2017年03月10日

第65話 激高の大皇帝P4


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 中央世界 神聖ミリシアル帝国 港街カルトアルパス

 グラ・バルカス帝国による奇襲攻撃により、多くの船が沈んだ。しかし、反撃もここから始まる。

 中央世界の強国からかき集められた艦隊が港に集結していた。
 その数はあまりにも多く、壮大であり、港の民にも勇気を与える。
 民衆は考える。
この艦隊に、神聖ミリシアル帝国の第1.2.3艦隊までもが加わり、圧倒的戦力をもって礼を知らぬ蛮族、グラ・バルカス帝国の艦隊を滅するのだろう。

民衆たちの見守る中、艦隊はさらに集結し続ける。
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第65話 激高の大皇帝P3

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 中央世界文明国 アガルタ法国

 魔法研究において、神聖ミリシアル帝国と肩を並べるほどの質を有する国、アガルタ法国。
 神聖ミリシアル帝国が、古の魔法帝国の遺産解析に重きをおくのに比べ、このアガルタ法国は、人間や亜人達が使える魔法レベルの研究が盛んであり、個人の魔法能力育成にも力を入れているため、同じ魔法研究が盛んな国といっても中央世界の中でも文明形態がかなり他国と異なる。
 高度な魔導師になると、ホウキで本当に空を飛ぶ。
 ただし、空を飛ぶ行為は相当に魔力を消費するため、航続距離も短く、もろに風を受け、最高速度も大して出ないため、ワイバーンに乗る方が楽という事で、あまり実用する者はいない。

 そんなアガルタ法国の首都オシアトスで法王を前に国家の行く末を左右する会議が行われていた。

「では……神聖ミリシアル帝国は、世界の主力ともいえる中央世界と第2文明圏の総力を結集し、旧レイフォル沖合に展開するグラ・バルカス帝国の海軍に対し、総攻撃を行う事とし、我が国にも海軍の差出を求めているのだな?」

 長く、白い髭を生やした法王が、服の上からでも確認できるほどの筋肉を持ち、黒ひげを生やした猛者、軍王に問う。

「そうでございます。我が軍は、外交官護衛の艦隊がグラ・バルカスによって沈められておりますがゆえ、これは良いともらい合戦となりましょう。」

 世界の主力艦隊といっても差し支えないほどの、連合軍が、世界最強の国の音頭の元に結成される。この軍に中央文明圏の雄として、参加しないわけにはいかない。
 外交官護衛艦隊は、グラ・バルカス帝国の奇襲によって敗れたが、今回行われたのは奇襲であり、さらに神聖ミリシアル帝国は、地方隊しかいなかったため、惨憺たる戦果となったが、中央世界の強国たちが準備に準備を重ねた主力艦隊で挑めば負けるはずがない。そのような認識が会議場へ広がっていた。
 そのような雰囲気の中、魔導技術大臣が話始める。

「しかし……大丈夫なのでしょうか?奇襲とはいえ、グラ・バルカス帝国は我が国を含めた強国の艦隊を殲滅しています。第2文明圏の列強国、ムーでさえ、空母機動部隊が敗れています。ムーの艦隊は、神聖ミリシアル帝国ほどでは無いにせよ、他の文明圏強国と比べて圧倒的な強さを誇っていたにも関わらずです。
 我が国の海軍主力ともいえる魔法船団も、ムーやその他の国があまりにもあっさりと沈んだため、やむを得ずに試作段階の艦隊級極大閃光魔法を使用せざるをえなかった。
 今は無きパクタール艦隊司令が艦隊級極大閃光魔法の使用に踏み切ったのは、それ以外の対空兵器だとグラ・バルカス帝国の飛行機械を落とす事が出来ないと判断したからかと思います。」

 魔導技術大臣の言葉を聞いて、外務大臣が手をあげ、話始める。

「魔導技術大臣殿、確かに彼らは侮れず、強いだろう。しかし、彼らの要求を、戦いもせずに飲む訳にもいかない事も解るだろう。今回の戦いは圧倒的侵略者と世界の戦いなのだ……。ここで勝たねば、この程度の敵に勝つ事が出来なければ、来るべき古の魔法帝国が復活した時、我らは家畜となり下がるだろう。
 相手の強さとは関係ない。今回仮に戦いに参加しなかった場合、世界は我が国を弱小国とみなすだろう。」

