2021年06月20日

第113話反撃の異世界軍2P6


「こんなに……差があったのね……」

 守るべき帝国が猛烈な危機に瀕しているのが理解できた。
 絶望すべき場面で何故か冷静な自分がいる。

「終わりね……」

 命令されたとはいえ、自分は日本人の捕虜を処刑した張本人として世界中に顔が知られている。
 日本に捕まったら死罪は免れないだろう。
 同期に比べれば昇進は速く、エリートと言われた、でも所詮は社会の歯車の一つにすぎなかった。
 しかし命令は絶対であり、自分の意見で防げる事象ではなかった。

 あがらう事の出来ない運命の大波、人生の不条理がただただ悲しかった。

「え???」

 気付けば涙が頬を伝う。
 シエリアは燃え続ける基地を、呆然と眺めるのだった。


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posted by くみちゃん at 01:09| Comment(1367) | 小説

第113話反撃の異世界軍2P5


「あれ?あれは……」

 微かに見えた点が、高速で移動している。
 帝国の航空機では考えられない程の高速で。

 シエリアの目が見開かれる。

 ウゥゥゥゥゥゥーーー

 統合基地 ラルス・フィルマイナから大きなサイレンが鳴った。

「ん?何だ??」

 ゲスタは怪訝な顔をして基地を見る。

 バン……バババン……バン……

 何かがはじける音と共に、基地から黒煙が上がった。

「事故でも起きたのか?」

 シエリアに手足のように動けと、圧倒的なラルス・フィルマイナを目に焼き付けろと命じた直後に起きた爆発。
 なんとタイミングの悪い事故だろうかと、ゲスタは怪訝な顔をする。
 次の瞬間に上空で炸裂音が鳴り響いた。

「あ……あ……あれはっ!!!」

 ゲスタもはっきりと気付く。
 大空を駆けていた友軍の戦闘機編隊が一瞬で火だるまになって落ちる炎の雨。
 明るくなりかけた空から炎の塊が降る。
 まるで終末世界のような……。
 
「ば……ば……そんな事があるのかっ!!!」

 空に打ち上げられる対空火砲が、敵襲を確信させる。
 自分は安全と思っていた。
 圧倒的戦力の集中するこの統合基地ラルス・フィルマイナがあるレイフォリアは安全なはずであると。
 急遽押し寄せる死の恐怖。
 すぐにでも逃げ出したいが、足が竦んで動くことが出来ない。
 死ぬのが怖い。
 蛮族共は安全な場所からの指示で葬って来たが、自分が死ぬかもしれないとなるとこれほどまでの死の恐怖を感じるものなのか。
 顔は脂汗にまみれ、足は震えが止まらない。
 次々と起こる基地や軍事工場からの爆発。

 何故帝国は敵を落とさないのか。疑問が怒りに変わった。

 猛烈な爆発が連続して起こった。
 体感的には一瞬。
 一瞬で基地、そして軍事工場は激しく炎上を始める。
 帝国が圧倒的敗北を喫した事が理解できた。

「帝国の象徴が……力の象徴が燃える!!!」

 ゲスタは鼻水さえも、垂らす。

 ドン………ゴォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 雷鳴のような轟きと共に、帝国航空機とは比較にならないほど速い敵機がフライパスをする。 
 敵戦闘機にはプロペラが無く、後方から2本の炎を出しながら飛んでいった。

 日本国航空自衛隊F-15J改戦闘機はアフターバーナーを使用し、音速を超えてレイフォリア上空をフライパスした。
 まるで爆発のようにも感じる衝撃波で街のガラスが割れる。

「あああっ!!」

 あまりの音と速さ、そして迫力にゲスタは尻餅をついてしまう。
 見慣れた帝国のアンタレス型戦闘機など、あれに比べたら子供のおもちゃにすら感じてしまう圧倒的な速さ。
 今まで感じていた帝国の強さは何だったのかと疑う程の圧倒的力強さ。

