2019年07月19日

第94話 神撃の大帝国P7(ボツ)

※ この話はボツ作品です。反省のためにデータを残しておりますが、根本的に書き直すので、無視して先にお進みください

◆◆◆

 日本国 小笠原諸島南東約1400km付近 海上

 海を割り、鋼鉄の艦隊が進む。

 その姿は雄々しく、圧倒的な大きさ、圧倒的な火力、圧倒的な数は、グラ・バルカス帝国史上最大にして最強とも言える規模であり、前世界のケイン神王国に派遣したならば、首都を灰に出来るほどの大戦力。

 皇太子の身柄拘束という、前代未聞の衝撃により、帝国海軍本国艦隊、東方艦隊、西方艦隊の垣根は取り払われた。
 帝国史上最大の作戦を実行する部隊は連合艦隊と称される事となる。
 そして経験豊富な東方艦隊司令長官カイザルは、連合艦隊司令長官に任命される事となった。

 
 グラ・バルカス帝国 連合艦隊 旗艦グレードアトラスター

 世界最大にして最強、そして神聖ミリシアル帝国の空中戦艦を撃ち落とし、もはや生ける伝説となった艦、グレードアトラスターの艦橋で、連合艦隊司令長官カイザルは、海を睨み付けていた。
 
 目視できる範囲だけでも数百隻もの艦艇が見える。
 多数の艦艇が一方方向に進むという圧倒的存在感。

「司令、艦隊北東約150km地点で発見された漁船については、空母マリオル搭載の第2航空隊が撃沈致しました。
 ただ、攻撃直前に無線を使用された模様です」

「無線を?では……」

 目線を傍らに立つ艦長ラクスタルへ向ける。

「はい、気づかれたと考え、行動するべきでしょうな」
 
「……まあ良い。日本国本土から3000km以内に気づかれずに侵入した。第一段階は成功と言って良いだろう」

 帽子の下、猛将カイザルの眼光は鋭く光る。
 
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第94話 神撃の大帝国P6(ボツ)

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 日本国 首都 東京 防衛省

「空自のアルタラス基地より第1報が届きました」

 航空自衛隊アルタラス基地とやりとりを行った通信士は直ちに幹部に報告した。
 今回の作戦のために特別に設置された部屋には、三津木の他、直ちに意思決定が下せるよう陸・海・空各幹部が詰める。
 
「どうだった!!」

 防衛省幹部は、通信士へ向く。

「はっ!!航空自衛隊F−2戦闘機及び海上自衛隊BP−3C爆撃連隊の対艦誘導弾の飽和攻撃により、アルタラス西側航行中のグラ・バルカス帝国艦隊は全滅した模様です」

「よし!!!」

「やったな!!」

 室内はざわつき、拍手すらも巻き起こる。
 拍手の音に消されないよう、通信士は声を張り上げて続きを話す。

「しかし!!」

 ざわついた室内はすぐに静まった。

「しかし、RF−4Eが戦果確認に向かったところ、真っ二つに折れ、横になったまま海上をに浮かんでいる艦を多数確認したとあります。
 現在写真情報送信中、間もなく届きますが……現地からの報告によると、デコイ……船ほどの大きさのデコイが多数紛れていたと考えられます。
 よって詳細戦果現時点不明との事です」

「なっ!!なんだと!!!」
 
 あまりの衝撃に、三津木は日頃の落ち着いた口調から逸脱する。

「では、対艦誘導弾を多数無駄撃ちした可能性があるのか!!
 現在付近に他の艦隊は確認出来ないのか!!!」

「はい、他の艦隊は現在まで確認出来ていません!!!!」

「まさか……囮!!!いかん!!!第4護衛隊群の現在地は!?」

「クワ・トイネ公国のマイハーク北約500km付近です」

「すぐに呼び戻す必用がある!!!BP−3C爆撃隊も直ちに各海自基地へ呼び戻し、すぐに補給させ無ければ!!」

 対艦誘導弾を無駄撃ちした可能性がある。
 仮にこの艦隊が囮ならば、本艦隊が遙かに近くにいる可能性すらあった。

 不意に、部屋のドアが強く開かれ、汗だくになった防衛省幹部が室内に入ってくる。

「どうした!?」

 ただ事ならぬその顔。

「現在海上保安庁から連絡がありました。小笠原諸島南東約1250kmの位置で、操業中の漁船「日閃丸」より、多数の航空機から攻撃を受けているというSOS無線が入り、消息を絶ちました。
 現在早期警戒機及びF−2戦闘機2機、そして空中給油機が緊急発進し、付近に向かっております!!」

