2020年11月03日

第108話グラ・カバルの決断P5

◆◆◆

 ヒノマワリ王国 首都ハルナガ京 グラ・バルカス帝国制統府

 とある一室で、大声が張り上げられる。

「話しが違います!!国民を餓えさせないとお約束したではありませんか!!あなた方の上位組織である外務省にも約束しているはずです!!
現在国民の多くが餓えに苦しみ、栄養失調による死者さえ出ているっ!!!
 貴国軍が多くの食料を蓄えるため、我が国の食料流通さえも押さえているからですっ!!!
 すぐにでも貴国軍の倉庫から国民に食料を与えなさいっ!!!」

 ヒノマワリ王国 第3王女フレイアは王室の制止を振り切り、単身でグラ・バルカス帝国正統府へ乗り込んできていた。
 帝国へ意見することは命に関わる事は承知の上であったが、国民の餓えの惨状を見るに見かねて飛び出してきたのだった。

「うるさいな、何があった?」

 仕事で制統府を訪れていたグラ・バルカス帝国外務省のダラスは、制統府職員に尋ねる。

「いえ、ちょっとヒノマワリ王国の関係者が来ておりまして、食料を国民にも流通させよとうるさいのです」

「ほう?よし、俺が対応しよう」

「え?いや、ダラス殿のお手を煩わす訳には……」
 
 別業務で訪れた上級官庁の職員に仕事をさせるなど、失礼極まりなく、後で上司に何て言われるか解ったものではない。
 制統府職員は断ろうとする。

「いや、これは決定権を持つ私が行った方が早く事が済むだろう。
 任せておけ」

 ダラスは大声のする部屋へ向かう。
 
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第108話グラ・カバルの決断P4


「以上がナハナート王国西側海上で行われた大規模衝突の概要です。
 なお、この時日本国が使用した対艦誘導弾の推定性能は、誘導機能、速度、射程距離、威力が遺跡から推定される古の魔法帝国の対艦型誘導魔光弾に酷似しています。
 ただ、低空を這う能力は誘導魔光弾にはありませんので、機能的には日本国の誘導弾の方が上です。
 彼らはこの兵器よりも遙かに速く飛翔する誘導魔光弾も開発が完了し、さらに射程距離を伸ばしたタイプも開発中との事です」

「ばかなっ!!映像の兵器ですら防げる者は世界にいないのに、さらに高性能な兵器を開発しているというのかっ!!
 一体何のため……まさか……彼等も覇を唱えるつもりか」

 軍務大臣シュミールパオが日本の兵器開発に不安を呈す。

「彼らも古の魔法帝国の復活を恐れているのでしょう。
 誘導魔光弾、いや、対艦誘導弾を防がれる事を想定し、より当たりやすい兵器を開発する。
 彼らの元いた世界では、グラ・バルカス帝国戦に使用した対艦誘導弾の波状攻撃を防ぐような国があったと聞きます。
 その時に、より当たりやすくするため、速度を遙かに上げたタイプが開発されたと。
 彼等のいた世界で誘導弾を防ぐ国があったなら、古の魔法帝国に対しても当然防がれるかもしれない」

「日本国は……本気で古の魔法帝国に勝つつもりなのか?」

 シュミールパオの心に屈辱と希望が入り交じる。

「おや?軍務大臣は来たるべき……古の魔法帝国が復活した際に屈するおつもりか?」

「いや、もちろん我が命をかけて古の魔法帝国とは戦うつもりだ。
 各国とも、そのつもりで調整を行っていた。
 ただし、伝承に伝わる奴らの技術はあまりにも高すぎる。
 古代兵器が発掘されるたび、そのすさまじさに驚愕せざるをえない。
 技術力が違いすぎる相手には物量は意味を成さない。文明圏外国家の大物量に我が国が負けないのはそういう理由というのは知っておろう」

 話しは続く。

「我が国は世界最強を自負していたが、対グラ・バルカス帝国戦で思った程の戦果を上げる事が出来なかった。
 しかも、空中戦艦さえも撃墜されてしまった。
 奴らは確かに強かった。
 しかしどうだ?日本国は奴らを赤子の手をひねるかのように、僅かな数の戦力で退けた。 彼等の被害といえば、弾薬や燃料程度の取るに足らない金額を失ったのみだ。
 我が魔導艦隊では古の魔法帝国どころか、日本国にも勝てないだろう」

