2019年07月24日

第94話 覇王の行進P1

神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス アルビオン城 

 帝都ルーンポリスのアルビオン城において、緊急の会議が開催されていた。
 皇帝ミリシアル8世
 を筆頭に
 軍務大臣シュミールパオ
 国防長官アグラ
 をはじめとした軍幹部達、そして通常は交わることの無い
 対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部長ヒルカネ・パルペ
 対グラ・バルカス帝国戦に参戦した空中戦艦パル・キマイラ艦長メテオス
 そして情報を司る、帝国情報局長アルネウス
 さらに、外務大臣ペクラス、外務省統括官リアージュ

 等、錚々たるメンバーが参加していた。
 神聖ミリシアル帝国にとって、外すことが出来ないほどの重要な案件……。

「それでは会議を開催します」

 司会進行役となった情報局長アルネウスが会議の開始を宣言する。
 軍、そして情報局が総力を挙げてつかんだグラ・バルカス帝国の動向について、報告が始まる。
 各人の持つ石版には魔法によって文字が浮かび上がった。

「先刻、文明圏外国家メーズに設置した魔導海上レーダーに、多数の人員が海上を進んでいることを感知、規模や魔力の無さ、速度からグラ・バルカス帝国に間違いありません。 大艦隊が中央世界東側海域を東へ向かって進んでいる事が判明致しました。
 なお、速度13ノット、艦艇数1000以上と推定されます」

 場がざわつく。
 
「やはり世界連合艦隊との戦いを上回るのか!!」

「いったいどうやってこれほどの大艦隊が中央世界南側海域を通過したのだ!!」

 アルネウスは説明を続ける。

「艦隊は中央世界を大きく迂回した模様です。
 今回発見された艦隊は、情報局が想定した軍の規模を遥かに上回るものです。
 これらの艦艇がすべて日本国への攻撃に当てられた場合、情報部の分析ではグラ・バルカス帝国にも相当数の被害が出ますが、おそらく日本の首都は焼かれ、多くの軍艦艇が撃沈もしくは撃破されます。
 また、工業地帯も空爆及び艦砲射撃で再起不能に陥るでしょう。
 想定される敵戦力が大きく変化したため、運用に再度意思決定が必用になってくるかと考えます」
 
 国防長官アグラの頭には疑問が浮かぶ。

「やつらの補給はどうなっている?
 機械動力式の艦といってもあれほどの大艦隊、補給艦のみでも膨大な数にふくれあがるだろう?」

「1次補給は本国からレイフォルで行ったと仮定致します。すでに第三文明圏文明国リーム、第3文明圏外のニューランド島にある国家チエイズ、同島のグルートが実質的にグラ・バルカス帝国に降っております。
 彼らはここに港を建設しており、補給基地も用意しているため、一度同島へ立ち寄ると推定されます」

「補給も可能か……」

 仮にこれから追撃しても敵の規模はあまりにも大きすぎ、こちらが艦隊を集結させる頃には補給を済ませ、日本国へ向けて出発してしまうであろう。
 そもそも前回会議で日本国への攻撃は静観し、帰ってくる艦隊を狙い撃てとの皇帝陛下の言があったため、国防長官程度では何も言えない。

 さらに場がざわついた。
 皇帝ミリシアル8世が手をあげ、場が静まる。

「このままでは、日本国は再起不能となると?」

「はい。今回のグラ・バルカス帝国の艦隊はそれほどの大艦隊です」

「では、仮に艦隊を撃滅した場合はどうなる?」

「はっ!!さすがにこれほどの艦隊量、まだ本国艦隊が何隻あるのか詳細は判明しておりませんが、どのような国でもこれほどの艦隊が撃滅された場合、再建には相当数の日数がかかるものと思われます!!」

「ふうむ……」

 ミリシアルは考え込んだ。

「さすがに友好国を見捨てたと他国から言われる訳にもいかぬ。最低限の事はしておくべきか……。
 日本国には、最新のグラ・バルカス帝国艦隊の規模と進行方向を教えてやれ。
 軍は……」

