■ 会議室
お互いの挨拶から会議が始まる。
「今日はどのような用件で来られたのでしょうか?」
今までの異世界での経緯、そしてクルセイリース大聖王国がシルカーク王国へ提示した内容を知っている朝田は警戒して尋ねる。
「私はクルセイリース大聖王国の王家から命を受け、参りました。
私としてはお互いの事を良く知らず、不幸な衝突を起こしたくないという願いがあります」
朝田は今までとは異なる展開に目を丸くする。
ミラは続けた。
「シルカーク王国の方々から、この周辺国に対する日本国の影響力は絶大だと伺っています。
我々は日本国の事を良く知りたいと思います。なるべく早く、9名から成る調査団を日本国へ派遣したい。
本日は、その調整をお願いにやって来ました」
「調査団受け入れは本国に報告したいと思います。
先ほどおっしゃった、不幸な衝突を起こさないようにしたいというのは、国としての意思でしょうか?」
「申し訳ないが、国家としての意思ではありません。
ただ、不要な衝突を避ける方法は常に模索したいと考える人間は王家にもいるという事です。
よって、今回の派遣はあくまで調査団であり、使節団ではありません」
「……解りました。
ちなみに日本国から貴国に対し、調査団もしくは使節団派遣を受け入れていただく事は可能でしょうか?」
「現時点では……出来ません」
ミラは言葉に詰まる。
「……解りました。
色々事情がおありなのでしょう」
朝田はクルセイリースが一枚岩では無いことを察する。
調整を実施し、後日日本国は調査団を受け入れる事となった。
◆◆◆
シルカーク王国 王都 練兵場
「来たか……あれが……凄いな」
船の上にプロペラが付いた機体が飛ぶ。
日本国への調査団がやってくる。
データがほしかったため、空飛ぶ船で日本国まで来れないか打診したが
○ 高純度液体魔力燃料が手に入らない
○ 日本国からクルセイリースへ迎えに行こうにも、船の入港を拒否される
等の理由から、第三国で他の交通手段に乗り換える事となった。
シルカーク王国が協力を申し出、王都練兵場で乗り継ぐ事となったのであった。
シルカーク王国練兵場では相手の技術レベルを探るため、自衛隊はもちろんの事、多くの有識者や技師が待機する。
また、クスセイリース大聖王国調査団9名を案内するため
外務省 朝田
自衛隊 田代
そして、若手であるが航空工学、機械工学に精通した
工学博士 井手
が、案内人として専従する事となっていた。
飛空艦が近づいてくる。
おおよそ考えられない大きさの物が飛ぶその様子に、日本国の面々は息をのむ。
フィィィィィン
「あれは……まいったな。航空力学や空気力学を使用した飛行ではありません」
井手は隣にいた朝田に話しかけた。
「何故そう思えるのでしょうか?」
「ヘリコプターのダウンウォッシュ……簡単に言えば、下へと吹き付ける風が少なすぎます。
また、あの程度の翼であれほどの大きさの機体は飛ばないでしょう。
まあ、とてつもなく軽い素材なら別ですが」
「なるほど、自衛隊としてはどう見ますか?」
朝田は今回案内人の一人である、航空自衛隊の田代に話しかけた。
「……初見のみなので、なんとも言えませんが、あれが多くの荷を積めるのであれば、運用方法によっては脅威となりうるのかもしれません。
あれは航空戦力の主力では無いでしょう。おそらく我が国でいうところの護衛艦か、輸送ヘリに相当するのでしょう。
あれに限定するなら、遅いのでヘリコプター程度の脅威度とは思いますが、彼等の国にはどれほどの機体があるのか解らないため、大きな脅威となる可能性は決して捨ててはならないと思います」
様々な可能性を議論する日本国の専門家達。
飛空艦は練兵場へ着陸するのだった。
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