2021年06月25日

第114話反撃の異世界軍3P5

◆◆◆

 神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス

 軍務大臣シュミールパオと、国防長官アグラは夕刻であるにも関わらず、皇帝ミリシアル8世に謁見するため、アルビオン城にいた。

「皇帝陛下、急な報告をお許し下さい!!」

 彼等が足早に来る時点で急な報告であることは理解出来た。
 
「よい、急でなければ2人そろって急な訪問をする事はあるまい。
 約160代先の孫と遊んでいたので、少し気分を損ねたがな」

 いつもは整然としている皇帝の髭が少しゆがんでいる。ヒイヒイヒイが160回近く着く孫と遊んでいたところに呼び出されたため、皇帝ミリシアル8世は少しだけ不機嫌だった。

「日本国から外交部を通じて連絡がありましたので報告に上がりました」

「なんと?」

「ゴミ掃除は完了したとの事です」

「なるほど、艦隊派遣の報告も兼ねるか……詳しく聞こう」

 国防長官アグラ、軍務大臣シュミールパオは、皇帝ミリシアル8世に説明を開始する。


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第114話反撃の異世界軍3P4

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国レイフォル防衛艦隊 旗艦 マルゼラン
 司令長官アンダールは旗艦の艦橋から、空母から次々と発艦する航空機を眺めていた。
 
「やはり我が軍は圧倒的だっ!!」

「はっ!!そのとおりでございます」
 
 参謀シビエが同意する。

「これで、統合基地ラルス・フィルマイナに日本軍が侵攻してきていたら、空で滅する事が出来るな」

「はい、先手を打つとはさすがでございます。
 敵もいきなり海の方向から大量の戦闘機が現れるのですから、たまったものではありませんな」

「そうだな、空母は力だ。
 シビエ、知っておるか?私は大艦巨砲主義者なのだよ」

「え??」

 シビエは困惑する。
 アンダールは空母至上主義で、大艦巨砲主義を否定している人物。
 そんな彼が大艦巨砲主義だと話す。

「大艦巨砲は砲を遠くに飛ばすアウトレンジが基本だ。
 空母は爆弾を数百キロに渡って飛ばすのと同様、つまり結局はアウトレンジ戦法の延長なのだ。
 つまり、空母こそ今後帝国が力を入れるべきであり、空母こそが力なのだ。
 日本軍もひねり潰してくれるわっ!!」

 ああ、なるほど。
 大艦巨砲主義を否定する強烈な皮肉だった。

「ははっ!!その通りでございます」

 アンダールは自分の言葉に酔う。

「我が軍は……圧倒的……ダッ」

 ダァァァァァァン!!!!

 突如として目視していた空母に衝撃が走る。
 最初に光りが走り、衝撃波が空気を振動させた。続けて猛烈な炎が出現する。
 炎は空母を包み込む程に大きくなり、上部に整然と並んでいた戦闘機や爆撃機をなぎ払う。
 なぎ払われた爆撃機の爆弾が誘爆し、炎は力をつけて膨らんだ。
 続けて耳を覆いたくなるほどの爆発音が起こり、鼓膜のみではなく、体ごと振動させる。

「リュウセイ被弾!!!」

 続けてもう1発、同じ空母中央部から爆発と共に炎が上がる。
 敵の攻撃を再度受けた証拠だった。

「ちくしょう!!!」

 2度に渡る対艦誘導弾の直撃を受けたペガサス級航空母艦リュウセイは機体を真っ二つに折り、乗組員を救助する暇も無く海に消えた。

「空母リュウセイ、轟沈!!!」

 外周に展開する駆逐艦隊が対空砲を打ち上げ始めた。
 
「ほ……報告にあった誘導弾かっ!!そんな」

 誘導弾が来るならば、発射母体が付近にいるはずだった。艦隊外周にも航空警戒機を飛ばしていたはずだ。
 
「敵の射程は150kmをさらに上回ると言うのかっ!!!」 

「ぐっ……対空戦闘!!!」

 アンダールが指示するよりも先に、戦艦マルゼランからも猛烈な対空砲が上がる。
 艦隊から打ち上げられる対空砲の雨、見た目は凄まじいが、もどかしいほど当たらない。

「空母ドラルゴ被弾!!戦艦ラス・セレナール、ガーネットスター被弾!!駆逐艦ハラヘイル、オルナカ、セルナーカ、ヒルツク轟沈!!!」

 艦隊の至る所で火の手が上がる。
 その炎はたったの1回で、艦を航行不能にするほどの威力を持ち、あまりにも大きい爆発を引き起こす。
 降り注ぐミサイルの雨。
 
「なんて……何てことだ……戦闘にならんではないかっ!!!」

 アンダールは圧倒的な戦力差を実感する。
 眼前で部下が万単位で死ぬ。
 日本国とグラ・バルカス帝国では、帝国と現地人以上に差があるのかもしれない。
 1撃で航行不能になる威力の攻撃をすべて当てるなど、反則にもほどがある。
 帝国の超戦艦グレードアトラスターの主砲が150km以上飛翔し全弾命中するようなものだ。
 