 皇帝は国防長官を見た。

「もう間に合わぬな」

「はっ!!間に合いませぬ」

「では、軍部は帰投時の迎撃に備えよ。それとヒルカネ」

「ははっ!!」

「空中戦艦パル・キマイラの出撃は間に合うか?」

「現在整備中であります!!部品取り替え、燃料補給、弾薬補給を終えた後に派遣したとしても日本本土に着く頃に間に合うかどうか……といった所です。
 仮に東京に向かうとして、補給に想定以上に時間をかけるもしくはロデニウス大陸を南から大きく迂回でもしてくれれば間に合うのですが」

「良い、1機で良いので派遣してやれ、ただし、メテオスよ」

「ははっ!!」

「今回は日本国と世界に、ミリシアルは助けに来るという事を見せる事が目的である。
 日本国にミリシアルの力を見せつけるにも役立つだろう。
 1号機のように、むやみに近づいて落とされるような事は許さぬ。
 決して無理な戦闘は行わず、時間をかけてでもじっくり攻撃せよ。
 燃料弾薬が少なくなってきた場合、無理せず確実に帰投せよ」

「ははっ!!承知いたしました」

 皇帝は指示を続ける。

「リアージュよ」

「ははっ!!」

「文明圏外国家の各国に伝えよ。グラ・バルカス帝国の艦艇を1隻でも撃沈すれば、5級対象国から、3級対象国へ引き上げるとな。
 それと、同じニューランド島各国には、チエイズとグルートに攻撃を仕掛けるならば、神聖ミリシアル帝国から後に支援があると伝えてやれ。
 なめた態度を取る国家は潰さんとな。
 リームはミリシアル帝国が直に潰せ」

 帝国の外交対象には等級が存在する。
 日本国及び列強を含む特級国家
 先進11カ国及び中央世界文明国である1級国家
 第2文明圏である2級国家
 第3文明圏である3級国家
 そして文明圏外国家である4級国家

 文明圏外国家、しかも第3文明圏の外側にある国家は神聖ミリシアル帝国にとって最低ランクの5級対象国となっていた。
 それを、帝国艦艇を1隻でも撃沈したら3級対象国家……第3文明圏内国と同列に扱うという。
 魔法の技術解放レベルでもあるため、国力は大きく向上するだろう。
 文明圏外国家群からすると、周辺国家を出し抜けるという破格の待遇向上であった。

「よ……よろしいので?」

「良い、日本の登場により、近い将来現在のパワーバランスは崩れる。
 文明圏外国家を使えるときに使わんとな。
 ああ、あと東方国家群の冒険者ギルド協会に対し、敵艦隊に導力火炎弾を1発でもたたき込むか、魔導砲を1撃でもたたき込めればミリシアルが褒美を与えると通達を行え。
 身分、門地は問わぬとな。
 特に、チエイズとグルートのギルドには、攻撃を加えて当てた場合、褒美と神聖ミリシアル帝国の第3級市民権を与えると伝えよ。
 海賊でも良いと付け加えてやれ」

「ははっ!!直ちに!!」

 会議結果は直ちに反映される。
 神聖ミリシアル帝国は謀略を巡らすのだった。
タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 22:37| Comment(42) | 小説
この記事へのコメント
ふぁ
Posted by at 2019年07月24日 22:39
おつうう
Posted by at 2019年07月24日 22:40
みのろう先生ありがとう
Posted by at 2019年07月24日 22:41
お疲れ様です。
Posted by at 2019年07月24日 22:43
お疲れ様です
Posted by 佐藤 at 2019年07月24日 22:49
更新ありがとうございます。
お疲れ様でした。
Posted by at 2019年07月24日 22:58
ミリシアル皇帝の想像を上回る判断力に恐れ入る。
Posted by at 2019年07月24日 22:59
アルタラスとロデニウス3国にチャンス到来
パー皇と並ぶまたとない機会
大丈夫だよね、日本の技術で底上げされてるよね^^;
Posted by at 2019年07月24日 23:03
今回も…
必用→必要
Posted by at 2019年07月24日 23:05
早々の更新ありがとうございました

異世界定番の冒険者ギルドってやはりあったのですね
Posted by at 2019年07月24日 23:06
チエイズとグルートのギルドには政府への裏切りを勧めているわけか、さすが皇帝陛下です
リームのギルドには何も言ってないので国ごと潰すつもりみたいですね
Posted by at 2019年07月24日 23:10
更新ありがとうございます
Posted by at 2019年07月24日 23:22
リーム終了〜
Posted by at 2019年07月24日 23:26
早々の手直しお疲れ様です。
Posted by at 2019年07月24日 23:49
第三文明圏への魔法技術解禁は日本対策にも有効そうだな

