2022年05月29日

第131話世界の防衛線2P3


「王女様、その後では遅いのです。
 シルカーク王国は確かに弱い。しかし、弱者なりに国を滅ぼされないために考え得るあらゆる対策を行う事でしょう。
 この地の列強パーパルディア皇国に軍事支援を申し出る可能性もあります。
 時間がかかればその分敵は強化されます。
 我が方も強化すれば良いのですが、予算も多くかかりますし、何より兵の死者が増えるのです。
 優位性は確保出来ても、人が死なぬ戦争など存在しません」

 有無を言わせぬ正論に王女は黙る。
 ミネートは、たたみかけた。

「それに、万が一、いや億が一、作戦が失敗して日本国やパーパルディア皇国が、我が国に攻め入って来たとしても、絶対に負ける事は無いのです。
 軍は先日、黒月族の遺産、しかも神話級古代兵器を発見いたしました」

 場がざわつく。
 総務郷が興奮してミネートに尋ねた。

「ミネート殿、神話級古代兵器とはいったい?」

 一時の沈黙……ミネートはニヤリと笑って話し出す。

「黒月族の対魔帝決戦兵器、キル・ラヴァーナルです。
 しかも残存魔力は最大で、兵器が100%可動出来る事も確認されています」

『オオォォォォォ!!!!』

 ムードは一気に戦争開始に傾く。

「キル・ラヴァーナルか。
 圧倒的なる神話の遺産。負けん……負けるはずが無いっ!!」

 総務郷は目を輝かせた。

「私も見つけた時は震えが来ました。
 クルセイリース大聖王国は、現代においても神の祝福を受けているとしか思えません」

 ミネートの発言で、場が盛り上がる。
 彼は誰にも聞こえぬ小声でつぶやいた。

『それに……黒月族と我が国の技術融合と、伝説の国宝、古代アーティファクトを組み合わせた超魔法があれば、仮にラヴァーナルが攻めてきたとしても、1回であれば、必ず艦隊を消滅させる事が出来る』

 ミネートは絶対の自信をもって宣言する。

「この戦いは決して負けません。
 クルセイリース大聖王国は更なる栄華を極め、1000年以上に渡って繁栄し続ける事となるでしょう。
 皆さん、異論はありませんな?」

「我が国の更なる繁栄が約束されているのに、異論などあるはずが無い!!!」

 総務郷のワイデスが賛成する。

「全く、ミネート殿の手腕は素晴らしい」

 外務郷サトシルも満足して頷く。

「ま……待ってください!!!」

 このままでは亡国の道をたどる。
 聖王女ニースは立ち上がる。
 日本国の国力を知る者として、愛する国が滅びへ向かう事を見過せない。

「日本国の国力は規格外です。
 このままでは取り返しのつかない事になります。
 仮に、相手に時間を与えたとしても、攻め難くなったとしても、日本国の国力を確認してから事を運ぶべきです」

 ニースは食い下がった。
 しかし……。

「ニースさん!!!」

 聖母ラミスはニースを睨みつける。

「軍王ミネートは、事前に新世界漂流者からの調査により、日本国などと言う国の影響力は新世界には無いとの調査結果が出ている。新興国とするならば、短期間にそこまで国力を上げることは出来ない。
 それは理解出来ますね?」

 聖母ラミスはニースに問う。

「……はい」

「で、あるならばシルカーク王国の発言は、強力な後ろ盾があるように見せようとする小国の足掻きです。
 そして、これ以上調査期間を長引かせ、敵の戦力が上がると我が国の兵の被害が大きくなる。
 これも解りますね?」

「……はい」

「あなたの調査団は幻惑魔法にかけられた可能性が高い。
 もしも貴女の意見を取り入れ、その結果我が国の兵の被害が増大し、死ぬことになった者達の家族、妻や子供に貴女は何と説明するつもりですか!?
 国民の命は単に数字で表すべきものではありません。
 1つ1つが意思を持ち、家族を持っているのです!!
 貴女の意見は不幸の増大にしかなりません!!!」

「しかしっ!!!」

「くどいっ!!!」

 聖母の一括に、場が静まった。

「軍王ミネートの今までの数々の実績は、今更言うまでもありません。
 ミネートには絶対の信頼を置いています。
 私は今回の新世界への侵……開拓に賛成いたします。
 聖王子様もよろしいですか?」