「おのれ日本軍め、おのれおのれ……おのれぇぇぇぇぇっ!!!」

 ガァァァァン!!!
 艦が激しく揺れる。
 アンダールは頭を柱に打ち付けた。

 敵誘導弾は戦艦マルゼランの側方を貫き、内部で爆発。
 主砲砲塔付近から黒い煙が出ていた。

「い……いかん!!!」

 次の瞬間、炎は弾薬庫に引火、高き火柱が海上に出現した。
 
 グラ・バルカス帝国旗艦マルゼランは艦隊を真っ二つに折って海に沈む。

 ほんの数分の出来事だった。
 たったの数分の攻撃で、威容を放ち、世界最強、永久無敗と言われた大規模艦隊が海に消えた。

 沈まなかった船は水の上で燃えるスクラップと化している。

 異世界を恐怖に陥れていたグラ・バルカス帝国レイフォル防衛艦隊は日本国海上自衛P-1編隊18機による対艦誘導弾の飽和攻撃を受け、駆逐艦3隻及び潜水艦を残して全滅した。

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posted by くみちゃん at 01:17| Comment(28) | 小説

第114話反撃の異世界軍3P3

◆◆◆

 艦隊東方向 アンタレス改戦闘機編隊

 隊長コルメダは、東の空を睨んでいた。

「ん???」

 何かが超高速で飛んでくる。
 全神経を目に集中してそれを見た。

 戦闘機では無い。しかし多くの物体が艦隊方向に飛翔している事だけは確かだった。
 
「あれが……あれが誘導弾か?こんな距離からだとっ!?何て数だっ!しかも速いっ!!」

 おびただしい数の誘導弾が飛んでいく。
 コルメダはすぐにバンクし、ミサイルの来る方向へ機体を向けた。
 すでに無線は使用することが出来ず、目視でのやりとりとなる。

 部下達も非常に目が良い物達ばかり。
 すぐにコルメダの意図に気付いたようだ。
 アンタレス改戦闘機8機は、飛翔中の91式空対艦誘導弾に向けて急降下を開始するのだった。

 スロットルを全開にする。
 エンジンはその力を発揮し、プロペラの回転数が上がる。
 響くエンジン音、そして風防に当たる合成風。

 機内には轟音が響いた。
 彼は全神経を集中させる。

 絶対に落としてやる!!艦隊には到着させんぞっ!!!
 相手の速度が速すぎる。
 チャンスはたったの1回だろう。

「我らは栄えあるグラ・バルカス帝国……空の守護者だっ!!!絶対に当てる!!!」

 必中の精神で、彼は集中し、最高のタイミングで機関砲のボタンを押し込んだ。

 ダダダダダダッ!!!
 20mm機関砲2門、12,7mm機関銃2門、計4門が火を噴く。
 曳光弾が放物線を描き、敵の弾に向かって飛んだ。
 他の機体も攻撃を開始し、計8機は猛烈な射撃を開始した。

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!当たれ!!当たれ当たれ当たれ当たれアタレェェッェェェッ!!!!!!!」

 8機から放たれる曳光弾は、空に光の雨を降らす。
 1発が凄まじい威力を出す事は事前の知識で知っていた。
 1発でも落とせば数百人の命が救われる事も。
 彼は必死で誘導弾を落とそうと試みる。
 
 しかし……。

「そ……そんなっ!!!」

 1撃も当てる事無く、ミサイル群とすれ違ってしまう。

「お……お……おのれぇぇぇぇぇつ!!!はっ!!」

 思わず見上げた彼は超高空に飛行機雲を見つける。

「あいつが撃ったのか……あれが……あいつかぁぁぁぁぁつ!!!」
 
 すぐさま彼らは急上昇を開始した。

「奴らを落としてやるっ!!!」

 意気込んだ帝国の空の守護者達、しかし、全く追いつくこと無く、P-1に引き離されるのだった。

 グラ・バルカス帝国直掩機8機はミサイル迎撃に失敗した。

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posted by くみちゃん at 01:16| Comment(16) | 小説

