2020年11月23日

小話 日本視点接触P4

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 日本国 首都 東京 防衛庁

 南方において陸地が発見され、そこには文明があるようだ。この知らせに各省庁はいてもたってもいられなくなり、一番情報が早く届く防衛庁に赴いていた。
 各大臣も、本来であれば報告を待つところであるが、外国との連絡がすべて途絶え、星の配置も地球上のものではないといった前代未聞の事態において陸地と文明発見の報を聞き、まずは防衛庁に来ていた。

 各大臣や閣僚に、彼らの撮影した竜騎士と街の写真が手渡される。

「よ……翼竜の上に人が乗っているだと?」

「なんて世界だ!!!」

 様々な驚愕の声が聴かれる中、外務大臣の佐藤 渉 は、地上の写真を見て頭を抱える。
 眼下に見える光景は、馬車、石畳、そして金属の鎧を身に纏い、弓を担いだ騎士たち。一様に驚きの表情を浮かべ、我が国の航空機を見上げている。

「緊急事態であり、仕方のない事とはいえ、これは完全に領空を侵犯しているな……まずは謝罪から入る必要があるかもしれない」

「佐藤外務大臣、さっそくこの確認された国と接触をし、まずはこの世界がどうなっているのかの情報を引き出す必要がある。すぐに外交官を派遣してほしい。」

「解りました。しかし、相手はどのような国か全く解りません。言葉が通じないだろうし、外交官の安全確保のためにも、完全に丸腰で派遣する訳にはいかないので、海上保安庁にも協力をしてもらいたい」

「ちょっと待って下さい。どのような国か全く解らないのであれば万全を期すべきです。護衛艦を派遣したい。」

防衛大臣 厳田 虎は、外務大臣の言葉に意見する。
 各大臣は、総理の方を見る。

「やはり、ここは安全を重視するべきですね。自衛隊の護衛の下、外交官を派遣いたしましょう。

 後刻、異世界における初のファーストコンタクトのため、護衛艦いずもを中心とした艦隊を派遣する事が決定した。


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 本編次話は来週の土日までには何とか投稿したいと考えています

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小話 日本視点接触P3

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 翌日

 少し寒く涼しい朝、太陽は昇り始め、空気は澄み切って遠くまで良く見通せる。
鹿児島県の鹿屋市にある海上自衛隊の空港からは、多くのターボフロップの爆音が鳴り響き、多数の哨戒機が飛び立とうとしていた。
 彼らの任務は、陸地を探し、そこに文明があるか調べる事。
攻撃を受けるもしくは迎撃機等に威嚇された場合は、無理をせずにすぐに引き返すように司令を受けていた。

 P3C対潜哨戒機は、翼に4つあるターボフロップエンジンによりプロペラを力強く回転させ、青空に白い機体を浮かべ、各方面に飛び去って行った。


 日本国南南西方向約1800km付近上空

 見渡す限りの海、鹿児島県鹿屋基地から飛び立ったP3C対潜哨戒機のうちの1機は、南方方向の哨戒を命じられていたため、沖縄において一時給油を行い、南方哨戒のため飛行していた。
 地球に比べ、遥かに遠くまで見える水平線、ここが地球ではない事を隊員たちは実感する。空気も地球に比べ、遥かに澄んでいる。
 彼らは目視で付近を見るが、海が広がるのみであった。

「レーダーに飛行物体が写っている。速度は200km程度であり、低速だが……」

 P3Cのレーダーに、それなりに大きい飛行物体の機影が写る。

「200kmか、何かの生物かもしれないな」

「それにしては、レーダー反射面積が以上に大きい。空飛ぶ恐竜……翼竜のような大型生物が、時速200kmもの超高速飛行をしている事になる」

 機長はその機影を調査する事を決意する。

「調査に向かう。各自細心の注意を払っていくぞ」

「了解!」

 機体は少し右に旋回するのだった。


 一時して、空の先に小さな点を確認する。

「目視しました。物体に進路をとります。」

「物体もこちらを確認した模様、こちらに向かって来ます。」

 点のように見える物体は、徐々にその姿を大きくし、やがてその輪郭がはっきりと見えるようになる。

「りゅ……竜?翼竜のようなものが飛んでいます!!な!!!人だ!!上に人が乗っているぞ!!!」
 
 コクピットの者は、その翼竜に釘づけになる。
 やがて、その翼竜とすれ違う。漆黒の胴体、雄々しい姿、その上には人間と思われる者が騎乗し、こちらを見ている。力強く羽ばたくその姿は、皆にある種の感動を与える姿であった。
 竜とすれ違い、竜は反転してこちらに向かっているようでもあったが、水平線に陸地のような輪郭が見えたため、哨戒機はそのまま陸地方向へ向かう事となった。

「おい!今の竜は撮影出来たか?」

「はい、まさに異世界の竜騎士、しっかりと撮影しました。」

「どうも通信状態が今悪いようだ。送信が出来そうにないため、帰ってから報告する。とりあえず、陸地方向に向かうぞ」

「了解!」

 哨戒機は、陸地のある方向へ向かって飛行を続けた。


 哨戒機は陸地に向かって飛行していた。
 やがて、機のレーダーに、十数騎ほどの飛行物体が写る。

「飛行物体多数、先ほどの翼竜か、野生の生物かは不明ですが、高度速度ともにこのままではぶつかる可能性があります。機を上昇させますが、よろしいでしょうか?」

「了解、上昇し回避せよ。」

 彼らの乗る自衛隊の哨戒機は、上昇を始める。ターボフロップエンジンの出力は最大値まで上がり、彼らはさらに上昇する。やがて眼下は陸地が見え始め、建造物がぽつぽつと見え始める。

