2023年01月09日

第138話古の超兵器3P6


 大きな空間の中心部では、聖王直轄飛空艦隊司令長官アエロリット、そして空中戦艦、聖帝ガウザー艦長ガンドライトが浮かび上がった立体映像を眺めていた。

「フフフ……まさか聖王様が我らの出撃を許可して下さるとは……敵が可哀想だねぇ」

「はい、全くでございます。しかし、何故この程度の敵に我らに下命されたのか、部下達は疑問に思っているようです」

「聖王家の決断だ。我々はただ従うのみ。
ただ、軍王ミネートが入れ知恵したのではないかとも言われている。
 彼の行動には注意が必要だねぇ。
 ガンドライト艦長、聖王家命では全戦力をもって叩き潰せとある。
 あれを使用するとするか。
 まだ倉庫に在庫は相当あったよね?」

「対艦誘導魔光弾……魔法帝国製の超兵器ですね。
解りました。我らの全力をもって、ワカスーカルト及びその沖合に展開している異国艦隊は殲滅しましょう」

「そうだねぇ、彼らには悪いが一瞬で消えてもらおう。
 それが、聖王家の力を軍に知らしめることともなるだろう」

「はっ!!」

 古の空中戦艦と、飛空艦はワカスーカルトへ向かうのだった。
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第138話古の超兵器3P5


◆◆◆ 

 ワカスーカルト北東約400km先 上空

 この世界においても、そして地球世界においても見慣れない物体が空を行く。
 空を飛ぶとは思えない程に大きな物体、リング状の中に3本の線が通ったかのような形状。
 日本人が見たならば、三菱のロゴにリングが付いている、もしくはメルセデスベンツのロゴが空を飛んでいるとも形容するだろう。
 
 かつて、隔絶した魔力と技術により、全ての種を恐怖によって支配した古の大帝国。
 時折発掘される凄まじき技術は国を歓喜させ、その技術に人々は畏怖を持つ。

 古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国の発掘戦艦、聖帝ガウザー(空中戦艦パル・キマイラ)は高度300mを時速200kmで南西へ向かっていた。
 超兵器の周辺には、船にプロペラが付いたかのような、飛空艦が約50隻、取り囲むように空を飛ぶ。


 クルセイリース大聖王国 聖王直轄飛空艦隊 
 旗艦 聖帝ガウザー 中央司令室

 クルセイリース大聖王国の空中戦艦、聖帝ガウザーは聖王直轄という事もあり、極秘中の極秘扱いであった。
 乗務員達は決して身分がバレることの無いよう、幹部以外はコード番号で呼ばれ、白い異形の面を被る。
 また、聖王直轄としての格式を損なわぬよう、まるで礼服のような煌びやかな服を着て勤務する。
 艦長は赤い服、白い面、そしてとんがり帽子を被っていた。
 
 異形の面は、クルセイリースで考えられたものではなく、古の魔法帝国の伝承で司令官は赤い服に白い面、とんがり帽子を被っていたという記載がと映像があり、自分たちもその力に近づきたいという意味もある。

 神聖ミリシアル帝国の乗務員も近い格好をしていた。


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第138話古の超兵器3P4


◆◆◆

 クルセイリース大聖王国 ワカスーカルト

「エル・ガンエン様!!!」

 息を切らしながら部下が部屋に走り込んでくる。

「どうした!!これ以上まだ何かあるというのかっ!!」

 陸上からの包囲攻撃、山に配置された砲撃陣地は一瞬で日本国により無力化された。
 高低差を利用した山から、長射程魔導砲による砲撃は、一定の効果をあげるはずだったのだが、結果は全く効果が無し。
 エル・ガンエンは衝撃を受けたが、まだ竜騎士団による攻撃及び、飛空艦隊による強襲が控えており、それでも駄目な場合は切り札、古代兵器キル・ラヴァーナルがあるため、敵の強さには衝撃を受けながらも、少し心の余裕は持っていた。

