2020年05月18日

第102話 日本海海戦2P5

◆◆◆

 リーム王国 王都ヒルキガ 上空

 航空自衛隊F-2戦闘機15機は、間もなく作戦空域に到達しようとしていた。
 単発のエンジンが唸りを上げる。

 目標はグラ・バルカス帝国基地のレーダーサイト及び滑走路、対空砲の沈黙。

 定められた手順に従い、目標を定める。

「攻撃開始、攻撃開始」

 F-2戦闘機15機から投下された誘導爆弾LJ-DAMは、グラ・バルカス帝国軍基地の
目と剣を奪うため、重力加速度によって降下を開始した。


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第102話 日本海海戦2 P4

◆◆◆

 リーム王国 王都ヒルキガ グラ・バルカス帝国前線基地

「先ほどから発生しているレーダー異常はまだ直らんのか?」

 グラ・バルカス帝国軍本部から派遣されたムルノウは、昨日の夜、そして作戦開始時から発生しているレーダー異常、そして無線機の異常に苛立ちを隠せない。
 ムー大陸におけるバルクルス基地にも過去に同様の現象が確認されており、目を奪われた状態でバルクルスは攻撃を受けた。
 
 敵のレーダー妨害の可能性があるが、気になるのは昨夜も同様の現象が発生していた事だ。

 無線封鎖している第44任務部隊が見つかった、そして攻撃を受けた可能性すらあった。
 しかし、こちらから無線で語りかけて彼らが答えれば作戦は失敗する。
 ムルノウは不安募らせる。

「レーダー、周波数を変えて再起動します」

 レーダー操作をしていた者が、再起動を行う。
 ムルノウも、レーダースクリーンを一緒にのぞき込んだ。

「!!!!」

 光点が、今あるはずの無い空域に映る。
 そして、超重爆撃連隊がいるはずの空域には何も映っていなかった。
 レーダー画面は一瞬映った後、すぐに真っ白になる。

「い……いかんっ!!敵が来るぞっ。対空戦闘用意!!!迎撃機は至急離陸し、上空警戒にあたれ!!」

 基地に対空警戒のブザーが鳴り響く。
 慌ただしく隊員は動き、すでに上空警戒している迎撃機は東へ向かい、予備機はすぐに離陸の準備に入る。

「まさか……まさか……」

 ムルノウは震えながらつぶやく。

「作戦は失敗したのか??」
 
 背筋はどっと汗に濡れる。

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第102話 日本海海戦2P3

◆◆◆

 リーム王国東側 高空

「間もなくリーム王国領空を出ます」

 作戦部長アーリトリガーも、現場指揮のために中心部の爆撃機に同乗していた。

 超重爆撃機グティーマウンは成層圏を行く。
 編隊を組む約200機もの爆撃機、圧倒的な威圧感を持ち、決して負けるわけが無いとう確信すら与える。

「陸軍航空隊は?」 

「我らの前方約100kmの超低空を飛行しているはずです。
 ただ、進行速度が我らの方が速いため、日本本土に達する前に追いついてしまうかもしれません」

「敵が我らをレーダーで察知して飛行してきたら、実は下にも大編隊がいる。
 我らは超高空、超高速で進むため追いつけず、下の陸軍航空隊と空戦になるのか」

「超低空で行っても我らが同時出撃するなら敵は気づく。ただ、その数は欺罔することができますからね」

「囮……か。陸軍航空隊には申し訳ないな」

「投射力、そして進行速度。すべてが我らが上です。軍本部の判断も仕方ないかと。
 それに、囮と言っても300機を超える大編隊。しかもそれでも練度の高い陸軍航空隊です。
 囮だけで日本軍航空隊など全滅させることが出来るでしょう。
 日本国如きに遅れをとるはずが無い。
 別の国伝いの噂では、日本国の主力戦闘機は200機しかいないらしいですよ。
 全部出てくる訳は無いのですが、全部出てきたとしても我らが数は遙かに上です」

「なら良いのだがな」

 会話中、無線機を操作していた隊員が焦り出す。

「ん??あれ??」

「どうした?」

「無線封鎖しているはずの陸軍航空隊から無線が発せられているのですが、雑音が酷くて……」

 アーリトリガーは背筋が寒くなるのを感じた。

「スピーカーにつなげ!!」

 迅速に無線機が外部スピーカーに繋がれる。

『ガガガ……第3航空隊全滅!!なんて……だっ!!』

『……すぎるっ!!振り切れな……ガガがッ』

 沈黙……成層圏という超高空で、重い沈黙が流れ続ける。

「いったい何が起こっている」

 当然答えられる者はいない。

「全部隊に伝達、陸軍航空隊は敵の攻撃を受けている可能性大。
 各機監視を密にせよ!!」

 銃座に座る隊員達は空を睨み付ける。
 こんな高空まで来るはずは無いが、友軍が攻撃され、何らかの大きな被害を受けている可能性。
 緊張が高まる。

「最大限の警戒を行え!!決して油断す……」

 ガァァァァン!!!!