第114話反撃の異世界軍3P2

◆◆◆

 レイフォル西側空域

 晴れ渡った空に、1機の航空機が高度10000m以上の高空を飛行する。
 早期警戒管制機(AWACS)と呼ばれるその飛行機は機体上に直径9.14mの円盤状の物体があり、同円盤はゆっくりと回転していた。
 
 遙か遠くを見通す圧倒的な『目』を持つ早期警戒機によって、海上自衛隊P-1飛行連隊18機と、F-15J改がグラ・バルカス帝国艦隊の方向へ導かれる。
 後方ではF-15J改の足を伸ばした空中給油機が旋回していた。
 
 P-1哨戒機
 防衛省技術本部と川崎重工業が開発し海上自衛隊が保有する哨戒機である
 ターボファンエンジンを4発登載した中型機であり、航続距離は8000kmにも及ぶ。 各機はそれぞれが91式空対艦誘導弾を8発抱えて空を飛んでいた。 

 艦隊までの距離は200kmを切る。

 P-1哨戒機18機の編隊は遙か高空に飛行機雲を引く。

「目標、グラ・バルカス帝国艦隊」

 AWACSがミサイルが無駄にならないよう、最適に目標が振り分けられていく。
 撃沈後の乗組員救助のため、駆逐艦3隻は目標から外された。
 極めて効率化した殺傷が行われようとしていた。

 P-1内において、隊員長田は思考を巡らせていた。

 グラ・バルカス帝国は度重なる警告を無視し続け、海上保安庁隊員をも手にかけた。
 さらに、日本国に殲滅戦をしかけたのでは無いかとも思える、空前絶後の大艦隊を送り込んできた。
 その数は、まるで第二次世界大戦中のアメリカ保有艦隊がすべてやってきたかのような大艦隊だった。
 弾薬を量産してなんとか退けた。

 しかし、これほどの物量を持つ彼等を放っておけば……奴らが核と大陸間弾道弾を仮に手に入れてしまえば、30年後にはとんでもない事になるだろう。
 彼等をこのままのさばらせてはならない。
 解っている。解ってはいるが……。

 このP-1には8発の対艦誘導弾が搭載されその内の一撃は巡洋艦を大破に追い込むほどの威力がある。
 駆逐艦なら撃沈してしまうだろう。
 つまり、自分がこのボタンを押せば、8発の誘導弾はどんなに少なく見積もっても1000人は殺してしまう。
 場合によっては数千人が死ぬだろう。

 必要な事は解っているが、彼等も命令して戦っている身だと思うと、こみ上げてくるものがある。
 一隊員如きが命令に逆らう訳にはいかない。しかし一際正義感が強い彼は、強いストレスを感じ、胃に穴が開きそうだった。

『攻撃開始!!攻撃開始!!!』

 無線が攻撃開始を告げる。
 彼は、命令通り、いつもの訓練と同じようにミサイル発射ボタンを押し込んだ。
 連続してミサイルは発射される。ガコンと音がして、少し機体が軽くなっただけだった。

「すまんな」

 長田は目を瞑り、黙祷する。
 見えない人の死は感覚を麻痺させる。
 やった事は、ボタンを押しただけ。大量に人を殺す感覚は、ひどくあっけないものだった。
 
 先頭を飛んでいたP-1哨戒機から連続して8発もの91式空対艦誘導弾が切り離される。
 次々と発射される空対艦誘導弾。
 弾はジェットエンジンで飛行を始めた。

 18機ものP-1哨戒機から連続して発射された91式空対艦誘導弾、144発は、グラ・バルカス帝国海軍レイフォル防衛艦隊を撃滅するため、徐々に高度を下げながら飛翔していった。

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次にくるマンガ大賞のWebマンガ部門に日本国召喚がノミネートされました。
 本当にありがとうございます
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レイフォル西側沖合約300km付近海上

 晴れ渡った空、太陽は今日も東から上り、僅かに波打つ海が光を反射して輝く。
 海の魚達はゆっくりと泳ぎ、海鳥たちはのんびりと浮かんでいた。

 そんな平和な海上に、水を裂き、白く海面を泡立たせながら緊張を走らせる者達が列を組んで進む。

 グラ・バルカス帝国レイフォル防衛艦隊 旗艦 戦艦マルゼランは東へ向かっていた。 マルゼランの艦橋で、レイフォル防衛艦隊司令長官アンダールは東を睨む。
 
「まだ、何があったのか判明しないのか?」

 横に立つ参謀シビエにアンダールは問うた。
 先刻から、レイフォル統合基地ラルス・フィルマイナからヒノマワリ王国と連絡が取れなくなっている。
 敵攻撃の可能性有りとの無線を最後に音信不通となり、さらにレーダーは使用不能となったため、先ほど偵察機を飛ばした。

