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神聖ミリシアル帝国 空中戦艦パル・キマイラ
空中戦艦は八八艦隊へ向けて攻撃を開始し、メテオス独自の安全圏から撃つ戦法により、着実に命中弾を増やしていた。
また、同時に日本国護衛艦隊と、グラ・バルカス帝国戦艦グレードアトラスターの戦いも監視していた。
「戦艦グレードアトラスター、再び6発の主砲を発射、弾道計算……3発が着弾の可能性有り」
艦橋に無機質な報告が流れる。
「日本軍、3発の誘導魔光弾様のものを放出……命中、命中、命中……迎撃しました」
艦橋上に映し出されたディスプレイには、日本国が放った艦対空誘導弾が、帝国の砲弾を空中で迎撃し、砲弾が爆発する姿が映し出されていた。
艦長メテオスは仮面の下で目をカッと見開く。
「何と言うことだ……彼らは敵が発射直後の弾道を直ちに計算し、脅威度の高いものを選別して対空誘導魔光弾様のものを放出、空中で迎撃しているというのかね??」
「信じられない……」
対空誘導魔光弾……古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国の伝承には記されているものの、未だ神聖ミリシアル帝国では解析に至っていない。
自国が古の魔法帝国の発掘戦艦を使用してもとうてい追いつけぬ技術が目の前で実戦として使用されている。
もはや日本国の力を疑う余地は無く、列強第1位たる神聖ミリシアル帝国、その中でもスーパーエリートたる古代兵器運用課、その中でも艦長たる地位についたメテオスのプライドは激しく打ちのめされるのだった。
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日本国 海上自衛隊第4護衛隊群 イージス艦 ちょうかい
敵の攻撃は、主砲のみならず副砲も加わり、激しさを増す。
しかし彼らは正確な迎撃で、脅威度の高い砲弾のみを迎撃し続ける。
やがて「ちょうかい」の主砲、127mm単装速射砲の射程内に敵が入った。
「敵、最大射程に入りました」
「主砲、撃ちぃ方はじめ!!」
「主砲、撃ちぃ方はじめ!!」
砲手が復唱し、発射トリガーを引く。
オート・メラーラ製54口径127mm単装速射砲は、毎分45発の弾数を最大射程で発射し始めた。
砲安定システムにより、砲身を安定させ、FCS射撃管制システムにより敵との相対速度を計算、敵の未来位置に向けて射撃を行う。
ちょうかいの後ろを航行していた護衛艦すずつき、護衛艦しまかぜ も砲撃に加わった。 また、左舷から侵攻してきていた第4護衛隊のうち、護衛艦さざなみ も攻撃に加わる。 ただし、護衛艦いなづま、さみだれ、きりさめについては未だ最大射程に達しておらず、攻撃は見送られた。
ダンダンダンダン……ダダダダン、ダダダダダン、ダンダンダンダン!!!!
海上に軽快な砲撃音が響き渡る。
計4隻の護衛艦から放たれる砲弾の嵐。
各砲が毎分40発以上の連射速度を誇り、護衛艦しまかぜ にあっては2門の主砲が
装備されている。
毎分200発以上、毎秒おおよそ3.5発もの砲弾、大砲の弾幕ともいえる攻撃がグレードアトラスター周辺に降り注いだ。
戦艦周辺には、轟音と共に猛烈な着弾の炎が出現、至近弾は海の水を巻き上げる。
水への着弾音、そして金属同士がぶつかる不快な音が鳴り響く。
「命中!!命中!!命中!!」
「沈め!!沈め沈め沈め沈めぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
出現する炎と爆炎で敵戦艦は包み込まれ、どの程度ダメージを与えたのか全く解らない。 通常は一定時間以上撃つと効果確認をしたくなるところだが、護衛隊群は攻撃の手を緩めなかった。
「撃て撃て撃て撃てぇぇぇぇぇ!!!!!」
127mm砲、数字を口で言えば小口径砲のようにも聞こえる。
しかし、その一撃……威力を目の当たりにすれば、決して砕けぬ物は無いと思い込んでしまうほどの猛烈な一撃。
それらが一分で200発以上も打ち込まれる。
最大射程であるため、精密な攻撃は出来ない。
至近弾や外れ弾も多くあるが、明らかに命中弾も多い。
しかし……。
爆炎の中で敵の主砲及び副砲が旋回、猛烈な発射炎が出現した。
「敵艦発砲!!弾数12!!」
すぐに迎撃ミサイルが発射され、再び空中で7発もの砲弾が爆発する。
距離が近くなってきたため、46cm砲等は斜角が低く、迎撃が明らかに難しくなってきていた。
「敵、健在!!!」
「くそっ!!!硬い……硬すぎる!!!なんて硬さだっ!!」
爆炎の中、敵戦艦は健在で、爆炎の中からも撃ってくる。
司令坂野はその正確な砲撃に舌を巻く。
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