2021年10月13日

第118話列強国の意地3P6

◆◆◆

 ムー大陸第2文明圏 旧レイフォル 首都レイフォリア 沖合

 沖合に展開する艦隊群。
 中央世界の世界最強たる国家、神聖ミリシアル帝国最新鋭戦艦を含む魔導艦隊と、東の最果てにあり、強烈な技術力を持つムーを超える機械文明国家。日本国海上自衛隊護衛隊群の出現は、レイフォリアの住民に大きな希望を与えた。

 神聖ミリシアル帝国艦隊は、大口径魔導砲でムー侵攻の本拠地、ラルス・フィルマイナを焼き払う準備を進める。

 旗艦たるオリハルコン級戦艦コスモの艦橋で、艦隊司令タキオンと艦長イレイザは話しをしていた。
 艦橋には魔力を凝縮する音が微かに響く。

「ついに、この時が来ましたね」

「このミリシアルの顔に泥を塗った代償を払わせてやろう。
 これから撃つ主砲は歴史に残る一撃、神聖ミリシアル帝国が異界の悪魔を葬り去った最初の一撃として歴史書に刻まれるだろう。
 その仕事にこのコスモは最良の艦だ」

「はっ!!」

『魔導砲、エネルギー充塡100%……爆縮回路準備完了』

『目標をグラ・バルカス帝国レイフォル統合基地ラルス・フィルマイナに設定』

 オリハルコン級魔導戦艦コスモに設置された旋回砲塔がゆっくりと回転を始める。
 旗艦のみではなく、他の神聖ミリシアル帝国艦の主砲も同時に旋回し、敵の基地へと狙いを定めた。
 最新鋭の演算装置が主砲の出力、目標との距離、風速、気圧から着弾地点へ適正に投射出来るかを計算する。

『仰角補正、+2度、主砲発射準備完了!!』

 発射の準備が整う。
 イレイザは艦隊司令タキオンを見る。

「3分経ったな」

「はい」

「殲滅せよ」

「はっ!!」

 艦長は、前を向く。

「目標、グラ・バルカス帝国統合基地ラルス・フィルマイナ……これより、我らに逆らった異界の蛮族どもに神罰を下す!!
 ミリシアルの怒りを思い知らせ!!
 徹底的に破壊しろ!!
 主砲、発射!!!」

 先進的艦影を持つ戦艦コスモの砲塔先からエネルギーが漏れ出し、微かに青く輝く。
 付近の粒子が魔導力に反応して可視化され、光り輝く小さな粒子が砲塔に吸い込まれていくようにも見える。
 次の瞬間、高音と共に主砲が発射された。

 コスモ型魔導戦艦の主砲は物理的コアも発射するため、その反動で微かに巨体の戦艦が傾く。
 三連装3門、計9門の主砲から発射された主砲弾。
 青色の光の尾を引き、主砲弾が空を駆けるのがはっきりと見える。

 他の神聖ミリシアル帝国艦隊も続いて砲撃を開始し、多くの光りがレイフォリアに向かって飛翔していった。

 グラ・バルカス帝国にとって……絶望の宴が始まる。

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第118話列強国の意地3P5


 慌ただしく動き回り、ラルス・フィルマイナからの一時的撤収の指揮を飛ばす司令室。
 ファンターレは艦隊を睨む。

「司令、敵艦が通信を送ってきています」

「そういうことか……」

 どうも、この世界では戦場で通信をしてくる者が多いようだ。
 この世界には、この世界なりのルールがあるのだろう。
 攻撃を受けないよう上手く立ち回れるかもしれない。
 そんなことを考えながら、ファンターレは通信を繋ぐ。

『私は神聖ミリシアル帝国混成魔導艦隊デス・バール 艦隊司令タキオンである。
 神聖ミリシアル帝国皇帝陛下の名において命令する。
 今すぐムー大陸全土のグラ・バルカス帝国軍に武装解除を命しよ。統合基地ラルス・フィルマイナにおいても降伏し、司令室上部に中央世界降伏旗を掲げよ』

