◆◆◆
彼等は機体へと向かう。
途中、犬が人になったような種族が働いているのを見かけ、目を丸くする。
やがてBー787に乗り、座席シートベルトも言われるままに装着した。
機体は滑走路へ到達し、離陸を開始した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーー
低く重い音と共に、シートに体が押しつけられる。
今まで経験したことが無い加速だった。
「は……速い!!」
やがて機は飛空艦を遙かに超える速度となって、地上を離れた。
機は信じられない速さと上昇力で空に昇る。
「!!!」
シエドロンはあまりの衝撃に絶句した。
機体は上昇を続ける。
「そんな……こんな事がありえる訳が無い!!」
飛空艦の実用上昇限度を遙かに超え、B-787は遙かなる高みへと昇る。
雲が……高き空にあるはずの雲が、まるで地面に貼り付いているかのように見えた。
やがて飛行機は成層圏に達して水平飛行に移る。
ポン
機内に音が鳴り、シートベルトの付けるよう指示するランプが消える。
「皆様、シートベルトを外してもらって結構です」
朝田が伝える。
「あ……朝田殿、この機はどのくらいの高度を時速何キロメートルで飛んでいるのでしょうか?」
いつまでも驚いてばかりはいられない。
適正な「調査」を行わないと、とんでもないことになる。
飛空艦隊長シエドロンから慢心は消えた。
「そうですね、確か巡航高度は13000mで、速度はマッハ0.85なので概ね時速1000kmくらいだと思います」
「じ……じ……時速1000kmを超えるというのですかっ!!」
「はい、ヘリコプターでは時間がかかりすぎるので、乗り換えて頂きました。
あと2時間半から3時間で、東京に到着する予定です」
「そ……そうですか」
(まずい、マズイマズイマズイマズイ!!
これは民用機、これほどの高度と速度を出されたら、我が飛空艦隊が束になってもこの機を捕らえることが出来ぬ)
「ぐ……軍用機はもっと性能が?」
帰ってくる答えは想定できる。
しかし、聞かずにはいられなかった。
「ええ、軍用機には民間機よりも遙かに速く飛ぶ機体は当然あります。
自衛隊の見学も、今回の案内には含まれております」
シエドロンは背筋に悪寒が走る。
やがて機は日本国の首都、東京上空に到達した。
微かに暗くなり始めた空、東京の町は徐々に明かりが灯る。
「すごい……キレイ」
ニースは飛行機の窓から町を見渡す。
密集した超高層ビル群、それぞれに灯りがつけられ、宝石をちりばめたかのような輝きを放つ。
これほどの大規模建造物群を作り出す日本国。
国力に圧倒される。
しかし、空から見る風景はあまりにも美しく、ニースは純粋に感動を覚えるのだった。
タグ:日本国召喚
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速さはまだなんとかなるが……高さはホントどうにもならないからな戦争だと
どうやら、ク聖に獣人は存在しないようだ。
漂流者でもいなかったのかしらな。
直径が地球の2.5倍で表面重力がほぼ1Gさらに空気成分もほぼ同じのこの星だと、
気圧が下がるのにも地球よりもっと高度が必要、気圧が下がらないと空気抵抗がよりかかるので、一万三千で飛ぶと航続距離が短くなると思うんだが、
とは言え、この手のことをあんまり突き詰めると迷路に入って、更新が遅くなったりするからなぁ。
多少の事は脳内補完。
空路によって高度が違うのもなるべく避けたいのかも
乗客は使節団だけで機体が軽いと考えると、普段より高い高度を飛行していたのかもしれない。
知らんけど!
クイラ国民の獣人族のことみたいです
犬人(コボルト)ではなく狼人(ウルフマン)と言ってあげないと…
過去の話でパーパルディアの時のようになめられてはいけないのである程度技術力を見せていいとあったから今回もカタログスペックを話したんだろう
近すぎない…?