2018年06月27日

第78話終わりの始まりP3

◆◆◆

 最前線……塹壕

「テーー!!!」

 轟音と共に、歩兵が携帯していた小型の砲が火を噴く。
 曳光弾を交えて発射されたそれは、敵戦車の近くに着弾し、土煙を巻き上げる。
 動目標に対する砲は、なかなか当たらなかった。

「う……撃てーーっ!!撃て撃て撃て撃てーー!!!」

 砲に限らず、機関砲も発射される。しかし……曳光弾を交えて発射された機関砲は、大きな金属音と共にはじかれ、あさっての方向にとんでいく。
 大口径弾は当たらず、小口径弾ははじかれる。
 にもかかわらず、敵の進軍速度は衰える事無く、あまりにも速いその進軍速度に、ケイネスは戦慄した。
 
 敵戦車は土煙を巻き上げ、進軍してくる。
 やがて、敵戦車が発砲した。

「ぐぁぁぁぁぁ」

 誰かが叫ぶと共に、近くの塹壕が削れ、数人が死亡する。
 次々と、死者の報告が入っている。
 しかし、守護者たる自分達が引く訳にはいかない。

 ケイネスは、絶望的な気分の元、砲を撃ち続ける。
 やがて、戦車のエンジン音が聞こえるほどの距離となった。

「があっ!!」

 様々な場所で悲鳴があがり、やがて塹壕からの攻撃は止まる。

 近くに砲が着弾し、朦朧とする意識の元、ケイネスは塹壕から空を見上げる。
 体のどこをどう撲ったのか解らない。
 全く体の感覚が無く、意識だけはある。

 先頭の戦車がケイネス達のいた塹壕を越えていく。
 次から次へと来る戦車は、まるでそこに何も無かったかのように塹壕を超え、自分たちの陣地を超えて街への向かう。

「だ……だめだ……そちらには街が……」

 薄れゆく意識のなか、ケイネスは声を絞りだした。

◆◆◆

 砲兵陣地 

 砲兵陣地は、敵の猛烈な攻撃にさらされていた。
 うまく欺罔された砲、しかし、敵戦車に向けて砲撃を行った瞬間、空から敵戦闘機による攻撃を受ける。
 ようやく敵戦闘機の攻撃が収まったと思った次の瞬間、大地が舞い上がった。
 
 連続したグラ・バルカス帝国からの砲撃により、アーツ・セイ隊の持つ砲以外の砲は破壊されつくし、死体が散乱する。

 そんな中、アーツ・セイの所属する砲兵隊は、敵に一矢報いるために砲撃準備を行っていた。
 1両でも撃破したら、少しは敵の攻撃が緩むかもしれない。
 陸戦においてムー国人が、敵を全く撃破出来ないことなど、あってはならない。
 そんな思いの元、準備を進める。

「砲弾装填よし!」

「よく狙えよ!!!」

 砲兵アーツ・セイは人生最大の集中力を発揮する。

「……今!!!」

「てーーっ!!!!」

 轟音、そして壮大な煙が大砲より吹き上がる。
 現代の砲に比べ、燃焼効率の悪い過去の砲撃は、燃焼エネルギーがうまく砲弾に伝達されず、煙が多く、見た目はとても強そうに見える。

 砲弾は飛翔していく。
 奇跡的に、敵前列から2番目を行く戦車に着弾した。

 いやな金属音のすぐ後に続けて、猛烈な爆発音と共に煙りが上がる。
 敵戦車は煙に包まれた。

 しかし……。

 次の瞬間、何事も無かったかのように、戦車が煙の中から飛び出してくる。

「ば……バカなっ!!当たったはずだっ!!」

 戦車砲が旋回してこちらを向いた。

「つっ!!」

 轟音と共に、敵戦車から57mm砲が放たれる。
 砲弾は自らを回転させながら弾道を安定させ、まっすぐにこちらに向かってくる。

「ヴァッ!!」

 砲は着弾し、アーツセイは意識を絶った。

 ……この日、アルー防衛隊は全滅、街は蹂躙された。
 多くの捕虜が出現し、多くの者が処刑され、アルーの街にすんでいた者の末路は凄惨を極める。
 街にはグラ・バルカス帝国旗が掲げられ、版図は広がった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 08:40| Comment(17) | 小説
この記事へのコメント
 先頭の戦車がケイネス達のいた塹壕を超えていく。
 次から次へと来る戦車は、まるでそこに何も無かったかのように塹壕を超え、自分たちの陣地を超えて街への向かう。