「何だって!?まさか、グラ・バルカス帝国か!!!敵の数、規模は!?」

「不明です。緊急発進した機の報告を待つしかありません」

 数隻の規模なのか、大部隊なのかが判断出来ない。
 グラ・バルカス帝国や、レイフォルまでは距離がある。
 まさか大規模に迂回してくる事は無いと考えていた。

「まずいぞ……まさか、敵の狙いは東京……」

「小笠原が攻撃されたらやっかいだぞ!!」

 場がざわつく。

「くそっ!!!」

 三津木は拳を机にたたきつけた。
 手からは血が滴る。

「よりによって……小笠原かぁっ!!!!」 

 鬼の形相。

「偵察衛星が、あと30分ほどで同場所付近上空を通過します。全力で索敵に当たらせます」

 あまりにも本土に近いという想定外の事態、自衛隊幹部は全力で働くのだった。
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第94話 神撃の大帝国P5(ボツ)

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「一瞬で3機が!!!我が軍はグラ・バルカス帝国だぞ!!」

 こちらの艦隊が発見されたことは疑いようが無かった。

「司令、敵を引きつける事には成功した……ということでしょうか?」

 艦長は艦隊司令に尋ねた。

「ああ、引きつける事は成功だ」

「では、反転を進言します。撤退する事で生存の可能性も上がり……」

「馬鹿者!!」

 狭い艦橋に怒号が響く。

「進むのだ!!進むことにより、敵は我らが艦隊を主力と錯覚する。
 我らの他にも付近海域に主力がいるはずと、こちらに戦力を振り分けるだろう……そして……それに勝つ!!」

「し……しかし、危険です!!日本軍は想像以上に強いと聞きます。こちらの戦力はあまりにも低い!!駆逐艦たったの50隻と軽空母のみです。
 乗組員の命を無碍に差し出す訳にはいきません!!」

「艦長、君は軍人では無いのかね?引きつけた敵の大部隊を滅したいとは考えぬのか?それに、グラ・バルカス帝国の軍人である以上、国のために死ぬのは当たり前の事だろう?
 覚悟は無いのか?」

「解っておられると思いますが、この艦隊は囮です!!旧式駆逐艦と、軽空母の寄せ集めだ!!しかも、故障艦を曳航している艦も多く、速度も出せない。
 こんな装備でどうやって勝つおつもりか!!
 こんな艦隊では、ムー相手でも危ういのです!!」

「日本国は強いなどという考えを持つ者が増えているが、栄えあるグラ・バルカス帝国に総合力で勝てるわけが無かろう!!
 今回敵は高性能兵器を積極的に使用すると上層部は考えている。
 この艦隊は囮だと。
 しかし、活路は在るはずだ!!私はこの相手に勝てと命じた。
 命じられた以上、それを成すために全力で動くのだ。自分で自分の限界を決めるな!! 命令を遂行するのが部下の努めだろう」

「なっ!!!」

「たしかにこの艦隊は、弾よけ艦隊だ。
 だが、私はこんなところで人生を終えるつもりは無い。
 必ず勝って、軍本部に返り咲いてやる!!」

「司令は、勝てると踏んでいるのですか?予測される敵戦力と使用兵器、そして数は?
出現する敵艦隊の位置及び数、そして使用兵器は?
 何もつかめてはいないでは無いですか!!!
 我らの現状は、敵が何処にいるのかも解らない、そしてどれだけの数いるのかも解らない。兵器の種類も数も解らない上に、高性能兵器の使用のみ予想される状況です。
 この状態でどうやって勝てと?
 命令すれば従え、これは納得できますが、勝つためにはそれに至るプロセスが必用なのです。」

 艦長は、司令オールトが何も理解していない事に戦慄した。
 部内の試験だけで勝ち上がり、軍の本質に関してこの男は本当に理解していない。
 失敗すれば自分も死ぬという事実を理解しているのだろうか。
 しかも、通常の艦隊ならばともかく、故障艦やデコイを曳航している旧式駆逐艦部隊。
 敵は大部隊では無いかもしれないが、こんな装備では、敵が弱くとも負けてしまう。
 そんな何も理解しない男が艦隊司令で、しかも囮……軍本部もこの男を厄介払いしたのであろう。