 ラルス・フィルマイナだけでも降伏せよと通信してくるかと思いきや、ムー大陸すべてを武装解除せよと言う。
 そんな事が出来る訳がない。
 
 周りを見渡す。
 まだ一部の上層部と通信装置しか撤収が済んでおらず、ほとんどの兵力は統合基地にある。
 彼は策を講じることとした。

「この統合基地ラルス・フィルマイナだけであれば、私の権限で判断できるが、ムー全土となれば、本国に確認する必要がある。
 時間をくれないか?」

 無線の先から微かに聞こえる笑い声。
 その嘲りにも似た笑い声が腹立たしく感じた。

『時間稼ぎか……おおかたその間に陸軍兵力の温存にはいるのだろう?
 実に小賢しい。
 神聖ミリシアル帝国は、そう言い放った物達への回答も決まっている。
 我々は慈悲深い。3分だけ時間をやろう。
 3分以内に回答が無い場合はラルス・フィルマイナ基地に攻撃を加える。第2文明圏を戦乱に巻き込んだ事を悔い、神聖ミリシアル帝国に剣を向けた……愚かなる選択をした祖国を恨みながら死ね』

 3分では何も出来ない。
 車を使用したとしても、この司令所から基地の外までの時間すら足りない。
 双眼鏡で沖合の戦艦を見ると、回転砲塔がゆっくりとこちらを向く。
 
「お前たちもすぐに撤収しろ!!間に合わないと判断したら、地下室へ向かえ!!私は……残る!!」

「司令も撤収するべきです!!」

「良いから行け!!議論している時間が無駄だ。
 この時間はお前たちの命を左右するぞ!!
 私は、栄えある帝国陸軍の司令官として、けじめをつけなくてはならないのだっ!!!」

 ファンターレの気迫は凄まじかった。部下達は、迅速に退室する。

 一人残ったファンターレ。
 彼は双眼鏡で艦隊を見る。

 一番大きな戦艦の回転砲塔がこちらを向いている。
 やがて、3連装の砲の先が青く輝き始めた。

「つくづく異世界だな」

 波一つ無い水面のように、心は穏やかで冷静だった。
 生まれてから今までの思い出が、頭に浮かぶ。
 優しかった母、厳しくも愛情を持って育ててくれた父、脳天気だった妹、そして学生時代の友人達。

 美しい女性との恋、そして結婚。
 どんな時も支えてくれた妻、可愛い3人の子供達。
 思い返せば幸せだった。 

「……あまり、遊んでやれなかったな」

 忙しくも仕事に突っ走り、お世辞にも良い親、良い夫とは言えなかったかもしれない。 このまま家族に何もせず、人生が間もなく終わる。 

「いやだ!!死にたくない!!!」

 急に心が荒ぶり、感情の波が溢れる。
 気付けば涙が頬を伝う。
 周りに部下達はもういない。

「私はまだ家族に……お世話になった方々に恩返しをしていない!!!」

 ただ一人のこされたファンターレ、誰もいないこの空間で、心の底にあった本音が吹き出る。

「私は……私はっ!!こんな所でっ!!こんな事で人生を終わるのは……」

 視線の先で、神聖ミリシアル帝国戦艦の主砲が放たれた。

「ああああぁつ!!!」

 彼が思考を続ける間、敵が待ってくれる訳では無い。

 青い尾を引き、主砲が打ち上がる。放物線を描いてこちらに飛翔してくる悪魔の光。
 彼は複雑な感情をもって、その光りを眺めるのだった。 

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第118話列強国の意地3P4

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国統合基地 ラルス・フィルマイナ

 敵国の艦隊がレイフォリア沖合20数キロメートルという至近距離に現れた。
 陸軍司令ファンターレは、沖合に現れた艦隊を、絶望的な気持ちで眺める。

 彼等の想定よりも早く、イルネティア王国付近に展開していた艦隊は破れた事を痛烈に実感した。

 帝国陸軍の火砲の射程外であり、基地の航空戦力は全滅。
 各地に散らばる残存航空戦力は、未だラルス・フィルマイナの滑走路の準備が整っていなかったため未だこの場にはいない。
 一方的にやられる可能性がある状況下で、何故彼等は撃ってこないのかを疑問にすら感じた。

