2022年03月27日

第122話終末のレイフォリアP3

◆◆◆

 炎の雨は、山に衝突して火炎を作り出す。
 多くの場所から同時多発的に山火事が発生し、山は猛烈な煙に包まれる。
 常軌を逸するほどの凄まじき火災は空を赤く焦がす。

 しかし……

「くっ!!!思ったよりも燃えない!!!」

 ニグラート連合第3飛龍隊長ダールは焦りを見せる。
 あくまで炎は散発的であり、煙は山全体を包み込んでいるが、炎で包み込むことが出来ない。
 これでは中の酸素まで一気に消失させる事が出来ず、表面を焼くだけの結果となってしまう可能性が出てきた。
 寄せ集めの軍隊、慣れない攻撃に連携を欠き、効果的な運用が出来ずにいた。

「まさかこのままでは作戦が失敗してしまうのではないか?!いったいどうすれば……」

 山を炎で包むということは、圧倒的なる火力がいる。
 数を揃えればなんとかなると想定されていたが、現実に攻撃を行ってみると、ワイバーンの導力火炎弾では火力不足が否めなかった。
 グラ・バルカス帝国の大部隊をここで消失させなければ、レイフォリアを落とすことは出来ない。
 この作戦に異世界の……多くの国家の興廃がかかっているといっても過言ではなかった。
「だめだっ!!これではっ!!!!」
 
 悔しさがこみ上げる。
 軍の総力を結集しても異界の要塞は倒せないというのか……。その時。

『ふむ、貴様らにしては良くここまでやったな、後は我が敵を消滅させてしんぜよう

 お前たちは下がれ』

「っっ!!!」

 脳に直接響くような声が魔信から聞こえる。
 ダールがワイバーンに命令を出す前に、震え上がったワイバーンが一目散に逃げ出す。 
「お……おい!!!」

 全力で羽ばたきながら急降下する。
 制御が全く出来ない。死しても進むほどに訓練されたワイバーンが本能的に逃げているのだ。
 ダールは東の空を見た。
 ワイバーンよりも遙かに大きい……頭から尻尾までの長さが1000mにもなろうかと思われる巨大な龍が羽ばたく。
 その姿は黒く、目は鋭い輝きを発する。
 その巨大な龍を鷹と例えるならば、ワイバーンは蚊にしか見えない。
 それほどの大きさの差があった。

「あ……あれはっ!!!馬鹿な!!もしかして極みの雷炎龍!!?そんな……三龍の一人が出てきたというのかっ!!!」

 魔信が鳴る。

『我は誇り高き竜人族、エモール三龍が一人、イヴァンである。
 竜王ワグドラーンの御心により、戦場に使わされた。
 お前たちは良く戦った。そして運が良い。
 インフィドラグーンの力の片鱗をその目に焼き付けろ』

 その場にいたすべての竜騎士は驚愕し、極みの雷炎龍の戦いが見られる事に感謝した。
 竜騎士達は、竜に憧れ、厳しい訓練を経て採用される。

 誇り、そして何よりも好きでなければ続きはしない。

 何度も読んだ竜の神話に、かつて龍神達の治める国、インフィドラグーンがあった。
 古の魔法帝国との激しい戦争、龍魔大戦。
 かつての龍神の軍は、大量の極みの雷炎龍を使役したと伝えられている。
 インフィドラグーンは高い技術は持っていたものの、魔帝と龍神の戦いは、主に魔法技術対圧倒的なる竜の身体能力の戦いだったとも伝えられている。

 魔帝のコア魔法によってインフィドラグーンの都市が消滅し、敗北によって各地に散った竜人族が再び集まって出来た国、列強エモール。
 極希に古龍を操る超天才が生まれる。
 そのなかでも特に能力の特化した者が、亜神龍である「極みの雷炎龍」を操る事が出来る。

