2020年02月20日

第99話 超空の要塞P5

◆◆◆
 
 翌日早朝ーー

 帝国内に数多ある空港のうち、4つの空港から破壊が離陸しようとしていた。
 圧倒的な大きさを誇り、何者も寄せ付けない超高空から大量の爆弾を投射する事が出来る。

 帝国の破壊神とーー超重爆撃機グティマウン

 各空港から飛び立った計200機もの大編隊は、日本国の都市を火の海とするため、蒼穹の空に飛び立っていった。
 
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第99話 超空の要塞P4

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ 特殊殲滅作戦部

「カイザル将軍から直々に、超重爆撃連隊の出動要請がまいりました」 

 執務室で、幹部職員が作戦部長アーリ・トリガーに報告する。

「ほう??何故今頃……」

 超重爆撃連隊……その歴史は新しく、この世界に転移する直前に発足した。
 敵の戦闘機の届かぬ超航空から敵本土を爆撃する。

 無誘導弾の爆弾を大量にばらまくため、戦略目標への爆撃というよりは、都市そのものの殲滅爆撃。
 大規模無差別爆撃に使用される。

 新型重爆撃機グティマウン……帝国で量産され始めた過給器と呼ばれる新型機関をエンジンに取り付ける。
 少し旧軍に詳しい日本人がグティマウンを見たならば、第2次世界大戦中に日本軍が計画した幻の超重爆撃機「富嶽」に見える事だろう。

 空気をエンジン内に強制的に送り込む過給器は空気の薄い上空で燃焼不良によるエンジン出力の低下を防ぐ効果がある。
 通常の戦闘機では上がれぬ超航空を飛行する事が可能になった。
 防弾装備が施された大型爆撃機に6発のエンジンを取り付け、帝国の戦闘機ですら届かぬ航空を飛行して爆弾の雨を敵基地に降らす。
 その航続距離は極めて長く、帝国内でも「空の要塞」の異名を持つ。
 超高空から落とす殲滅爆撃。神聖ミリシアル帝国の空中戦艦対策としても、考えられていた。
 同新型重爆撃機は、特殊殲滅作戦部にのみ配備されていた。
 
 帝国の皇太子殿下、グラ・カバルが日本国によって身柄を拘束されるという前代未聞の事態。
 当初は連合艦隊派遣前に、超重爆撃連隊で1つ都市を灰にしてしまおうという案が出た

 しかし、リーム王国やその他の国での空港燃料整備状況が見えなかった事と、整備された後は陸軍航空隊の爆撃のみでも十分に効果が発揮出来そうな事、そして戦艦による威圧効果を考慮し、無理に虎の子の部隊が参加することは無いと立ち消えになっていた。

「司令、どうされますか?」

 カイザル将軍が発案し、海軍本部を経由してきた命令ならば聞かざるを得ないだろう。
 ただ、報告文の一部に日本国は誘導弾を使用し戦闘の際は十分に注意が必要だとある。
 
「艦隊はどの程度の被害が出たのだ?」

「まだ作戦途中であり、軍秘にあたるので情報は来ていません」

「ふーむ……誘導弾の射程距離、そして到達高度、推進法式。そして誘導方式。
 未知だらけだな」

「はっ……」

「有視界飛行で誘導弾を撃ったのか、それとも見えぬ距離から撃ったのか。それだけでも知りたい。情報を集めてくれ。
 国をあげた作戦。行かぬ訳にはいかんだろう」

「はっ!!超重爆撃連隊は、ユグドにおいても無敵でした。
 今回も見事日本国の都市を殲滅爆撃してきてくれる事でしょう。
 日本国を攻撃する場合、出発後、ダールミラ、レイフォル、チエイズで補給を行い、リームへ到達、その後陸軍航空隊、53隻の駆逐艦隊、82隻のリーム王国魔導戦列艦隊による攻撃と呼応して日本国の都市、名古屋を目指します」