 途中、敵艦隊は機雷が多くある海域を通ったはずだが、どうやら効果は無かったらしい。
 基地はすでに戦闘態勢に移行し、多くの陸軍軍人の士気は高かったが……。

 戦艦はただ1隻で、空を埋め尽くす爆撃機による航空攻撃と同等の投射力を持つ。

 それが艦隊を成し、沖合に展開している。
 艦砲射撃の投射力は陸軍のそれとは次元が違うため、恐ろしさを知るファンターレは震えが止まらない。
 
「何故……撃ってこない!!!」

 額ににじみ出る玉のような汗、彼は艦隊を睨む。
 自分の生死を決めるボタンを敵が握っていると思うと、吐きそうになった。
 今すぐに基地を放棄して逃げ出したい衝動に駆られるが、すでにダイジェネラ山への兵力は振り分けられていた。
 ここにおいて、ファンターレは戦力を温存する決断をする。

「可能な限り、各部隊は一時的に街中へ移動し、ラルスフィルマイナから遠ざかれ!!!
 残存航空戦力があれば、レイフォル沖合の艦隊を攻撃するよう指示を出せ!!
 ……もっとも、準備を整えて飛んでこれる飛行機は少ないだろうがな……。
 ランボール、すぐにここから去って、私に万が一の事があったと判断したならば、一時的に君が私の名の下に陸軍の指揮を取れ!!
 状況が落ち着いたら、階級が上の者に引き継ぐのだ。
 混乱が生じている時は、誰が現時点一番上の階級かなど解らん事が多くなる。
 指揮系統はしっかりと保持しなければならない」

「し……しかし!!」

「解らんのか??もう終わったのだよ」

 沖合に展開する艦隊に、現時点打つ手は無い。
 流れる沈黙、そして有無を言わせないファンターレの気迫に、ランボールは反抗せずに従う事とする。

「……はっ、承知いたしました」

 ランボールはすぐにラルス・フィルマイナにいる他の省庁職員に伝達し、自らも撤退を開始する。
 陸軍部隊も基地から撤収準備に入るのだった。

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第118話列強国の意地3P3


「はっ!!!」

「あ……あ……あ……あぐ……あ」

 殴りかかろうとしていた者の目が見開かれる。
 あまりにも驚いていたため、帝国軍人の目線の先をレイフォル人達も見つめた。
 海の先、遙か遠くに艦影が見える。
 その艦影は、見慣れた帝国艦艇では無く、敵国の艦影。
 距離は20km超といった所だろうか。

 ある者は、双眼鏡を手に、注視した。

「あっ!!!あれはっ!!!!」

 双眼鏡を見る者が叫ぶ。
 彼が見た先、白地に赤い太陽が強力な光を八方に放つ旗。

 絶望を払拭するような、太陽が強力な光りを放つシルエットの旗が目に入る。
 その隣には一際大きな戦艦も見えた。

「あれは……何処の魔導戦艦だ??……おっ!!神聖ミリシアル帝国艦隊もいるぞ!!!!」

 双眼鏡で見た者は、日本国の旗を知らなかった。
 ただ、グラ・バルカス帝国と敵対する強力な艦隊が現れた事は理解する。

 もはや、制海権はグラ・バルカス帝国には無い事が証明された瞬間だった。

「お………うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 人々は叫ぶ。
 魂の底から雄叫びを上げる。

 たったの1艦に海軍のみではなく、すべての竜騎士団が負けた。
 圧倒的な敗北と、超高性能な武器を操る異界の軍に、為す術も無く敗北し、屈辱的支配を受ける。
 頼みの綱であった機械文明超大国「ムー」ですらもグラ・バルカス帝国の前に手も足も出ず、異次元の強さを誇る神聖ミリシアル帝国でさえも苦戦する。

