2017年09月30日

第69話バルチスタ大海戦2P3


■ 2時間後〜

神聖ミリシアル帝国 魔導連合艦隊 旗艦ロト

 艦橋は怒号が飛び交い、あわただしく報告が飛び交う。

「第6飛行隊、全滅、被撃墜機3」

「第8飛行隊より入電、敵の機数は150機を超える。
 現在地、艦隊南西方向約50km、間もなく目視範囲に入ります!!」

「直掩隊、向かいます!!」

 魔力探知レーダーに敵が写らないため、敵航空機の迎撃効率が上がらず、どうしても後手に回ってしまう。
 今まで1度も負けた事の無い神聖ミリシアル帝国海軍は、かつてない敵に焦りを感じ始めていた。
 敵は我が方の天の浮舟の位置が手に取るように解るらしく、攻撃隊はことごとく迎撃され、甚大な被害にあっている。
 戦争の技術において、初めて劣勢に立たされようとしている事を痛感する。

「対空戦闘用意!!」

 各艦の対空魔光砲にエネルギ―が充填され始める。

「エネルギー充填完了!属性振り分け完了!」

「自動呪文詠唱開始!!」

 超高速で、呪文が自動的に詠唱される。その声はあまりにも速く、人が聞くと不快以外の何物でもない。

「対空魔光砲、発射準備完了!」

 上空ではすでに、直掩隊が戦闘に入っている。
 敵、味方の機体が空中で爆発し、戦士たちはその命を空に散らす。
 やがて数機の敵が迎撃隊の隙を付いて急降下を開始した。

 対空戦闘開始!

 対空魔光砲の砲口に粒子が吸い込まれていく……一定時間経過の後、連続して光弾が空に向かい、発射された。
 各艦から一斉に打ち上げられる光弾、多くの光が空に無数の線を引く。

 グラ・バルカス帝国の急降下爆撃機が近づく音は、ドップラー効果により高音に至る。

「面舵一杯!!!」

 艦は爆弾投下の射線を外すべく、舵を切り、旋回を開始する。
 無数に投下される爆弾の雨、投下前に炎に包まれる飛行機もいれば、投下直後に炎に包まれる飛行機もいた。

「魔素展開!装甲強化!!!」

 対空魔光砲を発射しつつ、もう回避も不可能と判断したゴールド級魔導戦艦フリルラはその魔力を装甲に回す。

 タタタタタ……

 急降下爆撃機の一番前を行く敵機がフリルラに機銃掃射を浴びせる。

 ギン!という金属と金属がぶつかり、削られる音と共に機銃弾が跳弾(装甲で跳ね返され、別方向に飛んでいく)する。
 戦艦そのものにはダメージは無いが、対空魔光砲の銃座に座る兵は、その一撃で沈黙した。

 魔力が注入された魔導体を多量に含む金属は、その属性を変化させ、硬く、そして粘りを持つ。
 次の瞬間、海上に大きな爆発が出現した。

「左舷被弾!!!」

 艦橋に猛烈に響く爆発音、外の視界は赤く染まり、艦はビリビリと揺れ、内部でさえも少し熱を感じる。
 甲板の兵は相当に傷ついているだろう。

「重要区画装甲に命中した模様、小破!!」

 最も装甲の厚い部分に命中し、見た目に比べて比較的軽微な損傷に艦長は胸をなでおろした。

◆◆◆

 旗艦ロト

「戦艦フリルラ被弾、戦闘に支障なし」

 司令レッタル・カウランは胸をなでおろした。

 上空を見上げると、他空母から発艦した友軍が数を増し、高空の敵を駆逐しつつあった。

「よし、今回の攻撃は耐え凌いだな……」

 ほっと息を吐く。

「見張員より報告!10時の方向、低空より敵機多数侵入!!

「なんだとっ!!」

 味方の機はすべて上空の敵に張り付いている。
 今から急降下しても間に合うまい。

「対空魔光砲、水平射撃!」

 敵機に降り注ぐ光弾……外れた光弾は海にぶつかり、水しぶきを上げる。
 付近は雨のような攻撃と猛烈な水しぶきにより、視界を遮った。

 しかし当たらない。

「危険の多い水平爆撃か!」

 友軍の弾幕密度からして、おそらく爆弾投下前に撃墜できるはず……。

「ん?」

 敵機が艦から相当離れたところで爆弾を海に捨て、離脱を開始した。

「何をしている?」

 不可解な行動に頭を悩ます。
 ともあれ、一時的な危機は去った……?
 敵の爆弾投下地点から、何か白い航跡がこちらに向かって真っすぐに伸びて来る。
 レッタル・カウランがそれを確認した矢先、見張り員が気付いたらしく、報告があがった。

