◆◆◆
潜水艦そうりゅう
海中には、爆発音が響き渡っていた。
「敵は爆雷の連続投下を始めました。
全く本艦とは関係ない位置で投下しており、爆雷の水深もずいぶんと浅いようです。
敵の戦艦と巡洋艦は海域を離脱しようとしている模様」
「第2次大戦レベルの爆雷では、我が艦の深度まで信管調整は出来まい」
そうりゅう が潜りし場所よりも遙かに浅い場所での爆発に、艦長である恒星は感想を述べる。
「敵さんには申し訳ないが、音響を乱されると迷惑なので消えてもらおう。
ハープーン用意!海上の駆逐艦を一層せよ」
恒星はハープーンによる艦隊の無差別攻撃を指示する。
「了解!!敵船の方角を入力、付近船団を無差別に攻撃、対艦誘導弾ハープーン、単発で発射準備!!」
指示は的確に伝達され、前部発射管に対艦誘導弾が装填される。
「発射準備完了」
「発射っ!」
微かな音と共に、耐圧カプセルに入った対艦誘導弾が水中に放出された。
カプセルは高速で浮かび上がり、海面に姿を現す。
海面にカプセルが到達した後、ハープーンの固体ロケットモーターが発動し、炎の尾を引きながら飛翔を開始する。
◆◆◆
駆逐艦サリン
爆雷投下作戦が開始され、海中の音響が乱れていたため、音響探知を一時中断した隊員クヤムは、艦橋で双眼鏡を使用して監視を行っていた。
敵は潜望鏡を出して偵察している可能性もある。
集中するクヤム隊員の目に、信じられない光景が飛び込んできた。
何と報告して良いか解らぬ事象に、彼は見たままを報告する。
「う……海からロケットが飛び出しましたっ!!!爆雷投下中のマシムに向かって飛翔中!!」
「な……な……なんだとぉ!!!」
実際にはカプセルから分離した対艦誘導弾ハープーンが飛び出してきたのだが、彼の目には海からロケットが直接飛び出してきたようにしか見えなかった。
ロケットは、爆雷で音響をかき乱していた駆逐艦マシムに向かう。
すぐに無線を入れた。
「マシムも気付きました!!回避運動開始!!」
回避運動を開始すると共に、対空砲をロケットに向かって撃つ。
単艦での対空砲は酷く貧弱に感じる。
他の巡洋艦はあまりにも発見から時間が経っていないため、まだ迎撃態勢が整っていない。
ロケットはマシムの方向に空中で向きを変えた。
「くそっ!!避けろ!!」
クヤムは願うように叫ぶ。
しかし、現実は物語のようにはいかず、敵の誘導ロケットは駆逐艦マシムに吸い込まれるように消える。
閃光が走り、爆炎が駆逐艦マシムを包み込んだ。
「あああっ!!!!」
クヤムは帝国の誇る超戦艦グレードアトラスターの、46cm砲による廃艦射撃を見たことがあった。
その命中弾が出た際の爆発よりも遙かに大きく爆炎がふくれあがる。
海面ごと吹き飛んだのでは無いかと思わせる程の大きな爆発……爆炎が収まった後、駆逐艦マシムは海面から消えていた。
「マシム轟沈!!」
「そんな!!そんなバカナッ!!ロケットが海中から飛び出してくるなど、聞いたことがないぞっ!!!」
グラ・バルカス帝国兵に多少の誤解を与えながらも攻撃は続く。
「再びロケット4発が海面より出現!!」
同海域から同時にロケット4発が出現し、付近の駆逐艦や海域から離脱中の巡洋艦に向かう。
次の4発も、外れる事無く命中し、艦を死の海へ引き込んだ。
海面ではパニックに陥った他の駆逐艦は逃げ惑い、爆雷を投下する者達はいなくなった。
サリンの艦橋で、艦長は考え込む。
「駆逐艦マシムがあった海域に向かえ、生存者がいれば、救助を開始する」
他の艦がパニックに陥る中、彼はゆっくりと指示を出す。
「そんなっ!!敵との戦力比は明らかです!!今は一刻も早くこの海域から離脱するべきです!!」
皆の命が危機に瀕しているため、副長は、乗組員の命を救う立場から反対する。
「一度離脱してしまえば、もう同じ場所に戻っても海流で移動して乗組員はもういない。救助は行う。
マシムの海域で生存者がいなければ、他の艦の沈没箇所へ向かう!!
戦友を見捨てていくことなど出来ん!!
海中から誘導ロケットを飛ばして地上の艦艇を撃沈するような化け物だ。
狙われたらどのみち助からん!!