 誰もが絶望した。
 
 しかし……絶望の淵を静かに朝日が昇る。

 白地に赤の模様を持った天翔る鋼鉄の竜が超強力とされる基地ラルス・フィルマイナを燃やし、レイフォル人達の目の前に艦隊を引き連れて現れる。

 日本国を知るものは、噂以上の強さに驚き、大半の知らぬ者達は世界最強たる神聖ミリシアル帝国艦隊の最新鋭戦艦の登場で、心に希望が灯された。
 
「おい!!愚帝人!!お前らは終わりだ!!さっさと帰った方が良いんじゃ無いか?」

 誰かが叫ぶ。
 集団心理が働き、帝国軍人に石を投げる者も出てきた。

「き……貴様らぁあぁぁぁ!!!」

 ヒステリックに叫ぶが、もはやグラ・バルカス帝国軍人の言うことを聞く者はおらず。
 石が投げられ続ける。

 彼等は凄まじい憎悪を感じ、仮に銃を使えば八つ裂きにされる事を理解する。
 圧倒的多数の住民に勝てるはずもなく、彼等は逃げ帰るようにラルス・フィルマイナへ走るのだった。
 
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第118話列強国の意地3P2

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国領 レイフォル地区 レイフォリア 

 放射冷却によって急激に下がった空気中の温度が海水温よりも低くなったため、海の水分は急激に蒸発し、濃い霧が発生する。。

 少しだけ高台にある、海の見えるオープンテラス風の食堂、雰囲気の良いオープンテラスだが、霧のせいで台無しである。

 食堂では2人の男が食事を取っていた。
 一人は人間、そしてもう1人はドワーフ族だった。
 洒落た食堂には似合わない2人であったが、彼等はそんなことは気にせず、朝食のパンとミルクを食べながら話す。
 
「おいおい、聞いたか?どうもグラ・バルカス帝国の本国艦隊が、神聖ミリシアル帝国のたった1艦に敗れ去ったらしいぞ」

 昨日酒場で聞いた話を、ドワーフの男が大声で話す。
 酔っ払っていたので詳細は覚えていないが、どうも憎きグラ・バルカス帝国が敗れ去ったようだと聞き、テンションが上がる。

「それが本当なら、とんでもない事だ!!」

 聞いた人間族の男も、久々の朗報に、全身が震えた。

「おい!!何を話している!!!!」

 声が大きすぎた。グラ・バルカス帝国兵に聞こえたようだった。

「おい!!何を話していたかと聞いているっ!!!」
 
 真っ直ぐこちらに向かって歩いてくる。

「いえ、最近の天候の話しをしていました」

「嘘をつくな!!帝国の本国艦隊という話しが聞こえたぞっ!!卑しい蛮族の貴様らがこの帝国軍人様に隠し事をする気か?」

 どうも冗談の通じないガチガチの頭をもった軍人のようだった。
 
 長い間に渡って蓄積した抜け出ることの無い閉塞感、そしてたまりきった鬱憤が、2人のレイフォル人の行動を狂わす。

「……ってんだよ!!」

「はぁ!??」

「お前らご自慢の本国艦隊が、神聖ミリシアル帝国艦のたった1艦にあっけなく全滅させられたって話してたんだよ!!」

 敗戦の報を聞いていない末端の帝国陸軍軍人は、蛮族共の不遜極まる態度に怒りを覚えた。

「お前ら蛮族は、まだ我がグラ・バルカス帝国軍の強さを的確に認識できないのか??
 お前らの言う本国艦隊とは、おそらくイルネティア王国周辺に展開する空母機動部隊の事を指すのだろう。
 それらの部隊の打撃力は、お前らこの世界では列強だったレイフォル国すべての艦隊が100倍いたとしても、この1部隊に決して勝てぬほどの戦力だ。
 増してこの世界の最高国家とはいえ、たった1隻が勝てる艦隊ではない!!」

「お前は下っ端だから、教えられてないんだろう?
 それに、お上様から教えられたことがすべて本当だと思っているのか?ラルス・フィルマイナの現状を見てみろ。
 少しは与えられた情報だけではなく、自分の頭で考えてみたらどうだ?」