 軍務大臣として、皇帝の前でする発言内容では無い。
 しかし、彼は盲目的に自国の軍事力を信じるほど頭の悪い男ではなかった。

「もしも日本が覇を唱えたなら非常にまずいことになるな」

 日本が覇を唱えた場合の脅威度は飛び抜けて高い。
 しかも現時点日本国に対抗出来るのは発掘兵器だけ。

 議論が脱線しそうだったので、アルネウスは再び発言する。

「日本国は憲法で相当な縛りがあるため、覇を唱える可能性は限りなく少ないと考えます。 確かに、日本国の軍事力は情報局の想定をも遙かに上回るほど凄まじいものでした。
 ただ、覇を唱える気が無い者達が強いのは良いことです。
 今後のグラ・バルカス帝国戦、そして古の魔法帝国戦で大いに役に立ってくれる事でしょう。
 さて、本来の議題に戻りましょう。
 軍務大臣殿、議案があるのでしょう?」

「あ……ああ、そうだった国防省長官!!」

「はっ!!」

 国防省長官アグラが指示すると、お付きの軍幹部が迅速にペーパーを配る。

 配られた資料には日本国から連絡のあった、今後の作戦概要が記されていた。
 作戦の必要性が解らず、外務省統括官リアージュが問う。

「ヒノマワリ王国奪還?あのような都市国家とも言える小さき王国を奪還して何になるというのですか?
 というか、元々自分の意思で降っているので奪還という言葉もおかしいのですが」

「ヒノマワリ王国内には、グラ・バルカス帝国最前線基地のバルクルスが存在していました。
 この大規模基地が奪還されたため、グラ・バルカス帝国軍残党はヒノマワリ王国首都、ハルナガ京に立てこもっています。
 日本国はこのバルクルス周辺に、レイフォリア沖を攻撃するための飛行場を作りたがっている。
 ここから飛べば攻撃範囲に入るとの事です。
 ただし、航空基地であるため、グラ・バルカス帝国の残党とはいえ、軍がヒノマワリ王国に駐留しているのは非常によろしくない。
 よって、まずはヒノマワリ王国の開放が必要だということです」

「この位置からレイフォリアが戦闘行動半径に入るというのか?信じられん」

 バルクルス周辺からレイフォリア沖合までは相当な距離がある。
 戦闘機レベルの戦闘行動半径に入るとはとても思えない。

「いえ、戦闘機単独では戦闘行動半径に入れる事はさすがに無理でしょう。
 彼等は空中給油機というのを持っている。
 それであれば攻撃範囲に入るのでしょう。
 それに、哨戒機にも対艦誘導弾は積載出来るようです。
 戦闘機以外であれば攻撃出来るのでしょう。
 また、日本国がレイフォリア沖合攻撃のために飛行場建設している予定地は当然1カ所では無いでしょう。
 複数ある候補の一つがこの位置と考えるのが自然かと」

「なるほど、して、ムーは何をしているのだ?敵の大規模基地が消滅したというのに、未だヒノマワリ王国をそのままにしている理由は何だ?」

 対魔帝対策庁局長ビルクバーンが疑問を呈す。

「グラ・バルカス帝国軍残党は、ヒノマワリ王国に作られた帝国外務省の建物を司令室として使用しています。
 そして、その司令室は国王の住まう屋敷の直近に作られています。
 そして軍の主要施設も首都の住宅街直近にある。
 ムーはヒノマワリ王国がレイフォルの属国だった時も、彼等には非常に気を遣っていました。
 ヒノマワリの帝国軍を攻撃すれば、相当な精密攻撃でも行わない限り、住民に相当数の死者が出る。
 彼等は民間人の死者を懸念して攻撃を渋っていました」

