2022年06月27日

第134話文明の衝突2P3


◆◆◆

 クルセイリース大聖王国の新世界開拓軍飛空艦隊旗艦ダルイアは、他の飛空艦に比べて圧倒的なる探知距離を持つ。
 魔導レーダー、そして万が一魔力を出さない飛行物体に遭遇した場合にも対応するため、電磁波反射式レーダーを持つ。
 その探知範囲も、他艦に比べて圧倒的高性能であり、さらに高度な管制能力も有していた。
 艦隊の目というべき旗艦の管制室は、クルセイリース大聖王国の中でも特に優秀な者がつく。

 魔導探知レーダーと、電磁波反射式レーダーを映し出す画面を見ていたリーベーはある異変に気づいた。

「えっ!!!」

 思わず声を上げる。
 あり得ない事象が画面に映る。
 こんなことは考えられない、故障の可能性が高い。
 しかし、万が一本当ならばとんでもない事になると考えた彼女はすぐに声を出す。

「前方90kmに飛行物体を感知!数1、速度2800、まっすぐ艦隊に向かってきます!!!
 そんな、もう75kmまで接近!!」

「に……に……2800だとぉ!!」

「そんな馬鹿な、速すぎる!!」

「故障では無いのか?」

 議論をしている間にその圧倒的なる速度を持った物体は近づいた。

「え?」

 超高速で飛翔してきた「それ」は、旗艦ダルイアの前を飛行していた新型80門級飛空戦艦サルファに直撃した。

 斜め下方から直撃した艦対空誘導弾は圧倒的な運動エネルギーによって木製の船体を貫通して内部で爆発した。
 爆発はサルファの魔導機関を大きく傷つける。

 出力が低下する。

「え?回転が鈍くなってきたぞっ!!!」

 誰かが叫んだ。

『我、操作不能、我、操作不能!!』

 魔信からは悲壮な声が響く。
 艦橋に設置されたスピーカーから鳴る絶望の声に衝撃が走った。

 船体を制御出来なくなったサルファは炎を上げながらゆっくりと傾く。
 やがて内部の魔導爆雷が転がって誘爆し、光が走った後、衝撃波が空を駆け、轟音と共に大きな火球が生まれる。
 サルファだった物体は燃えながら四方八方に広がり、炎の雨が降る。
 
「バ……バ……バカなっ!!」

 1撃だった……たったの1撃で威容を誇っていたサルファが消える。

 炎の残骸となって落ちゆくサルファだった物。
 皆呆然となった。

 ターコルイズもまた、呆然と立ち尽くしていた。

「司令!!気を確かにっ!!!」

 幹部の激によって我に返る。

「いかん!!次が来るぞっ!!!」

 パーパルディア戦は魔力消費の少ない兵器を選んで選定していた。
 しかし、このクラスの敵に出し惜しみをしていると、艦隊が消滅してしまう。

 彼は全力で戦う事を決意する。

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第134話文明の衝突2P2

「私はクルセイリース大聖王国、新世界開拓軍現場総司令官ターコルイズという。
 何の要件だ?」

『こちら日本国海上自衛隊第4護衛隊群、海将の平田です。
 直ちに進路を変更し、自国に引き返していただきたい。
 これより先はシルカーク王国の領海がある。進路を変更しない場合はシルカーク王国への侵攻と見なす。
 我々は、シルカーク王国に住む邦人を守る義務がある。
 直ちに転進していただきたい。
 さもなくば、クルセイリース大聖王国の武力侵攻と見なし、あなた方の艦隊を攻撃する!!!』

 無線はダルイアの艦橋全体に聞こえていた。
 艦橋では笑い声が響く。

「お前達は今更何を言っている?
 すでに国の意思は決定された。
 我らは正義の名の下に、シルカーク王国を低文明の王政から解放する。
 そのために、シルカーク王国の癌たる王都を焼き払うのだ!!」