 艦長がさらなる抗議をしようとしたとき、艦隊前方の駆逐艦が猛烈な光を発して煙に包まれる。

「こ……攻撃か!!!」

「駆逐艦バロウ被弾!!」

「第2艦隊駆逐艦の曳航デコイに被弾!デコイ分裂!!」

「駆逐艦ロウボル轟沈!!」

 突然、海域に地獄が訪れた。

「な……何だと!?敵は、何処から攻撃している!!敵艦隊は何処だ!!!」

 オールトは吼えるが、解る者はいない。
 悲劇の報告は続く。

「ピルク、バーグ、クドナル轟沈!!!」

 付近には閃光、そして轟音がこだまし、たったの1撃で駆逐艦は海へと消える。

「デコイ第4から第7、第12から第33まで消失!!」

 どこから攻撃されているのかも解らず、戦艦主砲弾数発の攻撃に耐えるはずのデコイが一撃で使い物にならなくなる。
 そして、デコイの1つとして曳航している廃艦も、たったの1発で轟沈してしまう。

 猛烈な火球と、戦艦の主砲でも作り出せぬほどの爆発が多数出現した。
 攻撃が見えず、何処から攻撃されているのかも解らない。
 たまたま攻撃に当たらなかっただけであり、自分がそれに当たったときに命は終わる。
 戦慄の恐怖。

「う……こんなところで死にたくはない!!!死にたくない!!」

 周りの目も気にせずに発狂する兵士達。
 付近を見渡すと、次々と正確に打ち込まれる敵の攻撃。
 1発も外れていないようにさえ見える。

「これほどの相手なのか!!一体どうやって……」

 次々に消える友軍、オールトは恐怖心が全身に駆け巡った。
 
「こんなところで!!こんなところで終わらんぞ!!!」

 海面すれすれに飛行してきた超高速物体が、不意に上昇し、オールトの乗艦する艦、しかも艦橋にまっすぐに向かってきた。

「うわぁぁぁぁ!!!」

 軽空母アマルテアは猛烈な光に包まれる。
 F−2戦闘機の放った空対艦誘導弾(ASM−2)は軽空母アマルテアの薄い装甲を突き破った後、内部でその威力を解放、高性能爆薬の爆圧によって、内部に積まれていた爆弾も誘爆、海上には大きな火柱が出現した。

 大きな破口からは、大量の海水が浸水し、一気に海に引き込まれる。
 爆発による煙が晴れる頃、海上は静かに波打ち、船はその姿を消す。

 グラ・バルカス帝国 第3特殊任務部隊は、日本国航空自衛隊及び海上自衛隊による対艦誘導弾の飽和攻撃を受け、全滅した。
 
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第94話 神撃の大帝国P4(ボツ)

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 青く晴れ渡った空に、数機の戦闘機が進む。
 この世界に在らざる速さで飛行するそれは、翼端から白き雲を引いていた。

 眼下には、海面に張り付くかのように雲が張り付き、様子を伺う事は出来ない。
 肉眼ではまだ見えぬが、コクピットの遙か先にはグラ・バルカス帝国の艦上戦闘機が舞っているのを、レーダーでは確認出来ていた。

「たったの6機か……」

 日本国とグラ・バルカス帝国の戦闘機性能を考えると、大規模艦隊の直掩には少なすぎる数のように思える。
 航空自衛隊の田崎は迅速的確に仕事を行った。
 敵は周辺国家には容赦なく、世界に対してけんかを売っている。
 しかし、今遙か先にいる敵は、自分の存在を目視する事も無くあの世へ旅立つ事になるだろう。
 微かに浮かぶ哀れみの心。

 すでにレーダーは敵航空機をロックオンしていた。

『攻撃開始!!攻撃開始!!』

 はっきりと伝わる声で命令が発せられる。
 一瞬目を瞑り、黙祷した。

「すまんな」

 ぽつりとつぶやき、田崎はミサイル発射ボタンを押し込む。
 ミサイルが胴体と切り離された僅かな振動の後、白煙を吹いて前方へ飛翔する。

 航空自衛隊F−15J改(MSIP機)戦闘機4機は、前方のグラ・バルカス帝国艦上戦闘機に対し、99式空対空誘導弾(AAM−4)を発射した。


 99式空対空誘導弾(AAM−4)は先端から斜め後方に衝撃波を纏い、マッハ4以上の速度で空気を裂いて飛行する。
 射程距離100km以上にも及ぶミサイルは定められたとおりにに誘導され、目視範囲外の敵に襲いかかった。