「爆弾投下地点から白い何かが伸びて来ます!海中を走っている模様!!」

 爆弾では無く、魚雷なのだがその知識のない見張員はこのように表現した。

「よ……避けろ!!」

 何かは解らない。解らないが本能的に危険を察知し、叫ぶ。
 艦は彼の感覚からして、もどかしいほどにゆっくりと回避運動を始めた。

 海を疾走する魚雷は白い航跡を引き、まるで海神の槍のごとく、真っ直ぐに伸び、神聖ミリシアル帝国海軍へと向かった。

 旗艦ロトは、なんとかそれを避ける事が出来た。
 しかし……。

 鈍い炸裂音と共に、右側を走っていたゴールド級戦艦フリルタに水柱が2本上がった。





 ゴールド級戦艦フリルラ

「白い海中の線、我が方に向かって進行中!!
 だめです、避けきれません!!!」

 艦橋は騒然となる。

「魔素を左舷に展開!!出力をすべて装甲に回せ!!!!
 総員衝撃に備えよ!」

 魔導戦艦フリルラは全魔力を左舷に集中させた。

「だめだ!!ぶつかる!!!」

 誰かが叫ぶ。
 次の瞬間、船体が僅かに振動し、左舷に水柱が上がった。
 グラ・バルカス帝国の放った魚雷は比較的装甲の弱い喫水線下で爆発、大きな破孔を開ける。

「左舷第四区画、多量の浸水!!」

「第四区画隔壁大破!」

 戦艦内には、艦の異常を知らせる警報音が鳴り響く、魚雷の攻撃を想定していなかった魔導戦艦は、外から目に見えて速度を落とす。

「本船に、白い航跡が伸びて来ます!!」

 追い打ちをかけるかのように魚雷が襲来する。
 
 神聖ミリシアル帝国、ゴールド級戦艦フリルラは、バルチスタ沖大海戦において、グラ・バルカス帝国の魚雷4発の攻撃を受け、轟沈した。
 かの攻撃は、同海戦における初の戦艦撃沈という屈辱を神聖ミリシアル帝国に与える事となった。
タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:12| Comment(11) | 小説
この記事へのコメント
跳弾の説明いる?
Posted by at 2017年09月30日 23:56
俺は跳弾と()を省略して説明だけが映像を想像しやすいと思った
Posted by at 2017年10月01日 00:18
日本からミ帝にグ帝の情報は伝わらなかったのですか。残念です。
Posted by at 2017年10月01日 00:51
完全に全く軍事を知らない人でも読める作品にしたいけど、跳弾のシーンは作りたかったので、説明書きを入れました

       /
      /
      \
      /   /
   ハ,,ハ_ノ\/\/
.⊂(゚ω゚⊂ ノ
 ‖‖‖‖‖ ウギャー
 ШШШШШ_____
(__________
Posted by みのろう at 2017年10月01日 07:26
更新お疲れ様です。
誤字報告です。
直営→直衛
Posted by at 2017年10月01日 09:47
直営(衛)じゃなくて直掩[ちょくえん]だと思う。
Posted by at 2017年10月01日 10:54
直営じゃなく直掩ではなかろうか?
空母の戦い知らない人には空母の護衛航空部隊なら伝わりやすいかも。
Posted by at 2017年10月01日 12:41
高速詠唱でボーカロイドの早口を連想したがテープレコーダーで良いかもしれないw

状況に応じて詠唱が変わるならコンピューターで文字列を作って高速読み上げだな
Posted by at 2017年10月01日 13:33
魚雷知識は
ミ帝にはなかったんですね
Posted by at 2017年10月01日 17:22
※1※2等つけて文章外に解説をつけては?
そしてら文のリズム崩すこと無く、かつ詳細が書けます。

>Posted by at 2017年10月01日 13:33
もうそれプログラムw
Posted by at 2017年10月01日 19:47
ミ帝船艦
魚雷はともかく下側への対策はあり程度ありそうですね、海竜やクラーケンとか多分いるでしょうし。

跳弾はそこそこ知られてますし、簡易な説明で直ぐにわかるのでは?
戦が多いし軍事に疎い人なら他のも単語検索しまくってるでしょう。
ほかにも何で銃座が装甲に守られてないのか疑問がつきないと思います。
Posted by at 2017年10月06日 18:37
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