2020年01月30日

第98話 日・グ大海戦2 P3

 
◆◆◆

 ナハナート王国 航空自衛隊航空管制センター

「敵迎撃機を排除、92機中撃墜91、損失ゼロ」

 司令八神は、通信士から報告を受ける。

「残りの1機は何だ?」

「エンジンから煙が出ていました。エンジントラブルにより、敵艦隊方向へ飛行中であり、攻撃隊(BP−3C)の脅威とはなり得ないため、攻撃をしなかったとのことです」

「そうか、了解した」

「間もなく、敵艦隊がBP−3Cの射程圏内に入ります」

「そうか、射程に入り次第、各機攻撃を開始。
 攻撃後は各基地に各々帰投し、すぐに補給を実施、待機せよ。
 偵察機(RF−4E)は発進しているな?」

「はい、現在BP−3C後方100kmの位置におります」

「では、偵察機(RF−4E)は戦果確認、状況一報送れ」

「了解」

 戦場は動き続ける。

◆◆◆

 グラ・バルカス帝国 連合艦隊 第1先遣隊 旗艦バルサー

 全長215.8m、最大幅28.96mの巨艦が海を行く。
 出力8万馬力のエンジンは、巨体を軽々と動かし、強大な海水をかき分ける。
 大きな砲撃力を誇る41cm45口径連装砲4基は誇らしげに水平線を向く。
 その砲撃に耐えれる艦など、グラ・バルカス帝国戦艦を除いて存在しないであろう。

 巨艦の艦橋で、帝国3将の一人、女帝ミレケネスは落ち着かない表情で水平線を睨んでいた。
 
「少しでも……僅かでも敵の情報があれば、細目漏らさず報告しなさい」

 そろそろ迎撃機が敵攻撃隊と合敵しているはずである。
 敵攻撃隊編成が全く不明であり、どの程度戦闘機が混じっているのかも解らない。
 もっと言えば、数も不明、何もかも不明であったため、練度の高い攻撃隊を迎撃に向かわせた。

「少しは撃ち漏らしますかね」

 傍らに立つ参謀デルンシャは、余裕たっぷりで話しかけた。

「少し……だと思うか?」

「はい、レーダーに攻撃隊が来ていると解った時点で、やつらの攻撃は半分防いだも同じ。 戦闘機に比べて攻撃機もしくは雷撃機は鈍足です。
 これは、いかに技術が進んでも変わらぬ真実でしょう。
 当然護衛戦闘機もついているでしょうが、こちらの迎撃機はすべて戦闘機、奴らの戦闘機の何倍も投入しております。
 いかに電子技術が優れていようとも、この戦力比は揺るがぬ……と考えまする」

「理ではそうだろう、しかし……」

「しかし??」

 ミレケネスは、他の部下に悟られぬよう、信頼のおける参謀デルンジャに小声で話す。

「本能がこの海域から逃げろと、全力で訴えかけてくる。
 嫌な予感がするのだ」

「ほう、ミレケネス様がそのような理に叶わぬ事をおっしゃるとは……珍しいですな
 直感ですかな」

「そうだ、どうしようもなく絶望的な予感がする。今にも職務を投げ出して逃げ出したいくらいだよ。
 デルンジャ、他の部下には漏らすなよ」

「もちろんでございます。私は、少なくとも今回の迎撃で相当数落としていると思うのですがね……日本軍は警戒すべき相手ですが、海軍本部の最悪の想定は、もはやSFです。
 さすがに最悪想定はあり得ない」

 微かに……無線が音声を拾った。

「ん?無線拾いました!!」

 先ほどから全く聞こえなかった無線機が音を拾う。

「スピーカーにつなげ!!」

 無線機の音を艦橋に流せるよう、通信士がスピーカーに接続した。

『……ら、S5D1、……は…滅、……返す、迎…隊は全……。
 敵……艦隊方……攻、……十、……ガガガガ』

 艦橋に微かな音声が響いた。

「こっっこれは!!」

 艦長が驚きの声を上げる。

「ば……ばかな……」

 参謀デルンジャは絶望的な声を上げた。

 艦橋に緊張が走る。
 女帝ミレケネスはすぐに指示を出す。

「迎撃隊が全滅している可能性がある!!敵が来るぞ、対空戦闘用意!!」

「対空戦闘ヨーイ!!!」

 艦内にブザーが鳴り響き、兵が慌ただしく走り回る。
 すでに戦闘配置は出来ていたが、すぐに攻撃が予想される状況は、兵達の緊張を加速させた。

「カンダル殿、敵の攻撃が予想される。誘導弾の最終防御をたのみます」

「了解いたしました。敵誘導弾の最終防御はお任せ下さい!!」

 カンダルも、独自に各艦の職員と連携し、誘導弾欺瞞装置の準備を進めるのだった。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 20:38| Comment(13) | 小説
この記事へのコメント
乙です。
Posted by at 2020年01月30日 20:43
理にかなわないってオバハン2000人無駄死にさせたやんけ
Posted by at 2020年01月30日 21:09
合敵→会敵?
Posted by at 2020年01月30日 21:42
脅威判定されなかったから見逃された1機。
もっとも帰投する先は、これから猛爆される艦隊です。
着艦と着水、どちらが生き延びられる可能性が高いのやら。
Posted by at 2020年01月30日 21:59
前話で空母は全艦雷撃機を爆装させて待機してっから着艦したら死ぬぞ
Posted by at 2020年01月30日 22:05
通信の際、お返事がほしい場合は「送れ」と付けますよね。
でもこれ、陸自だけです。
空自は英語でやりとりしますので、送れとは言いません。
陸自の高射特科と空自の基地防空隊が共同訓練するときなどは、普段使っている用語が違うので、軽く混乱しますね。
Posted by at 2020年01月30日 22:05
上昇するF15について行かず急行するのが一番ましだけどこのタイミングで急降下したらBP3Cは捕捉できないからミッションキルは成功してしまう

エンジントラブルで降下したアンタレスは脅威に見えないよね
Posted by at 2020年01月30日 23:18
超戦艦バルサ―っていうから大和型武蔵相当の姉妹艦
と思ってたけど艦の全長、全幅、兵装から見ると長門型の大改装前、新造時相当なのか
Posted by at 2020年01月30日 23:41
参謀デルンシャは最初は余裕たっぷりの描写でしたが、第二先遣艦隊全滅の偵察報告を受けているはずなので、少し違和感があります
敵(日本)の攻撃機さえ迎撃できれば大丈夫と思い込んでいたのでしょうか
Posted by at 2020年01月31日 05:35
開始時から読んでるが
どうしても気になる事があるんや


予感とか本能多過ぎるw
出来ればコレ減らして欲しいんやが......
Posted by at 2020年01月31日 14:44
軍の下の役職が上の役職との会話の際 ミレケネス様 → ミレケネス閣下または「提督」あるいは「司令官」と役職で話すのでは?
Posted by at 2020年02月01日 05:47
耐えれる→耐えられる
Posted by at 2020年02月01日 13:56
戦艦バルサーの要目が新造時の長門と同じだけど、近代化改装後とするなら直した方が良いと思う。
Posted by at 2020年02月03日 18:56
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