2016年02月24日

第42話 異界の太陽は東から昇る P4

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 神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス

「それでは、これより出発します。」

 世界最強と言われし、最大の列強国、神聖ミリシアル帝国は、第3文明圏よりもさらに東にある文明圏外国家、日本国に対し、世界の先進11ヵ国会議への出席要望と、国交開設の事前準備のため、30名にも及ぶ先遣使節団を派遣しようとしていた。

 代表的な人物は
○ 外交官フィアーム
○ 情報局員ライドルカ
○ 武官 アルパナ
○ 技官 ベルーノ
である。

 一行は空港の駐機場へと向かう。
 駐機場には、白色に塗られた翼の付いた人工的な乗り物が駐機している。

 彼らは『天の浮舟』と呼ばれる航空機に乗り込む。

 天の浮舟  35型
 航続距離  4200km
 巡行速度  時速310km
 主エンジン 魔光呪発式空気圧縮放射エンジン
 燃料    高純度赤発魔石

 日本人が天の浮舟を見たならば、一見して不思議な型をした航空機に見えるだろう。
 エンジン部分に不思議な型が刻んであり、プロペラは無く、一見ジェット機のようにも見える。
 しかし、速度が時速310km程度の巡行速力のため、後退翼ではない。

 今回の派遣は、技術大国ムーの支援も得られる事から、一旦アルタラス王国ムー基地で燃料となる魔石を交換し、日本国の西の地方都市、福岡市へ向かう。

 観光を兼ねながら日本を体感し、首都東京で会合。

 日本国内の移動はすべて日本側が準備する。
 その間、天の浮舟はムーが用意した高純度魔石燃料により、燃料交換を行う。
 帰りは再度アルタラス王国で燃料補給し、帰る事となる。

 情報局員ライドルカは、天の浮舟に乗り、大きなイスに深く腰掛ける。
 ふと右側を見ると、先に乗り込んだ外交官フィアームがおり、その顔は優れない。

「フィアームさん、どうかしましたか?」

 話しかけられたフィアームはライドルカの方向を向く。

「事前に説明は受けましたが……我々、中央世界の、しかも世界ナンバーワンの国が、わざわざ自分から、第3文明圏のさらに東の文明圏外国家に足を運ぶ行為が気に入らないのです。」

 話は続く。

「その国は、実質的にパーパルディア皇国に勝ったと説明を受けたが、私は違うと思う。
 あの国は、元々恐怖による支配があり、国内に不満を多く抱えてきた。
 日本はそこを上手くついただけではないのか?
 だいたい、第3文明圏は、文明圏と呼んでいいものかと私は思っている。
 独自の文明は持ってはいるが、未だにワイバーン以外の飛行方法すら確立されていない。
 私から見れば、第3文明圏そのものが、土地だけは広く、文明レベルの低い集合体にしか見えない。
 今から行く国は、そんな第3文明圏からもさらに外れているというじゃないか。
 第3文明圏はレベルが低く、さらにそこから外れると、レベルの低さに拍車がかかる。
 私はまず、この天の浮舟がきちんと着陸できる滑走路があるのかが心配ですよ。」

「滑走路については、ご存知のとおり、ムーにもきちんと確認を行っているので大丈夫です。」

「そういえば……今回の派遣は、あなた方情報局が主体となって提案したらしいな。
 まずは情報局だけで情報を集めてくるべきなのでは?
 神聖ミリシアル帝国は、ナンバーワンというプライドがある。
 国交を結ぶにしても、まずは日本から来させるように工作くらいはしてほしかったものだ。」

「申し訳ありません。……事前の情報によれば……いや、どうせすぐにわかります。
 日本を直接見ていただければ、いろいろと感じる事があるでしょう。」

 天の浮舟は、エンジン後方から青い光を発しながら滑走する。
 舟は浮き上がり、日本を目指して飛び立っていった。

◆◆◆

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 新しき暫定国家元首カイオスは、積み重なる問題に頭を抱えていた。
 日本国およびフェン王国への賠償、この額だけで、国家予算の何年分かが飛ぶ。
 特に、日本国からの使用した弾薬料や、アルタラス基地建設料の請求は、人的賠償額をはるかに超え、国力を大幅に落とされたパーパルディア皇国ではとても払える額ではなかった。