「ほう?要請は首都ではないのか?」

「はい、首都近辺は防空も厚いでしょうし、名古屋は日本国の技術都市……ダメージも大きい。そして、なにより……空爆は艦砲射撃に対して精度が悪いためです」

「万が一にでもカバル殿下を我が特殊殲滅作戦部が攻撃してしまっては、確実に左遷されるからな。
 名古屋攻撃、良い案だ」

 グラ・バルカス帝国 特殊殲滅作戦部 超重爆撃連隊は、日本国攻撃に参加する事を決定した。
 

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第99話 超空の要塞 P3

◆◆◆

 第3文明圏 リーム王国 王都ヒルキガ

 総務を任されている王都諸侯キルタナは、脂汗をかいていた。
 目の前にはグラ・バルカス帝国外務省ベイダート・スバルが足を組んで座っている。

「こ……これは?どういうことでしょうか」

「書面のとおりだ。リーム王国へ貸与している駆逐艦隊は直ちにセニアの港を出港し、本日夜には王都ヒルキガの港へ停泊。
 明日朝帝国へ返還し、日本国本土を攻撃する。
 また、王都均衡基地から陸軍航空隊も合わせて出撃し、攻撃を行う。厳密には他にもあるが、まあ良いだろう」

「いえ、それは解りました。
 その件は我が国の国王が同意した案件です。ただ、最後の一文。リーム王国海軍艦隊は、全艦出撃を行い、日本を攻撃せよ、ワイバーンもすべて日本を攻撃するために使用せよと。
 これは規定にございませんし、そもそもワイバーンの航続距離では日本国本土に届きませぬ」

「説明から読み取れぬのか……この世界は野蛮人で満ちあふれておるな」

「ぐっ!!」

「お前たちは自分の立場が解っているのか?我らは一瞬でお前たちを滅ぼす事も出来るのだぞ。
 我らが大規模な攻撃を行う。
 お前たちはそれに伴って全力で支援する。
 何がおかしいのだ?まさか、我が国が万が一負けた時には、自分たちは関係ありません。帝国が勝手にやった事ですとでも言うつもりか?
 攻撃に一切参加せずに利益だけ享受するような甘い汁が吸えるとでも思ったのか?」

 ベイダート・スバルは確信をついてくる。

「ワイバーンの航続距離が足りぬのは解っている。
 お前たちは竜母を数隻だが持っているだろう?
 まずは竜母に積めるだけ積め。艦隊も、出せるだけ出すのだ。
 ワイバーンが大分余るだろうが、隣国に停泊する日本商船に対する攻撃くらいは出来る。
 パーパルディア国の東にデュロという町があるだろう?
 そこに停泊する日本商船及び、日本領事館に対して、ワイバーンによる攻撃を加えよ」

「なっ!!お待ち下さい」

 王都諸侯キルタナは必死に追いすがる。

「パーパルディア皇国、国力は以前よりも遙かに落ちたとはいえ、元列強国にございます。 彼らの竜騎士団は、我らのワイバーンよりも遙かに強力なワイバーンロードを運用しています。
 作戦を我が国が実行すれば、我が国は日本国と、パーパルディア皇国との両国に宣戦布告をするも同然。
 国が滅びます。どうか再考を!!」

「我らが命に従えば国は滅ばん。
 滅ぶのは日本国だ。今回の侵攻は、詳細は言えぬが、お前ら如きの国を何十も打ち負かせる規模の戦力である。
 それに……パーパルディアごとき気を遣う必要はない。我が国の敵では無いからな。
 これは命令だ。王に伝えよ。
 本作戦は、グラ・バルカス帝国の帝王府から降った命令である。
 我が国が、本腰を入れて作戦を行う際に、協力せぬ物達は我々の考える世界には不要だ。
 受け入れるか、国滅びるのかを選択せよ」