 列強エモールには、亜神龍を操れる竜人が3人いた。
 彼等は「三龍」と呼ばれ、その圧倒的なる力に本土防衛任務以外、国外で戦う事を禁止されていた。

 しかし、エモールの竜王ワグドラーンの指示により、三龍の内の一人が戦場に現れたのだった。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 22:02| Comment(15) | 小説
この記事へのコメント
SUGOI DEKAI
Posted by at 2022年03月27日 22:27
>全力で羽ばたきながら急降下する。
>制御が全く出来ない。死しても進むほどに訓練されたワイバーンが本能的に逃げているのだ。
>その場にいたすべての竜騎士は驚愕し、極みの雷炎龍の戦いが見られる事に感謝した。

5000騎以上のワイバーンがばらばらに逃げ散って、要塞付近の上空は大混乱しているわけなので、竜騎士たちは極みの雷炎龍の戦いを見るどころではないような気もしますが・・・
Posted by at 2022年03月27日 23:51
全長1000mはやり過ぎじゃない。
Posted by at 2022年03月28日 00:12
全長20kmの海龍リヴァイアサンがこの世界にいるんで普通サイズです(書籍3巻用語集参照)
Posted by at 2022年03月28日 00:49
というかウェブ版ではあまり出番が無くて書籍での加筆で出番が多いエモール王国勢が参戦してくるとは思わなかったな
Posted by at 2022年03月28日 00:50
> 戦場に使わされた

遣わされた
Posted by at 2022年03月28日 01:52
学園艦レベルの大きさ
Posted by Q.Q at 2022年03月28日 03:36
急になんか出てきたwwww
Posted by at 2022年03月28日 09:06
何処かの異世界では、艦船は水に浮かばずに宙に浮ぶらしいので、体長1qのケダモノがいても不思議ではないでしょう
Posted by at 2022年03月28日 11:04
みのろう先生お疲れ様です。

P4が混んでたのでここに訂正書きますね。

「電子ボルト」というのは、本来素粒子の運動エネルギーを表す単位なので、”エネルギー量の表現”として使った場合、日常的な世界ではビックリするほど小さなエネルギーになってしまいます。
具体的には1キロワット時が4.45×10^26電子ボルトという換算になります。

ただし、”プラズマの温度の表現”として使った場合には、プラズマを構成する荷電粒子の一つ一つが平均してその程度の運動エネルギーを持っているという表現になりますので、15000電子ボルトが一億度超の超高温を表すことになります。
Posted by ハインフェッツ at 2022年03月28日 15:35
続き

何と説明すれば妥当かちょっと思い付きませんが、要するに一般的な表現として”電子ボルト”という単位を使う場合、それは核反応を起こせるくらいの高温に熱せられたプラズマの温度や、光速に限りなく近く加速された放射線や荷電粒子のスピードを
「サンプルになる粒子を一個取った場合、平均してこの程度のエネルギーを持っていますよ」
という体で表す言葉なので、これを電力や熱量といった"全体の"エネルギーの量であると明言してしまうのは、
「龍のブレスを構成する兆や京ではきかない無数の原子のエネルギーを全部集めると静電気一発分」
みたいな事を言っている意味になってしまい、これはさすがに物理現象としても言葉の使い方としてもおかしいという話なのです。
Posted by ハインフェッツ at 2022年03月28日 19:56
こんなの出て来ると、アジダハーカが単なる小鳥になっちまいますねぇ。羽ばたいただけで、文字通り竜巻が起きそう。
Posted by at 2022年03月28日 20:06
作者の数学能力は悪化している
Posted by AAA at 2022年03月29日 22:12
「この作戦に異世界の……多くの国家の興廃がかかっている」

この辺りはダール視点に沿った文脈なので「異世界」と言うのはおかしい。彼らにとってはここが世界のはず。
Posted by at 2022年03月30日 16:45
メガフレアみたいなの撃ちそうな龍様
Posted by at 2022年03月31日 18:01
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