2020年07月29日

第105話 軍神と呼ばれし者P2


◆◆◆

 ロデニウス大陸南方海域
 
 漆黒の闇が続く中で、流星の如き攻撃が飛来する。
 流星は1発1発が意思を持つかのように艦に向かって飛翔し、ほぼ100%着弾していた。
 1発1発の威力は凄まじく、場合によっては巡洋艦クラスを1発でスクラップに陥れる。

 グラ・バルカス帝国艦隊は、どこから来るかも解らぬ敵に向かい、空に向かって対空砲を雨のように打ち込んだ。
 日本人が見たならば、イラクとアメリカが戦った湾岸戦争を彷彿とさせ、もっと古い人間が見たならば、太平洋戦争末期、アメリカ軍空母に突入する神風特別攻撃隊に対し、雨のように対空砲を打ち込むアメリカ太平洋艦隊を思い浮かべるだろう。

 しかし……。

「駆逐艦ウンブリエル轟沈!!巡洋艦ミランダ、チタニア、オベロン大破、駆逐艦パック、クレシダ、デスデモーナ被弾、被害不明ぇ!!!」

「空母は?空母は無事かっ!!」

「確認中!現時点判明しません!!」

 グラ・バルカス帝国日本征伐連合艦隊旗艦グレードアトラスターの艦橋は、喧噪に包まれる。
 着弾、そして轟沈艦が多すぎて、全く全容が把握出来ない。
 
 帝国の誇る近接信管付きの対空火砲は全く当たらず、何処から撃たれているかも解らぬ状況で敵の攻撃は着弾し続ける。

 敵に被害を与えるためには攻撃を当てなければならない。
 攻撃を当てるために、血のにじむような訓練を行って、練度を上げる。
 そして、とてつもない量の数を撃って、ようやく数発の砲弾を当てる事が出来るようになる。
 
 これが彼らの常識だった。
 しかし、敵は1発1発が意思を持っているかのごとく誘導し、ほぼすべて命中する。

 1発の威力は戦艦の砲撃による爆発を遙かに超え、一撃で艦を使用不能に陥れる。

「敵は……これほどか……」

 誰にも聞こえぬようカイザルはつぶやく。

 続く反復攻撃、何処から攻撃されているのかも解らぬ悲劇が続く。
 一回で艦隊が全滅しないのは、敵の絶対数が少ないからだろう。
 しかし……一体敵はどれほどの弾薬を持っているのか?

 絶望を感じながらも、部下に悟られぬよう仁王立ちで漆黒の海を睨む。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 22:48| Comment(7) | 小説

第105話 軍神と呼ばれし者P1

ロデニウス大陸南方海上 空中戦艦パル・キマイラ

「日本の航空機がロデニウス大陸から、敵の展開する海域方向へ向かっています。 速度は時速にして……ろ……610km出ています!!」 

 空中戦艦パル・キマイラは、魔法力を電気へ変換してレーダー波を発射し、その反射波を捉えて敵の位置を割り出す装置(対空レーダー様のもの)が備え付けられている。
 これは、魔導探知レーダーでは無機質のものが捉えられないために開発された。

「ほう……速いねぇ。
 日本国には想定以上の評価を与えなければならないかもしれないね。
 夜明けまでには戦闘海域まで到達できるだろう。
 本来なら映像で見たいところだけど、明日朝までおあずけか。
 さてと、君たちの戦い。レーダー上ではあるが……見せてもらうよ」

 メテオスは、興味をもって艦橋室内上空に映し出されたレーダー画面を眺めていた。
 直後、レーダー画面が真っ白になり、探知波の1本の線すらも映らなくなる。
 メテオスの目が見開かれる。

「どうした?何が起こった??」 

「まさか……そんなっ!!そんな高度な事がっ!!」

 レーダー操作員は驚愕している。
 
「どうした?まさか……妨害電波か??電波式レーダーに対する妨害電波を発しているというのかね??」

 技術的な視点を持つメテオスは、すぐに妨害電波の可能性に思い至った。
 自国以外にこれほど高度なシステムを持つ者がいるとは……。

 日本国の攻撃前に発する電波妨害(ECM)の影響を受け、空中戦艦パル・キマイラのレーダーは使えなくなる。
 
 しかし、対妨害電波措置をこのパル・キマイラは持っていた。

「どうした?妨害電波対策装置を早く作動させたまえ!!」

 メテオスは、レーダー捜査員が妨害電波対策装置を作動させていないと考え、仕事の遅さを叱責する。

「すでに作動させています!しかし、効果がありません!!!
 なお、自動診断システムにより、故障では無い事が解っています」

 メテオスの目がマスクの下でカッと見開かれた。
 
「あり得るわけが無い。妨害電波対策装置は、古の魔法帝国の遺産。
 そんなものをしてくる敵はいなかったが、自分達を仮想敵として生み出された兵器。
 君の報告が本当ならば、日本国は魔帝の電波を妨害し、目を奪う事が出来るということになってしまうのだよ
 信じられないよ」

 メテオスは、現実がなかなか受け入れられない。
 日本国自衛隊が、グラ・バルカス帝国艦隊攻撃前に発した妨害電波(ECM)は、神聖ミリシアル帝国空中戦艦パル・キマイラのレーダーをも妨害してしまう。

「航行中、対空監視を密にせよ。
 ぐっ!!こんな原始的な手で監視せざるを得ないとは……」

 レーダーという目を奪われたパル・キマイラ乗員は、対空監視で疲弊するのだった。 

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 22:47| Comment(16) | 小説

2020年07月01日

第104話 軍神カイザルのプライドP4


◆◆◆

 ロデニウス大陸 南方海域 夜

 漆黒の闇の中、ロデニウス大陸のムー国基地から飛び立った日本国自衛隊BP-3C 22機が飛行していた。
 第二次世界大戦中、アメリカにも日本にも、海上における航空機からの夜間攻撃能力は無かったため、可能な限り、夜の内に敵艦を沈めて戦意を削ぐ作戦。

 敵に迎撃能力は無いはず。
 かき集めた戦力は適時投入し、すぐに補給してまた攻撃を繰り返す。
 数に劣る日本国は反復攻撃により可能な限りの戦力投入を行う。

『攻撃開始!!攻撃開始!!!敵を逃すと味方が死ぬぞ!!可能な限り沈めろ!!』

 BP-3Cの胴体に取り付けられた空対艦誘導弾(ASM-2)は、日本国を攻撃せんと向けられたグラ・バルカス帝国艦隊本隊を滅するため、順次発射される。

 22機から発射された計88発の対艦誘導弾は、帝国の大艦隊に向けて飛翔を開始する。

 後に、「歴史の転換点」と呼ばれ、世界最強の兵器誕生のきっかけともなる、戦いが始まろうとしていた。

 
タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:36| Comment(10068) | 小説