2020年04月27日

第100話超空の要塞2P7


 点はやがて飛行機の形となる。 

 ブゥゥゥゥゥン………
 腹に響く重低音が、王都に響き渡った。

「おお……おおおおおっ!!!」

 圧倒的な大きさを誇る爆撃機、編隊は力強く、決して負ける者はいないと断言できるほどの力強さを示す。
 基地に駐機する、大きいと感じていたグラ・バルカス帝国の攻撃機でさえ、子供に見えるほどに大きい。

「これが……グラ・バルカス帝国の超兵器……なんという圧倒的力強さか!!負けぬ。
 これが日本に負けるはずがないっ!!!」

 超重爆撃機グティーマウンの放つ威容に、リームの民は圧倒される。
 国王もその例外ではなかった。

 圧倒的物量、そして超重爆撃機グティーマウンの編隊を見た国王バンクスは決して負けぬと確信を持つのだった。


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第100話超空の要塞2P6

◆◆◆

 リーム王国 王都ヒルキガ

 王城において、国王バンクスは城の西側を見る。
 平野部に作られた基地。ムーの飛行場をグラ・バルカス帝国が基地として拡張し、鉄鳥が多く並べられている。
 ムーの航空機を遙かに超える大きさ。
 リーム王国のワイバーンはもちろんのこと、パーパルディア皇国のワイバーンロードですら遙かに超える大きさ、そして速さ。
 さすがは神聖ミリシアル帝国に土を付けた事のある帝国。
 攻撃機が整然と並ぶその姿は力強ささえも感じた。

 しかし、一抹の不安が残る。

「本当に大丈夫だろうか……」

 相手はあの日本国である。

 列強パーパルディア皇国は強かった。
 第三文明圏に位置するとはいえ、文明圏内外を問わず、付近の国を統合し、南方方向にも領土的野心を向けていた。
 当時のリーム王国内では、パーパルディア皇国がこのまま南進を続けてアニュンリール皇国という広大な地域を支配している南国を降した場合、神聖ミリシアル帝国を規模の上で超えると試算されており、やがて規模の経済で潤い、技術革新が続いた場合は神聖ミリシアル帝国に肉薄する可能性さえも指摘されていた。

 皇国の強さに上限は無いかのように思われていた。
 しかし……日本国の登場によって地図は塗り変わる。

 皇国は支配地域にいた日本人を他国民と同じように……旅行者を並べて虐殺した。
 日本の逆鱗に触れた皇国は敗戦につぐ敗戦……日本国の圧倒的軍事力で列強パーパルディア皇国の権威は地に落ちた。
 
 本気で怒った日本国、パーパルディアの軍人に対する極めて効率的殺傷。
 容赦は一切無かったと聞く。

「奴らは……本気で怒らせるとまずいのだ……」

 しかし、彼は日本に弓を引こうとしている。
 形式上敵対しないと表明しているが、ワイバーンによるパーパルディア皇国在中の日本施設に攻撃をすれば、もう言い逃れは出来ないだろう。
 きっと烈火のように怒る事は目に見えている。
 
 もしも、グラ・バルカス帝国が……日本国に勝てなかったらリームは終わるだろう。
 もしかすると、自分の代でリーム王国は終わるかも知れない。
 しかし、日本に肩入れすると、世界連合艦隊を降したグラ・バルカス帝国から敵対国家と認定される。
 帝国はいずれ神聖ミリシアル帝国さえも支配し、世界は支配されるだろう。
 日本の国力ではグラ・バルカス帝国を降す事は出来ない。

 バンクスの思考は巡る。

「陛下、ここにおられましたか」

「おお、リバルか」

 王下大将軍リバルが国王に声をかける。

「今回の戦、局地戦ですら負ける訳にはいかぬぞ。
 大局的に日本では帝国に勝てないと言うことは理解できる。
 しかし、リームは日本に近すぎる。局地戦でも負ける訳にはいかぬのだ」

