2017年08月16日

第68話 バルチスタ大海戦P3


◆◆◆

 世界連合艦隊

 ウゥゥゥゥゥゥーーー

 けたたましくサイレンが鳴り響く、ムーの開発した機械式サイレンの音が静かな海上にこだました。
 各国の艦隊は空に注意を向け、ムーの誇る空母5隻からは次々と戦闘機が発艦し、ニグラート連合の竜母4隻からはワイバーンロード竜騎士隊が発艦していく。

 各国の艦隊がそれぞれ独自の技術をもって対空戦闘の準備を行っていく。

「対空戦闘準備完了!!」

 ムー国艦隊旗艦ラ・エルドも戦闘配備が完了する。

「第2文明圏連合竜騎士団が艦隊上空支援に到着するまでの時間は?」

 司令レイダーは艦長に尋ねる。

「メルティマ小隊が会敵後、すぐに基地を飛び立ったようですが、敵の侵攻速度が速すぎます。
 敵が艦隊上空に到達後、今しばらく時間がかかるものと思われます。」

 メルティマの報告後、すぐに支援要望を出していたが、基地からの距離を考えると、もう少し時間がかかりそうだった。
 
 やがて、澄み渡った空に黒い点が多数現れる。
 その方向へ向かって飛び去る迎撃機は敵の急降下爆撃を警戒して上に上がった。
 戦艦ラ・エルドに新たに設置された多数の20mm機関砲には人員が配置され、緊張した面持ちで上空を眺める。

 ムー国艦隊司令レイダーは、横に立つ艦長に話しかける。

「艦長……第2文明圏連合竜騎士団がいるのは陸の基地だ。
 グラ・バルカス帝国からすでに攻撃を受けて壊滅した可能性は無いな?」

「確かに、滑走路等はありますが、船団攻撃のために偽装されていますので、空から簡単には見つかりますまい。
 現在まで攻撃を受けたという報は受けていないため、無事と判断いたします。」

「うむ……。」

 戦場は動き続ける。


 ニグラート連合竜騎士団長モレノールはワイバーンロードの限界高度4200mから急降下を開始していた。
 高度3000m付近に敵が侵攻していくのを認めたためであるが、おそらく敵は気付いていないであろう事に、顔がにやける。

「憎き帝国め!!目にものを見せてやろうぞ!!!」

 連合のワイバーンロードは他国と異なり、その体色が空に溶け込むように見えるため、模擬空戦でもおよそ先に敵を見つける事が多かった。
 眼下侵攻中の敵は約20、我が方は15であるが、奇襲出来れば戦闘は有利になるだろう。

 団長モレノールの合図で各竜たちは翼を広げ、首を伸ばす。

 徐々に口内に火球が形成されていった。

「ん!?」

 敵の1機がバンクし、散開を始めた。
 護衛機のようだ……だがっ!!!

「今更気付いても遅いわ!!導力火炎弾、発射!!」

 空を翔る無数の火球、15発もの火球が青き空に炎の線を引く。
 必中のタイミング……。

「な……なにっ!!」

 各自散開したグラ・バルカス帝国の航空機はニグラート連合竜騎士団の放った火球をすべて回避した。

「くそっ!!何て運動性能だ!!!」

 彼は驚愕しつつも体制を立てなおす。
 敵はすでに遥か先まで進んでしまった。

「速い!!」

 モレノールは導力火炎弾を再度放つために機首を敵に向けようとしたその時。

「隊長!!左後方から敵機!!」

 彼が振り向くと敵戦闘機が自分の後方につこうとしていた。

「ぬぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 頭を下に向け、急降下を開始する。
 光弾による線が一瞬前まで自分が飛行していた場所を通過、少し遅れて「タタタタ……」といった乾いた音が響く。

 僅かな判断ミスをしたら死んでしまうという事実に、モレノールの背中にどっと汗が流れる。
 敵はすぐに機首をこちへ向けた。

「し……しまっ!!ちくしょう!!なんて速さだバケモノめぇぇぇぇぇ!!!!」

 敵は自分よりも遥かに速いだけではなく、とんでもない旋回性能をもっているようだった。
 迫り来る光弾……そして……今まで共に戦ってきた愛騎に連続して大きな穴が開き戦友を貫く。
 ワイバーンロードはのたうち回る暇も無く即死する。