「だが、戦局がそれを許す状況では無くなった……というところでしょうか」

 配られた資料には、ヒノマワリ王国奪還後、バルクルス基地周辺の飛行場の整備、レイフォリア沖のグラ・バルカス帝国艦隊の空爆による撃滅、そして神聖ミリシアル帝国に対する艦隊派遣依頼と、制空権確保下においての海上封鎖の依頼が添付されていた。
 
「ん?今回の案では日本国も艦隊を覇権してくるのか。
 護衛艦4、補給艦1、掃海艇2??(何だそれは……)」

 神聖ミリシアル帝国として、どれほどの艦隊を派遣するべきか、議論が続く。
 場はざわついた。

 皇帝ミリシアル8世が手を上げると、場が静まる。

「グラ・バルカス帝国戦も先が見えてきおった。
 日本国には協力すると回答、軍は調整して必要な艦隊を派遣せよ」

「ははっ!!」

「しかし日本国か……今までの腰の低さが判断を誤らせていた。
 強いという想定はしていたが、それ以上だ。
 日本国の軍事力は凄まじいが、さらに質を上げようとしておるとは。
 戦力比において、シュミールパオの眼は正しいだろう。
 日本国とは友好関係をさらに高め、少しでも日本国の技術を吸収、昇華させて戦力拡充を行え。
 間違っても敵対するような発言は慎むように、外務大臣、解ったな?」

「ははっ!!」
 
「アルネウスよ、貴様の見立てでは日本国の軍事力は古の魔法帝国に対してどれほど通用すると思うか?」

 皇帝の目はグラ・バルカス帝国戦の先を見る。

「はっ、発掘兵器から想定される古の魔法帝国の兵器群に対し、日本国の兵器はある程度は通用するのではないでしょうか?
 ただ、量が少ない。
 規模で押し負けるかもしれません。
 発掘兵器には光翼人の多大な魔力を必要とするものがあり、まだ解っていない部分も多くあります。
 つまり上限が読めない。
 そして、日本国の兵器群もまだ我々は理解していません。
 まさかこれほど一方的にグラ・バルカス帝国を倒すとは考えていませんでした。
 彼等もまた上限が読めません」

「まあよい、今後も情報収集に励め」

「はっ!!」

 神聖ミリシアル帝国は、この日、レイフォリア沖の敵艦隊の撃滅を確認した後に、海上封鎖のため魔導戦艦を主力とした艦隊を派遣することを決定した。

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第108話グラ・カバルの決断P3

◆◆◆

 中央世界 神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス

 世界最強たる国家群、中央世界……その中でも誰もが認める世界の中心たる国家、神聖ミリシアル帝国。
 世界の中心の中の中心と言われる帝都ルーンポリスのアルビオン城で、帝前会議が開かれていた。

 楕円形の卓に配置された豪華な椅子の中央部に皇帝ミリシアル8世が座る。
 外務大臣 ペクラス
 外務省統括官 リアージュ
 帝国情報局長 アルネウス
 対魔帝対策省 局長ビルクバーン
        古代兵器分析戦術運用部長 ヒルカネ・パルペ
        空中戦艦パル・キマイラ2号機 艦長 メテオス  
 軍務大臣  シュミールパオ
 国防省長官 アグラ
 他

 国を動かす中枢幹部たちが顔を揃えた。

 すでに事前報告や断片的な映像は根回しによって確認されていたが、再度改めて編集された映像が流れた。

「おおぉぉぉぉぉっ!!!」

 対艦誘導弾が巡洋艦に着弾し、猛烈な爆発を起こす。
 その爆発は我がミリシアル帝国のミスリル級魔導戦艦の主砲(魔導砲)よりも圧倒的な規模の爆発を起こし、着弾した敵艦はあっさりと沈む。
 グラ・バルカス帝国側も、もはや雨といって差し支えないほどの対空火砲を打ち上げ、空は曳光弾の光で埋め尽くされる。
 遅れて届く轟音も、録音されており、臨場感が増していった。