 カイオスは、請求書を何度も熟読する。

○ 〜を金に変えて支払うか、もしくはパルサ地区の地下資源のすべてを無償
で日本に譲り渡す。なお、この場合の採掘は日本国主導で執り行う。

「これは……選択肢は無いではないか。」

 国土の一部を差し出すかのような、屈辱的な要求、しかし、パルサ地区の地下には大した金属資源は無く、皇国は何故ここを日本がほしがるのか理解できなかったが、何も無い場所の地下資源を差し出す事で、日本の提示した天文学的数値の賠償額をチャラに出来るのであれば、むしろ好都合だった。

 その他も日本が突き付けた要求は多く、カイオスは走り回るのだった。

 
皇都エストシラント 元海軍基地跡

 日本の大規模爆撃から奇跡的に生き残った魔信技術士パイは、破壊された海軍基地を眺める。
 海は太陽の光が反射し、美しく光り輝いており、海鳥たちは何もなかったかのように、のんびりと海に浮かぶ。
 しかし、陸地を見ると無残に破壊されつくした海軍基地だった残骸が散乱し、復旧活動は未だ始まっていない。

「日本……か。
 とんでもない国と戦争をしたものね。
 くじけてはいられない。
 皇国は……再出発し、再び繁栄する!!」

 パイは皇国の再興を夢見て走り始めるのだった。
タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 18:43| Comment(30) | 小説

第42話 異界の太陽は東から昇る P3

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 グラバルカス帝国 情報局
                                          
 薄暗い部屋、鳴り響く電子音、まるでモールス信号のような音が鳴り続ける通信室の隣にある茶色を基調として格式高き部屋、その部屋に1人の男が報告のために訪れる。
 男は上司に報告を行うため、ドアをノックする。

「入れ。」

 中から低い声、命令を受け男は中に入る。

「閣下、日本に関する総合戦力分析報告書が出来ましたので、報告と決裁に参りました。」

 男は閣下と呼ばれた男に書類を手渡す。
 書類に目を通す間、部下は口頭で概要を説明する。

「今回は日本に関する情報は少なく、申し訳ありませんでした。
 フェン王国沖の戦いに職員は間に合わず、アルタラス王国での戦いも、そこまでの飛び石作戦をするとは想定外でした。
 また、アルタラス王国では、入国が厳しく、今回の主要な戦いを、職員が目視するに至っておりません。」

 話はづつく。

「本戦いで、日本は第3文明圏列強国、パーパルディア皇国と講和を行っています。
 と、いう事は、皇国を統治するだけの国力が無い事を現します。
 今後の自国に攻撃的勢力が出る可能性を残すような生半可な外交がそれを裏付けています。」

 男は報告を続ける。

「日本国は人口が1億2千万人と、国土面積に比べて多いのですが、その分食料自給率が低く、ロデニウス大陸が日本の生命線となっております。
 我々と日本が、将来的に衝突した場合、帝国の圧倒的な海上戦力で日本とロデニウス大陸間の海域を封鎖するだけで、日本は干上がります。
 日本国の軍では重巡洋艦クラスの艦船を確認していますが、戦艦は確認されていません。
 第3国経由の情報でも、1万トンクラスの艦船が、空母を除いては最大の艦の模様です。」

 男は一息つき、さらに話を続ける。

「日本国は、憲法に必要最小限度の戦力しか保持できない事が規定されています。
 それが原因かもしれませんが、日本国の保有する艦船のほとんどが、砲がたったの1門のみでありしかも豆鉄砲のような小口径砲です。
 はっきり言って、海上戦力は取るに足りません。
 それでもこの世界の蛮族どもにとっては、脅威なのでしょうが。
 次に、日本の陸上戦力ですが、たったの15万人と、我が国と比べると無いのも同然です。
 この陸上戦力のあまりの低さが、パーパルディア皇国統治をあきらめた原因かもしれません。
 空軍の戦闘機は、現時点でたったの300機ちょっとで、我が国と比べると、あまりにも数で貧弱すぎる数です。」

