レイフォリア グラ・バルカス帝国要塞山 ダイジェネラ山
レイフォリアの近くの山を改造して作られた要塞ダイジェネラ山
要塞の奥深くに、グラ・バルカス帝国陸軍の総司令本部が設置されていた。
海からの補給路は絶たれ、前線への橋が空爆によって破壊された。
主要基地や駐屯地は日本の空爆によって大まかな対空兵器が攻撃を受けた後、ムー国による圧倒的物量で徹底的な破壊作戦が行われる。
空爆によって瀕死になったところを航空支援の元、ムー国陸軍が攻め入ってくる。
敵は夜間爆撃能力や、夜間の作戦能力をも手に入れているようであり、グラ・バルカス帝国軍は劣勢に追い込まれる。
各駐屯地や基地から上がってくる戦況は絶望的な情報ばかりであり、陸軍大佐ランボールは焦りを隠せない。
撤退、敗退を繰り返す。
大部隊ごと降伏したという事例も多数出る。
忙しく指示を出すランボール。
そんな中、外務省の面々が部屋に入ってくる。
「おい!!この軍の体たらくは何だっ!!それでも精鋭の帝国兵か!」
統合基地ラルス・フィルマイナの消滅から何とか逃げ延びた外務省東部方面異界担当部長ゲスタはランボールを叱責する。
「今ある兵力で最善の方法を考えております」
日本軍の協力を得た異界連合国家の強さは圧倒的であり、要塞への籠城作戦しか手は無い。
補給も無く、戦力比も絶望的であった。
「ぬぅぅぅっぅっ!!我は外務省の幹部だぞっ!!我ら非戦闘員だけでも本国へ撤退する方法はないのかぁ!!!」
「……ゲスタ部長、そのような手はありません。
近海の海軍主力も全滅し、各駐屯地も敗退につぐ敗退を繰り返しております。
敵の戦力を削ぐゲリラ作戦しか取れない現状です。
レイフォリアの制海権も、制空権も敵の手に落ちております。
現在飛ばせる航空機も無く、あったとしてもすぐに撃墜されるでしょう」
「私はっ帝国の大幹部だぞっ!!
貴様らよりも、遙かに帝国に貢献してきた。
そんな私を命の危機にさらすとは、なんたる醜態か。
必ず責任を負わせるぞ!」
ランボールは正直忙しい。
すぐにでも指示を出さないと撤退が遅れる部隊もあり、有軍兵の命が失われていく。
ゲスタの叱責など聞いている暇は無いのだ。
「大体お前ら陸軍は……」
「ゲスタ部長!!」
ランボールは大声を出す。
「今は叱責を聞いている暇はありません。
早く指示を出さないと、戦場での展開が遅れて被害が拡大するのです。
それと……貴方が外務省において権威ある事は理解しています。
ただし、さきほどから私に罵声を浴びせているが、私は貴方の部下では無い!」
「な……なんだとぉ、その言い方は何だ!!」
「ゲスタ部長を部屋にお連れしろっ!!」
ランボールは大声を出し、部下が迅速にゲスタを部屋から追い出した。
着いてきていたシエリアは、申し訳なさそうにランボールに一礼し、部屋を出ようとする。
「シエリアさん」
ランボールはシエリアを呼び止めた。
「はい」
「後でお話があります。落ち着いたら伺います」
「……解りました」
ランボールは指揮を取り続ける。
一緒に逃げてきた非戦闘員達も、自分の命が風前の灯火だと理解し、心は荒れた。
絶望的な空気が要塞全体を包み込むのだった。
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