「がっ!!!」

 ニグラート連合竜騎士団長モレノールはグラ・バルカス帝国東方艦隊第1次攻撃隊の護衛戦闘機、アンタレス型艦上戦闘機と交戦し、その命は大空に散った。

◆◆◆

 世界連合艦隊 神聖ミリシアル帝国地方隊 旗艦 ブロンズ型魔導戦艦セインテル

 艦橋には緊迫した戦況報告響き渡る。

「ムーから発艦した戦闘機隊、全滅!」

「ニグラート連合竜騎士団、全滅!!」

「現在第2文明圏連合竜騎士団170が艦隊に接近中、しかし到達まで約15分!!」

「本隊からは、しばらく耐えるように司令あり」

「あと2分ほどで敵、目視範囲に入ります!!」

 艦長レルジェンは瞼を閉じて報告を聞く。

「副長!我々は捨て駒にされたな……。」

「はい、間違いなく。」

 世界連合という名の、数は多いが超旧式、いや、骨董品と言って良いほどの軍が眼前に展開する。
 第2位列強国のムーでさえも科学文明船とはいえ、性能的に神聖ミリシアル帝国の旧式艦よりも遥かに古い。

 そして弱い……神聖ミリシアル帝国のシルバー級魔導戦艦と同等の強さを持つと思われるグラ・バルカス帝国を前にしてみれば、正直彼らは弾除けに過ぎなかった。
 それでも数百隻もの艦隊は目を引く。

「我らは生き残れると思うか?」

「旧式とはいえ、船の数は多い……敵はより狙いやすいソフトターゲットに向かう可能性も高く、後15分ほどすれば数だけは多い第2文明圏竜騎士団が直上に現れます。
 総数は500騎ですが、とりあえず170騎が上空支援に到達する。
 最初の1撃は耐える事が出来るでしょう。」

「2回目以降は解らぬか……ん?」

ブオォォォォォ……ン

 海上に鳴り響く微かな重低音、目を双眼鏡に当て、空を見た。
 前部にムーの飛行機のようなプロペラが付き、ミリシアル帝国のような低翼を採用している。
 美しくもある見慣れない航空機が目に飛び込んで来た。

「来たか!!対空戦闘用意!!」

 艦長の命により、迅速的確に対空戦闘の準備が行われていく。

「魔導エンジン、出力45%から上昇開始!!」

「動力振り分け45%を維持しつつ攻撃回路へ接続」

「接続完了」

 対空魔光砲への魔力充填開始……80%……90%……100%……対空魔光砲、エネルギー充填完了!」

「残魔力、装甲強化のためコンデンサへ」

「対空魔光砲、魔力回路起動!属性分配、爆48、火22、風30、対空魔光砲発射準備完了!!」

 魔導戦艦セインテルの対空砲の砲口に粒子が吸い込まれていく。
 火器は上空を向き、やがて艦隊上空に進入してきたグラ・バルカス帝国の航空機を照準機に捕らえた。

 帝国の急降下爆撃機は高度4000mから急降下を開始、何らかの攻撃をしようとしているのだろう。

 降下を開始した急降下爆撃機、その音はドップラー効果により高音に至る。

「対空魔光砲発射!!!」

 砲口に粒子が吸い込まれた後、爆音と共に光弾が空へと向かった。


 空へと打ち上げられる連続した光弾……一見凄まじいまでの攻撃が空へと向けられているように見える。
 しかし、近接信管も無く、手動で行われる照準ではいくら連射しているとはいえ、攻撃はもどかしいほどに当たらない。
 最初に急降下してきた敵が機銃掃射の後、爆弾を投下した。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 22:32| Comment(2) | 小説
この記事へのコメント
世界連合には少しでも生き残って欲しい、捨て駒にされ知らされていないなんて悲しすぎる
Posted by at 2017年08月17日 18:13
レーザー的な物があって手動標準か…古代のコンピューターの使い方がわかってればなあ。
空飛ぶ円盤的なアレも標準手動なのか?宝も持ち腐れすぎるw
Posted by at 2017年08月17日 20:34
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