「乗り継ぎで申し訳ないのですが、あちらの飛行機に乗り換えをお願いします」
クイラ王国に設置してある日本国が運用、管理する飛行場において、ヘリコプターから飛行機に乗り換える。
エプロンには日本国政府がチャーターしたジェット旅客機、B-787があった。
「ほう?少しは大きい飛空艦があるじゃないか。
しかし、武器を積むスペースが無いな」
魔戦騎士団長アバドンは横に立つ飛空艦隊長シエドロンに話しかける。
「大きな翼がありますな。
まるで鳥のようだ。
魔素拡散器が見当たらない、本当に未知の文明だ」
「しかし威厳の無い形だ、戦になれば、あっさりと勝ちそうだな」
二人のやりとりを聞いていた魔法技師テタルは話しに割って入る。
「アバドン様、シエドロン様、お話中のところ申し訳ないけど、あれ……たぶん途轍もなく速いです」
テタルは国と国の対立に興味は無く、技術にのみ興味を持つ。
純粋に技術的視点からB787を眺めた時、あまりの線形美にため息が出た。
凄まじい性能を誇る機械は美しくなる。
圧倒的な大きさ、流れるような流線型、空気圧縮放射で飛ぶなら、あの翼に2つ付いているのがエンジンだろう。
たったあれだけの大きさであれほどの大きい機体を、魔力を使わず空に浮かべるなど、とんでもない出力だ。
我が国の技術を遙かに上回る物が目の前にあるという事は疑いようが無く、感動さえも覚えるこの状況下において、軍人達は自分たちの国が上だとのたまっている。
滑稽であり、日本人に聞かれたらたまらなく恥ずかしい発言。
そのような思いから、テタルは軍人達の会話に割って入ったのであった。
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