「はい、母様」

 会議は難航したが、暫定的に実権を握る5歳の聖王子ヤリスラの決定により。、クルセイリース大聖王国は北西新世界への侵攻を決定、文明圏外国家シルカーク王国へ軍を派遣する事となった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 00:39| Comment(17) | 小説
この記事へのコメント
考えてみたら、
日本の新しい経済衛星国ができるじゃないですか

どうせい、クルセイダー王国編に後2〜3カ月ついやして、一時エタリが入って
3〜4年後の更新なのだから
もう少し展開を進めて良いかと
Posted by at 2022年05月29日 02:23
卿を郷里の郷に間違えてますね……
Posted by at 2022年05月29日 05:17
>新興国とするならば、短期間にそこまで国力を上げることは出来ない。

ニースと調査団は、日本が転移国家で最近召喚されたことを聞いていなかったようです。(日本が故意に教えなかったのかも)
転移国家と知っていれば、その場で反論したでしょう。
Posted by at 2022年05月29日 05:29
仮に転移国家であると聞かされていてそれを主張しても、そんなことが起こるわけがない、やはり幻惑魔法に違いない、と一蹴されただろう
Posted by at 2022年05月29日 07:55
東西の圏外地域に足を伸ばすと今後も同じことが起きそうだしムーとグ帝に日本と3国も転移国家があると理解させる方法は無いかなあ
Posted by at 2022年05月29日 14:59
うぬう、厨二病と自己厨拗らせたクルセイリース王国は、今後✘(ペケ)と呼称しましょうか
Posted by at 2022年05月29日 16:23
誤)「聖母の一括」
正)「聖母の一喝」
Posted by at 2022年05月29日 18:38
>それに……黒月族と我が国の技術融合と、伝説の国宝、古代アーティファクトを組み合わせた超魔法があれば、仮にラヴァーナルが攻めてきたとしても、1回であれば、必ず艦隊を消滅させる事が出来る

核か?
Posted by at 2022年05月29日 20:44
シルカーク王国を占領し迎撃基地を作ったら負けないなら解る

地上設置型の防衛兵器の説明が欲しいな
Posted by at 2022年05月29日 23:36
グ帝国以下の雑魚とまた戦争かいな
なんかストーリー的に意味あるのかな?
引き伸ばしにしか見えないんだが何かストーリーの根幹に影響するのかね?
Posted by at 2022年05月30日 02:02
まぁ現実もそうだけど、どうせ戦って負けてみないと人間納得しないもんやろ
組織や国が変わるには敗北することが必要不可欠だよね
Posted by at 2022年05月30日 04:14
「トトロいたもん!」「ハイハイ妄想乙w」

今回もいつもの展開だな
Posted by at 2022年05月30日 09:16
すごく・・・ブーメランの予感
Posted by at 2022年05月31日 13:39
まとめると、軍王の自信の裏づけとなる戦略兵器は
・航続距離を伸ばした飛空艦(艦隊多数)
・キル・ラヴァーナル(一台のみ?)
・超魔法(一回限り?)
の3つのようです。
Posted by at 2022年05月31日 17:47
聖母ラミスは軍王ミネートを信用し過ぎ
元々おめでたいオツムの女なのか?
それともお気に入りのお相手だからなのか?二人は繋がっているのか?
だとすれば、聖王ジュウジの急死は二人が諮ったのか?
幼子の聖王子ヤリスラを担ぎ上げ、一時的に実権を握る事が目的だった、とか…
Posted by at 2022年06月01日 15:15
つか、幻術・幻惑系の魔法がそこまで高度(複数人を同時にターゲットして、五感全て全員に同じように、それでいて個々人ごとに矛盾なく騙せる)運用されてる可能性があるんなら危険度極大認定すべきだろ?

飛空船団全艦前進→実際は海面へのパワーダイブでした、五分後には文字通りの海の藻屑でしたなんてのは未だ優しいほうで、同士討ちとか、自国の都市を爆撃してましたとかやらされてもおかしくないんだぞ?
Posted by at 2022年06月04日 23:39
聖王女は無能だなぁ。それ程勝てる確信があるなら負けたら軍王には日本との和睦の為に戦犯として引き渡されると約束させれば良いのに
Posted by at 2022年06月10日 05:47
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