『命中!!命中!!』

 次から次へとレーダーから消える光点、単純に兵器の能力差だけで消える敵、彼は残骸すら見ること無く、任務を完遂した。 

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国 第3特殊任務部隊 旗艦 軽空母アマルテア
 
「来る!!間もなく敵の大規模攻撃が来るぞっ!!!」

 艦隊司令オールトは、何も見えない霧の先を見る。
 先ほどからレーダーが全く反応しなくなった。
 今回の日本国への懲罰派遣……。
 艦隊司令オールトは出撃前に信じられない情報を聞く。

○ 日本国は我が国と同様に科学立国であり、部分的にその科学は我が国を陵駕している
○ 電子妨害という技術も有しているため、レーダーが反応しなくなる場合がある
○ 日本国は、初撃で最も高性能な兵器を使用してくるだろう。それを積極的に使用させ る事が君たちの任務である

 信じられない情報だった。
 しかし先日、本国艦隊が、日本国の艦隊と交戦して敗れた事実が発生している。
 前世界においても最強、そして今世界においても並ぶ物なしと詠われた栄えあるグラ・バルカス帝国が、敵の最新兵器を積極的に受ける〜囮かつ、弾よけを作戦に取り入れるとは……。
 屈辱。
 
 先ほどからレーダーが全く反応しなくなる。

 事前情報にある電子妨害!!しかも上空にいるはずの直掩機へ無線を発するも応答はない。

 オールトは、空を見上げる。
 低く垂れ込めた雲、そして濃い霧、敵航空機からの目隠しになってくれるだろう。

 不意に雲の裂け目が空に現れた。
 友軍3機が警戒している。目視範囲外の機も含めた全6機。
 数は少ないが、我が軍の精鋭である。

「ん?」

 微かに見えた空の違和感、次の瞬間、勇猛に飛行していた帝国海軍航空隊が爆発に包まれる。

「なっ!!!」

 強大な力に押されたかのように、瞬く間に火球に包まれ、バラバラに粉砕される。
 各パーツは燃えながら雨となって降り注いた。
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第94話 神撃の大帝国P3(ボツ)

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◆◆◆ 

 同日夕刻 アルタラス王国

 若き女王ルミエスは、空を眺めていた。
 本日の昼頃には、自衛隊の戦闘機F−2やF−15J改が次々と空港に着陸した。
 久々に見る航空機、着陸のために速度を落としていたが、それでもワイバーンに比べると圧倒的な速度で、何度見ても驚かされる。
 早急に自衛隊の展開を承認して公務を終わらせる。

 美しく透き通る空は夕日によって赤く輝き、鳥たちがのんびりと舞っている。
 戦火が近いことなど微塵も感じさせなかった。

「女王陛下、そろそろ見えてくる頃でございます」

 ルミエスは東の空を見る。

「来た!!」

 徐々に聞こえる重低音。
 僅かな空気の振動と共に、多数の点が空に現れる。
 多数の点はやがて飛行機の形を成す。

 かつて、パーパルディア皇国によって国家存亡の危機まで追い詰められ、奇跡ともいえる巡り合わせによってアルタラス王国は救われた。
 
 反撃の……圧倒的な力の象徴として、いつか見た光景。
 日本国、海上自衛隊BP−3Cの大編隊が見えてくる。

 グラ・バルカス帝国による全世界への宣戦布告、かの国が本気になれば、アルタラス王国などすぐに飲み込まれてしまうだろう。
 東方国家群にとって、救いの一撃となるかもしれない。

 自らの国を救いし象徴の再来、その雄々しき姿、ルミエスの心は震えるのであった。

◆◆◆

 翌日ー午前4時50分

 アルタラス王国 航空自衛隊レーダー管制室

 航空自衛隊緊急派遣部隊長の佐古は管制室にいた。早期に発見、迎撃出来なければ本国まで危険が及ぶ可能性がある。
 些細な変化さえ見逃さないよう、指示を出す。
 レーダー監視員は最新の注意を払って画面を見つめた。
 画面の先、約1000km西側には1機の航空機、自衛隊の持つ早期警戒機E−767の光点が浮かんでいた。
 不意に、無線が入電する。