 参謀は言葉を選んで報告する。

「現時点、不定期で起きる磁気嵐が原因か、もしくは人為的なものなのかは判明しておりません。
 日本軍は電子技術において優位性を持っているようで、彼等の攻撃の前にはレーダーが使用不能となる現象が報告されています。
 何らかの干渉を行っていると思われ、攻撃の可能性は捨てきれません。
 現在直掩を増やして空からの侵攻を警戒しております。
 先の海戦の大敗は、レーダーによって目が奪われ、相手の位置も解らずに一方的に殴られたものによります。
 よって、目の特に良い者を直掩には選抜しております」

「日本軍め、我が艦隊を先の遠征艦隊を同じと思うなよ」

 司令長官アンダールは辺りを見回す。

 圧倒的存在感と機能美、そして強さを誇る戦艦マルゼランを始め、
 ヘルクレス級戦艦(長門型に酷似)ラス・セレナール
 オリオン級戦艦(金剛型に酷似)ガーネットスター
 ペガサス級航空母艦 リュウセイ
           ドルラゴ
 他、強力な艦隊が進む。
 海中にはシータス級潜水艦隊27隻が潜んでいる。
 
 圧倒的な機能美と力強さを誇る戦艦群。
 エリートをかき集めた艦隊の練度は間違いなくグラ・バルカス帝国本国艦隊よりも上だろう。
 さらに、レイフォルが最前線となると判断したグラ・バルカス帝国は、新鋭機であるアンタレス型戦闘機改をも同艦隊に優先配備していた。

 アンタレス型戦闘機改の性能は驚愕に値するもので、本国で行われた模擬空戦では、熟練パイロットがアンタレス型戦闘機に乗り、中程度の練度を持つ者がアンタレス型戦闘機改に乗り、機の特性を生かして戦った。

 結果はアンタレス型戦闘機改が圧勝し、不敬な乗務員が
「赤子の手をひねるかのごとし」
 と発した言葉に熟練パイロットが激怒したという逸話を残す。

 この逸話は軍幹部のアンタレス型戦闘機改に対する信頼を深めていった。

 アンタレス型戦闘機改
 形が似ているため改と称したが、設計は1から成されており、全く別の戦闘機と言える。 防弾装備はもちろんの事、エンジン出力のさらなる向上で高度5000mで時速660kmを記録。
 従来のアンタレス型戦闘機よりも大幅に速度性能がアップしてた。
 

 司令長官アンダールもまた、優秀な軍人であったが、先の派遣艦隊の壊滅は圧倒的技術差によるものではなく、練度と運用に問題があったと考えていた。
 また、帝国軍部では先の派遣艦隊の多くは日本軍の戦闘機を見る前に撃沈されていたため、大敗は誘導弾によるものであると判断されていた。

 戦闘機の圧倒的性能差の目撃例は少なく、未だ戦場伝説ではないかとの見方も軍部内に根強く残っている。 

 冷静な分析に基づけば見えるものが見えなくなる。
 古き人間は生き方を変えることは出来ない。
 大敗という状況下であっても、どうしても受け入れられないものがあった。

「うむ、先手を打つか。
 ラルス・フィルマイナからの連絡が途絶えている。
 偵察機の帰還を待つこと無く、日本軍による攻撃が行われている事を想定し、これより戦闘機群による制空権確保を行う。
 直掩戦闘機以外の戦闘機部隊は直ちに発艦し、レイフォリア空域に向かえ!!!」

「直掩戦闘機は艦隊直上ではなく、旗艦から東に50km付近で警戒にあたれ」

「また、敵誘導弾発射の爆撃機を迎撃する必要があるため、直掩のうち半分は東側150kmまで警戒範囲を広げろ」
 
「はっ!!!」

 命令は正確に伝達された。
 空に舞う戦闘機は編隊を組んで東へ向かい、空母は風上に向かって全力疾走を開始した。
 迅速に発艦準備を整えた彼等は自信をもって東へ飛び立つのだった。



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posted by くみちゃん at 01:14| Comment(25) | 小説