 様々な議論がなされ、中央文明圏アガルタ法国は、神聖ミリシアル帝国と共に戦う事を決定した。

◆◆◆

 日本国近海  
 グラ・バルカス帝国 第2潜水艦隊所属 潜水艦ブラックムーン
 キツネ目の男が潜望鏡をあげ、1つの船を見つめていた。
 付近は昼間であり、周囲は青く晴れ渡っている。

「ふふふ……見つけたぞ……日本軍の艦船だ。我が国の矢は東の果て……日本まで届くという事を、知らしめてやらねばならぬな。」

 この世界にある数多の無人島、そこに作られた燃料補給のための秘密基地を数カ所経由して、ようやく日本国近海にたどりついたグラ・バルカス帝国の誇る潜水艦ブラックムーンは、潜望鏡深度まで浮上し、日本国の艦船と思われる船を発見した。
 彼らは中央世界に対して通商破壊作戦を開始する予定であり、その前段階として、一番遠い日本国近海であってもグラ・バルカス帝国の刃が届く事を世界に知らしめるため、この世界に存在しない船、潜水艦で日本国近海までやって来たのだった。

「艦長……彼らが哀れですね。彼らは何が起こったのかもわからず、いきなり撃沈される事となるのです。」

 副長が、今から沈むであろう日本の艦船と、その乗組員を憐れむ。

「皇帝の御意志だ。仕方あるまい。我々は、帝国の力を世界に知らしめる先方となる。同じ転移国家である日本国に対しても、圧倒的に強く、そして帝国にとってはこれほどの距離でさえ無意味なものという事を世界に知らしめる……さあ、攻撃を行うそ。」

 艦長が手を挙げる。
 潜望鏡の先の日本の艦船はゆっくりと移動し、こちらには気づいていないだろう。いや、潜水艦という概念の無い国において、潜水艦に気付けという方が酷なのかもしれない。

「前部魚雷発射管、注水開始。」

 音をたて、全部1番、2番の魚雷発射艦に注水が開始される。

「ん?」

 潜望鏡を除いていた艦長が、日本の艦の異変に気付く。加速を開始しているようにも見えた。

「発射準備完了」

「まさか気付いたか?しかし、もう遅い!!!!魚雷発射ぁ!!!」

 魚雷発射管に入った海水を後方へ押し出し、魚雷のスクリューが回転し始める。
 無誘導の魚雷は雷跡を引きながら、眼前の敵に向かって発射された。



 日本国 海上自衛隊 第2護衛隊群所属 護衛艦たかなみ

「あれは何処の国籍の潜水艦だ?」

 艦長の高波は、副長に疑問を呈す。

「解りませんが、あれだけの大音量を発し、しかもこれだけ至近距離で潜望鏡深度まで浮上している所を見ると、隠れるつもりがない……つまり、敵対の意志は無い可能性があります。」

 2日前に探知された大音量を発する潜水艦、それが日本国の沖縄から南東方向約500kmの海域にいる事が判明したため、防衛省は第2護衛隊群を派遣し、護衛艦たかなみが接近し、様子を窺っていた。
 グラ・バルカス帝国の潜水艦の可能性も当然考えられるが、この世界はまだあまりにも解っていない事が多く、まだ日本が接触していない他国の潜水艦である可能性も否定出来ず、潜水艦に関する国際的な条約も無かったため、日本国政府は国籍の解明を防衛省に指示、敵対行動をとる様であれば撃沈する事も許可し、第2護衛隊を現地へ近づけた。
 護衛艦が現地へ近づくにつれ、大音量を上げながら潜望鏡深度まで浮上し、どう考えても隠れているようには見えなかったため、彼らは潜水艦の行動が理解出来ずにいた。

「相手は何がしたいのだ?まさかあれで隠れているというつもりでもあるまいに……。」

「!!注水音を探知!!魚雷発射管に注水を行ったと思われます!!!」

 驚くべき報告が入る。あれは我が方に攻撃をしようとしている!!

