「おまえ達は知らなさすぎる!!
我らが世界は3つの大文明圏が存在する。
文明圏は文明圏外国家に比べ、遙かに繁栄しているのだっ!!
その文明圏の中でも列強国は別格。比較にならないほど繁栄している。
貴様が今いる国、シルカーク王国は文明圏外国の中でも後進国だ」
彼は続ける。
「そしておまえの前にいるのは、第3文明圏の影響範囲の国、5大列強国の内の2国、パーパルディア皇国と日本国だぞっ!!
我らが第3文明圏勢力圏は、異界の大帝国たるグラ・バルカス帝国の大艦隊侵攻……。
中央世界の古代兵器でも止められなかった圧倒的艦隊の侵攻をも跳ね返すほどに強力なのだっ!!
おまえ達程度の……魔導戦列艦を空に飛ばした程度の戦力で、我らを支配出来るものではないわっ!!
この無知なる蛮族があっ!!」
朝田は呆れる。
この軍人は嘘は言っていないが……。
○ 列強国は別格、確かにそのとおりである。
レイフォルは中等国となり、日本は列強入りしたが、パーパルディアが列強というのは 微妙なところだ。
ただ、パーパルディア国内では5大列強国として教えられている
○ グラ・バルカス帝国の大侵攻を止めたのは日本国である。
しかし、日本国の本格的衝突の前に、ワイバーンや戦列艦による散発的攻撃が行われて いた。
効果はほとんど無く、パーパルディア皇国は本件に参戦していなかったが、第3文明圏 勢力圏の国という意味において嘘ではない。
「日本国の方々も、彼らに何か言う事があるのではないですか?」
パーパルディアの将は話を朝田にふる。
カムーラは朝田に目を向けた。
「えーおほん……では」
朝田はクルセイリース大聖王国の大使へ向く。
「軍事的圧力をかけ、シルカーク王国を一方的に攻撃するという行いは、シルカーク王国のみではなく、周辺国家に対して多大な影響を与え、周辺地域を不安定化させる行為です。
あなた方にはシルカーク王国を侵攻し、さらに他国をも攻め落とさんとする、領土拡大の野心がはっきりと見える」
朝田は続ける。
「日本国としましては、このような行為は誠に遺憾であると言わざるを得ません」
カムーラは怪訝な顔をし、パーパルディアの将は目を輝かせる。
「おおぉ……誠に遺憾……誠に、がついたぞ」
パーパルディアの将は小さくつぶやいた。
「はん!笑わせてくれるわ!!
誠に遺憾だと?その意思表明をしたからといって、現実が何か変わるのか?
低文明国の意思表明など、我らには何の意味も無いわ、この弱小国がっ!!
よろしい、止められるものなら止めてみるがいい!」
パーパルディア皇国の将が、カムーラの言にたまらず割って入る。
「お……おまえは自分たちが何を言っているのか解っているのか?
日本国が誠に遺憾であると申しておるのだぞ!
軍だけではなく、国ごと消されてしまうぞっ!!」
日本国による遺憾の意を表明された後、軍が完膚なきまでに叩き潰された経験のあるパーパルディア皇国はカムーラが超大国にたてついているようにしか見えない。
「いや……我らもそう見えていたのか……」
「先ほどから何を訳のわからない事を言ってる!
フン、まあ良い。
お前たちに教えておいてやろう、どうあがいても変わることの無い未来……絶望的な未来をな!!
我らは漂流物からお前たちの文明レベルをすでに特定している。
列強パーパルディア皇国よ、おまえ達の主力兵器、ワイバーンロードは、我が国の飛空艦隊の前では無力に近いぞ。
すでにこの時点で制空権は我々にあるも同然なのだ。
上空より打ち下ろされる魔導砲をお前たちは止める事が出来まい。
愚かなるパーパルディア、そして日本国よ、シルカーク王国が落ち、我が国の支配領域が広がった暁には貴様らの国とも衝突する時が来るだろう。
今回の会議において、我らが指示に従わなかったという事はしっかりと記録しておく。
その時が来れば、お前たちは相手の力も見抜けずに我が国にたてついた事を大きく後悔するだろう。
本日の会議内容は、自分の国益を大きく損なうという事を知れ!!
これより、クルセイリース大聖王国はシルカーク王国に対して宣戦を布告する。
シルカーク王国半径500kmの空域および海域は立ち入り禁止区域に指定、航行するすべての者は標的になると思え!!
パーパルディア、そして日本国よ、邪魔立てする艦隊は我らがすべて消滅させる
す・べ・て・な」
posted by くみちゃん at 23:10|
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