「あああぁあぁっ!!!」

 勝てない。
 素人でも感じるどうあがいても勝てない力の差。
 速度差が違いすぎる。
 恐怖が彼を支配し、醜く叫びながら建物内に走った。

 猛烈な炎と黒煙が空を焦がし、辺りには日本国の航空機だろうか、雷鳴のような轟きがこだまする。
 シエリアは外周を見渡した。
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posted by くみちゃん at 01:08| Comment(21) | 小説

第113話反撃の異世界軍2P4

 時は少し遡る。

 外務省の職員達はこの日、徹夜で仕事をしていた。
 神聖ミリシアル帝国と日本国連合軍に、グラ・バルカス帝国海軍が圧倒的敗北を喫した。 この事実は世界を駆け巡り、グラ・バルカス帝国の影響力が薄れてきている。
 属国は多く、反旗を翻すと面倒な事になるため、グラ・バルカス帝国外務省はこのレイフォルを拠点として体勢の強化を図ることとした。

 体制強化の一環として強硬派で、『冷静に蛮族を葬る男』として名高い幹部が派遣されることとなる。
 外務省東部方面異界担当部長ゲスタ
 シエリアに対し、非協力的な捕虜を処刑する事を命じ、海上保安庁のしきしま隊員の命を奪うように命じた者。
 シエリアが捕虜処刑に対して抗議したにも関わらず、それを曲げずに執行を命じた張本人。

 彼の冷徹さは日本人に対してのみではなく、この異世界において書面上に残らずに消された街は多い。
 しかし、支配領域拡大の功績は多大であり、帝国内での評価は高かった。

 彼は部下に対しても厳しく、体制強化のための準備で部下は朝方まで仕事を行うのだった。

「ふぅ、そろそろタバコを吸うか……おい、シエリア、ちょっと屋上に来い、話しがある」

「あ、はい。解りました」

 少し目の下にクマを作りながら、シエリアは答える。
 一昨日は4時間睡眠で、昨日は一睡もしていない。仕事量は多く、働く人数は多くない。
 完全に人数が足りていなかった。

 ゲスタにとって、シエリアは特別な存在だった。
 外務省に向かぬほどに真っ直ぐな心を持ち、何もコネを使わずに現在の帝国の制度で、女でこの地位まで上れるのは、圧倒的に優秀な職員である証拠、しかも美しい。

 その真っ直ぐさが気に入らなかった。
 優秀さが鼻についた。
 しかし美しさに惹かれた。

 気に入っているのか嫌いなのかもよくわからないが、存在感のある女。
 それがゲスタの正直な気持ちだった。

 屋上で二人は話す。

「シエリア、ダラスの報告書は読んだか?」

「……同化政策の件でしょうか、あれは現地人には受け入れられないでしょう。
将来に渡って禍根を残す可能性がありますし、帝国内の意見も割れるでしょう」

 ダラスが構想した同化政策。
 おおまかに言えば……
 グラ・バルカス帝国人の遺伝子を属国に振りまき、混血を大量生産する事により、異世界側もグラ・バルカス帝国に対する殲滅作戦を取りにくくさせ、現地においては混血を現地人よりも優遇して属国中枢に据え、グラ・バルカス帝国の忠実な犬とさせる。
 また、帝国臣民の子を生んだ女も優遇する。

 帝国臣民よりも下、しかし現地人よりは身分が上で、帝国の血があるからこそ上に立てるのだと、選民思想を植え付ける。
 実質的な身分を作り出し、属国は安定化し、混血人口が増えれば現地国民の子供になるため、日本国による攻撃をどんどんと受けにくくなる。
 帝国による支配のみであると、帝国が撤退すれば彼らの勝利、しかし混血は国そのものが自国になるため、実質的に帝国の属国なれど、帝国ではない。
 現地人である混血を日本は叩き出すことが出来ない。
 
