2018年09月14日

第82話駆け抜ける衝撃2P4

◆◆◆

 バルクルス東側 空洞山脈内 グラ・バルカス帝国陸軍 第4師団

 空洞山脈……まるで火山石を何千倍にも拡大したかのように空洞が多く、それでいて地面は平野が多いため、空からの侵入を妨げ、無線も通じにくい。
 バルクルスからは、この第4師団に向かい、何度も無線通話を試みたが、第4師団に届くことは無かった。

 同平野において、1万人にも及ぶ、近代においては大兵力の師団が進む。
 彼らはそのすべてが自動車に乗車し、または戦車に乗車し、移動していた。

 第4師団を指揮する「指揮車」は、大きめの装甲車両であり、通信機器の出力が強い。
 同指揮車内において、第4師団長ボーグと、部下が会話していた。

「あと8時間ほどで、空洞山脈を抜けます」
 
「そうか……すでに事前の空爆は終わっているだろうな、もしかすると、敵の陸軍基地も併せて全滅しているかもしれん。
 せめて出番があれば良いが」

 圧勝することを前提に話すボーグに、部下は多少の不安を覚える。

「ボーグ師団長、万が一空爆が失敗していたら、我らは危機にさらされます。
 敵の主力が複葉機であっても、空の戦力は脅威です」

 戦術の教科書のような話をはじめる部下、確かに彼の言うとおりだが、現実は教科書とは違うのだ。

「そのための、万が一の通信航空機が存在するんだろう?
 もしも、空爆が失敗していたら、アンタレス型戦闘機が、空洞山脈を抜けた瞬間に空に現れ、赤い雲を引く予定になっている。
 もしも赤い雲を見たら撤退すれば良い。
 青い雲を引けば、作戦続行
 そして、来なければ、通信機器で確認する。
 これはすでに全軍に指示している事だろう?」

「それはそうですが……」

 彼には、見通しが甘く感じられた。
 前世界の列強国が相手ならば、こんな甘い戦術は取らぬだろう。
 その甘さが怖かったが、彼は言葉を飲み込む。

「第4師団は、帝国の中でも……前世界においても、今世界においても無敵だ!!
 戦車など、敵には実現不可能な兵器もある。練度もある。
 敵との戦力比は比べものにならんだろう。」

 ボーグ師団長の言うとおり、帝国が強いのは間違いない。
 圧倒的な数、練度、そして技術的優位。
  
 特に、行軍の姿は壮大であり、どんな敵が現れても決して負けぬと信じさせる力強さがあった。

「そうですね」

 戦車を最前面に出して、部隊は動く。
 空からの攻撃以外で、動いている我が国の戦車を倒せる敵は存在しないだろう。

 グラ・バルカス帝国陸軍最強の機械化部隊、第4師団は、ムー国キールセキの街へ向け、進軍を続けるのだった。



 同空洞山脈……


 異界では見慣れぬそれ……鋼鉄とも思えるその四角い塊は、獲物を狙っていた。
 鋼鉄の体躯から突き出る1本の棒は、異界の大帝国、グラ・バルカス帝国の戦車よりも遙かに大きく、その車体も力強い。

 約2km先からは帝国の第4師団が土煙を上げて向かってくる。
 すでに狙いは定められており、仲間同士での敵の振り分けも完了しているため、狙いが重複することは無い。

 相手は動いているが、車両に搭載された射撃管制システムと、砲安定システムにより、初激を外す事は無いだろう。 

 日本国においても「最新式」に分類される10式戦車10台は、先行的にグラ・バルカス帝国陸軍に対し、攻撃を加えようとしていた。

 宣戦布告をされた。
 そして、巡視船しきしまは撃沈され、その乗組員も処刑された。
 どれだけ説得したことか……どれだけ、日本国政府は平和的解決を求めたことか……すべての外交努力は無駄に終わり、グラ・バルカス帝国は、同盟国ムーに陸上侵攻した。
 アルーの街では、住民が凄惨な……現代では考えられないような目にあっていると聞く。
 様々な事象が重なり、歴史は動き出す。

『攻撃開始!』

 はっきりと聞こえる声で、無線機は指示する。

「てーっ!!!」

 車内に響き渡る車長の命令、その命令は正確に伝わり、射手は発射ボタンを押し込んだ。
 各戦車から轟音と共に、破壊が打ち出される。
 日本国 ムー国派遣軍団 第7師団に所属する10式戦車10台は、グラ・バルカス帝国陸軍第4師団に対し、攻撃を開始した。