「建造物があるぞ。高度を落とし、撮影を開始しよう」

 監視員は周囲を見渡す。
 眼下に街のようなものも見えたため、同街を観察するべく、P3C哨戒機は高度を落とす。
 やがて街の上空に達し、見下ろすと、眼下には中世ヨーロッパのような風景、赤を基としたレンガが積み重なって作られたような建築物が立ち並んでいた。
 規模の小さな街であったが、望遠レンズでよく見ると、中には鎧を着たものたちが、城壁と思われる場所に昇り、こちらを見つめている。
 街を見下ろすと、飛行機にびっくりした馬が勝手に走り始めているような光景も見えた。

「まずいな。完全に領土に入り、しかも混乱まで発生している。とりあえず、この方向に国があるという事が判明した。一旦引き上げるぞ」

 P3C哨戒機は、この日、日本国の友となる国に成り行きとはいえ、領空侵犯を行ったのであった。


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小話 日本視点接触P2

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 防衛省

「!!!すべての人工衛星をロストしました!!偵察衛星、GPS、すべてロスト!!」

「機器の故障ではないのか!!!」

「自衛隊の機器すべてが衛星を捕らえる事が出来ません。本部のみではなく、護衛艦や航空機を含めたすべてです。これほどまでに落ちるのは、前例がありません。それに、スマートフォンの地図機能を見てみてください。GPSで自分の位置を見る事が出来なくなっています!!」

「我が国への攻撃の可能性もあるのか?」

「解りません。ただ、空が急に昼のように明るくなるといった、通常では考えられない事態も起こり、また、在日米軍からも本国と通信が出来なくなったと、問い合わせがあっています。
すでに万全を期すため、AWACS(早期警戒機)が離陸準備中です。」

 防衛省職員には非常招集が行われ、職員は奔走する。



 総理官邸

「いったい何が起こっているのだ……。」

 防衛大臣である厳田 虎は、すべての衛星をロストするという非常事態を受け、いち早く総理官邸に緊急参集していた。
 現在大臣級は、まだ総理と2人のみであるが、各省庁から続々と情報が集まってきている。
 緊急時であるため、通常の決裁手続きをとる前に、口頭でも良いからとりあえず報告を入れるように指示を行っていた。

「人工衛星は未だ復旧が出来ません。」

「依然として海外との通信はすべて断絶されたままです!!」

「各国の大使館から本国と連絡が取れなくなったと、報告が来ています。」

 ホットラインさえも繋がらないといった現実、我が国が攻撃にさらされる可能性が非常に強いと判断された。
 報告はつづく。

「全国の震度は一律4程度であり、被害が出た報告はありません。」

 バタンとドアが開き、息を切らしながら防衛省職員が駆け込んでくる。
 何事かと二人は、彼の方向を見る。
 息を整え、彼は報告を始める。

「報告いたします。航空自衛隊の空中早期警戒機(AWACS)、機体上部にレーダーを積んだ機種ですが、本土西側を飛行していたのですが、朝鮮半島がレーダーに映っておりません。」

「な……何!?」

「朝鮮半島が、レーダーに映っていないのです!!!なお、レーダーに異常は見られませんでした。」
 
 各省庁の大臣も、続々と集まって来る。

 今度は大汗をかきながら、気象庁職員が駆け込んでくる。

「報告します。星の配置が変わっています!!」

「何だと!!」

「地球上から観測される星の配置ではありません。室内にいると、解りにくいかもしれませんが、水平線近くに月が2つあります。考えられない事ですが、ここは地球のいた位置では無いと言わざるを得ません」

 武田総理の顔が険しくなる。

「あまりにもバカげている。地球ごとどこかに移動してしまったというのか?そんな現実離れした事が起こりうるものなのか?」

「総理!」

 防衛大臣が総理に話しかける。

「なんでしょうか?」

「確かに、その話は馬鹿げている、しかし、もしも仮に本当ならば、地球ごと移動し、一時的に諸外国と通信が出来ないだけならば、まだ良い。しかし、朝鮮半島がレーダー上に映らない現象が確認されている。気象条件が重なっただけならば良いが、もしかすると、我が国、日本国だけが移動した可能性も考慮しなければならない。」

「日本だけ!?そんなバカな。もし日本だけならば……最悪だ。」

「明日の株取引を、緊急事態により、一時的に閉鎖しなければ!!」

 金融担当大臣が焦った声を出す。

「いや、そんなことよりも、食料を輸入に頼っている我が国は、このままでは餓死者が出ます。」

 農林水産大臣が、顔面蒼白となる。

「日本国の食料自給率はそんなに悪くないだろう?古米の放出は必要だが」

「肥料も輸入に頼っているのです」

「燃料も問題だ!!」

「とにかく、明日朝哨戒機を各方面に飛ばし、付近の状況を確認しましょう」

「仮に、仮にですが、本当に日本国だけが何処かに移動したと仮定し、付近に国家があったとして、文明レベルも問題です。超未来国家かもしれないし、原始時代かもしれない。そして、彼らが友好的とは限りません。いや、人間の形をしているかどうかも不明です」

 会議はつづく。

 首相の脳裏に、まず食料の問題が浮かぶ。
 食料、そしてこの場所にある国との関係の再構築、燃料、金融、雇用、そして財政対策。
 まずは敵性国家がいない事が前提ではあるが、一つでも道を踏み間違えたら日本国の国体が維持出来なくなる可能性すらある。
 山済みされた問題を前に、武田は頭を痛めるのだった。


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