 気が長く、時間のかかる政策だが、一定時間守り切れれば日本国からの攻撃は弱まり、安定化する。
 日本国の性質を上手く考えた策であるが、女であるシエリアにはその具体的方法が本能的に受け入れられなかった。

 方法を考えるだけでも反吐が出る。 
 
「現地人の考えなどどうでも良い。
 帝国に受け入れられないというのはどういう意味だ?」

「自分の夫や息子が現地人に対してした行為を家族が受け入れる訳がない。
 どれだけ箝口令を敷いても必ず漏れます」

「なんだ、そんなことか……バカが」

「つっ!!」

「箝口令を敷いていて自分がしたという兵が出る訳がない。
 自分の名誉が傷つくからだ。
 他に行為をしている者がいるらしい程度の情報は漏れるがな。
 そんなこと、都市伝説程度の噂にしかなりはしない。
 ダラスの策は日本を警戒しすぎている感はあるが、この世界の国家にも有効だ。制度をしっかりと作ってやれば、帝国の経済力を削らずに現地の力を利用して国家が安定する策だ。 
 兵達の息抜きにもなる。
 現地人の気持ちなど知ったことではない。
 統治が安定化しさえすれば良いのだ」

 ゲスタは続ける。

「お前は気持ちを考えすぎる。感情に流されすぎている。
 あまり感情に流されると、これだから女はと言われるぞ?
 そういえば、お前の日本国に対する報告書も、警戒しすぎだ。
 そこまで文明レベルに差があるはずがないだろう?
 確かに海軍は大敗したが、ありえない大敗だ。
 おそらくは待ち伏せされて圧倒的数で弾薬が削られたのだろう。
 もしかすると反政府勢力による現地反乱説が正しいのかもしれん。
 現に……これは私がつかんだ情報だが、海戦時に命令違反があったそうだ」
 
「海軍の大敗は、海軍自身も認めています。日本の評価は感情に流されたものではありません」

「まあ、反乱が実際にあったら海軍は必ず隠すだろうがな……。
 帝国は強い。前世界のケイン神王国よりも遙かに強い。
 この世界で相手になるのは神聖ミリシアル帝国だけだ。
 日本国など、技術で多少進んでいようが規模が小さい。すぐに追いついて圧倒的数で蹂躙出来るだろう。
 技術は進んでいるようだが、日本の保有艦艇数や作戦機数では守るのが精一杯、攻めることなど出来るはずがない。
 防御に回った帝国を突破できるはずがないのだ。
 まあ、本気で防御に回った帝国を突破出来る国など存在しないのだがな」

 空は微かに明るくなり始め、開発の進んだ都市レイフォルを照らし出す。
 現地軍事工場からはもくもくと煙が上がり、要塞のような軍事基地ラルス・フィルマイナは圧倒的存在感を放つ。
 世界のどんな敵がかかってきても負けるはずが無いと確信させるほどの力強さ。
 ゲスタは基地を見ながらタバコの煙を吸い込んだ。
 
「俺は……支配領域をさらに拡大させ、この世界の統治が可能だと考えている。
 そして、こんなチンケな地位ではなく、さらに上を目指す。
 そのためには現地人や日本人の命をどれだけ失わせようが全く構わない」

 ゲスタは権力欲にまみれる。
 彼は男らしさの象徴として話しかけているが、シエリアは、現地人の命を自分の出世のために簡単に使うこの男が苦手だった。
 ゲスタは続ける。

「シエリア、お前は優秀な女だ。
 感情に流される部分さえ無くなれば、本当に優秀だと言えるだろう。
 俺のために、俺の出世のために全力で働け、そうすれば俺が上に行ったとき、お前の地位をさらに引き上げてやる。
 地位が上がれば手に入る金は国からもらうチンケな給料だけではないぞ?
 現地から圧倒的な額を手に入れられる。
 もっと冷徹になれ!!
 帝国の力を過小評価するな!!圧倒的な力の象徴、ラルス・フィルマイナを目に焼き付けるのだ!!!」
 
