豪華絢爛を体現したかのような白い建築物、上空から見ると十字型に立てられたクルセイリース大聖王国の軍本部。
同所において軍の最高意思決定を行う軍王前会議が始まろうとしていた。
各方面の将軍、策士等が集まる軍の最高会議では、各人の前に紙が配られていた。
それを読む出席者達の顔は曇る。
事前に根回しは行われていたものの、実際目にする大敗北の詳細報告に衝撃を隠せなかった。
一人の男が、戦過が書かれた紙を手に取って震え出す。
震えは徐々に大きくなり、彼は黙っていられずに声を上げた。
「何ですかぁ!!これは!!」
聖都防衛竜騎士団長セイルート
彼は額に青筋を浮かべる。
透き通るような銀髪、背も高く、顔立ちも良い若き竜騎士団長、包み込むような声もあいまって女性ファンも多い。
そんな彼が悲鳴のような甲高い声で、猛烈な怒りを隠さずに叫んだ。
「敵の対空攻撃に手も足も出ず、1/3もの戦力損失ですと?
我が竜騎士団のエアカバーを不要と言い放っておきながら、なんたる醜態だ!!
軍王様、ご説明願いたい!!」
セイルートの物言いに見かねた軍幹部が割って入る。
「軍王ミネート様に向かって何たる物言いか!竜騎士団が不要と言い放ったのは飛空艦隊司令のターコルイズ殿だ。
軍王様に詰め寄る事事態が間違っている!!」
「いいや、無関係では無い!!
私はエアカバーが無いと飛空艦隊がダメージを受けるため、竜母型飛空艦の派遣をするようお伝えしていたはずだ!!
最終決定権は軍王様にある!」
会議は紛糾する。
そんな中、末席から低い声が響く。
「セイルート様、失礼ながら竜騎士団が出て行っても結果は同じだったかと思われます」
自分に意見する者に怒りがこみ上げた。
軍外交官の制服を着用した男の発言だった。
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