『航空機6機発見、距離現在地より西北西約830km、速度245ノット、座標……』

「き……来た!!」

 速力からして、ワイバーンの可能性は無い。
 航空機6機というのが、少なすぎる気もするが、敵航空機がそこに存在するならば敵の大艦隊もそこに存在する可能性があった。

「早期警戒機は引き続き監視に努めよ。
 待機中の偵察機(RF4−EJ)に離陸を指示、周辺海域の捜索にあたれ!!」

 佐古は矢継ぎ早に指示を出す。
 すでに待機していた偵察機、RF4−EJは、すぐに滑走路に出る。
 早朝ではあったが、アフターバーナーに点火、2本の炎を後方から出し、轟音と共に離陸、周辺海域へ向かうのだった。
 
 2時間後ーー

『敵艦隊発見!!総数223、空母10,戦艦4、巡洋艦32、補給艦……』

 管制室がざわめく。
 ついに偵察機が敵艦隊を発見した。消失した敵艦隊からすると、一部の艦隊だろうが、大規模な艦隊に変わりは無い。
 すぐに映像が送られてくる。

「ん?見えにくいな」

 低く垂れ込めた雲、艦隊周辺には霧が出ているようで、艦影のぼやけた影の写真のみ。
 空母、巡洋艦、駆逐艦等、大まかな分類は可能だが、詳細な艦の名前までは判断出来なかった。
 もっと近づくと対空砲火の射程に入る可能性もあり、近づくことも出来ない。
 もう一枚送られてきた写真、こちらの方は、艦上戦闘機が上空で舞う姿ははっきりと写っていた。
  
「ついに来たか!!グラ・バルカス帝国艦隊に間違いないな。
 F−2並びにBP3−C哨戒爆撃機は直ちに出撃、対艦誘導弾の大規模飽和攻撃を行い、艦隊を殲滅する!!
 F−15JはBP−3Cの護衛にあたれ!!!」

『了解!!』

 すでに準備は整っている。
 対艦誘導弾を1回の出撃で4発撃つことが可能なBP−3C及びF−2戦闘機。

 1回の出撃で300発もの対艦誘導弾を放つ事が出来る。
 兵器量産の成せる技ではあるが、地球史においても、これほどまでの大規模対艦攻撃は歴史上行われた事が無いだろう。
 
 護衛隊群はまだずっと後方の海域、まだ沖縄周辺だろう。

「航空攻撃だけで敵艦隊を片付けてやる!!」

 佐古は意気込む。
 航空自衛隊のF−2戦闘機15機及び海上自衛隊BP3−C哨戒爆撃機60機は、朝焼けの中、西の空へ離陸していった。

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第94話 神撃の大帝国P2(ボツ)

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 日本国 首都東京 防衛省 早朝

 防衛省幹部三津木は緊張の最中にあった。
 グラ・バルカス帝国の大規模艦隊の出港が衛生写真によって確認された。現在何処を行っているのか、詳細情報までは捕らえられていないが、おそらく日本国へ向かって出港したのであろうと思慮される。
 現在予測航路を人工衛生で確認中であるが、基数が少なく、なかなか見つけ出すことが出来ない。

 日本国政府は、グラ・バルカス帝国によって決して日本国民に被害が出ることの無いよう、全力を尽くす事を下命、帝国の動向を捕らえるため、日本国のみならず、他国にも協力を依頼し、防衛省のみではなく、各省庁一体となって帝国艦隊の行方を探っていた。

 大艦隊が未だ捕らえられていないという重要性、日本国民に1人も死者を出してはならないという重圧、
 三津木の横に座る同僚が、苛立ちを隠せずに嘆く。

「くそっ!!一体何処にいるんだ!!」

 イライラは、職員にも伝搬していく。

「まあまあ、焦っても良い結果は得られませんよ。
 焦らず全力でいきましょう」

「三津木……これが焦らずにはいられるか!!
 想定される敵は多すぎる!!迎撃が間に合わなかったら国民に被害が出るのだぞ!!」

 危機感が無いように見える三津木に、同僚は苛立つ。

「まあ、そうですが、焦っても変わらない結果なら焦らない方が良いかなと」

 会話中、三津木のデスクに設置された電話が鳴る。
 会話を中断し、三津木は電話に出た。

「はい、もしもし……え??本当ですか!!はい、はい……」

 高速でメモを取る三津木、のほほんとした顔がギラツキ始める。
 電話を切った。

「見つけたぞ!!!パーパルディア皇国竜騎士がグラ・バルカス帝国艦隊発見した!!位置アルタラス島西側約2300km海上!!
 おおよそ220隻が東へ向けて進行中!!」

