都市レイフォリア ダイジェネラ山付近上空
多くのワイバーンが山を周回しながら飛翔する。
その量は極めて多く、見ている者達を圧倒する。
神聖ミリシアル帝国が日本の技術の一部を真似て作った新型魔信による管制システムと、大平野に大量のワイバーン食料をあらかじめ運び、天然の飛行場とするという単純なシステムが、一斉攻撃を可能としていた。
ムー大陸、中央世界、第3文明圏、そして文明圏外国家群。
世界中より様々な方法をもって、かき集められたワイバーンは異界の大帝国が作りし強力な要塞に一撃を加えるため、大空を舞う。
歴史上最大とも言える大飛龍群の攻撃開始命令は、様々な政治的、戦略的理由で現場から行う事となった。
号令を行う立場となったニグラート連合第3飛龍隊隊長 ダールは突撃命令を出すという大役を任される事となる。
自身も見たことが無いほどの大量の竜が空を覆い尽くす。
ダールは突撃命令を出すという意味、歴史的重みを感じずにはいられない。
彼はグラ・バルカス帝国の……侵略者達の要塞を睨み付けて思いを巡らす。
突如として現れた異界の帝国は、列強レイフォルの保護国、パガンダ王国を攻めてあっさりと陥落させた、そして、懲罰行動に出た列強レイフォルの艦隊をたったの1艦で全滅させ、レイフォリアを圧倒的武力で攻撃した。
列強の陥落、かつて無い事態に世界は震撼する。
彼等の進撃は止まらず、先進国の集う世界会議をも攻撃し、全世界に宣戦を布告。
目に余る世界秩序の崩壊、帝国の横暴さに、中央世界の世界最強たる国家、神聖ミリシアル帝国は激怒。
対グラ・バルカス帝国戦に古代兵器の投入に踏み切る。
古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国の古代兵器までもを投入するも、痛み分けになるという戦慄の戦果、敵はあまりにも強く、強大であり、全世界が絶望した。
しかし、日本国の参戦によって状況は一変する。
当初は同じ科学技術を持つ日本国は数の上で不利であり、グラ・バルカス帝国有利の予想が多くの国で想定された事であった。
しかし日本国の音速を超えし空の軍、そして圧倒的なる科学力の塊と言われる護衛艦隊を前に、グラ・バルカス帝国海軍主力艦隊は壊滅した。
強力な力を得た世界連合は、ムー大陸において、反撃の狼煙を上げる。
日本国の空爆から主要施設を破壊して始まる攻撃は、帝国の反撃兵器をことごとく無力化、その後ムー等、列強軍が突入して地上を占領する。
また、伸びた補給線を狙った攻撃により、補給は滞り敵はジリ貧となる。
これらの戦闘によって敵を孤立化させることに成功し、レイフォリア近くまで
進軍することが出来た。
しかしここで問題が発生する。
敵はダイジェネラ山という、難攻不落の要塞に大規模兵力を温存して立て籠もる。
空から欺瞞され、山に溶け込むかのような砲は見つけることも難しく、森林は精密爆撃を不可能とした。
神聖ミリシアル帝国による大口径魔導砲も効果が無い。
「まさかここで我らが主力となりうる出番が回ってくるとはな……デルガー、せめて敵は
とってやるぞ」
ダールは戦死した部下の名を呼んだ。
一呼吸して魔信のスイッチを押し込む。
『現地司令より各局、現地司令より各局、攻撃開始!!攻撃開始!!栄えある竜騎士団の力を見せつけるのだ!!我らが力で敵を焼き尽くせ!!!』
ギュオォォォォン!!!!!!!!!
ワイバーン達が一斉に咆哮を上げる。
その鳴き声は、レイフォリア全域に響き渡った。
散開していたワイバーンは一斉に山へと向かうのだった。
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