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第82話駆け抜ける衝撃2P3


◆◆◆
 
 第2文明圏 列強 ムー国 西部方面空軍 「剣閃隊」

 ムー国の大規模航空基地で、バルクルスに届く航空基地のほとんどは、グラ・バルカス帝国の空爆によって壊滅的被害を受けていたが、点在する小規模基地や、空から見えにくい空洞山脈に囲まれた航空基地は被害を受けていなかった。

 今までのムー国の技術であれば、各航空基地から飛び立った航空機が合流し、大規模作戦を行う事は不可能であった。
 しかし、日本国から提供されるレーダーからの情報がそれを可能にした。
 結果、日本軍の攻撃直後に敵基地上空に到達する事が出来た。

 ムー国にとって、侵略国家グラ・バルカス帝国への初めての、しかも成功確率の高い大規模作戦。
 この第1次攻撃隊は、「閃光の如く早く、国の剣となって敵を討つ」という意味で「剣閃隊」と名付けられた。
 

 剣閃隊 隊長 ナギー

 150機という大編隊、そのうちマリン型戦闘機は隊長機を含めて30機程度であり、残りは旧式の爆撃機や戦闘機が飛ぶ。
 大規模基地や、首都近くであれば、最新型の航空機が主力となっただろうが、地方隊の寄せ集めであるため、どうしても旧式が多くなる。

 しかし、150機もの大編隊が空を飛ぶのは壮大な光景であり、旧式部隊の寄せ集めとはいえ、自分がムー国としては初めて異界の軍、グラ・バルカス帝国への反撃、有効な反撃の一番槍をもらえるとあって、意識は高揚する。

 無線機の性能も、日本国との交流により、2年前とは比べものにならないほどに向上し、もはや魔信は過去のものとなっていた。
 旧式機の多い彼の部隊であってもすべての機に、無線機は搭載されていた。

 まもなくグラ・バルカス帝国のムー国に対する最前線基地バルクルス上空に到達する。

『隊長、まもなく基地を視界に捕らえます。』

『うむ、各機グラ・バルカス帝国戦闘機に厳重に注意を払え!!』

 異界の戦闘機の性能は、我が軍を遙かに超えているとの情報もある。

『隊長、日本軍が先行して敵の空戦能力を削ぐと聞いていますが、やはり戦闘機は来るでしょうか?』

 隊員が、無線機で語りかけてくる。
 本国中枢の部隊であれば、無線でこんな軽口をたたく事は許されないであろう。しかし、敵は強大で、皆死地に向かう覚悟をもっており、無線での軽口に文句を言う者はいない。

『日本の戦闘機は、先に向かったのはたったの10数機と聞く、いくら日本軍でも多勢に無勢、奇襲が成功したとしても、敵はまだかなり残っていると考えていい。
 最悪、日本軍が全滅している可能性もあり得る』

『そんな……では、何故政府は今回の攻撃を初の反攻作戦と定義しているのでしょうか?』

『日本軍が強い事は、事実のようだ。軍のお偉いさんは、えらく日本をかっている者が多い。
 お偉いさんが、強いと判断したから、たった15機でも敵の航空戦力が大きく削がれると期待してるのだろう。
 上に行くほど考えは現場から乖離するからな。
 しかし……まあ、我らも相当な数といっていい。
 しかも、相手は航空機では無い……動かない基地だ。
 戦果は上がる!!!』

 第2文明圏列強ムー、彼らは誇り高く、他国より隔絶した科学文明によって、列強第2位までの地位に上り詰めた。
 しかし、異界の大帝国が敵となり、連敗につぐ連敗、苦渋を舐め、兵たちの心は折れかけていた。
 初の大規模反攻作戦。
 これほどの規模の部隊を、敵基地へこれほどまでに接近させた事は初めてであり、敵の強大さへの恐怖と、敵を打ち負かそうとする強い意志、そして微かな希望。
 感情が入り混じる。
 隊長ナギーは、入り混じる感情を振り払った。

『敵は満身創痍だ!!行くぞ!!お前ら気合を入れて行け!!
ムー国の……反撃の第一撃は我らがとる!!!!!ムー国は……俺たちが守る!!!異界の帝国をムー大陸から叩きだせ!!』