「機関全速!!!」

 総出力6万馬力を発するガスタービンが唸りをあげ、大きな水泡を後方に噴出し、船を一気に加速する。

「不明艦魚雷発射!!!」

 潜望鏡深度まで浮上していた国籍不明の潜水艦から雷跡が護衛艦たかなみに向かい伸びて来る。

「くそっ!!ん!?」

 魚雷は護衛艦たかなみに着いてくることなく、真っ直ぐにひたすら前進する。

「魚雷、無誘導と判明、雷跡は我が方の後方を通過。」

「正当防衛を行う。短魚雷発射!!!」

 護衛艦たかなみの側面についた魚雷発射管から海へと魚雷が射出された。



 グラ・バルカス帝国 第2潜水艦隊所属 潜水艦ブラックムーン

「魚雷、外れました!!」

「くそっ!!なんて加速性能だ!!!帝国の駆逐艦を凌駕しているかもしれない。」

 艦長は率直な感想を述べる。

「ん?奴ら何かを海に発射したぞ!!急速潜航!!!」

 艦がゆっくりと潜行を開始した。
 通常、潜水艦に対する攻撃は、駆逐艦による爆雷の投下である。不可解な位置での物体の投下に、艦長は疑問を呈す。
 僅かな時間を置いて……。

ピコーン……ピコーン

「!!!!!!!!」

水中音を聞いていた帝国兵は、明らかに聞き覚えのある音が聞こえ、戦慄する。

「て……敵!探信音を発しています!!!!!」

「探信音だと!?馬鹿な!!帝国で開発中のものを、日本ごときがもっているはずが……。」

ピコーン……ピコーン……。

 不気味な高い音が、明らかに船内でも聞こえる。
 日本国が深信音を放ったという事は、かの国にも潜水艦がある可能性が出て来る。これは、帝国の今後の戦略に大きく関係する可能性があり、艦長は情報をもって必ず生きて帰ると決意した。

「近づいて来る……これは……魚雷!!?魚雷です!!魚雷が探信音を発しながら近づいてきます!!!」

「潜航中だ。どうせ当たらん!!」

「い……いえ、敵魚雷は向きを変えながら、我が方に近づいてきます!!!魚雷がついて来ているのです!!!!」

「ば……ばかな!!そんな高性能な兵器があってたまるか!!機関全速!!何としてでも回避しろ!!!!」

 不気味な探信音は、なおも近づく。
 音は明らかに近づいてきており、船員全員が、恐慌状態に陥った。

 海中に光がほとばしる。
 高圧を受けたグラ・バルカス帝国の潜水艦は鉄が砕け、内部を水が覆いつくす。
一瞬にして失われた内部の空気、中にいる人間は水圧に耐え切れず、潰れていく。
魚雷による爆圧は圧力の弱い上に向かって逃げ場を求めて駆け上がる。
 やがて、海上に大きな水柱を噴出させた。



 護衛艦たかなみ

「国籍不明艦、圧壊、沈んでいきます。」

「……報告書が大変だな。国籍については、まあこの海域ならばサルベージ出来るだろう。」

 同海域の衝突は、日本国とグラ・バルカス帝国の初の戦いとして歴史に刻まれる事となる。
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第65話 激高の大皇帝P2

◆◆◆

 日本国 某社

 2人の男が会議室で話していた。

「して、彼らの技術力は解ったのかね?」

 上司の三谷がジェットエンジン技術者の長野に語りかける。

「はい、彼らがどうやって技術力を得て来たのかも、何となくですが解ります。」

「説明してくれ。」

 第3国経由で奇跡的に入手出来た神聖ミリシアル帝国の、魔光呪発式空気圧縮放射エンジン、そのうちの1つを解析していた長野が説明を開始する。

「神聖ミリシアル帝国の魔光呪発式空気圧縮放射エンジンですが、構造上多くの部分でジェットエンジンに似ています。
 エンジンの燃焼方式と材料は大きく異なりますが……。
 ジェットエンジンに使用されているような素材としての耐熱技術は無く、魔法により部材を強化する事により、熱や圧力に耐えうる素材まで昇華させているようです。」