 しかし、撃ち出される弾丸には全く当たらずに日本国の対艦誘導弾は次々と着弾して海を燃やした。

 驚愕以外の言葉が見つからず、皆無言で映像を見る。
 部下からの報告よりも、埋め尽くされた文章を読むよりも、生の映像は真実を突きつける。

 一撃で数百人が死ぬ。
 しかも、必中とも言える攻撃、大型の巡洋艦は燃え、多くの金がつぎ込まれたであろう戦艦は黒煙をあげて無残に傾いた。

 あまりにも一方的な攻撃に、敵に哀れみすらも感じる。

 我が空中戦艦パル・キマイラも戦闘に加わり、効率的に敵艦隊を破壊する様は、神聖ミリシアル帝国の閉塞感を吹き飛ばすほどの戦いぶりだった。

 やがてパル・キマイラをも撃墜した憎き敵の旗艦、グレードアトラスターに日本国巡洋艦の砲撃が集中する。
 相当数着弾しているにも関わらず、速度を落とさずに敵は進む。
 敵の戦艦の硬さはいったいどうなっているのだろうか。
 やがて、再び大破壊力の誘導弾が旗艦艦橋部に着弾。
 連続して着弾中、兵達が逃げ出した。
 
 帝国主力艦隊が尻尾を巻いて逃げ帰る。
 敵国の撤退の映像に胸がすく思いを覚えると同時に、日本国に対する恐怖心が宿った。

 たったの1国の……神聖ミリシアル帝国の規模から考えると僅かな規模の艦隊、航空戦力が成し遂げた成果だとは、とても思えない。 
 映像が終る。
 事前情報として可能性として認識はしていた。
 文章で確認したとき、改めて日本国の強さを再確認した。
 しかし、映像で見せられる衝撃、強敵が手も足も出ずに敗走する映像を見て、皆のどが乾く。
 会議室に重苦しい沈黙が流れ情報局長アルネウスがゆっくりと説明を開始した。


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第108話グラ・カバルの決断P2


「カバル殿下、最初に伺っておきたいのですが、失礼ながら殿下に国家の意思決定にも関わる権限はおありか?
 仮に乗ったとしても、それは日本国に無理矢理言わされているととらえられるのではないですか?」

「私が帝国に帰れば良い。
 日本国の強制力の及ばない領域であれば説得力はあるだろうし、説得は可能だ。
 私は次期皇帝、私の言は重い」

「そうですか……。
 日本国は覇権国家ではありません。
 今まで日本国の忠告を聞かず、何度も武力行使を止めるよう語りかけたが無視して侵攻してきたグラ・バルカス帝国を信用出来るはずが無いでしょう。
 2強統治など、夢物語と思って頂きたい」

 カバルは一瞬驚いた表情を見せる。

「何故国益を無視する。
 2強統治で世界の富が集まるのだぞ?
 日本国とグラ・バルカス帝国では、規模の上では我が国の方が遙かに大きい。
 今は貴国に技術的優位性があるかもしれないが、その差もいずれは縮小していくぞ。
 これほど国力に差がある上位の国家が2強統治をしようと申し出ているのに何故だ?
 貴方も国家と国民のために仕事をしているのだろう?
 統治領から入る富は……最初は大赤字だが、安定して黒字化すると凄まじいぞ。
 何故国民全員が金持ちになり、国家の国力増大につながる提案を、政府に確認することなく蹴ろうとする?」

「もちろん殿下とのやりとりは政府に報告いたします。
 ただ、我が国は法治国家であり、他国との融和も大切にいたします。
 今まで築いてきた友好関係を打ち切り、いきなり侵略側に回るなど、あり得ない事です」 

「ならば、我が国との不可侵条約はどうだ?」

「具体的内容を精査したいところです。
 我が国が転移直後ならば、先ほど言われた不可侵条約も飲んだかもしれませんが、今我が国は各国との国交があります。
 現時点で他にも宣戦布告されている各国の意向を無視するわけにはいかない。
 不可侵条約については、案の具体的中身がありましたら提示して頂きたい。
 我が国とグラ・バルカス帝国は戦闘状態にあります。
 不可侵条約の具体案がまとまり、締結されるまでは戦闘は止まりませんのでお気をつけ下さい。
 では」

 田中たちは席を立とうとする。

「まっ待て!!待ってくれ!!」

(このまま行かせる訳にはいかないっ!!我が交渉に帝国臣民の未来がかかっているのだっ!!)