「報告は2点あります。1点目、王都防衛竜騎士団120騎は敵10騎と会敵し、戦闘状態となり、魔信が途絶えました。
 全滅した模様です」

「は??はぁっ!?
 その戦力比で負ける事など、あってはならないだろ!!戦果は?」

「明確な戦果は不明です」

「1騎も撃墜報告が無いと言うのか?」

「……はい」

「……」

 エル・ガンエンは思考が追いつかない。
 部下は構わず続ける。

「2点目、軍王令通信を受信
 ワカスーカルト防衛隊はその持てる力全てをもって、新世界国艦隊の殲滅に当たれ
 聖王命が下った。
 キル・ラヴァーナルを起動セヨ
 聖王直轄飛空艦隊全隊が異国艦殲滅のため、ワカスーカルトへ向かう」

「え??」

 エル・ガンエンの背中に衝撃が走る。

「な……な……何だと?軍王令通信は間違いないな!!??」

「はっ!!間違い有りません」

「聖王直轄飛空艦隊がすべて来る?全て来るだと!?信じられん。それほどの敵なのか……?聖王家は、異国艦隊にそこまで脅威を感じているというのか。
 情報は細目漏らさず報告せよ」

「エル・ガンエン様、聖王直轄飛空艦隊とは?」

「ああ、そうか。お前は知らんだろうな。
 これは一定以上の幹部にしか存在を知らされていない極秘の軍隊。
 聖王家は、万が一軍が謀反を起こしたとしても、それを全て押さえるほどの力を有している。
 つまり、すべての国内の飛空艦隊を使用しても、聖王直轄飛空艦隊を相手にすると必ず破れる」

 現実場慣れしたエル・ガンエンの言葉に部下は異論を挟んだ。

「しかし、それは不可能では無いでしょうか?
 軍の装備というのは最新式のものが来ます。
 最新式の装備、しかも数がそろっている軍隊に、いくら優秀な人材がいたとしても、勝てるとは思えませぬ。
 もしも勝つほどの数をそろえると、それは民衆の知るところとなり、極秘とはとても言えません」

「そうだ。
 聖王室が、絶大な力を持って長年続いている事には意味がある。
 持っているんだよ。高度に偽装され、外からは見えない位置に。
 古の超兵器……「聖帝ガウザー」古の魔法帝国の名では、空中戦艦パル・キマイラという。
 お前も御伽話で聞いたことはあるだろう?」

「なっ!!!まさか、あの……あの古の魔法帝国の空中戦艦が??我が国でも発掘されていたのですか!!!」

「いや、これは東方世界の国を統治した900年前に出てきたものだ。
 国の拡大期、わが国に莫大な富をもたらした歴史上唯一の聖帝の名がつけられた。
 魔力を凄まじく食うから、これを注入するだけで途方も無い時間を要するらしいがな。
 いずれにせよ、聖王直轄飛空艦隊がすべて出てくるなら、旗艦は間違いなく、古代兵器、聖帝ガウザー(空中戦艦パル・キマイラ)だ。
 虎の子の1艦を出してくるとは……王家が本気になったという事……軍王様もびっくりなされただろうな」

「で……では、ラヴァーナル帝国と、黒月族の神話旧兵器が計2つも投入される訳でしょうか?」

「軍王令通信が聞き間違いの類いでないなら……そういう事だな。
 これほどの軍事力で勝てない理由は無い。
 それだけ、新世界艦隊に脅威を感じているという事か、もしくは国内向けのアピールなのかは解らないが……まあ良い。
 軍王様の命令だ。我はこれよりキル・ラヴァーナルへ向かう。
 ワカスーカルト防衛飛空艦隊は全艦出撃、聖王直轄飛空艦隊の到着に呼応して全隊で同時攻撃を行え。
 後を頼んだ」

「はっ!!」

 エル・ガンエンは、神話級古代兵器、キル・ラヴァーナルを起動するため、黒月族遺産発掘所へと向かうのであった。


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posted by くみちゃん at 09:32| Comment(12) | 小説