2020年01月30日

第98話 日・グ大海戦2 P5


「現在被害確認中、巡洋艦ベルナンテ及び駆逐艦バリスター連絡取れません」

 着弾地点の煙が徐々に晴れていった。

「駆逐艦バリスター轟沈、巡洋艦ベルナンテ大破、戦闘継続不能」

 敵の攻撃を防ぐ手立てが無いことが判明した。
 ただ的となり、撃たれ続けるしか手が無い。
 どうすれば良いのか解らず、ただただ女帝ミレケネスは立ち尽くす。
 
 その時、一時的にレーダーが回復した。
 監視員がのぞき込んだ画面には、艦隊直近が光点で埋め尽くされる。

「レーダー回復、敵ロケット攻撃多数飛来!!距離30km、数は……250以上です」

「……なんてことだ」

 ミレケネスの率いる第1先遣艦隊の数を上回る敵の攻撃。
 圧倒的な物量で挑んだつもりだった。しかし、敵は1発で巡洋艦すら大破させる高威力で100発100中の弾丸を、艦隊数以上に打ち込んできた。

 沈黙の絶望が艦橋に広がる。 
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第98話 日・グ大海戦2 P4


『エアウルフから艦隊司令、艦隊東方30km、海面スレスレに飛翔物体多数。
 これより迎撃する!!』

 東方の低空を警戒していたエアウルフ部隊、目の良い隊員が奇跡的に対艦誘導弾を上空から目視した。
 超高速で4本ほどが、海面を這うように飛行している。
 エアウルフ隊の数15機。

「速いな……しかし間に合う!!!」

 自機を遙かに上回る速度でロケットのような飛翔体が艦隊へ向かう。
 彼らは急降下を開始した。
 スロットルを全開にして、急降下を開始する。
 機内ではエンジン音と風切り音が織りなす不快な合成音が鳴り響いた。
 照準器をのぞき込み、彼の人生で最大の集中力を発揮した。

「飛翔体は速い!!チャンスは一撃のみだ!!必ず落とせぇぇぇぇぇぇ!!」

 ダダダダッ!!ダダダダダダッ!!!!
 アンタレス型艦上戦闘機15機から、連続して機関砲が射出された。
 15機もの戦闘機から超高速で連続して打ち出される砲弾。時折混じる曳光弾が空を染め、幻想的な風景を織りなす。
 初速750m/s(時速2700km)で繰り出される高速弾。
 毎分520発の連射性能を誇るグラ・バルカス帝国製の20mm機関砲が吼えた。

 おおよそ12秒、たったの12秒で携行弾数100発、2門で200発を撃ち尽くす。
 各機200発、15機で3000発もの砲が、飛翔体に向かって打ち出された。
 
 機関砲弾は、連続して海面に着弾し、爆発を起こした。
 海水は、上空へ投げ出され、多くの水しぶきが上がる。

◆◆◆

 旗艦バルサー艦橋
 
 前方約30kmで、直掩についていたエアウルフ隊が猛烈な機銃の嵐を撃つ。
 艦橋からもはっきりと見える光の嵐。

「どうだっ!!やったかっ!!!」

 突然の誘導弾の攻撃。
 すべての想定を上回って来る敵の攻撃に、参謀デルンジャは恐怖を覚える。

「友軍戦闘機から報告!!命中弾なし!!」

 背筋に悪寒が走った。
 前方の駆逐艦から猛烈な対空砲火が水平射撃に近い状態で放たれる。
 各艦はすぐに対空砲を放ち初めた。

「敵ロケット上昇!!!」

 各艦の攻撃は上に向き、空に向かって光の雨が行く。
 
「何故当たらないっ!!!!」

 誰かが叫んだ。
 上空へ上がったロケット弾のうちの1発は、放物線を描くような機動を取り、獲物を狙うかのごとく巡洋艦ベルナンテに向きを変えた。

「巡洋艦ベルナンテ、チャフ及びフレア(欺瞞装置)射出っ!!!」

 巡洋艦から大きな光の弾が多数出現する。
 艦からなるべく引き離すかのように、猛烈な数の熱源体が射出された。
 合わせて、アルミ金属片を含んだ霧が艦を覆う。
 艦の周りは熱源体の発する光がアルミ片に反射され、光のオーラを纏う。

「どうだっ!!これが先進技術実験室の出した答えだっ!!」

 熱源誘導に対してはフレアを。
 電波誘導に対してはチャフを。
 どちらも効果があるはず……先進技術実験室第1級技師カンダルは、絶対の自信をもって、巡洋艦ベルナンテを見るのだった。


 海上自衛隊BP−3Cから放たれた93式空対艦誘導弾(ASM−2)、終末誘導に採用されている赤外線イメージ誘導は、チャフやフレアに欺瞞されること無く、正確に巡洋艦ベルナンテに時速1150kmで着弾した。

 初歩的誘導システムであれば、帝国の欺瞞装置は効果を発揮することが出来たかもしれない。
 赤外線イメージ誘導……日本国の技術は、グラ・バルカス帝国の想像を遥かに超えたものだった。

