巨大な飛行物体が空を舞う。
空を覆いつくさんばかりの飛空戦艦の大艦隊は圧巻であり、何者にも負けない力強さを持つ。
100隻……王国の実に半数にも及ぶ大兵力の投入、飛び立つ飛空戦艦の圧倒的なる姿に大聖王国の期待を感じ取り、新世界開拓軍の飛空艦隊司令長官ターコルイズの気分は高揚する。
統合基地セキトメイを飛び立った艦隊は北西へ進路をとる。
◆◆◆
100門級飛空戦艦ダルイア
眼下には雲が広がり、付近を見渡すと一定間隔をもって戦艦が飛ぶ。
少しずつ近づく王国の、徐々に緊張感が高まっていった。
「魔導レーダーに感あり、北方向から強い魔導反応が多数上がっています!!
総数47、速度……じ……時速350km出ています!!」
「350kmだとっ!?想定よりも速い!!」
クルセイリース大聖王国の想定ではパーパルディア皇国のワイバーンロードは速くても時速300km程度であると考えられていた。
これは他の文明圏外国の聞き取りと、ワイバーンの生態から想定された数値である。
この想定を上回る敵の速度に、艦橋はざわついた。
「さすがは列強国といったところでしょうか。
今まで戦ったどの国よりも速い!!」
艦長タンソーは敵の速さを褒める。
「対空戦闘員に情報を共有させろ、今までで一番速い奴が来るとな!!」
「しかし……我らの優位は揺るがない」
司令ターコルイズは魔信を手に取った。
「総員につぐ、これより新世界の列強と会敵する。
我らが新世界を開拓する上で、重要な1戦となろう!!
各自気をしっかりと持ち、日頃の訓練の成果を発揮せよ、総員戦闘配備!!」
けたたましく各艦にサイレンが鳴り響く、兵達は走り回り、迅速に配置についた。
駆け出す兵達を見ながら、タンソーはターコルイズに話しかける。
「司令、新世界の軍と初の会敵ですが、極大魔法の使用はどうされますか?」
「あれは魔力を食い過ぎる。
航続距離が不足してもいかんだろう。まだこの程度の敵で使用しない」
「はっ、承知いたしました」
『第1艦隊、戦闘準備完了!
第4艦隊配置完了!!
艦隊は第1戦速へ移行せよ』
空の艦隊は速度を上げた。
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