 軍人は目を丸くした。
 今まで不遜な輩はいたが、帝国軍人をこれほどまでに侮辱する人間はいなかった。
 衝動的に拳を振り上げる。

「貴様ーーっ!!!」

 ドワーフの頬から鈍い音がする。

「仮に、イルネティア王国周辺艦隊がいなくなっても、すぐに本国から強力な艦隊が送られてくるはずだっ!!
 たった1隻で覆るような戦力では無い!!!」

「てめぇ!!殴りやがったなっ!!」

 ドワーフも、帝国軍人に強力な一撃を加える。
 人間族も混じって、大声を張り上げ、殴り合いに発展した。

 やがて人だかりが出来、他の帝国軍人にも知られる事となる。

「お前らぁ!!何をやっとるかぁ!!!」

 怒号に軍人の拳が止まり、直立不動となった。

「はっ!!この者達が、帝国艦隊が神聖ミリシアル帝国艦に敗れ去った等とぬかしたものですから……」

 階級が上の者なのだろう。

「貴様ら、現地人のぶんざいで、帝国軍人を殴るとは……覚悟は出来てるのだろうな?」
 
 加わったグラ・バルカス帝国軍人はがドワーフに襲いかかろうとした時だった。
 強く照り尽くす太陽により、急激に暖められた空気の温度は、海水温よりも高くなる。
 驚くほど早く、霧が晴れていった。
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第118話列強国の意地3P1

ムー大陸 グラ・バルカス帝国領 レイフォル地区 都市レイフォリア

 グラ・バルカス帝国軍統合基地 ラルス・フィルマイナ

 人や物が焦げたにおいが鼻につく。
 すでにすべての消火活動を終えたはずだが、消し炭となった戦闘機や人だったものから、人間が拒否反応を示すほどの刺激臭が漂う。

 生き残った者や広場に集まった幹部達は今後の作戦について激論を交わしていた。
 自分や部下、そして入植した帝国臣民達の命のかかった作戦立案。
 かつてない敗北と戦力喪失に焦りが加速していた。
 
 明らかになってきた敵の戦力評価と残存兵力から導き出される結論。陸軍司令ファンターレはどうしようも無い現状に、胃がキリキリと痛む。

 統合ラルス・フィルマイナへの攻撃と、各拠点となる基地や駐屯地には順次敵の攻撃が加えられた。
 航空戦力は軒並み破壊され、対空火砲もまるで狙われたかのようにピンポイントで破壊される。
 粗方対空兵器が破壊された後に、敵地に近い各駐屯地に対してはムー国の旧式戦闘機部隊による反復攻撃が行われる。
 ラルス・フィルマイナに対しては航続距離が足りないのだろうか、ムーによる航空攻撃は行われなかった。

 主たる航空戦力、そして対空火砲が失われた陸軍にとって、ムーの旧式戦闘機部隊は脅威であった。
 欺罔した対空砲や、破壊し損ねた対空砲で敵を何機かは落としたが、敵の量は多く、徹底的な反復攻撃によって破壊が行われる。

 主な機械化師団はすでに無く、歩兵を主力とした残留戦力の寄せ集めで戦わなくてはならない。

「では、まとめるが……」

○ 陸軍総司令は統合基地ラルス・フィルマイナに置き、各地に展開する陸軍駐屯地への 指揮をとる。
○ レイフォリア防衛戦力主力として、レイフォリア南部にある要塞化した山(海抜高度 429m)ダイジェネラ山に兵器をかき集めて籠城作戦を取る。
  これで、敵が仮にレイフォリアを制圧しても、後方から襲撃を受け続けるため、ダイジェネラ山を攻略せざるを得なくなる。 
○ 補給の絶たれる可能性が高い各駐屯地主力兵力は後退しつつ、敵が侵攻してきた場合 はその戦力を削ぎ、レイフォリア東側まで後退し、東側森林地帯に潜伏して絶対防衛ラインを構築する。
  後退時は、少数のゲリラ部隊、狙撃部隊等を必ず残して敵の足止めを行うこととする。
○ 破壊を免れた陸軍航空隊は、直ちにラルス・フィルマイナ方面へ撤収し、レイフォリア周辺の空域を警戒する。

 重火器と補給が絶たれた軍に残された選択肢は少なく、せめて食料の補給が可能なレイフォリアを落とさない事を目標とした。
 屈辱的な作戦、同作戦は迅速に各地に伝達されるのだった。
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