『了解!!!』

 大声の指令、そして了解の返信。
 彼らの覚悟は決まる。

『前方!煙!!!』

 雲の裂け目、先を飛んでいた者が報告を行う。
 やがて雲が切れ、ナギーも遠くを見通せる状況となった。

「なっ!!」

 眼下に写る帝国の最前線基地バルクルス……その基地からは、空を焦がすほどの猛烈な炎と煙が立ち上る。
 基地の燃える煙で、攻撃目標が解らなくなるほどの硝煙。

「いったい何が……」

『敵航空機、そのほとんどが破壊されています!!!滑走路も使用不能状態!!!』

 さらに報告が来る。

「こ……これは……神が我らに与えしチャンスか!!!」

 敵の航空機による反撃の可能性が激減する。部隊の士気が上がった。
 前方を飛ぶ、部下が数度バンクし、降下を開始した。
 ナギーは我に返る。

『攻撃開始!!攻撃開始!!!国境の町、アルーの民の……ムーの怒りを奴らにたたき込め!!!』

 次々と降下する旧式爆撃機、100機以上にも上る複葉機は、バルクルスに攻撃を開始した。
 
◆◆◆

 100機を超える数の機から打ち下ろされる機関銃、そして投下される爆弾……次々と基地重要施設から爆炎が上がる。
 曳光弾を交えて打ち上げられた機関銃弾が敵を捕らえるが、その数は少なく、報復として打ち下ろされた機銃に打ち抜かれ、沈黙する。

 帝国の誇る最前線基地、バルクルスは燃えていた。

「お……おのれ……あんな……あんな旧式機、機能がまともであれば!!!」
 
 おそらくは日本軍の精密な攻撃、奴らに多大なダメージを与えられていなければ、こんな攻撃は難なく防ぐことが出来た。
 しかし、戦闘機の大半はすでに破壊され、対空砲陣地はほぼ壊滅、唯一残った移動式の対空機関銃で応戦するのみ……その火力弱く、被害は拡大していく。

 応戦手段が無い敵に対し、第2文明圏列強国ムーの空軍は、その力をいかんなく発揮していた。
 
 空爆は続く。
 バルクルス空爆は、後の歴史書に帝国の異界における最初の……強烈な敗北として記される事となる。

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第82話駆け抜ける衝撃2P2


 ズガァァァァン!!!

「……第2レーダーがやられました!!!!」

「な……何だって!?」

 敵はまず反撃手段を奪い、その後に重要な施設を狙って攻撃している。
 レーダーが狙われたと言うことは、レーダーが重要な施設であると、敵が理解しているということになる。

 敵は……近代戦をすでに理解している!!

 衝撃……敵は明らかに近代国家……このまま敵の分析を怠り、戦火を拡大すれば、とんでもないことになる。

 それに、敵の練度があまりにも高い、むしろ人間業とは思えなかった。
 通常爆弾というものは、多くを投下し、そのうちの1発が目標物に命中して破壊するものであるが、今回の攻撃はそのすべてが……1発1発が重要物を破壊していく。

『第1レーダーサイト、大破!!レーダー使用不能!!』

『滑走路使用不能!!』

『待機中の第12から18飛行隊、航空機全滅!!』

 無線からは悲痛な叫び声が聞こえる。

「そんなバカな!!どうなってやがる!!!」

 理解が追いつかず、同じような言葉を繰り返す。
 ……震えが止まらない。

「どこから攻撃を!!!まさか……空爆では無く、砲撃か!?」

 あまりにも敵が見つからないので、陸軍による砲撃かもしれないという結論に至る。

『敵機発見……超高空!!』

 目の良い監視員から無線で報告が入った。
 無線による情報を共有した兵達は、一斉に双眼鏡を手にとり、上空を必死に探す。

 青空に描かれた一筋の雲、パースはようやく戦闘機らしき機影を捕らえた。
 先進的な機体、おそらく高度は15000mを超えているであろう、にもかかわらず、自軍の常識では考えられないほどの速さで飛ぶ。
 
「は……速い!!!プロペラが無いぞ!!!」

 神聖ミリシアル帝国の航空機には、プロペラが無かったと、海軍からは聞いていた。
 しかし、我が国の戦闘機よりも、遙かに性能が下であるとも……双眼鏡に写る敵戦闘機は、圧倒的な速度を誇り、途轍もない速さで移動していた。

