
それにしても、北西世界は何と高い技術力を有しているのか。
敵の力を測らず、勝手に開戦した軍王も本当に無能だ。
艦長ガンドライトは凄まじい気迫で画面を睨み付ける。
司令アロエリットは、緊迫の空気の中、口を挟めずにいた。
眼前では魔力探知センサーで感知した魔力を元に、映像化される画面が浮かび上がる。
青い光の尾を放ちながら飛翔する優雅な姿、そして途轍もない性能を持った攻撃が10発も飛翔する。
本来であれば誇らしいだけの映像だが、先の攻撃により、足の震えが止まらない。
これが通用しない場合、管制能力が許す限り数で押すしか無いが、それを防がれたら打つ手が無い。
『まもなく接触する模様……4……3……2……1……今!!』
先ほど見た悲劇、神の炎が爆発し、2秒か3秒の間隔をおいて次々と……次々と神話級兵器が迎撃されていく。
音速に近い速度で飛翔しているはずの……小さなコアに当てていく。
司令アロエリットは眼前のあり得ない光景を呆然と眺める。
悲劇の再来……すべての神の炎は爆散し、炎の雨と化す。
「あ…あ…あ……そ……そんな!!」
主力兵装が封じられた。
追加攻撃があたまに過るが、まずは敵の攻撃を防がなくてはならない。
攻撃の効かない相手には、相手の弾切れまで神の炎を撃つしかないが、どちらが先に弾が尽きるのだろうか。
『敵!!残り2発が向かってきます!!!』
「ちくしょう!!アトラタテス砲自動管制!!」
「了解!!」
2発の誘導弾が迫る。
近づき、射程に入ったそれに対し、轟連式対空魔光砲(アトラタテス砲)が火を噴く。
「2発当たると不味い!!」
艦長は他者に聞かれぬよう、小さくつぶやいた。
魔導電磁レーダーを見ると、敵はどんどん近づいてくる。
対空砲はシャワーのように打ち込まれているのに当たらない。
何故当たらないのか、ガンドライトはたまらず叫んだ。
「何故だ!!何故当たらぬのだああぁぁ!!当たれ、当たれ当たれ当たれ当たれ当たれーーーーっ!!!」
小さな爆発が起こり、敵の弾が空を回転しながら落下をはじめた。
『命中!!残り1発!!』
「や……やった!!!」
『アトラタテス砲オーバーヒート!!!冷却開始します』
射撃が止まる。
「魔素展開!!前面にエネルギーをすべて回せ!!装甲強化!!」
『了解!!!』
空気がゆがむほどの強力な魔力が前方に展開された。
「来るぞっ!!!」
全員が何かにつかまった。次の瞬間。
ガアァァァァン!!
聖帝ガウザーが激しく揺られる、同時に各種アラームが鳴り響いた。
posted by くみちゃん at 14:18|
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