2024年08月26日

第144話命をかける者たち2P6

 日本国 首都 東京 霞ヶ関 防衛省

「なんだとっ!!何てことだ!!」

 報告を受けた防衛省幹部達は驚愕の声を発す。

「間違いないのか!!」

「……間違い有りません」

 報告書を再度見直す。
 先日クルセイリース大聖王国で、山よりも大きい生物が首都を壊滅させ、生物は西へ向かい、海上自衛隊4護衛隊群所属のイージス艦「ちょうかい」と戦闘した。
 生物「八岐大蛇」と呼称は、海に逃げ、水中速力40ノット以上で艦隊を引き離し、北西へ向かった。

 あれほどの生物が浅い水中を移動すれば、大きな航跡のようなものを残しているため、人工衛星によって足取りを辿ることは容易であった。
 大きな航跡は直線を示しており、まっすぐに進んでいる事が伺える。
 水中速力40ノット、時速にして約75km。
 化け物は休むこと無く進んでいる。

「このまま進行した場合、後48時間で四国に到達、広島県福山市を通過し出雲市へ至ります」

 戦慄……転移後初の本土への脅威。

「たった……たった48時間!一国の首都を滅ぼした化け物が到達するまで、たったの48時間しかないのか!!」

 幹部の頭の片隅にある記憶がよみがえる。
 
 ガハラ神国の使者が残した言葉。

「ヤマタノオロチは出雲市の須佐神社を目指す」

 荒唐無稽だと思っていたが、現に化け物は日本国に向かってきている。
 卒倒しそうになる気持ちを抑えながら、彼らは的確に動き始める。

「すぐに迎撃態勢を整えるぞっ!!!」

 日本国は国家総力を挙げて、迎撃態勢をとる。

ーーーーー


 参考情報です
 漫画版ニコニコ静画でまだ配信されていない部分も、コミックウォーカーでは配信されているようなので、ニコニコを読み進めている方は、是非コミックウォーカーの方も見てください。
 また、漫画を見た際は、「いいね」を押してくれたらうれしいです。
タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 00:01| Comment(21781) | 小説

2024年08月25日

第144話命をかける者たち2P5

◆◆◆

 イージス艦ちょうかい

「ミサイル命中!!」

 遠目に見ても解る爆発が起こる。
 しかし、次の瞬間、化け物は艦から離れた海の方向に向かって一目散に駆けだした。

「背骨が折れているようには見えない走り方……ありゃ折れて無いですな、背骨。どうやら外したようです」

 副長が状況を見ながら感想を述べる。

「対艦誘導弾が命中しても死なない生物がこの世にいるなんて……」

「このままでは海に逃げられます!!!」

 対艦誘導弾の効果が少ない化け物、自分たちの常識でこの世界を測ってはいけない。
 肝に銘じてきた事だが、あまりにも規格外の事態に小圷は焦りを覚える。

「いかん!!残りの対艦誘導弾も発射しろ!!全弾使え!!」

 イージス艦からは残りの対艦誘導弾が放たれるのだった。

◆◆◆
 
 護衛艦から放たれた誘導弾は順調に化け物に向かっていた。
 しかし、化け物は凄まじく大きいくせに走っているため、その速度は時速200kmを超え、とんでもなく速い。

「命中まであと18秒」

 皆が固唾をのんで見守る。
 ミサイルは徐々に八岐大蛇に近づく。

「なっ!!」

 先ほど自分にダメージを与えた火球が複数飛んできている事を感知した八岐大蛇は、8ある首のうち、2つが前に出て、首をくねらせ、防御体系を形成する。
 その様子は離れていてもはっきりと解った。
 
「首にも序列があるのか?」

 次の瞬間、対艦誘導弾は爆発、八岐大蛇の首が2つ切断される。

「ギョエェェェァァァァァツ!!」

 断末魔のような声が聞こえ、体液をまき散らかしながら「ちょうかい」がいる部分とは離れた海に、八岐大蛇は到達した。

「い……いかん、潜ったぞ!!アスロック届くか?」

「射程外です!!」

「追うぞ!!」

 イージス艦ちょうかいは、直ちに第4護衛隊群に指示し、八岐大蛇の追跡を開始しようとする。
 しかし、化け物は水中速力40ノット以上の速度が出ており、引き離されて北西の海に消えるのだった。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:57| Comment(7) | 小説

第144話命をかける者たち2P4

■ 
 
 クルセイリース大聖王国の西側に位置する小さな町、イルソルベの少女セイナは、東の山、リアルゴで、野いちごを摘んでいた。

「あ……あれは??」

 東側から闇がやってくる。
 おぞましい姿をしたそれは、徐々にイルソベの町のある方向に向かっていた。

「あれは?悪魔???町の皆に伝えなきゃ!!」

 駆け出そうとした瞬間、大きな人型の城が姿を現した。
 ワカスーカルトとイルソルベの町を護るかのように悪魔に対峙する。

 やがて、2本足で歩く城から大きな球が、悪魔を攻撃した。
 大爆発……。

「あの城は、私たちを護ろうとしてくれているかな?」

 しかし悪魔にはあまりダメージが無いようで、悪魔の攻撃によって、歩く城は倒れてしまう。
 
 それでも城は立ち上がり、攻撃を続けた。
 悪魔は関係なく進んでくる。

「ダメ……このままじゃ……このままじゃ!!」

 あれが危険なものであるという事は、本能で解る。
 迫り来る絶望。
 
「神様!!神様!!どうかあの悪魔を祓って下さい!!町の皆に被害がありませんように!!どうか……どうか!!」

 セイラが祈った時、西から何かが現れた。

 初期加速のためのロケット、そして太陽の光に反射した誘導弾だったのだが、彼女には光る球のようにも見えた。

 光の球は化け物へ向かい、手前で大きく上に上がる。
 天より現れし光の球は、一度上がった後、まるで天罰だと言わんばかりに上から化け物の背中に突き刺さった。

 猛烈な光と爆発が起こる。
 化け物はたまらず近くの海の方向へ走る。

 イージス艦ちょうかいから放たれた90式艦対艦誘導弾は、1回目の爆発で八岐大蛇の背中の肉を削ぎ、2発目でむき出しになった背骨に近い部分の肋骨の間にめり込んで爆発した。 内臓に大きなダメージを負い、付近に肉片が巻き散らかされる。

「ギョエァァァァァァァツ!!!!!!」

 八岐大蛇は今までに無いほどの形相と速度で海に向かって駆けだした。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:56| Comment(5) | 小説