つかえなくなる前に使うべきだろうし
Posted by at 2019年07月24日 23:50
列強とア皇以外の国は先進11カ国会議に毎回呼ばれるわけじゃないけど1級国家も2年ごと変わるのか?
それとも1度でも呼ばれたら1級国家?
Posted by at 2019年07月25日 00:14
ミリシアルの情報不足が伺えますな
日本の情報収集力と潜水艦という見えない艦隊の威力を認識できてない。

WW2レベルのグラ・バルカス艦隊が日本領海に達すれば、21世紀の潜水艦隊を相手にする事になる
それがどれほど一方的な海戦になることか・・・
Posted by at 2019年07月25日 01:08
神聖ミリシアル帝国、いつになったら日本への過小評価をやめるのやら。
Posted by にしなさとる at 2019年07月25日 01:12
じっくり路線がやっぱり良いですね。

ですが、いくつか気になることがあります。リームなどに基地を建設したことが会議に上がったのは良いのですが、それを「補給はどうなっている?」とまるで知らないのはおかしいですね。せめて事前に資料の共有はしておかなければ。戦争状態にある国としては、諜報員や他国からの情報伝達等がかなりお粗末なように思えます。というかリームもしくは周辺国には大使がいますよね。何をしているのですか?
Posted by at 2019年07月25日 08:19
運用に再度意思決定が必用になってくるかと考えます

必用→必要
Posted by 誤字見つけ隊 at 2019年07月25日 08:24
軍務大臣シュミールパオ
国防長官アグラ

軍務大臣と国防長官って意味が被ってる気がします。
Posted by 誤字見つけ隊 at 2019年07月25日 08:26
帝国の外交対象には等級が存在する。
 日本国及び列強を含む特級国家
 先進11カ国及び中央世界文明国である1級国家
 第2文明圏である2級国家
 第3文明圏である3級国家
 そして文明圏外国家である4級国家

 文明圏外国家、しかも第3文明圏の外側にある国家は神聖ミリシアル帝国にとって最低ランクの5級対象国となっていた。



この説明だと、4級と5級が同じということになりますよ。文明圏外国家は4級とかいているのに、次の文では5級になっています
Posted by 誤字見つけ隊 at 2019年07月25日 08:34
やはりミリシアル皇帝はできる男
だけども、味方が邪魔にならないか心配だわ(・・;)
Posted by at 2019年07月25日 10:43
Posted by 誤字見つけ隊 at 2019年07月25日 08:34

いや5級は第3文明圏よりも外側の国とあるので区別はついています。
強いて言うなら第2文明圏外まで4級と付け加えた方がより理解は深まるかも知れませんね
Posted by at 2019年07月25日 10:55
けど結局日本よりも技術は下回るのでミリシアルが支援する第3文明圏外=日本の近隣諸国だからミリシアルよりも高い技術の支援がもう既に受けることができているという。
Posted by at 2019年07月25日 10:56
更新はやかった
そして皇帝閣下ならやってくれると信じてました
Posted by あ at 2019年07月25日 11:15
本当にミリシアル皇帝はほかの国々の皇帝ないし国王とは違って、煮ても焼いても食えなさそうな政治家だなぁ。首脳会談で日本の総理とかとも十分に渡り合えそうなカリスマ…多分戦後ミ帝が落ちぶれてもすぐに立て直しそう…
Posted by 瀬名誠庵 at 2019年07月25日 12:13
鬼みたいなことするなぁ。

これ悲惨なことになるだろうけど、友好ではある。

脅威ではないが鬱陶しい。手間がかかる。
Posted by at 2019年07月25日 12:20
皇帝だけは
日本が勝つ可能性を理解しているみたいだね
指示内容が、遅滞戦術、残党狩り、勝ち戦への名目上の参加と
日本が勝つ前提の内容に読める

頭が切れて抜け目ないと、味方としては実に良いキャラだ
Posted by at 2019年07月25日 21:45
政治的影響力がこの世界において広範であることがミ帝の強みか。この世界は魔法が基本だから魔法的な技術供与はたいがいの国はすぐにでも欲しいだろうし、日本や他の国への協力あるいは牽制にもなりそうだ。