 シエリアは帝国臣民のために働いてきた。
 出世欲にまみれたこの男に、心底嫌悪感を感じる。
 彼女は上を見上げた。

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posted by くみちゃん at 01:07| Comment(21) | 小説

第113話反撃の異世界軍2P3

「そんな……バカなことが……」

 回避する間も無く友軍機が撃墜された。
 パイロットはおそらく攻撃に気付く事もなく一瞬であの世へ行ったのだろう。
 圧倒的な戦力差。
 覆しようの無い戦力差にファンターレは震え上がる。

 基地から、膨大な量の対空砲火が打ち上げられる。
 何処からの攻撃か解らない恐怖から、兵達は闇雲に、空に向かって高射砲や対空機関砲を放つ。
 曳光弾はまるで雨のように空を埋め尽くした。

 日本国民が見たならば、湾岸戦争時、空に向かって闇雲に対空火砲を撃つイラクを彷彿とさせ、あるいは太平洋戦争において、空母に突入してくる神風特別攻撃隊に対し、対空火砲を雨のように打ち込むアメリカ太平洋艦隊のように見えるだろう。

 見た目に関しては申し分無く、力強く感じる。
 しかしーーー

「第1から33格納庫、爆発炎上中!!!」

「山腹外周対空砲沈黙、続いて……うあっ!!!」

 激しい爆発で、報告が途切れる。
 基地周辺の対空砲のみならず、基地内の対空砲が連続して爆発、沈黙する。
 激しい爆発が連続して起こり、建物が震えた。
 連続して爆発が発生しすぎたため、部下の報告は全く聞こえなかった。

 無線は不通で、有線についても混線しすぎて全く状況が把握できない。
 ただ、何処からか解らず攻撃され、反撃能力が奪われた事だけは周りを見ればよくわかる。
 すでに対空砲はすべて沈黙し、重要施設の爆発だけが続いていた。

「海軍に……海軍に頼るしか無いのかっ!!」

 ファンターレの全身を、無力感が覆った。

「基地が……帝国技術の最高峰を集めたこの基地が……燃える……燃えてしまうっ!!!」

 ファンターレ、そしてランボールは愕然と燃える基地を見るのだった。

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posted by くみちゃん at 01:06| Comment(10) | 小説

第113話 反撃の異世界軍2P2

不意に執務室の電話が鳴る。

「私だ」

『報告いたします。先ほどデズデモーナ駐屯地から、攻撃を受けつつあるという報告を最後に連絡が途絶えました』

「なにっ!?すぐに行く、訓練中の機にも警戒するように伝えろ!!」

 ファンターレは電話の受話器を強く置く。

「どうしました?」

「デズデモーナ駐屯地が攻撃を受けたようだ。
 すぐに指令室へ行くぞ。
 ランボール、結局直掩は5倍以上、お前の考えに近い数になりそうだな」

 2人は指令室に向かって走る。

 廊下を曲がり、階段を駆け上がった。
 息を切らしながら指令室へはいると、騒然として怒号が響き渡っていた。

「どうしたっ!!」

 ファンターレが大声を出すと、部下が駆け寄ってきて報告を開始した。

「はっ!!現在 シコラクス基地、ペルディー基地、陸軍デズデモーナ駐屯地、クレシダ駐屯地の連絡が途絶えました」

「そんな……そんなはずは無いっ!!各基地は有線で繋いであるんだぞ!!
 まさか無線でやりとりしてるんじゃないだろうな」

「無線はすでに使用不能です。
 唯一デズデモーナ基地が有線で攻撃を受けつつあるとの連絡を最後に通信が途絶えています」

 背筋に悪寒が走る。
 故障であってほしいと願うが、故障の可能性をさらに低くする報告が入る。

「対空レーダー5基すべて使用不能!!これより予備基3基を稼働させます……だめです、使用できませんっっっ!!!!」

 ファンターレがレーダー監視員の画面をのぞき込む。
 各レーダー用に用意された8個の画面はすべて真っ白になっていた。

「くそっ!!すべて周波数が異なるのだぞっ!!同時に白くなることなどありえんっ!!
 故障では……」

「故障ではありません!!すでに調べました」

 監視員はファンターレの言に被せるように話す。

「い……いかん!!敵の攻撃が予想される。
 上がれる機はすべて上がれっ!!
 総員戦闘配置!!!」

「すぐに指令します!!」

 ウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーッ
 基地に設置されたスピーカーから、大音量のサイレンが鳴り響いた。

