2022年07月23日

第135話文明の衝突3P6


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 この日、セキトメイは基地建物と燃料貯蔵庫、そして飛空艦約40隻を失なった。
 当初100隻あった艦は出撃前に比べて残存戦力30隻まで縮小してしまう。

 飛空艦が上空警戒をしていてこの被害、かつて無い被害の大きさだった。

 クルセイリース大聖王国最前線の兵達は敵のあまりの強さに戦慄する。
 未知なる恐怖が憶測を呼び、日本国は古の魔法帝国ではないかとの憶測すら流れた。


 海上自衛隊第4護衛隊群はクルセイリース大聖王国属領タルクリス、総合基地セキトメイに対し、SSM-1B改等によるミサイル攻撃を実施、セキトメイに大打撃を与える事に成功した。
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第135話文明の衝突3P5


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 自室で睡眠中だったターコルイズは轟音と火炎の赤い光でたたき起こされる事となる。
 敵襲という事は理解出来た。
 すぐに司令本部へ走ったが、猛烈な攻撃で司令本部が眼前で吹き飛んでしまう。

 本部が当直員と共に崩れ落ちたため、的確な被害も現状把握も出来なかったため、指示も出せずにいた。

「被害状況は!!被害はどうなっている!!」

「判明しません!!」

 ターコルイズは、走り回る兵を捕まえて声をかけるが皆自分の任務が忙しく、全体を把握出来る者がいないため、的確な回答が出来る者はいない。

 眼前には明らかに反撃能力を失った燃えさかる基地と、多くの飛空戦艦だった物の残骸が広がる。
 被害は甚大である事は理解出来た。

「ちくしょぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!ちくしょおぉぉぉぉぉっ!!!」

 彼は雄叫びを上げる。

「何故だ!!何故だぁぁぁぁつ!!!」
奴らは水上艦しか持たぬはずなのに……何故だぁぁぁつ!!」

 水上艦では短期間にこの距離まで来ることは絶対に不可能なはずだった。
 そんなに速度が出るはずが無い。

「はっ!!」

 彼は可能性の一つに行き着く。

「まさか……日本国は旧式飛空艦だけではなく、ここまれ飛んで来ることが出来、かつ我が国よりも高性能の飛空艦を持っているのか?」

 彼の脳裏で未知なる国、日本国への恐怖が膨れ上がる。
 心の底から震え上がるほどの恐怖……かつてない恐怖だった。

「これはやはり……国守るために命を落としてはならない!!絶対に報告せねばっ!!
 国が間違った方向に行かぬよう、この意思を折ってはならない!!」

 握りしめた拳から血が滴る。
 彼は国のために命をかけようと誓うのであった。

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第135話文明の衝突3P4

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 統合基地 セキトメイ 早朝

 この日、軍外交担当のカムーラは基地第3棟の屋上で青茶を飲んでいた。

 透き通るような青い海、昇る太陽は美しく、陽光が海上に反射して輝く。
 海鳥たちはのんびりと海に浮かび、魚を狙っている。

「うむ、平和な光景だ」

 戦争開始早々に、飛空艦隊の三分の一を損失、聖王国の大方針にケチがついてしまった。
 しかし、大戦力はまだ国内にある。
 
 ふと、ターコルイズの言が頭に浮かんだ。

『日本国の兵器は飛空艦隊を無力化するほどに強力なのだ!!』

「ふん、敗者の弁か、小賢しい。
 しかし損失を与えられたのは事実……。
 日本国、実に不愉快だ」

 青茶を飲み干した。
 彼は上を見上げる。
 飛空艦2隻が上空警戒についていた。

 空に船が浮かぶ姿は何者にも負けないほどに力強く、聖王国の力を誇らしく感じる。

「はっ!!やはり聖王国はすさまじい。
 負ける事があろうか……いや、無い!!」

 船が空に浮かぶという、他国からすれば常識外れの力が増長を加速させる。

「ん??」

 北西の空、高速で飛ぶ何かが、飛空艦に向かうのが見えた。

「何だ!?あれはっ!!!」

 2つの物体はまるで吸い寄せられるように飛空艦に進路を取る。

 空中目標へのプログラム変更が成された艦隊艦誘導弾(SSM1-B改)2発は時速1150kmで海面スレスレを飛行してきた後に上昇、タルクリス上空を警戒中の飛空戦艦に命中した。
 飛空艦内部に飛び込んだ260kgにも及ぶ弾頭。
 内蔵された高性能爆薬はその威力を解放し、猛烈な火球が出現した。

 鋼鉄の水上艦艇でさえも大破させるほどのエネルギーに、木製艦が耐えられるはずもなく、飛空戦艦は中にいた乗組員と共に、文字通り爆散した。

 ガァァァァン!!!!!!!!!!!!

 聞いたことの無い轟音、船は船体よりも遙かに大きな爆炎に包まれる。
 火球は信じられないほどに大きく、その爆発の熱線は離れていてもはっきりと解る程に熱かった。

「うおぉぉぉぉぉっ!!!」

 彼はその場に倒れ込んだ。

「何だ?あの大爆発は!何が起こった!!!」

 上空の飛空艦2隻は爆散し、炎に包まれながら基地に落ちる。
 炎は魔導を含んだ燃料に引火、運の悪いことに乗組員の待機する寮に落ち、人的被害は拡大した。

 一瞬だった……。

 一瞬であれほどの威容を誇っていた飛空戦艦は消滅し、燃え盛る基地は地獄の様相を呈す。

 しかし、敵は攻撃を待ってはくれない。

「馬鹿なっ!!そんな……何が起こったんだ!!」

 同じ言動を繰り返す。
 カムーラは未だに何が起こったのか、認識出来ずにいた。

「ぬうっ!!」

 西の空を見た時、見えてしまった。
 先ほど大きな破壊を起こした物体が多数飛翔してくる。

 ウウウウウゥゥゥゥゥゥーーーー!!!

 基地中にサイレンが鳴り響き、同基地は緊迫感に包まれた。

 多数出現した「それ」は基地手前で上昇し、まるで狙いを定めたかのように急降下してくる。

「あああっ!!!」

 猛烈な爆発……轟音が鼓膜を、いや、体全体を大きく振動させる。
 
 カムーラの眼前で威容を誇っていたタルクリス統合基地セキトメイの司令本部が崩れ落ちた。

「ひぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 彼が体験した事の無いほどのあまりにも大きい爆発に本能的に恐怖し、みっともない声をあげてしまう。
 自分が死ぬかも知れない。
 命の危機とは、彼の想像を遙かに超える恐怖だった。

 攻撃は続き、引火性魔力燃料貯蔵タンク、飛空艦の整備基地、そして駐機……いや、駐艦していた艦が次々と使用不能となる。

 炎は他の建物にも延焼し、セキトメイは炎と煙に包まれた。

 一瞬の攻撃だった……ほんの僅かな時間の攻撃で、セキトメイは基地機能を損失する。

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