「ぐっ!!」

 王都諸侯キルタナは、グラ・バルカス帝国外務省ベイダート・スバルの言を王に伝える。 即日、王前会議でリーム王国は帝国に従う事を決定した。
 
 夜ーー

「あああぁぁぁーーー!!
 あああああぅうううぉぉぉぉぉぉ!!!」

 王城の中に響き渡る奇声。

「国王陛下!!どうされました!!??」

「ああああぁぁぁぁぁーーうぁぁぁぁーー」

 国王バンクスは泣き叫びながら、顔をひっかき、付近の花瓶をたたき割る。

「お気を!!お気を確かに!!」

「奴らが、奴らが強くなかったら、終わりだ!!なにもかも終わりだぁぁぁぁ!!!」

 側近は、本日王が話していた事に思い至る。
 
「国王陛下!!帝国に脅されてしたと言えばなんとかなるのではないでしょうか?」

「相手は日本国だけではない、パーパルディア皇国に、神聖ミリシアル帝国だぞ!!無理だ。無理だぁぁぁぁ!!おおぉぉぉぉ」

 国王バンクスの泣き叫ぶ声は夜通し王城に響き渡るのだった。
 

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第99話 超空の要塞P2



「敵の攻撃は防げないという事が解った。弾切れの可能性は無いのか?」

「考えにくいだろう」

「我が方は大艦隊だが、敵が弾を1000発用意できないとは思えない。相手の位置が全く解らないのであれば戦いようも無いぞ。
 このままでは、この帝国連合艦隊が!!栄えあるグラ・バルカス帝国海軍が手も足も出ずに……全滅する可能性すらある!!」

「敵基地の位置すら解らないのか?」

「それについてですが!!」

 さきほどの報告者が発言する。
 話の途中で幹部から割り込まれたため、発言の機をうかがっていたのだった。

「本国から入電がありました。
 敵はロデニウス大陸のロウリア王国基地、クイラ王国基地及び、島国ナハナート王国基地から飛び立ち、攻撃してきたと現地諜報員から報告があったと……」

「と、言うことは……」

 カイザルの目が光る。
 
「軍本部に連絡、リーム王国駐留艦隊は即時日本国へ向かい出撃。リーム王国内の陸軍航空隊については、王国内空港から離陸し、日本本土へ攻撃隊を差し向けよ。
 王国の艦隊も戦力にはならんだろうが、使え。
 数があることに意味がある。
 それと、本国軍へ、超重爆撃連隊の派遣を要請、同時攻撃を行うよう伝達せよ。
 我が艦隊にあっては、このままナハナート王国を目指し、日本軍基地を攻撃する!!」

「しかし、チエイズとグルートでの補給無しでは日本本土まで航続距離が届きませぬ!!」

「解っている。リーム王国から帝国海軍が出撃し、陸軍航空隊も出撃し、さらに超重爆連隊も来たとなれば、奴らは本土防衛を優先せざるをえない。
 他にも攻撃があってはならないため、弾薬に限りがあるなら本土防衛にまわすだろう。
 チエイズとグルートで我が軍が補給してから行くと、日本軍にも補給の時間を与えてしまう。
 敵は我らを研究している。当然奴らも我が方が補給を行った後に来ると想定して作戦を組んでいる事だろう。
 ならば、奴らに補給の時間を与えず。先行してリーム王国からの出撃をさせることによって奴らの戦力集中を阻害し、大艦隊をもってナハナート前線基地をたたく。
 これが成功せぬなら、今の技術格差では何をやっても成功せぬだろう。
 ナハナート王国攻撃後は一度チエイズとグルートで補給を行い、今後の作戦を考える事とする」

「本土やリームからの攻撃こそが囮……と申されるか」

「超重爆連隊ならば、もしかすると日本の攻撃が届かない可能性があるかもしれない……。それに、日本国がリーム本土を攻撃するのかも興味がある。
 今後の運営に関して参考になるだろう」

「自国の本土へ攻撃隊を送り込んできた国を攻撃せぬ訳がございません」

「普通は……な。情報局の断片情報だが、あの国は特殊だ。
 今まで我が方が……日本国に対して驚異評価を低く見積もっていたのも、あの国独自の外交方法があったからだ……まあ良い。
 少なくとも奴らに大きなダメージすら与えずにやられるようなことはせぬ!!」

