2022年06月27日

第134話文明の衝突2P4


「艦隊級極大閃光魔法発射陣形!!レーダー出力全開、魔法射撃管制を行い、電磁レーダーとリンクさせろ!!!」

「はっ!!!」

 艦隊は敵の攻撃が飛んできた方向に艦首を向ける。

「陣形完了、魔力を艦首へ移行」

 六芒星を描くように陣形を取り、各艦の艦首に設置された大型魔石が魔力を帯びて光輝き始める。

「長距離艦隊級極大閃光魔法、クルスカリバー起動!」

 6隻で一つの大きな六芒星が形成される。
 艦隊行動で行われるため、実に15個もの魔方陣が出現、巨大六芒星が空に浮かび上がった。

 飛空艦は空で陣形を整えるため、海で行われたイルネティア王国のそれよりも遙かに早く魔方陣が形成される。

「敵の発射位置は特定出来たか?」

「未だ判明しておりません」

 日本国護衛艦隊は、クルセイリース艦隊の探知距離外にいたため、彼らは護衛艦の位置が特定出来ずにいた。

 旗艦ダルイア艦長タンソーは、ターコルイズに話しかけた。

「司令、いきなり艦隊級極大閃光魔法を使用するので?」

「ああ、敵の攻撃が速すぎる。
 長距離防空魔法結界の中でも最強の方法をもってしなければ危険だ」

 対パーパルディア皇国戦では奥の手を見せるまでも無かったが、日本国による対空兵器の攻撃を見た彼は、その危険性を察知し、最大最強の防空システムを起動する。

『敵の攻撃を探知!!弾数3、距離89……70……すぐに艦隊級極大閃光魔法、クルスカリバーの射程に入ります。
 レーダーリンク正常値、エネルギー充填100%!!
 距離50、射程に入りました!!』

「クルスカリバー放てっ!!!」

 艦隊陣形により空中に出現した青白い光の六芒星、星の周囲は古代文字で描かれた魔法陣が形成される。
 星の中心部からまるで可視化したレーザービームのようなものが射出された。

 15もの光の線が空を駆ける。

 魔力の位相変異により、瞬時に射出角度を変える事の出来るそれは旗艦ダルイアのレーダーとリンクしてミサイルの方向を向く。

 光の一斉射撃は見る者達を魅了した。

 しかし……。

『敵攻撃が速すぎます、命中しません!ああっ、第1次防衛ライン突破!!』

「拡散フレアを使えっ!!!」

『魔力転換……エネルギー転換完了、中距離艦隊級極大火炎魔法拡散フレア放射!!!』

 青白かった魔方陣は赤い輝きへと変化し、魔方陣の術式が変化する。

 巨大な炎が扇状、放射状に放出された。
 大量の竜騎士の侵攻があった場合の切り札、空間制圧射撃に近い拡散フレア。
 15もの数、空に巨大な火炎放射器が出現する。

 レーダーを見ていた監視員は凍り付いた。

『効果なし!!効果なし!!!当たっているものもあるはずなのに……そんな……』

 拡散フレアはあくまで木造船や、対竜騎士用の魔法であった。
 すでに超高温であるミサイルの衝撃波境界層で無力化される。

『第2次防衛ライン突破されました!!』

「ぐうっ」

 ターコルイズの顔は苦渋に満ちた。

「近接最終防御システム起動!!リュウセイを使えっ!!」

『最終防御システム、極大連光弾魔法リュウセイ放射!!」

 クルセイリース大聖王国飛空艦隊の最終防御システム、リュウセイは、魔方陣中央部から1秒間に100発もの光弾を放つ。
 いかなる空の敵も、この3重の防御システムをによって粉砕出来るはずだった。

 ブアァァァァッ!!!!

 連射速度が速すぎて、空気が特殊な音を出す。
 マッハ1ほどの速さの光弾はとんでもない量空に出現する。
 
 適度な速度の光弾が、空にばらまかれる様子はまるで古きシューティングゲームのようだった。

『さ……最終防衛ラインが突破された!!!』

「ばかなっ!!信じられん!!!」

「各艦魔導出力最大展開!!!対物理攻撃用装甲強化!!!」

 絶望的な状況の中、ターコルイズが吠えた。

「くるぞぉぉぉおぉぉぉぉぉっ!!!」

 ガァァァァァァン!!!!!

 空に光りが3つ出現した。

「ルイビ、タール、アイオラ被弾!!!」

 致命的なダメージを受けたルイビは火を吐きながら高度を下げる。
 一方旧式艦のタールとアイオラは空中で大きく爆発した。

『タール、アイオラ爆沈!!!』

 ターコルイズは混乱する。
 3重もの圧倒的なる対空防御陣を貫ける者など、見たことも聞いたことも無い。
 最強の防御結界がこうも易々と突破される事など、現実に起こって良いはずが無い。