「……そうか、日本が自分たちの軍を、自衛隊と呼ぶのも、そのあまりにも貧弱な数ゆえかもしれないな。
 航空機に関して言えば、これほどまでに機数が少なければ、仮に性能が多少優れていたとしても、何もできまい。」

「はい、日本国は恐れるに足りません。
我らの覇を止められる者はいません。」

 グラバルカス帝国は、新たな世界秩序構築のために動き始める。

◆◆◆

 日本国 首都 東京

 カツ……カツ……カツ……カツ。

 檻の外を人が歩くたびに私の全身を恐怖が駆け巡る。
 私は日本人多数を虐殺した首謀者という事で、殺人罪で逮捕されている。

 私は……どうなってしまうのだろうか?

 レミールは、自らの行く末を案じ、恐怖と戦う。
タグ:日本国召喚
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第42話 異界の太陽は東から昇る P2

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 グラバルカス帝国

 第2文明圏、列強国ムーのさらに西にある大帝国であり、突如としてこの世界に現れ、瞬く間に周囲の国を制圧、ついには第2文明圏のパガンダ王国すらも落とし、さらに列強レイフォルをたったの1艦で倒すという伝説級の戦果を挙げた国。

 この世界の人々にとって、それは恐怖であり、一部では、神聖ミリシアル帝国よりも強いとすら噂される。

 そんな世界の注目を集める国、グラバルカス帝国、帝都ではその繁栄を自室から眺め、考えにふける男が一人。

 帝王グラルークスは、栄華を極めし帝都を眺める。

「この世界は我々に何を求める?」

 国ごと異世界に転移するなどという、バカげた事が現実となった。

 前世界、ノルースと呼ばれた星で最大の勢力を誇ったグラバルカス帝国。
 前世界では、始世の国、ミルーク神を祭りしケイン神王国と世界を2分し、戦争を行っていた。
 
 資源力、生産力、そして軍事力、そのどれもを比べても、グラバルカス帝国が戦争に勝利する事は、誰の目にも明らかだった。
 豊富な資源、圧倒的な生産力、世界最高の技術力があった。

 しかし、あまりにも突然起こった転移と呼ばれる現象により、本土のみがこの世界へと来てしまう。

 広大な土地を失ってしまったが、敵国への本格侵攻、上陸作戦準備のため、大部隊を本土に一時帰国させていた時に転移が起こったため、外国駐在陸軍基地を除き、戦力のほとんどは失われなかった。

 ライバルたるケイン神王国は消えた。

 変な星に転移し、一時帝国は混乱したが、東を向くと眼前には広大な土地と貧弱な武装を持つ現地人たち。

 我々の優位性は明らかであり、皆歓喜した。

 当初、周辺国は我が国に対して攻撃的であるにも関わらず、あまりにも弱く、あっさりと制圧した。
 しかし、それらの弱小国を支配する事で、この世界には文明圏と呼ばれる、上位の共同体があることが判明する。

 文明圏がどの程度の国か、当初は解っておらず、全く未知の世界であるため、慎重な意見が相次ぎ、話し合いによる国交の設立といった融和政策が模索された。

 手探りによる外交。

 しかし行く国行く国、噂と比べてもあまりにも能力が低く、にも関わらず文明圏外国と侮られ、外交は全く進まない。

 しびれを切らした融和政策の代表格たる皇族が、わざわざ弱小国に足を運んでやったにも関わらず、

「世界の事を全く知らない蛮族」

 と罵られ、同皇族は反論したところ、不敬罪で殺されてしまう。

 この1件で、この世界で融和政策を推進しようとする者はいなくなった。

 前世界と同様、武力による統治、及び領土拡大政策が推し進められる事になった。

 まずは皇族を不敬罪で殺すといった大罪を犯した国、パガンダ王国を強襲制圧し、あっさりと落とす事に成功する。
 その後、帝国は第2文明圏に宣戦を布告し、世界の5本の指に入ると呼ばれた列強国レイフォルも、あまりにもあっさりと我らに降伏する。

 この世界において、文明圏外国家も列強国も我らの前では弱小国に過ぎない。

「全く……おもしろき世界よ。」

 帝王グラルークスは世界を統治する夢を見る。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 18:40| Comment(2) | 小説