◆◆◆
「ぬぅっ!!」
何故か解らないが、導力火炎弾に効果が無い。
リュウオはその原因を見極めようと、命中した敵艦を注視した。
「あ……あれはっ!!」
よく見ると、微かに青いオーラに包まれている。
しかも甲板で走り回る兵は厚い防寒服に身を包んでいた。
「くそっ!!強烈な氷魔法かっ!!」
火炎弾が通用しない原因を見抜く。
「あれほどの魔力、とんでもない出力だ」
純粋に敵の圧倒的なる魔力に感激した。
「やるじゃないか……では目標を変えるのみっ!!!」
リュウオはすぐに指示を出し、一番手前の艦をやり過ごす事に決める。
他の艦に狙いを定めた時。
「うおっ!!」
猛烈な量の光弾が発射されるのが見える。
「すごい量だ、しかしっ!!!日本国の見えない攻撃、グラ・バルカス帝国の対空砲、神聖ミリシアル帝国の対空魔光弾に比べると圧倒的に遅い、これなら……」
敵の弾を見定め、回避行動を行う。
ワイバーンロードは敵の攻撃を避けつつ距離を詰めていった。
距離が近づくにつれて命中してしまう者も増える。敵の陣形は強力で、弾の逃げ道が弾幕で塞がれる場合も出てくる。
「うおぉぉぉぉぉっ!!!」
決死の覚悟で突撃し、放った魔転式導力火炎弾のうち、5発がクルセイリース大聖王国の30門級飛空戦艦に命中した。
◆◆◆
「飛空艦ブローン被弾!!ブローンが集中的に狙われています!!」
敵のワイバーンは、もう半数は落とした。
撤退しても良さそうな損失率だが、それでも向かってくる。
ターコルイズは敵の凄まじいまでの意思に驚異を感じた。
「ぬうぅ!」
ターコルイズの眼前で、さらに多くの火炎弾が命中する。
炎に包まれたブローンは魔力出力機構に異常が出る。
出力が低下したブローンは炎に包まれながら高度を下げる。
『我、操作不能!我、操作不能!!』
やがて魔力燃料に引火して爆発、空に大きな火球が出現、その熱線は旗艦まで伝わってきた。
「ブローン爆沈!!」
船を1隻損失してしまった。
この程度の敵にやられた。
ターコルイズは叫ぶ。
「ちくしょぉぉぉぉぉっ!!」
反転降下した敵は離脱していく。
「敵、31騎撃墜、我が方の損失、ブローン1艦が爆沈、その他損傷軽微」
歯ぎしりする司令官ターコルイズに、ダルイア艦長タンソーが話しかける。
「ブローンは旧式艦です。
本件襲撃で、我が方の損失は1%ですが、敵は60%近くの損失を出しています」
「しかし、まさか連射式魔炎砲を避けるとは……ワイバーンロードだったか?あの機動力は驚異だ。
シルカークは簡単に落とせるだろうが、パーパルディア皇国本国に攻め入る時は、もっと効果的戦法を考える必要があるだろう」
「ターコルイズ様、これだけの圧倒的勝利であってもなお、相手を侮る事の無いその考えはさすがです。
今回のシルカーク攻略には間に合いませんでしたが、魔導研究所では氷魔法を展開しつつ、射撃も出来るよう魔導回路の2核化と、機関の出力向上の研究が良い結果を出しています。 シルカーク後の戦いには間に合うでしょう」
タグ:日本国召喚
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「感激」はしないんじゃないかな
「感服」はするかもだけど、まぁ無い
無難なとこでは「驚嘆」ぐらい?
驚異 → 脅威 ?
正:ワイバーンの逃げ道
誤:弾の逃げ道
かな?
弾速が遅いから高速機が有効射程の外で進路を変えると対空砲火の再計算がまにあわないとも思う
ワイバーンロード 350km/h
つまり、550km/hくらいの相対速度ですれ違ったことになるので、戦闘は一瞬だったのでは
前方上から攻撃するワーバーンロードはダイブブレーキを使った急降下爆撃に近い迎撃難度で、一秒で約125m間合いを詰めるから有効射程と連射速度に優れた対空砲が必要だろう
ただしワイバーンロードの攻撃も命中させるのが難しく12騎で弾幕作って1〜2発、47騎で4〜8発命中したら大成功だろう
飛空艦の後ろから相対速度150km/hで接近する場合はお互いに命中しやすく射程の長い方が有利になると思う
後ろからの攻撃はワイバーンの相対速度35km/hなのでワイバーンロードは4倍以上になり体感速度が速く焦ったかも
ザボアギル怒り状態が空を飛ぶ様なものか!
まあ水上艦と飛行物体との差は、もっと大きいし、攻撃手段がほぼ対等な飛行機同士の空中戦とは違うのだろうけど。
(飛行機同士の場合だと、時速差150kmが致命傷な事は、小説の中でも記載されてるので。)
物理的防御力は無きに等しいのでは?
これだったらミサイルの衝突時に抜かれそう