2023年04月25日

第140話崩壊1P2

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 クルセイリース大聖王国 聖王直轄飛空艦隊  旗艦 聖帝ガウザー 中央司令室

『神の炎は順調に飛行中』

 艦橋では立体的映像に、対艦誘導魔光弾(神の炎)が飛翔する映像が写る。
 敵の戦闘艦など1撃で葬る威力を有する強烈な威力。
 青い光に包まれて飛翔する姿は優雅で力強かった。

「フフフ……敵が哀れになってきたよ」

 司令アエロリットは右手に持ったグラスの液体を一口能み、艦長ガンドライトに話しかける。

「全くでございますな、彼らは何も知ること無く、神の炎に包まれるのです。
 このような超高性能兵器によって死する敵はむしろ光栄に思うかもしれませんな」

 約束された勝利を確信した。

『電磁反射式レーダーに反応!!敵は何かを2発発射しました!!速度……音速の2倍を超過!神の炎に向かっています!!
 なお、魔力レーダーに反応しないため、映像化出来ません!!』

「なっ……何だって?」

 ありえない、敵の行動が理解出来ない。
 仮に神の炎を探知し、対空砲を発射したとしても敵までまだ70km近くあり、距離がありすぎる。
 たったの2発で、無誘導ならば当たるはずがない。
 たどり着く1つの結論。

「ま、まさか……まさか神の炎を探知して迎撃の誘導弾を発射したのか?」

「そんなバカな、飛空艦のような大きな目標ならともかく、音速に近い速度で飛翔し、小さいコアである神の炎を迎撃出来るはずがありません!!」

 日本国が誘導弾を有しており、さらに魔力レーダーにさえ反応しないという情報は得ていた。
 さらに、飛空艦を粉砕するほどの威力を有し、正確に高速で着弾するとの情報も得ていたが、神の炎のような音速に近い飛翔速度で飛ぶ対艦誘導魔光弾を迎撃出来るという事は、前記兵器よりも超絶な性能が必要であり、想定の遙か上だ。

 地球の文明を知っていたなら想定した事象であるが、彼らの生きてきた常識、魔導技術レベルからは想像すら出来ない事象であった。
 電磁反射式レーダーの情報も艦橋に光点の映像として表示される。
 その速さは凄まじく、まっすぐに神の炎に向かっていた。

『接触まであと10秒!!7……6……』

「まさか……まさかっ!!!」

『3……2……1……今!!』

 急速に接近してきた光点は、神の炎と重なる。
 
 同時に、映像として映し出されていた神の炎が大きく爆発した。

「なっ!!」

「そんな、そんな馬鹿なっ!!!」

 誇らしく飛翔していた神話級兵器は爆散し、炎の欠片となって空から落つ。
 彼らはワナワナと震えはじめるが、現実はそれを待ってはくれなかった。

『敵の攻撃、残り1発がまっすぐこちらに向かって来ます!!!時間算出中!!』

「な……何だと!?」

『算出完了、約40秒で到達します!!!』


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第140話崩壊1P1

「何だっ!!これは」
 
 射撃管制をしていた牟田口は自分の目を疑う。
 新世界において、日本国が経験する初のミサイルによる攻撃に、CICルームには緊張が走った。
 敵の発射した誘導弾と思われる物体の機動は放物線を描いて飛翔する。
 角度ある放物線ならば、上昇速度は遅くとも最終的な速度は重力加速度の影響で速くなる可能性はある。
 しかし敵の発射角は浅く、緩やかな放物線を描くと共に、速度も音速よりも遙かに低い。

 敵誘導弾様のものは、レーダー反射面積も大きかった。

「これはどういう事だ?撃墜してくれと言っているようなものだ」

「これはデコイ?もしくは、上昇後に急加速する可能性もある。別に低空飛行の超音速誘導弾もしくはステルス性を有するミサイルを同時に複数発射している可能性も高いぞ!!」

 空中に大規模質量物体を浮かすほどの技術を有する敵が、単発であれほど簡単に迎撃可能な弾のみを撃ってくるはずはない。
 途中で高速化する、または迎撃ミサイルが近づいてきたら不規則な回避行動を行う、もしくは他に誘導弾があるはずだとの想定の元、みょうこうの有する各種レーダーを駆使するが、他に誘導弾は見つけられなかった。

「1発以外確認出来ない!!」

「まさか、探知不能なのか?」

 CICでは、他の誘導弾が探知出来なかったため、緊張は極度に達する。
 対応可能な措置として、ますは探知出来た低速誘導弾を撃墜することにした。

 迎撃のための目標入力が迅速的確に行われる。
 みょうこう前部に設置されたVLS(ヴァーティカルローンチングシステム(垂直発射装置))の蓋が開いた。

 艦橋に届くほどの発射炎が吹き上がる。

 轟音……

 青空に向かって艦対空誘導弾が射出された。 VLSから射出されたミサイルは、ロケットモーターで急激な加速を行う。
 猛烈な加速により、科学の槍は十数秒で虚空に消えた。

 撃ち漏れを無くすため、2発のミサイルが発射されるのだった。



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posted by くみちゃん at 14:13| Comment(18) | 小説