「じゅ……十五番機被弾!!!」

 前方を飛行していた15番機が炎に包まれる。
 炎は弾薬に引火し、15番機は空中で爆散した。

「今の攻撃は何ダッ!!!」

 アーリトリガーは叫ぶが、答える者はいない。

 ガァァン……ドォンドドドドドッ!!!

「ああっ!!」

 不可視の攻撃は連続して超重爆撃連隊を襲う。
 空の要塞、機銃に対して圧倒的防御力を誇るはずのグティーマウンは次々を炎に包まれ、雲の海に落ちる。

「先行第3小隊消滅!!」

『何処から攻撃を受けている!!』

『何か飛んできたぞっ!!』

『我、操作不能、我、操作不能!!!!』

 空中に大きな爆発の花が咲く。
 空中で爆散する機体、翼が折れ、回転しながら墜落する機体、炎を纏ったまま流星のごとく落ちゆく機体。
 
 空に炎の……絶望の雨が降る。

 無線は混信し、カオスと化す。
 何を言っているのかも解らず、目視以外に情報を得る方法は無くなった。

 嵐のような何らかの攻撃が止んだ後、超重爆撃連隊友軍機で生き残ったのは83機のみ。
 残りの約120機は一瞬で……たった1度の攻撃で撃墜されたのだった。

「そんな……そんなバカなっ!!
 あり得ない。あり得ない事ダッ!!
 陸軍航空隊はどうなっている?」

「解りません!!無線反応なし」
 
 一瞬の攻撃で半数以上が失われた。
 空気の薄いこの成層圏という領域で、敵の攻撃は弱まる気配が無い。
 しかも、こちらは相手を目視すらしていない。
 圧倒的な軍事的格差を前に、アーリトリガーは名古屋爆撃の失敗を確信する。

「全軍に通達、撤退だ!!リーム王国基地へ引き返すぞ」

「しかし、それでは作戦失敗になってしまいます!!
 帝国の虎の子たる超重爆撃連隊が出て失敗などと……」

「馬鹿野郎!!半数だ。まだリーム王国を離陸して間もないというのに、半数が失われたんだっ!!
 作戦は失敗だ。
 戦力比は明らか。
 ケイン神王国と同等程度だと??
 そんな甘いものではない。敵の強さはそんな次元は超越している。
 このまま進むと報告を入れる間もなく全滅するぞ!!!
 陸軍航空隊が何千機いようとこれでは勝てぬっ!!」

 凄まじい形相のアーリトリガーに、部下は怯む。

「はっ、しかし、無線機の調子が思わしくありません。
 混信もしているし、大きな雑音が入り、通じなくなる事も
 きちんと伝わるかどうか……。」

「発行信号でも良い、とにかく何とかして伝え、すぐに引き返すぞ。
 早くしろ!!死にたくないならな」

 撤退は全軍に伝わる。
 アーリトリガーの乗る機も、旋回するためにバンクする。

 安堵の空気が機内に広がった。

「下方から敵機ぃ!!!!!」

 機銃員が叫ぶと同時に機関砲を下に向けて発射する。
 編隊を組む友軍もあわせて機銃掃射を開始した。

 雲の海に向かい、曳光弾を交えた機関砲が連続して放たれる。
 
『何かが向かってくるっ!!』

「112番機被弾!!」

「見えたっ!!見えたぞっ!!!ロケット弾が、112番機に向かって……明らかに追尾していましたっ!!」

 部下の言葉にアーリトリガーは言葉を失う。

「ゆ……ゆ……誘導弾だとぉ?!ま……まさか、そんな……あの情報は本当だったのかっ!!!」

 グラ・バルカス帝国は戦争に慣れきっている。
 戦場伝説など腐るほど生まれたが、そのどれもが誇張された情報だった。
 誘導弾の可能性も軍本部で真面目に議論されていたが、同作戦を連合艦隊司令長官カイザルが、超重爆撃連隊出撃要請を行った時点で、効果があると踏んだはず。
 つまり、最前線の大将軍が作戦成功すると考えたはずであり、誘導弾などと大それた
兵器は存在しないのでは無いかと彼は考えていた。