 猛烈な炎球が海上に出現し、暗くなりかけた海を……天を照らす。
 炎球は艦隊を包み込むほど強大であり、僅かに遅れて耳を覆うほどの爆発音が響き渡った。

「ああっ!!」

「巡洋艦ベルナンテ、駆逐艦バリスター、戦艦ピート及びリカータ被弾!!」

 無機質な報告が艦橋に響く。
 チャフやフレア(欺瞞装置)に騙される事無く、敵弾は正確に着弾した。
 
「な……何故だっ!!何故当たる。まさか、魔法で誘導しているのか?」

 魔法をいう分野は未開拓だ。カンダルは日本国の誘導弾が魔法で誘導している可能性に至り、力が抜けて呆然と立ち尽くした。
 視界の先には燃えさかる巡洋艦があった。
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第98話 日・グ大海戦2 P3

 
◆◆◆

 ナハナート王国 航空自衛隊航空管制センター

「敵迎撃機を排除、92機中撃墜91、損失ゼロ」

 司令八神は、通信士から報告を受ける。

「残りの1機は何だ?」

「エンジンから煙が出ていました。エンジントラブルにより、敵艦隊方向へ飛行中であり、攻撃隊(BP−3C)の脅威とはなり得ないため、攻撃をしなかったとのことです」

「そうか、了解した」

「間もなく、敵艦隊がBP−3Cの射程圏内に入ります」

「そうか、射程に入り次第、各機攻撃を開始。
 攻撃後は各基地に各々帰投し、すぐに補給を実施、待機せよ。
 偵察機(RF−4E)は発進しているな?」

「はい、現在BP−3C後方100kmの位置におります」

「では、偵察機(RF−4E)は戦果確認、状況一報送れ」

「了解」

 戦場は動き続ける。

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国 連合艦隊 第1先遣隊 旗艦バルサー

 全長215.8m、最大幅28.96mの巨艦が海を行く。
 出力8万馬力のエンジンは、巨体を軽々と動かし、強大な海水をかき分ける。
 大きな砲撃力を誇る41cm45口径連装砲4基は誇らしげに水平線を向く。
 その砲撃に耐えれる艦など、グラ・バルカス帝国戦艦を除いて存在しないであろう。

 巨艦の艦橋で、帝国3将の一人、女帝ミレケネスは落ち着かない表情で水平線を睨んでいた。
 
「少しでも……僅かでも敵の情報があれば、細目漏らさず報告しなさい」

 そろそろ迎撃機が敵攻撃隊と合敵しているはずである。
 敵攻撃隊編成が全く不明であり、どの程度戦闘機が混じっているのかも解らない。
 もっと言えば、数も不明、何もかも不明であったため、練度の高い攻撃隊を迎撃に向かわせた。

「少しは撃ち漏らしますかね」

 傍らに立つ参謀デルンシャは、余裕たっぷりで話しかけた。

「少し……だと思うか?」

「はい、レーダーに攻撃隊が来ていると解った時点で、やつらの攻撃は半分防いだも同じ。 戦闘機に比べて攻撃機もしくは雷撃機は鈍足です。
 これは、いかに技術が進んでも変わらぬ真実でしょう。
 当然護衛戦闘機もついているでしょうが、こちらの迎撃機はすべて戦闘機、奴らの戦闘機の何倍も投入しております。
 いかに電子技術が優れていようとも、この戦力比は揺るがぬ……と考えまする」

「理ではそうだろう、しかし……」

「しかし??」

 ミレケネスは、他の部下に悟られぬよう、信頼のおける参謀デルンジャに小声で話す。

「本能がこの海域から逃げろと、全力で訴えかけてくる。
 嫌な予感がするのだ」

「ほう、ミレケネス様がそのような理に叶わぬ事をおっしゃるとは……珍しいですな
 直感ですかな」

「そうだ、どうしようもなく絶望的な予感がする。今にも職務を投げ出して逃げ出したいくらいだよ。
 デルンジャ、他の部下には漏らすなよ」

「もちろんでございます。私は、少なくとも今回の迎撃で相当数落としていると思うのですがね……日本軍は警戒すべき相手ですが、海軍本部の最悪の想定は、もはやSFです。
 さすがに最悪想定はあり得ない」

 微かに……無線が音声を拾った。

「ん?無線拾いました!!」

 先ほどから全く聞こえなかった無線機が音を拾う。

「スピーカーにつなげ!!」

 無線機の音を艦橋に流せるよう、通信士がスピーカーに接続した。

『……ら、S5D1、……は…滅、……返す、迎…隊は全……。
 敵……艦隊方……攻、……十、……ガガガガ』

 艦橋に微かな音声が響いた。

「こっっこれは!!」

 艦長が驚きの声を上げる。

「ば……ばかな……」

 参謀デルンジャは絶望的な声を上げた。

 艦橋に緊張が走る。
 女帝ミレケネスはすぐに指示を出す。

「迎撃隊が全滅している可能性がある!!敵が来るぞ、対空戦闘用意!!」

「対空戦闘ヨーイ!!!」

 艦内にブザーが鳴り響き、兵が慌ただしく走り回る。
 すでに戦闘配置は出来ていたが、すぐに攻撃が予想される状況は、兵達の緊張を加速させた。

「カンダル殿、敵の攻撃が予想される。誘導弾の最終防御をたのみます」

「了解いたしました。敵誘導弾の最終防御はお任せ下さい!!」

 カンダルも、独自に各艦の職員と連携し、誘導弾欺瞞装置の準備を進めるのだった。


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