「総員戦闘配置、これは訓練ではない。
 繰り返す、これは訓練ではない、総員戦闘配置!!!」

 部下により、ファンターレの命令が基地全体に伝えられる。

 グラ・バルカス帝国軍人達は、それぞれが持ち場に向かって走り出す。
 飛行場に設置された航空機はすぐに離陸するために滑走路に向けて走り始めた。

 ファンターレは窓から外を見る。
 大規模基地超大型滑走路から整然と友軍機が離陸するために滑走している。
 その姿は圧倒的な力強さを感じさせ、負けるはずが無いという確信すら持つ。

「出来る事はやった。これほどの規模と技術、練度を誇る我らが負けるなら、何をやっても勝てん」

 レーダーが8基同時に使用不能となった。
 考えられない技術力であり、もしかしたら本当に何をやっても勝てないのかもしれない。 司令官としてはあるまじき考えが一瞬脳裏をよぎる。

 アンタレス型戦闘機3機が同時に滑走していた。
 間もなく離陸しようとしたその時ーーーー。

 閃光が走る。
 続いて、何かの衝撃波が放射状に広がった。

「え??」

 耳を劈く爆音が響き渡り、離陸滑走中のアンタレス型戦闘機を巻き込む。
 各アンタレス型戦闘機は衝撃で主翼が折れて内部の燃料をまきちらかし、燃料に引火して壮大な炎が出現した。

 ガァァァァァァン!!!

 爆発の衝撃波で窓ガラスが割れる。
 
「うぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 ファンターレは飛び散ったガラスの破片を浴びた。

「何が起きたっ!!」

「事故か?」

 誰かが叫ぶ。
 しかし、次の瞬間、皆事故ではない事を確信する。

 連続して閃光が走り、基地内のレーダー施設及び山に偽装して設置してあるレーダー塔付近から猛烈な爆発が上がる。
 元々レーダーは何らかの原因で使用不能であったが、レーダー施設が破壊されたため、完全に使用不能となる。

「て……敵襲!!!!!」

「何処だっ!!」

 何処から攻撃されているのかすら見えない。
 ファンターレは空を見渡した。

「なっ!!!」

 整然と……力強く飛んでいた友軍機が激しく震えた。
 空に連続して衝撃が走る。
 空に40もの爆発が発生、友軍だったそれは火だるまとなって青い空に赤い炎を描き、黒い煙の尾を引く。

 平和だった空は一瞬で地獄絵図と化した。
 空から炎の雨が降る。


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posted by くみちゃん at 01:05| Comment(9) | 小説

第113話反撃の異世界軍2P1

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グラ・バルカス帝国 レイフォル地区 レイフォリア総合基地ラルス・フィルマイナ

 レイフォル地区には、多くの陸軍航空基地及び駐屯地が存在する。
 元列強国家、レイフォルの首都レイフォリアには、大陸国家群が侵攻してきた場合における最終の防衛手段として、グラ・バルカス帝国の大規模な基地が建設されていた。
 統合基地ラルス・フィルマイナはグラ・バルカス帝国がムー大陸統合のための総合司令基地として建設されたため、他の基地に比べても遙かに大きな基地である。