 先ほどののんびりとした話し方が嘘のように、矢継ぎ早に各方面に指示を出す。

「パーパルディア皇国?何故あの国が協力を?」

「ああ、知らなかったか?俺が独断で手を回しておいた。一応上には報告済だ」

 元敵国、しかも外務省でもない三津木がどうやって味方に引き入れたのか疑問に思う。

「数は220隻か!?十分脅威な数だが、事前の情報からすると少なくないか?」

「まだ発見出来てないだけでしょう。付近にいる可能性は十分高い」

「空自に、緊急展開部隊を派遣するよう要請、アルタラス王国に展開中の陸自にも連絡、ええと……すまん、ど忘れした。アルタラス王国展開中の陸自は対艦攻撃能力はあったかな?」

 グラ・バルカス帝国侵攻の可能性がささやかれた時、外務省はすでにアルタラス王国に対し、有事の際に自衛隊の緊急展開部隊の展開要請を行い、アルタラス王国は快く了承していた。
 当初は海上自衛隊、航空自衛隊のみの展開としていたが、グラ・バルカス帝国による攻撃が真実を帯びてきた時、アルタラス王国から陸上自衛隊の一時的展開要請があり、緊急展開前での一時的な陸上自衛隊の小部隊が派遣されるに至った。
 また、万が一のため、ある程度の弾薬備蓄も行っている。

「ああ、グラ・バルカス帝国侵攻の可能性から、旧式ではあるが、88式地対艦誘導弾システムを配備している」

「迎撃計画についてだが……プランDで行きたいと思う。早急に報告、意思決定を行う、いまから上に説明行ってくる」

 三津木は部屋を飛び出す。
 この日、海上自衛隊1個護衛隊群、空中給油機2機、BP3−C60機、E−767早期警戒機2機、F−15J改12機、F−2戦闘機15機、RF−4EJ1機が緊急に派遣される事が決定した。

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第94話 神撃の大帝国P1(ボツ)

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異世界の国々に認識されている世界において、東に位置するフィルアデス大陸。
 その西側に、リーム王国の飛び地が存在する。
 セニアと呼ばれるこの地は、かつてはパーパルディア皇国の土地であった。

 土地に栄養は無く、元々ほとんど人が住んでいないような土地であり、皇国にとって重視されるような場所では無かった。

 パーパルディア皇国混乱の最中、リーム王国が上陸して領有を宣言、おおよそ海岸線にい20km、内陸に10km入った程度の皇国にとっては小さな土地、当時皇国は日本国によってその戦力を大きく削られており、重要性も低い皇国の領地奪還は見送られる事となる。
 やがて、リームは港を整備する。
『内陸部の本国から遠く離れたこの地に港を作って何になる』
 そういった意見も国内では見られたが、日本国から購入したタンカーによって第3文明圏と第2文明圏を直接結ぶことが出来るようになった。
 また、帆船を利用した場合の中央世界の窓口としてはちょうど良い場所にあるため、当初の想像以上に栄えし港となり、外貨資金源ともなっている。
 
 
 第3文明圏文明国 リーム王国飛び地 セニアの港

 港湾を管理している貴族ドルブはグラ・バルカス帝国の多数の軍艦を見て驚きを隠せなかった。
 我が国やパーパルディア皇国とは違った鋼鉄で囲まれた船体、元列強パーパルディア皇国の魔導砲を遙かに上回る射程と威力を持つ帝国の砲、そしてあれが海上で30ノット以上の猛烈な速力で移動が可能という。

 そんな化け物、帝国は駆逐艦と呼ぶらしいが、そのような艦が33隻、補給艦10隻、そして理解が出来ない不思議な形の艦が12隻、列強の持つ竜母のような、軽空母と呼ばれる艦種が1隻、計56隻が停泊し、補給を受けていた。
 沖合には碇を下ろした他の艦種も見受けられる。

 帝国の使者から、たったこれだけの艦艇で全盛期のパーパルディア皇国主力艦隊を葬る事が出来るほどの戦力と聞き、さらに驚く。

「すごい……なんて戦力だ……グラ・バルカス帝国はすごいな……」

 ドルブは、始めて見るグラ・バルカス帝国の戦力に、ある種の感動を覚えた。
 きっと彼らは我が国をさらなる繁栄に導いてくれるだろう。

 グラ・バルカス帝国艦隊は、翌日の夜未明、いずれかの場所へ向けて出港していった。
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