「ミリシアル帝国の新型か!?」

「先ほど報告にあった日本軍ではないのか!?」

 現場に居合わせた幹部達は、必死に考えを巡らす。

「あ……あんなに高空から!!!」

 あまりにも高い……高射砲でもあれほどの高空までは届かないだろう。
 そして、重要施設に爆弾を正確に当てている。
 あんなに高空から当たる訳が無い。
 練度でカバー出来る領域を遙かに超えているのだ。

 多くの爆弾をばらまき、その多くは基地の外側に着弾しているのかもしれない。
 当たったのは偶然かもしれないと、先ほどの考えを改める。
 あれほどの高空から目標に当てるためには、他に大型爆撃機が多数いるはずだった。

「爆撃機がいるはずだ!!他にも敵機を探せ!!」
 
 兵達は必死で空を見る……しかし、いるはずの大型爆撃機多数は見つからなかった。
 弾薬庫さえも誘爆し、基地は混乱を極める。

 司令室は、報告があまりにも短時間に集まるため、すでに被害を把握できないほどの状態に陥いる。 味方の機は空に上がる事が出来ず、駐機してある航空機と滑走路は使用不能に陥り、戦車もその一部が破壊された。

 混乱を極めたバルクルス……敵の攻撃が止んだ時、基地からは勢い良く炎と黒煙が上る。

 燃えさかる炎を前に、立ち尽くす……沈黙する対空砲……そして待機中に爆撃された航空機……優秀な部下、異世界においては圧倒的戦力だったはずの、彼らが……あっという間に死ぬ……つい先ほどまで、力強さを誇っていた帝国陸軍航空隊が無くなる。
 死の突然さ、不条理さえも感じる。

 将となった時から、部下が死ぬという事に、ある程度の覚悟はしていた。
 しかし……あまりにも一方的な不条理に……感情がこみ上げた。
 人の形をした炭のようなものも見える。

「お……おのれ……」

 目尻が熱くなる。怒りさえも感じるが、すぐに我に返った。

「消火活動を実施!!被害把握せよ!!」

「はっ!!」

 部下達はこのような状況の中でも、的確に動く。
 実に頼もしかった……。

「航空機多数接近中!!数は……約120!!!機影確認、複葉機!!」

 レーダーサイトは沈黙している。
 監視塔から双眼鏡で監視をしていた目の良い者からの報告が上がる。

「くそっ、こんな時に……ムーの攻撃隊か!!!」

 バルクルス周辺でムーの大規模基地は粗方空爆したはずだった。
 何処から送り込まれた攻撃隊かは解らないが、おそらくは偵察に漏れがあったのか……。
 先ほどの圧倒的なまでの正確な攻撃は、おそらく神聖ミリシアル帝国の新型機か、日本軍のものであろう、事前の情報分析でこれほどの性能を持つ航空機の情報は無かった。
 そして、今そこにいる攻撃隊、機影からしておそらくはムー国の攻撃隊だろう。

 通常であれば……基地機能が正常であれば、今回の攻撃隊など恐れるに足りず、すぐに全滅させられる……が……。

「対空砲火全滅!!滑走路も穴だらけで、駐機していた戦闘機は全滅です。
 空将!!対空攻撃の手段がありません!!!」

 悲鳴に近い報告、そんなことは見れば解る。先ほどまで帝国は負けぬといっていた心意気を見せてほしいものだ。

 対空陣地や航空機は全滅に近い被害を出していた。
 
「手段が……無い……」

 絞り出る声、正確な攻撃だった。
 冷静になって見渡すと、基地の外側への着弾は、無いように思えた。
 基地の中だけに攻撃が行われたとするならば、爆弾の総量ははっきり言って帝国の1回の大規模爆撃に遠く及ばないだろう。
 しかし、その攻撃が正確すぎた。
 滑走路、駐機中の航空機、そしてレーダーサイト、対空砲火陣地、さらには燃料タンクと弾薬庫まで、まるでそこへ誘導したかのように、爆弾は命中した。
 
(どうする……)

 パースは悩む。
 突然ドア強くを開け、ガオグゲルが部屋に入る。

「航空隊司令部は現時点をもって、第18倉庫へ行け!!移動式対空機関銃が数機残っている。
 現在すでに指示は出しているが、隊舎も無線も破壊されているため、指示が届いているのか確認出来ない、人員が不足するかもしれん」

