2020年02月11日

5巻特典 ファルタス提督P3


■ ラヴァーナル帝国辺境統治庁 総務室

 量産型戦闘培養体コード・009、通称リョノスは、ラヴァーナル帝国辺境統治庁の一室で、魔導記憶装置を読んでいた。

「ふむ、魔帝様はこの世界に住まう神々の隕石落としから大陸を守るために、大陸ごと未来へ転移されたのか……空間を開くのに使用された魔力量は……おお、天文学的数値の魔力が使用されている。さすが魔帝様だ」

 リョノスは魔法帝国の偉大さに、感激する。

「今は……なんと! 魔帝様転移からこれほどの時間が経っているのか! 魔力使用量から予測される跳躍時間は……10年後、+−9年! なんということだ、まもなくじゃないか。今私が復活したのは、空間神の導きがあったとしか思えんな!」

 都合のいい解釈をして、ただ1体で人格破綻気味に笑う。

「座標は……なるほど、空間特定のための『僕の星』が機能しているのか。地上にも多くのビーコンがあるようだな。万単位の月日をもってしても壊れないとは、さすが魔帝様だ!! まもなく復活されるのであれば、下等種の国の1つくらいは献上せねば、魔帝様に作られた私の名が廃るというもの……」

 リョノスの独り言が続いていた。
 ――ビーッビーッビーッ――
 警戒音とともに、立体モニターに映像が映し出される。
 そのモニターには棒グラフと、魔法帝国が使用していた言語の数値が、桁を増やしながら上昇していた。

「魔力反応が上昇しいている。何者かが悪意を持って迫っている?」

 映像を見ていると、バルーン平野に展開した時代遅れな軍が接近していた。

「これは……現地人の軍隊か? 先日滅ぼした下等種の仲間か……ほう、面白い。魔帝様に支配されていた時代に比べると、さすがに文明と呼んでいいものがあるようだな。魔帝様や龍神国家に比べれば足下にも及ばんが……ふふふ、その程度の魔力で私と戦うつもりか!!」

 リョノスは不気味な笑みを浮かべる。
 席を立ち上がり、悠然と武器庫へ向かった。

「これを使うか」

 人型の、白く無機質な物体が佇んでいる。顔にあたる部分は透明で、中にヒトが入ると外が見渡せる。
 内蔵された魔導エンジンにより、魔力を発生して保存するほか、操作者の魔力を増幅して放てる。さらに手や足の力も何倍にも増幅できる、古の魔法帝国製兵器。
 汎用人型陸戦補助兵器「MGZ型魔導アーマー」
○ 高さ 2m
○ 全幅 1・2m
○ 後背部に魔導兵器を搭載可能
 防御力も、生身に比べると遥かに向上する。

 彼がこの魔帝の兵器を身に纏うと、ずいぶん物々しい出で立ちになった。

「部下もほしいところだな、ゴーレムだけでは心許ない……。――チッ、雑魚しか残っていないか……仕方ないな」

 元いた部屋に戻って、机に設置されたディスプレイを叩いて舌打ちすると、さらに下層の部屋へと出向く。
 そこにはカプセルに入った、培養体が並んでいた。
 操作者の意思によって自由に動かせる生物兵器、培養体量産型ゴブリン。
 野生のゴブリンロード並みの強さがあるが、あくまで前時代的な戦い方しかできない。
 しかし量産が利き、コストが安く、コントローラーさえあれば人一人の意思で操作可能なため、文明水準の低い種族の支配や、恐怖支配にはうってつけだった。

「2千体、その他魔獣か……少ないが致し方あるまい」

 スイッチを操作してカプセルを開ける。
 おぞましい形相の量産型ゴブリンが寝床≠ゥら起き上がり、リョノスの指示に従って武器庫に並んだ。そこで前時代的な鎧、盾、そして剣を装備していく。

「さて、と。本来なら私一人で殲滅できるが、恐怖を煽るためには体裁も重要だからな……」

 人知れず公務員じみた判断で、リョノスは準備を整えていった。
タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 21:13| Comment(4) | 小説
この記事へのコメント
>>野生のゴブリンロード並みの強さがあるが

ゴブリンはみな合成生物かと思っていたが、野生のゴブリンが存在するということらしい
何らかの条件のある場所で土から自然発生するのだろうか
Posted by at 2020年02月12日 09:47
野生なら普通に繁殖してるんじゃないの?
Posted by at 2020年02月13日 22:07
ゴーレムとカン違いしてる?
Posted by at 2020年02月14日 03:14
汎用人型○○兵器って名前は巷で使われすぎてて微妙に感じる
Posted by at 2020年02月14日 09:56
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