 技術者である自分が魔法などという言葉を使っている事に、違和感を覚えながら彼は報告した。

「ジェットエンジンに似ているにしては、エンジン性能がかなり悪いようだが……。」

 上司は彼に疑問を呈す。

「そうなのです。実はバイパス比の比率が無茶苦茶なのです。
 バイパス比、ターボファンエンジンにおいて、エンジン本体の周りに空気を送り込む事により、出力と効率を大幅に向上させます。しかし、ここが全く話にならないレベルの構造です。
 おそらく発掘した技術に頼りすぎている……といった所でしょうか。部分的に構造を理解していても、何故その形になっているかが理解できていないため、神聖ミリシアル帝国の技術力の底が見えます。」

「技術の本質を理解していないという事か?」

「はい……前世界の中国に、技術としてはある意味似ているのかもしれません。
 昔、中国のモーターショーに行った事があるのですが、日本車を完全にコピーしている車があり、それの出来は良いのですが、中国独自の車となると、ドアを開く時、途中で止まらない…いきなり全開になったり色々と無茶苦茶な所がありました。
 形は模倣出来るが、何故その形になったのかを理解していないという意味において、同じです。」

「なるほど……仮に神聖ミリシアル帝国のエンジンのバイパス比を適正化したとして、そのエンジンの技術レベルはどう思う?」

「材料が魔法により強化されるので、どの程度強化出来るのかにもよりますが、おそらく……少なくとも1970年代に先進国で開発されたジェットエンジンと同程度の技術は持っているものと推定されます。
 発掘されたものが最新式とも限りませんので、古代文明は、さらに上の可能性も当然ありますが……。」

「専門外だろうが、ミリシアルの戦闘機の形についてはどう思う?」

「初歩的な航空力学は、独学でもっているのだと思います。
 戦闘機のノーズ部分等、部分的に先進的なのに、翼型だけは古臭かったりするので、自分たちなりに考えつつも遺跡を解析していく……といったところでしょうか。」

「なるほどな……。」

 技術者たちの考察は続く。

◆◆◆

 日本国 呉 とある造船所

「これはまた……。」

 造船所の統括責任者である東(アズマ)は、その船を見て絶句する。
 同場所には、造船所の責任者以外にも、各種軍事技術を有する企業の担当者が顔を揃えていた。

「この船を修復し、第二次世界大戦程度の技術力を持つ相手に対し、優位性をもって戦えるように改造したいと考えています。
 同船は、我が国の現在の経済を維持するためにもなくてはならない国、ムー国の誇る最新鋭戦艦ラ・カサミです。」

 スーツを着た男が各企業担当者の前で説明を開始した。
 彼は続ける。

「同船は、実質的に1905年、日本海海戦で当時世界最強と言われたロシアのバルチック艦隊を相手に旗艦として戦い、打ち破った船、戦艦三笠と同程度の船です。
 作り直した方が安い事は解っています。しかし、あくまで船の修理と、僅かな改造という形でこの船を強化したいというのが日本国政府の考えです。」

 造船所の責任者、東が手を挙げ、質問する。

「日本には技術流出防止法がありますが、いったいどの程度まで技術の使用が出来るのでしょうか?」

「一部壊れた船体に関して、例えば流体力学を使用し、海水に対する抵抗を減ずるための最適な形にする事は許されています。
 しかし、エンジンに関してガスタービンの使用は許可されていません。
 この範囲に関しては、後日資料をお届けいたします。
 また、搭載兵装については、ムー国に対して技術流出防止法の一部緩和がされる予定であるため、誘導弾を除く対空兵装の装備は「可」となります。
 砲の取り換えや、新規兵装、能力を減じた射撃管制システムや、対空レーダーも設置いたします。
 テスト的な兵装を載せる事も検討されています。」

 担当者による一通りの説明が終わり、集まった各々は企業としての改善案を出すために情報を持ち帰る。
 
 東は造船所にある船を見つめた。
 強力な「力」によって、様々な場所が破壊された痛々しい姿、その姿を見ていると……あり得ない事ではあるが、彼はその船に語りかけられているように感じた。

 祖国を守護するために、我に力を与えてくれと。

 東はわずかに笑みを浮かべながらつぶやく。

「俺が……お前を強くしてやる。」

 誰にも聞こえぬその声に、彼は自身の気持ちを込めるのだった。

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