超える → 越える

街への向かう → 街へ向かう
Posted by 誤字見つけ隊 at 2018年06月27日 11:22
奇跡敵に、敵前列から2番目を行く戦車に着弾した。

 いやな金属音のすぐ後に続けて、猛烈な爆発音と共に煙りが上がる。
 敵戦車は煙に包まれた。

奇跡敵 → 奇跡的

煙り →煙
Posted by 誤字見つけ隊 at 2018年06月27日 11:24
ケイネスは、絶望的な気分の元、砲を打ち続ける。

砲を打ち続ける → 砲を撃ち続ける
Posted by 誤字見つけ隊 at 2018年06月27日 11:45
ん?
昔の戦車って走りながら撃てないじゃなかったっけ?
グ帝の戦車はヒトマル並?
Posted by at 2018年06月28日 00:29
撃てるけど命中率
今回は対象が陣地というデカさだからね
Posted by at 2018年06月28日 03:21
[捕虜が出現]もなんか違和感があります。
Posted by at 2018年06月28日 15:53
う〜ん 航空攻撃と砲兵、戦車があるとはいえ完全にムーの歩兵部隊を壊滅できるわけではないはず
占領作戦は、戦車だけではできないし、技術さと事前攻撃で士気と損害与えてもグラ・バルカスも歩兵部隊に損害はあるんじゃ

ムーよりグラ・バルカスが歩兵装備優位とはいえ
Posted by at 2018年06月29日 20:14
轟音と共に、敵戦車から57mm砲が放たれる。
 砲は自らを回転させながら弾道を安定させ、まっすぐにこちらに向かってくる。

「ヴァッ!!」

 砲は着弾し、アーツセイは意識を絶った。

砲 → 砲弾
Posted by at 2018年07月03日 17:13
>>轟音と共に、歩兵が携帯していた小型の砲が火を噴く。
 曳光弾を交えて発射されたそれは

単発の砲と思われるのですが、「曳光弾を交えて」という表現は、
・何発かに一発は曳光弾を発射している
・何人かに一人は曳光弾を専門に発射している
ということでしょうか。
Posted by at 2018年07月07日 23:02
>>大口径砲は当たらず、小口径砲ははじかれる。

大口径弾は当たらず、小口径弾ははじかれる。
Posted by at 2018年07月07日 23:03
>>アーツ・セイの持つ砲以外の砲は破壊されつくし

アーツ・セイの受け持つ砲以外の砲は破壊されつくし
アーツ・セイの隊の持つ砲以外の砲は破壊されつくし
Posted by at 2018年07月07日 23:05
>>多くの捕虜が出現し

多くの捕虜が発生し
多くの者が捕虜になり
Posted by at 2018年07月07日 23:07
>>やがて、敵の砲が発砲した。

やがて、敵戦車が発砲した。
Posted by at 2018年07月07日 23:18
>>歩兵が携帯していた小型の砲
今一イメージがつかめないのだが、
・バズーカ砲のようなもの
・迫撃砲のようなもの
・大口径の銃のようなもの
のどちらだろうか。
大口径の銃だとすると発射時の反動が凄いので個人では扱えないと思うのだが
Posted by at 2018年07月08日 00:02
本編中の描写から普通に山砲か軽歩兵砲でしょ

・バズーカ砲のようなもの
→対戦車戦を考慮していないので成形炸薬弾のバズーカはあり得ない。単なる無反動砲にしてもバックブラストやカウンターマス放出の描写がないので違う

・迫撃砲のようなもの
→直接照準で発砲しているのであり得ない

・大口径の銃のようなもの
→対戦車戦を考慮していないのであり得ない

なお、大口径の銃(対物/対戦車ライフル)でも銃自体が重ければ肩付け発砲可能
Posted by at 2018年07月08日 01:46
固有名詞に「・」使うのが大好きなようですが、読む側のテンポ悪くしますよ。
Posted by at 2018年07月16日 01:55
土地や人名の命名については文化圏によって差異はあろうと思いますが、地球の多様な文化圏でもそんなに「・」使ってわざわざつっかえるような地名や国名ってのはありませんね。

仮想的に濁音を多く使うとか工夫もあるようですが、確かに「・」が多いと文章が一気に中二臭くなります。今後の参考になれば幸いです。
Posted by at 2018年07月17日 11:28
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