 十数機もの敵戦闘機が上空に駆け上がる。
 鏃のような機体、後ろから2本の炎を出し、我が方の戦闘機とは次元の違う速さ、上昇力を見せる。
 自分たちは成層圏の超高度を飛んでいるにもかかわらず、それを超えて遙か高空へ消える。 
 すれ違いざまに数機の友軍機が炎に包まれた。

 敵が上昇した後、恐怖を感じるほどの雷鳴の轟きが機内に響き渡った。

「なんて速さだ!!なんて攻撃力なのだっ!!!」

「敵、プロペラがありません!!!」

「あんなの捉えられません!!」

 機銃員も弱音を吐く。
 どうしようも無い戦力比、先ほどまでの必勝ムードは完全に消える。
 的当てゲームのように、動かぬ目標でも撃つかのように、完全無欠のはずの友軍機が落ちる。
 混乱の極み。

「戻ってきたっ!!!」

 敵戦闘機が旋回し、こちらに機首を向ける。
 機銃の射程距離の遙か先から、先ほどの誘導弾を発射した。

「ロケット向かってきま……」

 体を押されたような感覚、アーリトリガーは全身に熱さを感じる。
 バラバラに破壊された機体が見えた気がした。

 グラ・バルカス帝国超重爆撃連隊作戦部長アーリ・トリガーは、光に包まれこの世を去る。
 
 航空自衛隊F-15J戦闘機及びF-2戦闘機 150機 は、日本海上空においてグラ・バルカス帝国陸軍航空隊及び超重爆撃連隊計548機と交戦し、そのすべてを撃墜した。
posted by くみちゃん at 19:01| Comment(46) | 日記

第102話 日本海海戦2P2

◆◆◆

 リーム王国 王都ヒルキガ

 ブオォォォォォォォン

 王都全域に重厚なプロペラ音が鳴り響く。

「見よ!!超重爆撃連隊が出るぞ!!!」

「おおぉぉぉ……さすが、何という大きさかっ!!」

「日本の都市もこれで終わりだ。グラ・バルカス帝国万歳!!」

 超重爆撃連隊の出撃を見ていた陸軍の者達が歓喜の声を上げる。
 これまで何度も積み重ねてきた必勝。
 勝つことは何度見ても気分が良い。
 今回も勝つに違い無いが、本国の虎の子までもが出撃する姿に、圧倒的勝利を確信する。 
 グラ・バルカス帝国陸軍航空隊及び、超重爆撃連隊は日本国を攻撃するために離陸を開始していた。

 陸軍航空隊は東へ向かい、グティーマウンは各航空基地からの合流をもって東へ向かう。
 呼応してリーム王国竜騎士団のワイバーンが南へ向かって離陸した。
 空の戦いが始まろうとしていた。

◆◆◆

 日本国 首都東京 防衛省作戦司令室

「リーム王国から航空機が離陸しました。
 ん??」

「どうした?」

「これは……低速の飛行物体の一部が南下。パーパルディア皇国方面に向かっています」

「ワイバーンがパーパルディアに向かっているのか……困ったな。パーパルディアには飛行物体が向かっていることを伝えろ。
 リームから航空機の出撃数は?」

「各基地から離陸中……400……430……まだ増えています!!すごい数です!!」

 指揮所に緊張が走る。

「総数548……548機もの大編隊が……離陸いたしましたっ!!」

 明らかに我が国を攻撃しようとしていた者達の基地を離陸前に叩けなかった事に苛立ちを覚える。

「迎撃準備は出来ているな?」

「現在F-15J 80機、F-2 50機 対空兵装にて離陸準備完了、F-15 20機が福井県西側海上で、すでに上空待機しています。
 なお、F-2 15機が対地爆装で発進準備完了。
 BP3-C40機、発進準備完了
 その他海自、陸自も配置完了」

 すでに南下してきたリーム王国海軍竜母はBP-3Cによって葬り去られている。
 攻撃を行ったBP3-Cは一度帰還して再度爆装を行っていた。

「もう良いだろう。対空戦闘開始、日本国を守り抜けっ!!!攻撃をためらうな!!
 敵を一機でも見逃すと日本国民が殺されると思え!!」

「了解!!」

 作戦室は熱を帯び、慌ただしく動き始める。
 防衛省は敵を撃滅する意思決定を行うのだった。


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第102話 日本海海戦2P1

グラ・バルカス帝国 第44任務部隊

 駆逐艦が多くを占める第44任務部隊。
 同部隊旗艦である巡洋艦ダスト・オーシャンの艦橋で、司令ゼムは東の海を睨んでいた

「リーム王国の領海を抜けました、依然無線封鎖中」

「うむ、波が荒いな」

 漆黒の闇の中で無線封鎖を実施し、52隻もの艦隊が行く。

「司令、我らの出撃の意味を探る隊員が多くなっています」

 艦長が司令ゼムに話しかける。

 今回の攻撃は、航空攻撃がメインとなる。
 で、あれば駆逐艦主力の44隻の出撃に疑問が沸く。この出撃に意味があるのかと。
 自分達の立ち位置に疑問を持つ者も少なくない。

