2020年06月20日

第103話 リーム王国の落日P2


「なぁっ!!なぁっ!!……リバル!!いったいどうなっている!!!どうなっているのだっ!!!」

 バンクスは叫ぶ。
 戦勝を確信した先ほどまでの高揚感は見る影も無く、燃える基地を眺める。
 今まで恐怖してきた圧倒的な軍勢が一瞬で反撃能力を失う。 

「おいリバルっ!!」

「バカな……バカな……バカな……」

「おい、なんとか言えぇぇぇ!!」

「そんな……そんなバカな……」

 強軍の瞬間的崩壊。王の言葉が入ってこない。

「まさか……まさか……日本国にとっては我が国も、パーパルディア皇国も、そしてグラ・バルカス帝国でさえも等しく弱敵だというのか?
 弾薬の威力にさほど差が無く、物量は帝国の方が圧倒的に上だというのに……何故だっ!!何故なんだ!!」

「リバルっ!!どうしてくれるっ!!日本が……日本が帝国を退ければ、日本、神聖ミリシアル帝国、そしてパーパルディア皇国までもが攻撃をしかけてくるんだぞっ!!!
 いったいどうすれば……いったいどうすれば良いのだぁぁぁぁっ!!!」
  
 視界の中で、竜騎士団が出撃する。
 もはや次元そのものが違う相手に対しての出撃……王もリバルも全く期待していなかったが、そもそも敵が何処にいるのかさえも捕らえられずに、王都上空を羽ばたく。 

「あ…あ……あれはっ!!!」

 上空に多数の白い線が出現し、ゆっくりと向かってくる。
 その数はあまりにも多く、そして広く展開しており、空を覆い尽くすかのように見えた。
 ブゥゥゥゥゥゥゥン…………。

 微かに聞こえる猛獣が唸るかのような音、そしてゆっくりと向かってくる絶望が恐怖を加速させる。

「まさか……パーパルディアの皇都エストシラント陸軍基地を殲滅したと言われる日本の爆撃機かっ!!」

 ブゥゥゥゥゥン………

 青い空に白く、ゆっくりと伸びてくる多数の線。
 自国よりも圧倒的に軍事力が高かったパーパルディア皇国のエリート集団。皇都の防衛を司る基地を殲滅したとされる絶望が、今まさに自分に向かってくる。
 
 国王バンクスは恐怖する。
 
 初撃で基地機能を損失したグラ・バルカス帝国に反撃する余裕は無く、為す術も無く接近を許してしまう。

 海上自衛隊の対潜哨戒機P‐3Cを爆弾投下可能型に改造したBP‐3C。
 
 爆撃連隊がリーム王BP3ーC爆撃連隊は、リーム王国王都「ヒルキガ」上空に到達し、爆弾の雨を降らす。

 ヒュゥゥゥゥ……ヒュゥゥゥゥゥ………

 爆弾に取り付けられた笛の音が恐怖を加速させる。
 1発1発が猛烈な爆発力を誇る対地爆弾が、連続して投射され、消火作業が続けられていたグラ・バルカス帝国の基地に爆風が吹き荒れる。

 ドガァァァァッ!!

「ああっ!!!ああっ!!!」

 リーム王国王城にも爆弾は降り注ぎ、高くそびえ立つ塔が崩壊する。
 王城に連続して着弾する大規模爆弾は、城を砕きながら燃やした。
 グラ・バルカス帝国が司令用の電波を王城に取り付けられたアンテナから発していたため、リーム王城も「敵基地」として日本国の攻撃目標に加えられていた。

「あああああっ!!」

 長く続いてきた王政、古城リーム王城が崩れ落ちる。
 内部はきらびやかに装飾され、歴代の王が国を統治し、歴史ある建物が一方的攻撃にさらされ、あっさりと崩壊する。
 中には家族が……仕えてきた臣下たちが……大切な物が多く存在する。

