2019年06月08日

第93話 暗躍するリームP4


◆◆◆

 リーム王国 王都ヒルキガ

 王の執務室において、リーム王国国王 バンクス は満足そうに書類に目を通していた。
「フハハ……これでリーム王国も安泰か、日本がどうなろうと知ったことではないが、グラ・バルカス帝国ほどの国に敵対するとは……哀れでもあるな」

 静かな執務室、不意にドアの外から、微かに声が聞こえた。

「ええい、どけ、緊急事態だ!!」

「しかし、陛下の本日の予定にキルタナ様のご訪問は入っていません」

「国の行く末がかかっているのだ!!どけ」

 ドアがノックされ、総務を任せている王都諸侯の1人、キルタナが入室してくる。
 顔は汗にまみれていた。

「陛下、急な訪問をお許し下さい。しかし、時間をおいて精査した後の報告で、国の舵取りを誤ってもならぬので、急遽参りました」

 キルタナの表情から、急ぎの事態が発生したと推測出来た。

「どうした?」

「実は、本日朝連絡が2件入りました。
 1件はグラ・バルカス帝国から、かねてより整備していた港に、1ヶ月後、駆逐艦52隻と補給艦12隻を入港させると……」

「ほう?実務者協議でも決定していたあれか?もう協議は終わり、いつ来るかの問題であったろう?
 飛び地の港を最大限活用すれば、それくらいは収容出来るだろう」

「は、しかし帝国からは、帝国から港までの経路に関してはリーム王国に供与し、港においてグラ・バルカス帝国への返還を受けるとありまする」

「どういうことだ?」

「つまり、グラ・バルカス帝国から我が国までは我が国の国旗を掲げ、リーム王国内においてグラ・バルカス帝国へ返還、再びグラ・バルカス帝国の国旗を掲げるという意味ございます」

「道中の安全確保か、良いのでは無いか?神聖ミリシアル帝国に狙われたら、駆逐艦という艦種なら被害を受けるだろうからな。
 しかし、少ないの。もっと来ると思ったが……まさか、港の掌握はリームだけではないのか?」

「解りませぬが、数が少ないのには何か考えがあるのでございましょう。しかし、問題はもう一つの魔信でございます」

「何だ?」

「神聖ミリシアル帝国より魔信が入りました」

 キルタナは、魔信を見せる。

 文書番号 神聖外3文大第 12545号
 神聖ミリシアル帝国外務省第3文明圏文明国対応部 大陸国家課

 貴国が先日行ったグラ・バルカス帝国艦艇を受け入れの選択に是正を求める。
 攻撃用、親善訪問用という振り分けは詭弁である。
 万が一貴国に親善訪問したグラ・バルカス帝国艦艇が帰国する事無く他国を攻撃した場合、グラ・バルカス帝国の同盟国と判断し、神聖ミリシアル帝国は貴国に宣戦を布告する。 
「なっ!!なっ!!なっ!!!」
 
 国王バンクスの理解が追いつかない。
 中央世界、神聖ミリシアル帝国といえば、グラ・バルカス帝国ほどでは無いが、近い国力を持つとてつもない国家。
 グラ・バルカス帝国出現前は明らかに世界一であった。
 しかも、グラ・バルカス帝国よりも遙かに我が国に近い。
 
「陛下、神聖ミリシアル帝国は日本国のように甘くはありませぬ。
 第3文明圏文明国を滅ぼす事など、造作も無く、今まで滅ぼされた国もとてつもない量に上ります。
 一度敵と認定されると、商船であろうが、艦船であろうが、どんどんと撃沈され、神聖ミリシアル帝国、いや、中央世界内で行商を行っている王国の民はすべて拘束されます」

 放心状態となる国王バンクス
 神聖ミリシアル帝国は、他国へ対する影響力もとてつもないものであった。

「陛下、神聖ミリシアル帝国が本格的に手を回してくるとなると、非常にまずい。グラ・バルカス帝国の来港をご再考出来ませんか?」

「む……無理だ……我が国の国旗を掲げていても、帝国の航空基地は我が国の中にあるのだぞ!!
 今反対したら、奴らはこの王城を簡単に破壊するだろう」

「では軍で制圧を……」

「現実的に勝てると思うか?相手はあのパーパルディアが全盛期だった頃を遙かに上回る相手なのだ……もう、このまま行くしか無い。
 神聖ミリシアルの艦隊も、帝国が進駐していると簡単には手を出して来まい。
 そして奴らもグラ・バルカス帝国との大海戦で疲弊している。
 数年は手が出せないはずだ!!」

 リーム国王は眠れぬ夜を過ごすのだった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 16:21| Comment(13) | 小説
この記事へのコメント
神聖ミリシアル帝国の動きが思いの他、速いですね。
これでグラ・バルカス帝国が負けたらリームは完全に店じまいのお知らせ
Posted by at 2019年06月08日 17:02
リームって完全に隣人を見てるようだなw
大国に国家を左右する決断に板挟みにあい、にっちもさっちもいかなくなるのがまた…
Posted by at 2019年06月08日 17:04
想定しないのは考えにくいのでグラバルカスもリームがミリシアル押さえてくれると勘違いしているかも

あれだけ自信たっぷりでまさかの想定外とはグラバルカスが予想できなくてもしかたないw
Posted by at 2019年06月08日 17:09
リーム王国、自縄自縛とはこのことですな。
Posted by at 2019年06月08日 23:12
これくらい予想できるだろ普通。(´・ω・`)
Posted by at 2019年06月09日 00:06
ミ帝さん思いの外優秀で笑う
農業資源と工業資源の塊のような国と強い結びつきがある今何処まで国の生産力を上げられるかだのう
Posted by at 2019年06月09日 10:35
Hoi4のカオスAIみたいなことになってきたw
国王の驚きぷりから察するにやっぱ日本よりミ帝のほうが分かりやすい分インパクトも大違いだな。
まあ戦後日本はミ帝以上だと身をもって知るんだろうけどw
Posted by at 2019年06月09日 17:49
なんかお国柄がお隣さんのようなデジャヴ
過ちを犯さず厳しく躾をするべきだろうね
Posted by at 2019年06月09日 20:30
ざまぁ
Posted by at 2019年06月10日 14:06
リームのあだ名が新世界の韓○になりそう
Posted by at 2019年06月12日 11:31
ようやく作者さんがいってた、ミ帝は本当は凄い国ってのが実感できるお話だね!
まぁグ帝とやりあってる時から出来るところは端々に見えてたけど、いかんせんやられキャラ感が拭えなかったからなぁ、良かった( ´∀`)
Posted by at 2019年06月13日 09:24
リ国の港を出たグ帝艦隊が壊滅すると、
リ王「海上で勝手に壊滅したから我が港を出たグ帝軍は『他国』を攻撃していない!ミ帝の通知は無効である!」
とか、言い出すのかねぇ?

日本国「……ふーん(冷やか」
ミ帝「……ふーん(冷やか」
グ帝「……我が軍を侮辱する気か?」
Posted by at 2019年06月16日 17:36
グ帝戦終わったらリーム国はり地域扱いということで。
Posted by at 2019年07月17日 21:42
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