「意味……だと?」

「日本国に攻撃を加え、必勝する事に疑問を感じる者はいませんが、本作戦、呼応して別の作戦が行われるならば、本国艦隊総攻撃と合わせて航空攻撃を行った方が効果的的ではないかと。
 我らが先に攻撃し、本国艦隊主力で大打撃を与える作戦も考えられますが、ならば我ら海軍と、陸軍航空隊のみで行われるはずであり、本国の虎の子とも言える超重爆撃連隊が先立っての攻撃に参加する事にも疑問を持っているようです」

「ふん、確かに……海軍本部の連中は何も解っていない。いつの時代も現場と上には乖離があるのだよ。
 日本国ごときを警戒しすぎだ。
 ケイン神王国と同程度??カルトアルパスであの巡洋艦の性能を見て、よくもそんな事が言える。
 まあ、あっさりと勝って帰ろうぞ」

 ゼムは、先の会議を思い出す。
 日本国の軍事評価をケイン神王国と同等か、それ以上にするという内容。
 仮に、部隊規模でケイン神王国と同程度の強さがあったとしても、今回の作戦は腑に落ちないものがあった。
 僅かな理性から生じた不安を、経験と本能で打ち消す。

「命令だからな。必ず奴らの街を燃やすぞ」

「はっ!我らは不敗のグラ・バルカス帝国海軍。日本国を砲撃し、奴らに恐怖を植え付ける簡単な仕事、全弾たたき込んでやります」
 
「皇太子殿下をさらうなど、不敬な連中には我らが罰を降してやらんとな。
 業火にのたうち回るという罰を……ん?」

 前方の海、微かな光が見えた……気がした。
 眩い閃光が海上に出現する。

 ズガァァァァァっ!!!
 
 遅れて大爆発が響き渡った。
 艦を包み込むほどの巨大な炎が出現する。

「なっ!!なんだ!!今のはっ!!!」

「位置的に駆逐艦ストーンの付近です!」

 シュパァァァァツ……ガァァァァン!!!

 連続して何かの攻撃が着弾。海上に爆発が起こる。

「て……敵襲!!」

「何だっ!!」

 燃えさかる駆逐艦の横を通り過ぎる微かな影。

「ロケット??いや、向きを変えていますっ!!!」

「馬鹿者!!ロケットが向きを変える?そんな事ある訳が無いっ!!!」

 あり得ない報告に脳が追いつかない。
 ロケットが向きを変えて……誘導して着弾するなど、あってはならないことだ。
 今までそんな敵はいなかった。

 最前線の兵が持つ情報の少なさが悲劇を加速する。

 艦内にブザーが鳴り響く。
 続けて艦隊に着弾する何らかの攻撃は、彼らを浮き足立たせた。

「いかんっ!!レーダー、無線を起動し、本国に報告!!上空支援をっ!!」

「無線つながりません!!レーダースクリーン……真っ白です。使用不能!!」

「はっバカな……バカなっ!!」

 話している間にも、連続して海上に爆発が出現する。
 恐怖のあまり、対空砲火を的外れに打ち上げる者もいた。

「お……俺の部下達がっ!!!」

 燃えさかる炎、1発1発で約200人の命が消える。
 考えられない損耗率、そして一方的な戦闘。

「ば……ばか……ガァァッ!!!」

 閃光、衝撃、そして灼熱の炎がゼムを襲う。

「ぐあぁぁぁぁつ!!あ……熱いぃぃぃ!!」

 旗艦ダズト・オーシャンの前部にミサイルは着弾、猛烈な爆発と炎を纏った構造物がゼムを襲う。
 ほとんどの者が即死する中、中途半端に生き残った彼は、次弾着弾までの3分24秒間、地獄の業火に焼かれ続ける事となる。 

 着弾からたったの5分、海上にまともに稼働出来る艦は1隻も無く、グラ・バルカス帝国第44任務部隊は報告する余裕すら出来ず漆黒の海底へと消えた。
 日本国航空自衛隊F-2戦闘機15機は、グラ・バルカス帝国海軍第44任務部隊44隻に対し、空対艦誘導弾の波状攻撃を実施し、同艦隊を殲滅した。


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