「何でしょうか?」

「和平条件については継続交渉をしたい。
 各国の事情があるのは解った。
 各国と調整出来たのならば、どうすれば和平が実現できるか、そちらからも提示してほしい。
 現在帝国との太い窓口は無いだろう?
 私、次期皇帝たるグラ・カバルが橋渡しになると言っている。
 これを断る手はないだろう?」

 彼にとってはこの上なく屈辱的な提案だった。
 そして日本国にとっては、泥沼の戦いは避けたい。グラ・カバルのカードは手に入れておきたいという、旨味があった。

「……解りました。
 では、後日各国と意見調整をいたします。
 回答がいつになるのかはお約束出来ません」

「たのんだ。なるべく早く頼みたい」

 カバルの和平交渉、第1回は失敗した。
 グラ・バルカス帝国皇太子グラ・カバルは国民を守るため、頭をフル回転させるのだった。

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第108話 グラ・カバルの決断P1

無機質な部屋、座り心地の良い椅子が多く並べられた事務室に男が一人。
 グラ・バルカス帝国皇太子グラ・カバルは椅子に座り、頭を抱えて悩んでいた。

 日本に来て解ったことがある。
 まずはあらゆる分野の技術力が帝国よりも上であるということ。
 次に極めて合理的であり、まだ未だ我が国に根強く残る精神論が見られない。
 (一部職種にはまだ精神論が残っていると聞いている)

 問題の技術力であるが、その差は絶望的ともいえる開きがあり、帝国は戦争しても勝てはしないだろう。
 しかし、これらの技術力がどの程度実戦に影響するのかは未知数であり、図りかねていたところに帝国と日本国の大規模衝突が起きる。

 結果は惨憺たるもので、帝国は十分な海軍戦力をつぎ込んだにも関わらず、日本国本土を焦土にするどころか、近づく事すら出来ず、再起には相当の時間を要するほどの大損害を受ける。

「ぐぬぅ……」

 考えれば考えるほど頭の痛い問題だった。

 カチャリとドアが開き、スーツを着た男が入ってきた。

「準備が出来ました。こちらへどうぞ」

 廊下を歩き、導かれるままに向かう。
 国の命運を左右する会議かもしれない。
 かつて無い重圧がカバルにかかる。
 やがて、小会議室と書かれた扉を開けた。

 中には3人ほど男が座る。
 会議が始まった。



「して……グラ・カバル殿下、どういったご用件でしょうか?」

 外務省の田中はカバルに問う。

「我が国と貴国は不幸な行き違いから戦争状態にある。
 単刀直入に言おう。和平を結ばないか?」

 彼にその権限があるのか、あるとして本国は彼の意見に従うのか、様々な疑問が田中の脳裏に浮かんだが、まずは話しを聞いてみることとした。

「ほう……和平ですか、具体的にはどういった条件で?」

「我が国は世界へ宣戦布告している。
 その対象から日本国だけは外すようにしよう。
 これで、貴国は滅びの恐怖から開放され、我が国との交易によって繁栄が約束されるだろう」

 田中はため息を出す。

「ムー大陸からの撤退の意思はおありか?」

「ムー大陸レイフォルについてはすでに入植が開始されている。
 国民の権利が著しく制限される行為については難しいだろう。
 日本国を攻めないでおいてやるだけでは不満か?
 貴国も転移国家だから解るだろうが、ここの原住民は文明レベルが低い。
 原住民を配下に置き、共に星を分割統治すれば良いではないか。
 本来ならば1強統治こそが究極の平和が訪れるのだが、2極統治であっても、同盟関係にある2極統治ならば、世界の戦争は激減するだろう。

 平和を目指すならば武力で統治すべきだ。

 より文明レベルの高い者によって統治されることにより、その国家の国民も文明に触れる事が出来、幸せに暮らせるのだ。
 日本国はパーパルディア政策を見るに、国家統治のノウハウが無いように見える。
 帝国が日本にノウハウを教える事も出来る。
 我ら2国が手を組めば、敵はいない」

 カバルは立ち上がり、手を広げる。

「共に世界をっ!!世界を手に入れようではないかっ!!!」


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