2022年06月16日

第133話文明の衝突P1

クルセイリース大聖王国 属領タルクリス 総合基地セキトメイ

 巨大な飛行物体が空を舞う。
 空を覆いつくさんばかりの飛空戦艦の大艦隊は圧巻であり、何者にも負けない力強さを持つ。
 100隻……王国の実に半数にも及ぶ大兵力の投入、飛び立つ飛空戦艦の圧倒的なる姿に大聖王国の期待を感じ取り、新世界開拓軍の飛空艦隊司令長官ターコルイズの気分は高揚する。

 統合基地セキトメイを飛び立った艦隊は北西へ進路をとる。

◆◆◆

 100門級飛空戦艦ダルイア
 眼下には雲が広がり、付近を見渡すと一定間隔をもって戦艦が飛ぶ。
 少しずつ近づく王国の、徐々に緊張感が高まっていった。

「魔導レーダーに感あり、北方向から強い魔導反応が多数上がっています!!
 総数47、速度……じ……時速350km出ています!!」

「350kmだとっ!?想定よりも速い!!」

 クルセイリース大聖王国の想定ではパーパルディア皇国のワイバーンロードは速くても時速300km程度であると考えられていた。
 これは他の文明圏外国の聞き取りと、ワイバーンの生態から想定された数値である。
 
 この想定を上回る敵の速度に、艦橋はざわついた。

「さすがは列強国といったところでしょうか。
 今まで戦ったどの国よりも速い!!」

 艦長タンソーは敵の速さを褒める。

「対空戦闘員に情報を共有させろ、今までで一番速い奴が来るとな!!」

「しかし……我らの優位は揺るがない」

 司令ターコルイズは魔信を手に取った。

「総員につぐ、これより新世界の列強と会敵する。
 我らが新世界を開拓する上で、重要な1戦となろう!!
 各自気をしっかりと持ち、日頃の訓練の成果を発揮せよ、総員戦闘配備!!」

 けたたましく各艦にサイレンが鳴り響く、兵達は走り回り、迅速に配置についた。
 駆け出す兵達を見ながら、タンソーはターコルイズに話しかける。

「司令、新世界の軍と初の会敵ですが、極大魔法の使用はどうされますか?」

「あれは魔力を食い過ぎる。
 航続距離が不足してもいかんだろう。まだこの程度の敵で使用しない」

「はっ、承知いたしました」
 
『第1艦隊、戦闘準備完了!
 第4艦隊配置完了!!
 艦隊は第1戦速へ移行せよ』

 空の艦隊は速度を上げた。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 00:53| Comment(9) | 小説