2017年08月16日

第68話 バルチスタ大海戦P4


◆◆◆

 マギカライヒ共同体 機甲戦列艦隊 旗艦バルテルマ

「敵機、我が艦隊に向かって急降下開始!!!」

 簡単に攻撃を許してしまった事に、艦長テルンは眉間にシワを寄せた。
 見張り員から報告直後、敵の機体が高音を発し始める。
 まるで死神の悲鳴のようにも聞こえる音と共に、敵は機首を我が艦隊に向けた。

「対空戦闘開始!!!」

 比較的小型の魔導砲が空を向き、射撃を開始する。
 空へと打ち上げられる光弾は単発であり、全く敵に当たらない。

「くそっ!!」

 次の瞬間、敵が光弾を発射した。
 
 急降下爆撃機から発射された機銃弾は、木製の船体に大きな穴を開け、上から下に貫通する。

「船底破損!!浸水!!!」

「なっ…何だとぉ!!」

 空を飛ぶ兵器からのたったの1射で船が破損した事に驚きを隠せず、敵を睨みつけるテルン。

「あれは何だ!!!」

 敵は黒い何かを落とし、機首を上げて離脱する。

ドバァァァァァッ……ドゥゥゥゥゥ……

 グラ・バルカス帝国の急降下爆撃機から放たれた爆弾は、マギカライヒ共同体機甲戦列艦隊旗艦バルテルマの内部でその能力を開放、炎は内部にある火薬へと引火、爆圧は放射状に広がる。
 海上には猛烈な閃光と爆発音が発生し、同船は木端微塵に粉砕されてこの世から消えた。

◆◆◆

 ムー機動部隊 旗艦 戦艦ラ・エルド

 空を我が物顔で飛び回る敵機……。
 ムーや神聖ミリシアル帝国艦から打ち上げられる対空兵器はとんど敵を捕らえる事が出来ず、逆に艦内には悲壮感溢れる報告がなされつづけていた。

「マギカライヒ共同体、旗艦バルテルマ、轟沈!!」

「トルキア王国戦列艦隊、ヘルマ、ぺクノス、ジェイアード、轟沈!!」

「中央ギリスエイラ公国魔導戦列艦、ナーノ、ピルコ、ミーリル轟沈!!」

 増え続ける被害……海上の各所で炎に包まれる友軍……数が多いため、全体としてはまだ数パーセントの損耗ではあったが、青い海の上で発生し続ける赤い炎はそこにいる兵たちの心に恐怖を植え付けた。
 すでにムーの空母も2隻が爆弾を受け、消火活動中である。
 ムーの準備した対空兵器は、たったの3機撃墜したのみであり、数十機が乱舞するこの戦場において、戦果はひどく小さいもののように思えた。

「これほどまでに差があるというのかっ!!」

 ムー国艦隊司令レイダーの手は強く握られ、その拳からは血がしたたる。
 多くのもの達が高空から急降下してくる敵に注意を向けた。

「低空に敵機!機数4、空母トウエンに向かっています!!!」

 レイダーの背中に汗が噴き出す。
 日本国の資料で読んだことがある攻撃……水中を進み、船の喫水線下を攻撃、爆圧の逃げにくい水中で爆発するため、船体に多大な被害をもたらす兵器……確か……魚雷!!!

「い……いかん!!奴を空母に近づけるな!!!全火力を集中してでも奴を落とせ!!」

 レイダーの指令の後、ムーの対空火砲が水平を向く。
 流星雨の如き光弾の嵐が吹き荒れ、海上には的を外れた弾丸が着弾し、飛沫を上げる。

 一言で表すならその光景は「猛烈」であった……。しかも!!

「敵、何かを投下、4隻とも上昇、離脱開始!」

「海を良く見ろ!!水中をかける攻撃が来るぞ!!!」

 魚雷投下ポイントから空母トウエンに向かって白い雷跡が伸びる。

「回避しろ!!それは強力な攻撃だ!!!」

 空母トウエンはゆっくりと旋回を開始、しかし焦っている彼から見るその光景は、もどかしいほどにゆっくりとしたものに見えた。
 最初の1撃が空母をかすめる。

「よし!」

 1発を回避したことにより、僅かな希望が生まれた次の瞬間、トウエンが震えた。

ドーン…ドーン…。

轟音と共に2本の水柱が出現する。

「「おおおおおっっっ!!」」

 それを見ていた者達は、あまりの光景に驚きともなんとも言えない声を発した。
 グラ・バルカス帝国の雷撃機から放たれた魚雷は空母トウエンに着弾し、その船底を破壊、艦は一瞬大きく振動した後、急速に傾き始める。

「トウエンから通信、船底から多量の浸水を認める。」

 目に見えて船速が落ちていく。そして誰が見ても明らかにそれは沈み始めた。

「ちくちょう!!やられた!!!」

 レイダーは吠える。

「空母トウエン、マシガ艦長、総員退艦を指示。」

 多くのもの達が見守る中、第二文明圏の機械技術大国ムーの誇る空母トウエンは、ゆっくりと海に沈む。
 空母周辺は水流が渦をなし、沈んでいく……脱出できなかった兵を巻き込みながらムーの誇る空母は海へと消えた。

 世界連合艦隊を混乱に落としいれたグラ・バルカス帝国空母機動部隊の第1次攻撃隊は、一通りの攻撃を終え、帰投していった。

 第二文明圏連合竜騎士団が現場空域に到着した頃には、すでに敵の姿は無かった。

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国 海軍連合艦隊 旗艦グレードアトラスター

 戦艦グレードアトラスターは帝国監査軍所属であったが、その能力の高さから、今回連合艦隊旗艦としての役割を与えられていたため、本来乗艦しないはずの帝国海軍東方艦隊司令長官カイザルが乗艦していた。

「第1次攻撃隊から入電、第2次攻撃の要あり、戦果……」

 艦橋では第1次攻撃隊が敵に与えた大戦果が報告される。
 一方我が帝国の損害は極めて軽微であった。

 カイザルは目を閉じて考える。

「やはり弱敵とはいえ、数が多すぎるな……よし!!
 航空攻撃を反復させつつ、戦艦を中心とした打撃部隊を送るぞ!
 伏兵の可能性も考慮し、編成は……」

 グラ・バルカス帝国海軍連合艦隊は、その大艦隊の一部を……艦隊決戦として、世界連合艦隊殲滅のために差し向ける事を決定したのだった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 22:34| Comment(3) | 小説
この記事へのコメント
乙キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
Posted by at 2017年08月17日 07:21
続きが読みたい....
Posted by 質や at 2017年08月17日 09:37
三機も落とされたのか…
Posted by at 2017年09月23日 22:46
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