「し……司令、大丈夫ですか!?」

「はあ……はあ……はあ……何をしている、さっさと行け!!」

 息を切らすガオグゲルの、額からは大量の血が流れ落ちる。
 爆発片が当たったのだろう。
 彼は大けがをしていたが、職務は正確にこなす。

 航空管制司令室にいた者達は、走り出す。
 予想外の攻撃を受けたグラ・バルカス帝国陸軍は、迫り来る脅威を前に動き続けるのだった。
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第82話駆け抜ける衝撃2 P1

グラ・バルカス帝国 レイフォル領 最前線基地バルクルス

 航空隊の作戦司令室において、空将パースは各幹部に指示を出し続けていた。
 レーダースクリーンが真っ白になる現象、敵からの攻撃が予想され、的確に配置指示をしていく。

『第1対空砲陣、配置完了』

「了解」

『護衛戦闘機、順次離陸開始』

「了解」

「第1次攻撃隊は、全機未帰還だ。何が来るか解らん、気を抜くなよ!」

 空将パースは横にいる軍幹部に話しかける。

「パース空将、決して敵を侮りません。ただ、敵が何であろうとも、我が軍は不敗です
帝国は……決して負けません」

 精神論を振りかざす軍幹部に、パースは僅かな苛立ちを覚える。

 しかし、兵達は迅速的確に動き、練度の高さをうかがわせる。
 その時だった……。


 突如として窓から閃光が走る、続いて響き渡る轟音……。
 基地の窓ガラスがビリビリと振動する。
 彼は音のした方向を見た。

「か……滑走路が!!!」

 猛烈な爆発と共に、煙を上げる滑走路。その数は1つでは無く、何カ所にも及んだ。
 運悪く、離陸中の護衛戦闘機も爆発に巻き込まれた機があり、猛烈な炎を上げて滑走路上に停止する。

「どこだ!!!どこにいる!!!ガッ!!!」

 炎を上げていた駐機中の航空機は、爆弾に引火、耳をつんざく爆発音と共に、猛烈な炎を吹き上げた。
 誘爆による爆発はすさまじく、その衝撃は航空管制司令部の窓ガラスを割り、空気を振るわす。
 彼は空を見上げるが、その対象物を見つける事は出来ない。

 ウウウウゥゥゥゥゥーーーー……

 爆発の後、最前線基地バルクルスに攻撃を知らせるサイレンが鳴り響く。
 人間の警戒心を刺激するサイレンにより、緊迫した空気が走る。
 兵達は慌ただしく動きはじめ、爆発音とサイレンによってたたき起こされた休憩中の兵達も走り回った。
 しかし……爆発は1度や2度では無く、連続して発生した。
 攻撃は止む事無く、駐機中の航空機も爆発に巻き込まれる。
 
 航空機は、猛烈な炎を上げ、第2次攻撃のために自身が抱えていた爆弾が誘爆する。
 誘爆は、他の航空機を引火させ、負の連鎖は続いた。
 基地からは猛烈な炎と煙が上がるが、攻撃は緩む気配も無く、敵の爆弾は的確に航空機を破壊していく。

 滑走路、待機中の航空機。

「ちくしょう、航空機がやられた!!対空陣地は何をしている!!!」

 パースは対空陣地をにらむ。
 しかし、次の瞬間、その対空陣地も閃光と共に四散した。

「やられたかっ!!!」

 付近に爆弾が落ちた形跡は無いのに、一撃……たったの一撃で対空陣地は破壊された。

「信じられん命中率だ!!」

 一時的に、反撃手段を失う。
 パースの背中に冷や汗が伝う。

「レーダーはまだ戻らんのか!?」

「レーダーは故障していません、何らかの外部的要因です。高出力化してみます」

「頼んだぞ、目を奪われたままなら相当不利だ!!!」

 彼は空をにらむ。
 まだどこから攻撃をうけているのか理解出来なかった。
 睨んだところで、どうにもならない事は理解していたが、気を張っていないと、恐怖で逃げ出しそうだった。
 敵は、軍の重要施設をとてつもない命中率で、狙い撃ちしているようだった。
 練度はいったいどうなっているのか…… 戦慄の命中率、空将パースは震えが止まらなかった。
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