ならばっ!!少しでも正義に、正義に生きるべきだっ!!!」
サリン艦長の声は、場にいた物達の心を振るわせた。
駆逐艦サリンは撃沈されたマシムのいた海域に向かうのだった。
◆◆◆
潜水艦そうりゅう
「艦長、爆雷による音響攪乱は止みました。
多くの艦が全速で東に離脱中です。ハープーンは残り1発、離脱中の艦艇まで考慮した魚雷射程内には駆逐艦が3隻おり、回避運動を続けている艦が2隻、残りの1隻は先ほど撃沈した艦艇に真っ直ぐ向かっているようです」
「駆逐艦はなるべく減らしておきたい……が……その1隻は救助だろう?」
恒星は苦い顔になる。
「はい、真っ直ぐ撃沈地点に向かっている1隻は救助のためと思われます」
「……回避運動中の2隻は魚雷で攻撃、救助に向かっている1艦は狙うな。
2隻への攻撃をもって、本作戦は終了する」
命令は的確に実行された。
日本国海上自衛隊第1潜水艦群第5潜水隊所属の潜水艦そうりゅうは、グラ・バルカス帝国海軍中央第2艦隊の空母機動部隊20隻と交戦し、空母2、巡洋艦1、駆逐艦6隻を撃沈した。
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そういう噂はありますが……ちょっと信じ難いです。
>ハープーンによる地上艦隊の無差別攻撃を指示
どう考えても地上じゃなくて海上、しかも2度ミス。
誤変換でもタイプミスでも勘違いでもない、言い逃れできない酷過ぎて弁護できないミス。
「海上」、「一掃」の誤字ですな。
積載限界まで生存者を回収した艦艇が戦うのは難しそうだし、このまま戦線離脱するのかな。
救助に要する時間も考えると、どのみち本隊への合流は間に合わなさそうですが。
「了解!!敵船の方角を入力、付近船団を無差別に攻撃、対艦誘導弾ハープーン、単発で発射準備!!」
戦闘艦艇だけの艦隊を、輸送船など民間主体の「船団」とは呼ばないでしょう。
「付近敵艦艇群」などで良いのでは。
口径は知らないけどクヤムは射撃を見たことがある
神の目線で地の文では口径を記述する
これを混同して書く悪い癖ナノダナ
地上の
一層
地上艦隊
個体ロケット
副艦長
誤記のオンパレードに萎える😥
威力も精度も89式魚雷には劣るため6発も積むことは現実的ではないと思います
面白いかどうかが重要。
専門家気取りの考察()は他所でやってろ。
それであれば、空母に対して
89魚雷 3発はオーバーキル過ぎるね。
1発で十分ですから
ハプーンミサイル無くても
89魚雷だけで第二艦隊殲滅は可能でした。
空母2隻を沈めるのに魚雷6発使い、ハープーンを少なくとも5発使っている。これで11発。
空母以外で撃沈したのは巡洋艦と駆逐艦を合わせて7隻だから、少なくともあと2発は使っている。
そうりゅう型の搭載弾数は22発と言われているから、まだ6〜8発程度残っていておかしくないのですが、この戦闘以前に何発か使っていたのでしょうか?
他に新たな敵が出てきた時の為の予備でしょ
具体的に言えないなら、その論は破綻してるんだよなぁ
嘘乙
って曖昧な知識で物言ってるんだから軍事考察もクソも無い件について
日本の潜水艦にはアクティブソナー有りませんとか、お前wikiや自衛隊の広報すら見てないのか?って言う知識の奴も居る時点でね
ただ、足摺岬沖でのそうりゅうと貨物船の衝突事故を受けてアクティブソナーの搭載を検討してるとの事。
潜水艦にアクティブソナーが無いなんて、現実的じゃありませんよ。
第一それでは、周囲の岩礁を探知することさえできないじゃありませんか。
撃ち切って後は静かに逃げると思われがちだけど
いや、うん…実際ソナーの搭載有無に関しては別に機密でも何でもないぞ。性能や搭載してるものに関しては機密指定だけど
あのさぁ、搭載するか搭載しないか方の使用しないじゃなくて
平時の日本近海で、民間客船に向かってピンガー打つか打たないかの使用するかしないかなんだが…
どう読めば搭載するかしないかに読めるんだ…
事故防止のためにアクティブやっぱ積むかぁ
って検討してる最中なので、現状では間違いなく積んでない
パッシブオンリーでも三角測量の容量で相手までの位置と距離割り出せるから
パッシブじゃ攻撃できないって考えも間違い
で十分じゃねーかな?って気がする。
ZQQ-7は曳航パッシブソナーと自艦の船首と両舷に搭載したパッシブソナーの情報をデジタル統合して全周監視する物。海底の地形や障害物は自艦の位置情報と事前調査した海底地形図で判断。
前部発射管ですね
兵器の性能がおかしいのは、突っ込みたいのを我慢するのがつらいけど。
誤字やおかしな表現を指摘してもみのろうはバカなのか意固地なのか知らないけど絶対に直さない。
>深信音
→探信音
>「そんな!!そんなバカナッ!!ロケットが海中から飛び出してくるなど、聞いたことがないぞっ!!!」
→「ありえん!ロケットが海中から飛び出してくるなど、聞いたことがないぞっ!!」
>次の4発も、外れる事無く命中し、艦を死の海へ引き込んだ。
→次の4発も外れる事無く命中し、艦を海の藻屑に変えた。
>副艦長
→副長