 戦力を根本的に覆す圧倒的なる敵の強さに、打つ手がなくなってしまう。

 完全に想定外だった。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 21:42| Comment(21) | 小説
この記事へのコメント
クルスカリバーだけでよかったんじゃないかと
こいつら強すぎる
日本いなかったら第3文明圏どころか第1も第2もグ帝までク聖の手に落ちてた可能性まである
Posted by at 2022年06月27日 22:57
Posted by at 2022年06月27日 22:57
ナイナイ
ク聖は戦艦を相手取るには火力が弱いもの
しかし、その展開だと航空主兵論が消え、やはり戦艦
こそが力!って展開になるな
Posted by at 2022年06月27日 23:29
本気だすまえに1隻やられたのは酷い判断ミスに思えてきた

100隻のうち5隻ぐらいで良いと思うからワイバーンロードに拡散フレアとリュウセイを使うべきだったな

100隻いるなら拡散フレア担当艦とリュウセイ担当艦が別にいる設定かもしれませんが
Posted by at 2022年06月28日 01:16
探知距離90kmで、ミサイル速度2800km/hとすると、到達までの時間は約2分間ということになります
Posted by at 2022年06月28日 02:09
海上で使った極大閃光魔法とはアガルタ法国の事では?
イルネティアは関係ないよね?
Posted by at 2022年06月28日 04:37
機銃系の武装より火炎が長射程なのはリュウセイの有効射程が800m以下なのか、拡散フレアが3000mぐらいの射程があるのか…

魔方陣が燃える空間攻撃なら想像しやすいですが、普通に機銃より長射程なら火炎放射としては画期的だと思う

でも火炎魔法はリュウセイよりさらに近くをなぎ払う方が使える兵装になるかも

Posted by at 2022年06月28日 05:04
グ帝とやり合ってたら
アンタレスまでは落とせて
グ帝の大好きな戦艦同士の殴り合いでやられるパターンか…
Posted by at 2022年06月28日 08:06
拡散フレア…… オリジナルでは大して役に立たなかった拡散波動砲的な?
Posted by at 2022年06月28日 08:13
確かにコレだけ隠し札があったのなら
パ皇程度じゃ蹴散らされてグ帝を苦戦させるレベルにはあるか
Posted by at 2022年06月28日 11:05
魔法があるなら魔法で盾を展開すればいいと思うけどな。閉塞気球みたいな使い方すれば、いずれは対策されるだろうけど一定期間有効な防御策になるだろうに
Posted by at 2022年06月28日 13:56
阻塞
Posted by at 2022年06月28日 13:57
少なくともムーより強そうだな…
Posted by at 2022年06月28日 15:22
思ったより兵装が近代的でびっくりした科学式の
レーダーまであるし
Posted by at 2022年06月28日 21:24
大きな自信を持つのも当然の備えで脅威に感じる気もするが、所詮は空に浮いてる『戦列艦』でしかない。
魔法がどの程度の火力を発揮するかは不明だが、どんな武器も想定する相手というのがある。
戦車や戦艦は『自身の砲に耐えられる』のが基準になるように、ク聖も相手を想定した火力を準備してるはずだし、相手を想定した備えをしているはず。
うん、グ帝とぶつかったら『驚かせる』事は出来ると思うが、そこまでだと思うな。
グ帝を撃破する火力があるとは思えないし、グ帝は多分三式弾みたいのを持ち出して、空の戦列艦はことごとく火球になって終わりだと思う。
Posted by at 2022年06月28日 21:41
誰かが言った!「2位じゃだめなんですか?」
ソーレンホー:言わんこっちゃない・・・
Posted by at 2022年06月29日 06:40
CIWSモドキがあるのなら一発くらい迎撃に成功してもいいのでは?
それくらいの攻防比の方が後々面白いはず
Posted by at 2022年06月29日 10:03
座標計算が追いつかず未来位置予測もできず命中しないみたいですね。これは演算能力の差が勝負を分けた感じですか。
Posted by at 2022年06月29日 21:09
ク聖の攻撃は魔法陣から繰り出されている以上、対象の魔力に干渉する術式が組み込まれている筈なので、科学文明の象徴たる火力兵器には事実上意味をなさないのでしょう、知らんけど
Posted by at 2022年06月30日 05:54
評価高いのになんか違和感

6隻当たり1基しか展開できない迎撃システムで、これで6隻分カバーせんとならんと考えると、そんな凄い性能でもないような
弾幕の弾速もマッハ1とクソ遅いし

あと、装甲強度も6隻のリソースの合算でやっと実現させてる艦隊級魔法を基準にイメージしちゃいかんでしょ
装甲強化はそれぞれの艦が単独自前で賄うわけで、艦隊級防空システムの性能でイメージした水準の数分の一程度の出力で可能な程度の代物でしかないだろう
グ帝ミ帝の戦闘機の火力でも十分対抗できそうだ
つうか、元が木製じゃいくら強化してもね…
Posted by at 2022年07月01日 03:48
評価が高いのはこの世界基準での対空能力でって話しょう
実際、戦列艦を浮かべただけ(浮べられるだけでも大したものだが)でレーダーと射撃をリンクさせるシステムを持ってるのは破格だと思う
魔帝の流れを持つ技術を一部特化する形で取り入れ成功した結果なんだろうね
Posted by at 2022年07月03日 06:50
>マッハ1ほどの速さの光弾 ファランクスの1/3以下のスピード。
Posted by at 2022年07月15日 18:48
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