 ターコルイズの語気は強まる。

「我が艦隊は、崇高な目的を持ち、聖王子ヤリスラ様の命により動いている。
 お前達はその神聖な行軍を止めようとした。
 これは聖王様の意思を覆さんとする大罪だ。
 お前達日本艦隊は1艦残らず神罰を降す事とする。
 ……死刑だ」

 彼は語気を強めたが、無線から聞こえる声は冷静に語りかけてくる。

『あなた方の艦隊の動きはすでに捉えている。
 我々はいつでもあなた方に攻撃出来る状態にあるのです。
 本当に引き返す気は無いのか?
 全滅を覚悟してでも我が艦隊を攻撃してくるというのか』

「カンに障る言い方だ。先ほどから出任せばかりを言いおって!!
 1つ訂正しよう。
 我が艦隊を攻撃しようとしているのか……だぁ?
 違うな。
 1艦残らず殲滅させてやろうとしているのだ。
 我が国への不敬、お前達は降伏すら許さん」

 ターコルイズは無線を切った。

「よろしかったので?」

「パーパルディア皇国のワイバーンは脅威だったが、たかが海上艦に何が出来る。
 しかもまるで自分たちの方が、実力が上だと言わんばかりの言い方よ。
 ちょうど良い訓練にもなる。
 奴らの艦を見つけたら無慈悲に攻撃を行って全滅させてやろう。
 艦から泳いで逃げようとした兵も見逃すな。
 どうせすぐ近くにいるはずだ」

 クルセイリース飛空艦隊は戦闘配備に移行して進軍を続けるのだった。


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posted by くみちゃん at 21:41| Comment(13) | 小説

第134話 文明の衝突2P1

■ パーパルディア皇国のワイバーンロード竜騎士団との戦いが終わった約1時間後
  飛空艦隊旗艦 100門級飛空戦艦ダルイア

  艦橋において、司令ターコルイズと艦長タンソーは話す。

「司令、今回の軍事拠点を潰した後、おそらく魔力に余力が相当残ると想定されますが、運用はいかがしますか?」

「やはり敵国の民には恐怖を植え付け、隣国にはクルセイリース大聖王国に逆らうと民ごと殲滅されるという恐怖を与えなければならない。
 余力はすべて王都への攻撃に回し、一人でも多くの敵国民を殲滅する事とする」

 ターコルイズは軍人である。
 クルセイリース大聖王国の軍人には国家運営能力や、外交能力等、今後100年を見据えた行動が求められていたため、政治的な見地を持つ。
 一見非情に見える作戦も、国のためなら容赦なく行う事の出来る冷徹な人間だった。
 彼は続ける。

「攻撃は残虐に見えるが、それが今後我が国の効果的支配につながり、結果的に兵も人的被害も最小限になる」

 遙か先を見据えていた。

「お話中失礼します」

 幹部が会話に割って入る。

「先ほどから、電磁無線システムに日本国自衛隊と名乗る者から、我が艦隊に対して呼びかけが行われています」

「何だと?」

 基本的に艦隊間通信は魔信で行う事となっている。
 しかし、高威力魔法の連続使用や、大規模魔力の出力があった場合に魔場が乱れ、魔信に影響を及ぼす場合があるらしい。

 古の魔法帝国の文献で見つけたものであり、現実に魔力が原因で乱れた事は1度も無かった。
 サブ機能として、最悪を想定して電波無線が配備されていたが、今回それが敵の信号を受信している。

「万が一電波を発信した事によって、位置を特定する技術が敵にあると不味い。
 無視が妥当か……」

「それが……敵は我が方の座標と高度を言い当てています。
 その上で、さらに侵攻すると攻撃すると。
 我々の司令官もしくは代理の者が通信に出るよう、繰り返し呼びかけが行われています」

 ターコルイズの直感が、通信に出るべきであると強烈に訴えかけてくる。
 彼は己の直感に従う事とした。

『……応答せよ』

 ターコルイズは眉間にしわを寄せて無線を手にした。


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