「陛下、解っております。
 グラ・バルカス帝国は絶対に日本国に遅れを取ることはございません。
 陛下にご報告をと……グラ・バルカス帝国本土から間もなく爆撃機と呼ばれる都市殲滅兵器が到着いたします。
 パーパルディア皇国を攻撃した日本の爆撃機とは比べものにならないくらいに大きく、そして高く飛べるようですぞ。
 すべてがこの基地に降りるわけではないそうですが」

 リバルは西の空を指さす。
 晴れ渡ったそらに、点が多数出現した。


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第100話超空の要塞2P5

◆◆◆

 日本国 首都 東京 防衛省

 防衛省のとある会議室において、緊急防衛会議が行われていた。
 楕円形の机、並べられた椅子に各幹部が座る。
 若手の幹部がモニターを指示しながら説明を開始する。

「敵主力艦隊は現在ニューランド西側海域を東進中、なお帝国本土から発進した航空機群200機はレイフォルで補給を済ませた後、ムー内陸を通過、我が国の方向へ向かって侵攻してきています。
 また、リーム王国の首都では帝国巡洋艦及び駆逐艦52隻が集結、王国内飛行場のグラ・バルカス帝国作戦機も300以上!さらにリーム王国軍艦隊も集結しつづけています」

「やつらの目標は……」

「間違いなく我が国の本土です。護衛艦にあっては現在2個護衛隊群を西側に配置し、1個護衛隊群を九州沖、さらに1個護衛隊群をナハナート王国周辺に配置するよう手配済みであり、航空機はF-2戦闘機、BP-3C爆撃連隊及びP-1部隊を配置、いつでも出撃出来る状況にあります。
 念の為に海上保安庁の巡視艇も西側に集結、ロデニウス大陸周辺へ派遣していたF-2戦闘機部隊も一部を除いて本土防衛のために呼び戻しております。
 試算では、今回の防衛……守り切れます!!!」

「その配置……ナハナートはどうなる?敵の量からして1個護衛隊群と少数のF-2だと厳しいだろう」

「衛星でリーム王国内の動きを見るに、本土侵攻は間近です。外洋にいる敵主力艦隊は膨大な数でありかつ補給が無いと我が国へ到達する事が出来ないので、ニューランドのいずれかの国で補給を行うと考えられます。
 数から考えて、相当な補給日数を要すると考えられ、時間差により、迎撃は十分に間に合います」

「現在リームにいる敵軍が、時間を置いて同時侵攻してくる可能性も否定できない。
 2正面同時作戦は数が厳しくは無いか?」

「可能性は否定出来ませんが、リーム内のムー国スパイからの情報では、現在の敵航空機が到着、補給完了後にすぐに日本への攻撃を行う事は間違いないとの事です」

「リーム港への先制攻撃は……」

「リームがあくまで日本に敵対意思は無いと明確に国際社会に宣言していますので、政府見解でも先制攻撃は難しいとの事です。
 また、現在進行してきている敵航空機群も、内陸を飛行しているため、他国国内で撃墜し、破片が他国民を殺傷する可能性が有る限り、責任が持てないとの見解です。
 参考ですが、同様の事態が発生しないように政府は技術流出防止法の、ムー国に限ってのさらなる適用緩和を検討中であります。
 今後同様の事が起こった場合、ムー国ならば攻撃できますからね」

「敵の作戦機は……特に爆撃機は1機たりとも本土上空へ侵入させてはならない。
 核兵器を持っている可能性も捨て切れていないからな」

「はい、リームから離陸した瞬間に作戦を開始いたしますが、航空機に関しては余裕をもって守り切れるでしょう。現在確認されている敵戦力ですが…………」
 
 会議は詳細な自衛隊の配置まで説明される。
 異世界転移後初の本土防衛会議、本格的な危機を前に熱が籠もった。
 戦力の調整も行われ、深夜まで会議は続けられた。


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