2022年05月31日

第132話世界の防衛線3P1

「それでは、会議を始めます」

 菱形の卓上に各艦長および軍幹部、作戦参謀が着座する。
 後ろの円形状の机には中堅幹部が並んだ。

「まずは新飛空艦隊司令長官ターコルイズ様から挨拶をしていただきます」

 各人が直立不動となって、ターコルイズを見る。
 彼が手で合図をすると、一斉に着席した。
 旧飛空艦隊長シエドロンは、日本国の幻惑魔法にかかった可能性があるとされ、軍王ミネートの力が働き、司令を外されていた。

 眉毛が太く、がっちりとした体型のターコルイズはゆっくりと話す。

「諸君、栄えあるクルセイリース大聖王国はこれより新世界の開拓に乗り出す。
 圧倒的なる技術と富を持つ我がクルセイリース大聖王国によって支配される国々の民は生活水準が上がる。
 支配されし国の民達に幸せをもたらす事が出来る。
 圧倒的なる軍事力をもって、支配領域を拡大し、新世界を統合して永遠の繁栄を築く、その第1撃目に我らは選ばれた。
 我らが名は歴史に大きく刻まれるであろう。
 今回の攻略対象国はシルカーク王国と呼ばれる国だ。
 我が国の主戦力たる飛空艦隊の半数が投入され、その数は100隻を超える。
 これほどの大戦力が投入されれば、鎧袖一触、相手にもならん。
 それでは諸君、新世界開拓を始めよう!!」

『おぉぉぉぉぉっぉぉ』

 熱気をもって会議が始まった。

「しかし、今回すさまじい戦力の投入ですな、過去1回戦にこれほどまでの大戦力を投入した事がありましょうか……」

 新世界開拓軍飛空艦隊旗艦 100門級飛空戦艦ダルイアの艦長、タンソーが感想を述べる。

「それほど国の期待が大きいという事だ。
 100隻……実に王国所有艦の半数というすさまじい数だ。
 シルカーク王国の国力は低いが、新世界の東部の雄たる列強パーパルディア皇国が出てくる可能性が高い。
 また……まあこれは幻惑魔法にかけられた可能性が高く、強さも怪しいところだが、日本国という強国が出てくる事も想定している。
 日本国は我が国の旧式飛空艦のようなものを運用していたという目撃情報もあり、彼らが本当に強かった場合をも想定した大艦隊だ」

「過剰とも言える戦力投入ですが、これは軍王ミネート様のご指示でしょうか?」

「そうだ」

「微かな懸念すらも、大きく想定して事を動かす。さすがミネート様ですね」

 これより大戦争が行われ、大艦隊が衝突する事を前提に話が進む。
 軍外交官カムーラは苦笑いしながら手を上げた。

「皆様、おそらく99.9%以上の確率で我が国と新世界は衝突するでしょう。
 しかし微かな可能性として、シルカーク王国が外交で属国となる可能性もございます」

 ターコルイズ司令は豪快に笑う。

「おお、そうであったそうであった。
 そろそろ期限の2ヶ月が来るのであったな。
 まあ衝突回避の可能性は限りなく低いが……外交が失敗した場合、飛空艦で飛び立ったらすぐに通信を送れよ。出撃準備は整えておくのでな」

「はっ!!もちろんすぐにご報告いたします」

「カムーラ、もうすぐにシルカークへ行って良いぞ」

「では、私は先にシルカークへ意思確認のために行って参ります」

 軍外交のカムーラは退室してシルカークへ向かう。
 侵攻会議は進み、滞りなく終了した。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:04| Comment(13) | 小説
この記事へのコメント
更新お疲れ様です
Posted by at 2022年05月31日 23:57
>過去1回戦に

初撃という意味なら「1回戦」
大規模戦闘という意味なら「1会戦」
でしょうか
Posted by at 2022年06月01日 00:00
>新世界の東部の雄たる列強パーパルディア皇国
日本がパ皇に勝ったことは伝わっていない設定のようです
Posted by at 2022年06月01日 00:03
ターコルイズの言っていることは、レミールやダラスなみの傲慢な論理です。
その傲慢さに気付いているのでしょうか、彼らは。
Posted by at 2022年06月01日 00:07
>そろそろ期限の2ヶ月が来るのであったな。
第三文明圏等とク聖の暦法には差がなく、「一ヶ月」の長さは同じだったようです。
Posted by at 2022年06月01日 06:18
みのろう先生お疲れ様です。

”その第1撃目に我らは選ばれた。”
このようなケースでは、”先鋒”とか”先駆け”といった表現が妥当かと思われます。
Posted by ハインフェッツ at 2022年06月01日 11:05
そうか……軍が半減するのか……
Posted by at 2022年06月01日 14:10
クルセイリース大聖王国の軍事力は治安維持には過剰すぎる

雇用対策として艦隊作って使い道を作るため侵略するのだろうか
Posted by at 2022年06月01日 16:11
東方海域に数多ある属領に平時数隻ずつ配備するだけで100隻以上必要なだけでは?
Posted by at 2022年06月01日 16:40
それだけ幻惑魔法に長けてるのなら存在しない敵に砲をうち存在しない陸地に着陸しようとして海に突入し存在しないハズの敵から襲われる(そこに誰も居ないという幻覚を見せられる)のを前提にしないとおかしいだろうに
これだけ幻惑幻惑言いながら幻惑対策しないとか軍王が無能すぎだ
単に政敵である王女の意見を却下したいだけで幻惑と言ったなら軍王は王女、調査団が見た物は幻惑では無いと分かってるという事だし
本当に幻惑だと思ってるなら上記幻惑魔法対策に観測員には強力な反幻惑魔法アイテムを配備させたとかが無ければ罠があると知ってるのに対策せずに進む無能に成り下がる
Posted by at 2022年06月10日 06:07
単純に幻惑幻惑言ってる連中が幻惑されてる罠
しかも下手に発言権があるから覆せないオワコンっぷり
最終的に一部軍閥の暴走って事で処理されるんじゃないかな
Posted by at 2022年06月11日 00:30
幻惑魔法と言っても、宿屋で枕を裏返して施術するタイプもあるからね。

水煙草を吸えるカフェに誘導して、特殊な水煙草とツボ押しで長い夢を見せる幻惑魔法もある。

航行中に敵艦がマヌーサを掛けるタイプだと、長時間の幻惑とか、幻惑の前後の観測事象の矛盾の有無、無傷での帰還などの点で整合性が取れない。

ク聖には邯鄲の枕のようなアイテムとか、そういう芸当の出来る仙人が居るのかもよ。
有翼人の合成麻薬インストラクターかも知れないけど。
Posted by Wミノル at 2022年06月14日 15:25
↑残念ながらその理屈では通せない
なぜなら幻惑は調査団に対して言ってるだけでなく
シルカークでの目撃報告に対しても幻惑と言ってるからだ
更に言えばその設定でならどのみち幻惑魔法はそういった物だから対策は必要ないと登場人物に言わせなければならないし
マヌーサ的魔法でも明後日の方向に攻撃や突撃させられたり本当の攻撃が見えなくされたりの対策しなければならないのは変わりないからだ
お前マヌーサで存在しない物に攻撃させられたりしてるドラクエ系のマンガキャラディスってるの?w
Posted by at 2022年06月20日 18:53
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