恐ろしい国よ・・・
Posted by at 2019年07月25日 22:08
パルキマイラ大好きなので、この展開は嬉しい。ちなみに、仮に戦闘に間に合わず、戦闘後にパルキマイラが日本に来たとしても、割と日本人は熱狂しそう(ファルコンが来た!的な)。そして、その方が、自衛隊としてはスムーズだし、一応ミ帝としては国際的な立場は果たされるし、何気にその方がどこも角が立たず、友好関係が築けたりして(日本国防衛の歓迎式典でパルキマイラ招待してミ帝をヨイショしまくるというか、「すげえ!かっけえ!」の喝采で自然にヨイショする感じ)。勝手な妄想だけど、今のままだと来たるべき魔帝との戦いでは、ミ帝は力不足なので、魔帝対策省と日本国(の魔帝対策部局)との交流はどこかの段階で必要だと思うので、なんかそこからそういう展開もありなのかななんて。想像が膨らんで楽しい。
Posted by at 2019年07月25日 22:32
メテオスが海上自衛隊の戦いを見るかもしれないと考えると想像が膨らむ
Posted by at 2019年07月26日 01:31
ミリシアル、漁夫の利狙いとか言っちゃってごめんなさい。
超大国としての矜持は捨ててなかったのですね。
ここで日本と空中戦艦が初顔合わせになるのか。
メテオス的には、GAだけは生かして返したくないかもですが。
Posted by at 2019年07月27日 11:36
クラ・バルガス連合艦隊、補給拠点は用意しとるようだが整備・修理は如何するつもりなんだろうな。
日露戦争のときのバルチック艦隊は遠洋航海後の整備ができぬまま日本海海戦に突入した。
Posted by at 2019年07月27日 17:22
恩を着せるつもりで足を引っ張るスタイルに見える
日本の戦闘能力の上限を確認したいからかな?
Posted by at 2019年07月30日 08:09
>>Posted by at 2019年07月27日 17:22

確かに。ミ帝をバルチック艦隊の時の大英帝国のポジションで考えると面白いかもね。

僕はミ帝の皇帝は世界の雄足りし聡明な賢人ってイメージなので、皇帝は割と日本を正確に評価していると思うな。あくまで、パフォーマンスが主で、政治的外交的政策は大英帝国のそれだし、日本にとってリスクとベネフィットどちらが上回るかは分からないけど、どちらの展開でも面白そう(個人的には、どうも皆のミ帝の評価が低過ぎるので、上手く刺さった上で、日本との連携があったら面白そう)。

ちなみに、パルキマイラって(使えるかは別にして)IFFありそうだけど、どうなんだろう。そこから始まる日本とミ帝の来たるべき魔帝対策とかね(妄想が捗る)。
Posted by at 2019年07月30日 16:37
>Posted by at 2019年07月25日 21:45
これまで、ミ皇帝の心中、特に日本へに評価についての描写があったかな。グ皇帝やパ皇帝と比べると、十分上に見えるんだけど。
Posted by at 2019年07月30日 16:51
ミ皇帝はエルフみたいだから賢人が何百年も皇帝の座についているのが、良い方向に行ったと思います
Posted by at 2019年07月31日 00:19
パルキマイラって日本に来た時に着陸できる場所がなさそう。
最低300m四方の平坦な土地が必要だろうしなあ。
海上に着水可能とかの設定があったり。
Posted by at 2019年08月01日 05:15

所で小説家になろうへの投稿まだですか?

あっちでいっきに読みたいのですが
Posted by at 2019年08月01日 18:33
>>Posted by 誤字見つけ隊 at 2019年07月25日 08:26

軍務大臣は貴族出身の場合の呼び方で、国防長官は平民出身の呼び方。
でミ帝の政治体制はこの2つに能権や地位に差はないという体制をとっているようだよ。
おそらく二者の話し合いで決定してるっぽくて、我々の政府の構造とはちと違うみたいよ、本文読んで推測した限りだと。
Posted by at 2019年08月30日 08:52
普段の雑事や外国との会談だと分担すれば二人力を使えて負荷分散になってお得かな?
意見の対立や、即決しにくいってデメリットはあるけど。
Posted by at 2019年08月30日 08:56
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: