クルセイリース聖王国調査団9名を挟んでガハラ神国の使者が2名、そして日本国の案内役3名と書記2名がつく。
会議が始まった。
「はじめまして、私はガハラ神国のクシナダと言います。
横にいるのがスサノウです。
この度は場を設けて頂いて、ありがとうございます」
古風な民族衣装に身を包んだ美しい女性が話し始める。
今回はガハラ神国側から会談を申し込んできていたため、クシナダの言葉を待った。
「日本国の方も、しかと聞いて頂きたい。
結論から申し上げると、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の復活が迫っています」
『や……ヤマタノオロチ??』
日本神話に出てくるヤマタノオロチという言葉がガハラ神国から発せられる。
これを外交文書の報告書に載せる事になるなんて、何てファンタジーな世界かと、朝田は頭がクラクラした。
「確か……体が何個の山にまたがるほど、とてつもなく大きい化け物で、日本神話に出てくる伝説上の生物だと記憶しているのですが」
「日本のみではありません。
ガハラ神国の神話にもしっかりと記載がありますよ。
おそらく意味が解らないと思いますので、ゆっくりと順を追ってご説明いたします。
しばらくおつきあい下さい」
クシナダはゆっくりと話し始めた。
「まずこの世界の成り立ちについてお話します。
この宇宙は天之御中主神(アメノミナカヌシ)によって作られています。
これは人の形をしたものではなく、圧倒的なエネルギーの塊……とでも言いましょうか。 生きとし生けるものはすべて、この天之御中主神の「分け御霊(わけみたま)」を頂いて生きております」
急に宗教的な話しになり、皆怪訝な顔をする。
「変な話しではありません。
宇宙創造の神の事を、我々はアメノミナカヌシと読んでいますが、国によってそれぞれ言葉や宗教が違うように、宇宙創造の神も、国や宗教によって言い方が変わります。
あなた方の宗教での創造の神を思い浮かべてもらえれば結構です。
要は国、宗教によって呼び方が異なるだけで、宇宙創造の神という意味においては同じなのです」
この世界は大陸共通言語は存在するが、厳密に言えば確かに国によって多少言葉が異なる。
地球ほどの言葉の差は無いが……。
彼女は続ける。
「我らの国の王、神王ミナカヌシは、この天之御中主神から頂く「分け御霊」の量が少しだけ多い人間です」
「我ら日本人にも分け御霊が?」
「もちろんあります。
生ける者すべてにあります。これが無ければ生きることは出来ません。
日本国がこの世界に転移した時も、神示が降っていました。
当初はどんな国が来るのかと心配もしたのですが、攻撃性は無く、国内においても他国の宗教が対立せずに融和している国であったため、本当に嬉しく思いました。
どうしても宗教間の対立は、殺伐としてしまいます。
対立する宗教は、皆自分の宗教が一番正しいと思い、そう思うだけなら良いのですが、他の宗教を排除しようとする方までいます。
宗教を元とした戦争は終わりが見えない地獄と化します。
しかし、日本においては様々な宗教が自由に信仰され、それぞれが他を排除しようとまではしない。
素晴らしいですね」
クシナダは微笑んだ。
タグ:日本国召喚
【小説の最新記事】
日本がテーマとなった大東洋諸国会議には出席していなかったようですが
日本の転移も察知していたという事から、おそらく転移直後のかなり早い段階から接触が始まったと思われます
大好きな作品なだけにそうなっては欲しくないんだけど。
というか変に女性キャラ差し込んでこようとするなぁ作者
あんま女性キャラ増やすとリアリティもシリアスさも薄れるから辞めて欲しいんだけど
あと最初の内は異世界らしく固有名詞考えてたけど、いまは普通に地球の言葉だしてるな
今回の八岐大蛇とか、アジダカーハとか、その国の歴史から育まれた文化に由来するものなんだから、安易に出して欲しくないんだよね
同じ歴史や文化をたどってきたわけじゃないのに、なんで”偶然”同じ名前があるの。おかしいでしょ