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ロデニウス大陸南方海域
漆黒の闇が続く中で、流星の如き攻撃が飛来する。
流星は1発1発が意思を持つかのように艦に向かって飛翔し、ほぼ100%着弾していた。
1発1発の威力は凄まじく、場合によっては巡洋艦クラスを1発でスクラップに陥れる。
グラ・バルカス帝国艦隊は、どこから来るかも解らぬ敵に向かい、空に向かって対空砲を雨のように打ち込んだ。
日本人が見たならば、イラクとアメリカが戦った湾岸戦争を彷彿とさせ、もっと古い人間が見たならば、太平洋戦争末期、アメリカ軍空母に突入する神風特別攻撃隊に対し、雨のように対空砲を打ち込むアメリカ太平洋艦隊を思い浮かべるだろう。
しかし……。
「駆逐艦ウンブリエル轟沈!!巡洋艦ミランダ、チタニア、オベロン大破、駆逐艦パック、クレシダ、デスデモーナ被弾、被害不明ぇ!!!」
「空母は?空母は無事かっ!!」
「確認中!現時点判明しません!!」
グラ・バルカス帝国日本征伐連合艦隊旗艦グレードアトラスターの艦橋は、喧噪に包まれる。
着弾、そして轟沈艦が多すぎて、全く全容が把握出来ない。
帝国の誇る近接信管付きの対空火砲は全く当たらず、何処から撃たれているかも解らぬ状況で敵の攻撃は着弾し続ける。
敵に被害を与えるためには攻撃を当てなければならない。
攻撃を当てるために、血のにじむような訓練を行って、練度を上げる。
そして、とてつもない量の数を撃って、ようやく数発の砲弾を当てる事が出来るようになる。
これが彼らの常識だった。
しかし、敵は1発1発が意思を持っているかのごとく誘導し、ほぼすべて命中する。
1発の威力は戦艦の砲撃による爆発を遙かに超え、一撃で艦を使用不能に陥れる。
「敵は……これほどか……」
誰にも聞こえぬようカイザルはつぶやく。
続く反復攻撃、何処から攻撃されているのかも解らぬ悲劇が続く。
一回で艦隊が全滅しないのは、敵の絶対数が少ないからだろう。
しかし……一体敵はどれほどの弾薬を持っているのか?
絶望を感じながらも、部下に悟られぬよう仁王立ちで漆黒の海を睨む。
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