 陸軍と海軍の統合基地は、運用が極めて効率化された運用がされているため、他の帝国基地よりも純粋な軍事力は高い。

 幾何学的に配置された建物が特徴的なレイフォリア統合基地ラルス・フィルマイナの東側の空が微かに明るくなり、闇に支配された夜が終わり、星々が消えていく。

「失礼します!!」

 陸軍レイフォル守備隊長ファンターレの部屋に、陸軍将校ランボールが入る。
 昨夜からヒノマワリ王国との連絡が一切途絶えており、戦闘が行われている可能性
があると判断したグラ・バルカス帝国陸海軍は、厳戒態勢に移行しつつあった。

「ヒノマワリ王国とは未だ連絡が取れません。
 偵察に向かわせた機も次々と消息を絶っています。敵が本格侵攻している可能性が高いと判断します」

「そうだろうな……海軍には?」

「すでに連絡済みです。
 警戒態勢についてですが、直掩が少し少ない気がします。今の5倍に増やすべきです!!」

 ランボールの意見に、守備隊長ファンターレは怪訝な顔をする。

「ランボール大佐、何を言っている?
 敵の基地からここまで敵戦闘機の航続距離が持つとも思えん。
 戦闘機の護衛無しで攻撃機を出すほど敵もバカではないだろう?
 つまり、敵の航続距離不足により空爆は無い。
 あったとしても単発的なもので大規模なものにはならないだろう」

 ファンターレは、窓から基地を眺める。
 厳戒態勢に入った帝国陸軍航空隊は、いつでも発進出来るよう準備が整えられていた。
 機は整然と並び、軍人達の動きも鋭い。
 ファンターレから見ても、練度の高さは称賛に値する。

「直掩機の数は十分だ。このままで問題はない。
 レイフォリア近くには周波数の異なるレーダーが5基以上設置され、さらに予備が3基もある。
 敵の電波妨害で無線が通じなくなる可能性を考慮し、各基地は有線で、しかも地中化して繋いである。
 敵を見逃す事事態ありえん事だ。
 通常なら1基でも問題はないが……海軍の圧倒的敗退が原因で8倍もの数を設置している。
 本国の首都よりも遙かに凄まじいレーダー網と言って良い。
 そして付近の山々にも多数の偽装対空砲陣地を準備している。
 このラルス・フィルマイナの防空網は海軍の対空防衛陣よりも遙かに強力だ。
 敵の攻撃の可能性から推察するに、十分すぎる迎撃態勢だ」

 彼は続ける。

「それに……だ。
 お前も解っているだろうが、空爆のみで地上軍を攻略する事など出来ん。
 レイフォルにはまだ陸軍32万の大兵力が残っているし、基地や駐屯地も数多く存在する。
 また、東の海の果てには海軍のレイフォル防衛艦隊70隻が待機している。
 我が軍は圧倒的だ」

「我が軍が強いのは十分に解っています。
 ただ、相手は日本国です。
 この世界の者どもでははい。
 海軍の大艦隊は日本征伐のために派遣されましたが、大敗北を喫しました。
 陸と海は違う事は十分に解っていますが、日本国相手では警戒しすぎることは無いでしょう」

「ああ、確かに海軍は大敗した。
 これ以上無いほどの歴史的大敗だ。さらにリーム王国の陸軍航空隊も壊滅している。
 日本軍は強い。決して舐めてはいない。
 しかし、この迎撃態勢は厳戒態勢と言って良い。長期戦になる可能性を考えるとこれ以上の体勢というのは取りようがないだろう。
 直掩を上げたとして、いつまでも飛ばし続ける訳にはいかん。
 兵の数は圧倒的ではあるが無限では無い。
 まあ、現時点の話しをすれば、訓練飛行も行われていることから、空には5倍どころか、8倍以上いる計算にはなるがな。
 厳戒態勢に入るため、この訓練飛行も本日で取りやめで、かつ直掩の任務では無いため、ただいるだけだが」
 
 陸軍レイフォル守備隊長ファンターレはランボールの言を一蹴する。
 朝日は徐々に上り、基地を照らし始めていた。


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posted by くみちゃん at 01:03| Comment(20) | 小説