 グラ・バルカス帝国海軍連合艦隊司令長官、猛将カイザルは燃料補給無しでナハナート王国に向かい、突き進む事を決意するのだった。

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第99話 超空の要塞 P1

「駆逐艦ツルギ、メイロ、メロス轟沈、巡洋艦ベスト、ドリップ轟沈」

 艦隊からは上空へ向かい、猛烈な対空砲が吹き荒れる。
 前世界ユグドにおいても、今世界の竜騎士や、神聖ミリシアル帝国の天の浮き船であっても容赦なく撃ち落としてきたグラ・バルカス帝国の対空砲火が全く当たらない。
 艦隊の様々な場所で艦に着弾したミサイルが爆発し、火球が出現する。
 撃沈、轟沈が速すぎて、もはや報告も追いつかず、何が沈没したか把握できないほどの惨事になっていた。

 通信網からは、報告なのか悲鳴なのかも判別できないほどの怒号が聞こえる。
 
「もはや……これまでだな」

 ミレケネスは、理不尽な戦力比に自分の力の無さを痛感する。
 次の司令を発しようとした瞬間、艦首に対艦誘導弾が着弾した。

 目も眩む光が出現し、轟音と共に艦が激しく揺れた。

「きゃっ!!」

 悲鳴が聞こえた。

「み……ミレケネス様あぁぁぁぁぁ!!!」

 爆発は、艦橋の構造物の一部を破壊し、艦が激しく揺れたため、ミレケネスは海へ落ちてしまう。
 冷たく、暗い海に投げ出され、海水が口に流れ込む。
 どちらが上かも解らずもがく。
 冷たく、息が出来ずにパニック状態となった。
 やっと顔を海上に出し、浮いている艦の破片に必死で捕まった。

「皆……私の力不足だ……すまない」

 彼女の目の前には、対艦誘導弾の連続着弾によって爆発炎上する旗艦バルサーの姿があった。

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国 連合艦隊 旗艦グレードアトラスター

「失礼します」

 会議室の扉がノックされ、帝国軍人幹部が入ってくる。

「一報が来たか?」

 帝国3将のうち、最も位の高いと言われる軍神カイザルは、幹部を睨み付けた。

「はっ!!」

「どうなった?」

 ペーパーによる報告書を作る前に、迅速を有する情報は口頭で幹部に伝えられる。

「本日夕刻、先遣第1艦隊と、第2艦隊が日本国軍から攻撃を受けました。
 何処から攻撃されているのか解らないようなロングレンジ攻撃であり、敵は……誘導弾を使用したとの事です。
 飛行機に対しても、そして艦船に対しても誘導し、確実に着弾する攻撃を行ってきたと……。
 なお、日本国の誘導弾に対し、先進技術実験室が開発した誘導弾欺瞞装置は全く効果無、く、先遣第2艦隊は全滅、第1艦隊は駆逐艦9隻を除いて……全滅いたしました。
 海将ミレケネス様の生死は不明です」

「なんだって!!??」

「先遣艦隊は大艦隊だぞ!!それが全滅だと??ありえない事だ」

「何と言うことだ!!」

 場がざわついた。
 カイザルは、沈黙のまま考える。 
 主力に次ぐ大部隊。それが戦艦、空母を含む440隻の大艦隊が事実上の全滅をしたという事実。
 海軍本部の最悪の想定は本当だった。 
 敵は誘導弾を使用し、その弾は100発100中の命中率を誇るという。

 これは、故障しなければ当たるという事だろう。

 駆逐艦や巡洋艦を100隻作るより、多少高価だろうが弾を100発作った方が安いに決まっている。
 敵の位置は捕らえられていない。と言うことは、敵は我が方よりも優秀な目と耳を持っており、さらに遠くから狙い撃ち出来る武器まで持っている。

 今すぐにでも撤退したい所だが、日本懲罰は帝王府の命令。

 と言うことは皇帝陛下の命令という意味であり、主力部隊がすべて健在にも関わらずに撤退するという選択肢は無かった。
 帝王府職員は軍事の素人。準備に準備を重ねた大艦隊の主力部隊を温存して撤退などしたら、軍幹部は全員罪に問われるだろう。

 つまり、進むしか選択肢は無く、皆それを理解していた。
 会議は続く。


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