 グラ・バルカス帝国の電波が発せられていなかったら攻撃目標から逸れていただろう。
 しかし、日本国に刃を向け、日本国民の命を簡単に奪おうとする相手に対して容赦は無かった。

 猛烈な煙、連続する爆発、失意と絶望の中王は叫ぶ。

「うおぉぉぉぉぉ!!!あがっ!!!」

 リーム国王 バンクス、そして王下直轄大将軍リバルは絶望の中、崩落してきた灼熱の岩石の下敷きとなり、戦死した。


タグ:日本国召喚
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第103話 リーム王国の落日P1

リーム王国の落日

 リーム王国 王都 ヒルキガ

 王都ヒルキガの王城から、国王バンクスと王下直轄大将軍リバルがグラ・バルカス帝国基地を眺めていた。
 
「なんだか慌ただしいのう」

 先ほどから基地内を人が走り回っている。
 
「追加攻撃の準備でしょうね。あれほどの大軍勢の攻撃を食らったら、いかな大国でもひとたまりもないでしょうが、相手はあの日本国。
 もしかすると攻撃目標破壊には至らなかったのかもしれません」

 リバルは航空管制塔近くにあるレーダーサイトを指さす。

「国王陛下あそこで回転しているのは、グラ・バルカス帝国の超技術。遙か先、目視出来ない領域の空まで監視出来る機械にございます。
 あれが敵の接近をすぐに探知、そして迎撃が可能になるとの事」

 国王は驚きの声を上げる。

「まさか……それは古の魔法帝国の……あの……御伽噺に出てきたあれか?」

「そのとおり、魔導電式変換波動反射探知レーダー(魔導電磁レーダ)に近いものでございます」

 絶句……。御伽噺にすら聞いた伝説の帝国製兵器と同様のものが目の前にある。
 グラ・バルカス帝国の国力の強さを感じざるを得ない。
 リバルは続ける。

「万が一敵が防空網を突破したとしても、基地に配置された高射砲と呼ばれる兵器。
 まるで神聖ミリシアル帝国の対空魔光砲のような兵器でございますが、高空まで届くそうにございます」

「さすがは世界を支配すると豪語するだけの事はある。
 技術、物量……我が国はグラ・バルカス帝国側について本当に良かった」

「はい、これで陛下の王政継続も安泰ですね」

「そうだの、日本には悪いが消し飛んでもらって、我が国の糧になってもらおうハッハッハ」

 リーム国王バンクスは、グラ・バルカス帝国基地のレーダーサイトを視て絶対の自信を持つ。
 これほどの強軍を打ち破る者達がいようか?いや、決していないだろう。
 我らは間違ってはいなかった。

 勝利を確信させるだけの力強さを帝国軍持っていた。

「はーっハッハッハ……は??」

 突如としてバンクスがの目線の先、レーダーサイトが猛烈な爆発と共に四散する。
 
 ゴォォォォォォゥン

 爆発から少し遅れ、体を押すほどの……震えるほどの轟音がバンクスを押す。
 爆発の威力は凄まじい。

 爆煙が徐々に晴れ、鋼鉄で作られたレーダーサイトのあった位置が姿を現した。    
 鉄くずの残骸。

「いったなにガァァァァッ!!!」

 ガァン!!ダダダダダダッ!!

 続けて高射砲陣地、そして航空管制室が一瞬で爆発に包まれ、さらに基地に備蓄してある燃料タンク、離陸しようとしていた航空機、駐機してある航空機が攻撃を受ける。
 
 燃料タンクや引火した航空機は猛烈な黒煙に包まれ、王国の空を黒く染めた。

 ウウウゥゥゥゥゥーーー

 非常時になるはずの警報が攻撃から遅れて鳴り響く。大打撃を受けた後に警報が鳴る光景は、
ひどく間抜けに見えた。
 一瞬だった。一瞬で同時多発的に猛烈な爆発が起き、グラ・バルカス帝国のリーム王国前線基地はその機能を喪失した。
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posted by くみちゃん at 23:02| Comment(18) | 小説