しかし、敵は彼にゆっくりと考える暇を与えてはくれなかった。
『レーダーに感有り、さ……さ……32発飛んできます!!!』
絶望が艦橋全体を支配した。
飛空戦艦を1発で沈められる性能を持つ超強力な攻撃が32発も飛んでくる。
このままではたったの1撃で、100隻もの大艦隊の内、実に3分の1が消失してしまう。
「エネルギー充填値を上げて閃光魔法の射程を延伸しろ!!!」
「しかしっ!!魔石がもちません!!」
「構わん!!!このままでは全滅するぞ!!無理をしてでも魔法の射程を延伸して生存可能性を上げる必要があるのだっ!!!」
「了解!!クルスかリバーエネルギー充填……70%……90%……110%……120%!!魔石耐久限界突破!!!」
艦首に設置してある魔石から魔力が漏れ出す。
「陣形再構築、レーダーリンク正常値、魔方陣形成完了、長距離艦隊級極大閃光魔法発射準備整いました!!」
「敵の攻撃が射程に入り次第放射せよ!!!」
「射程まであと2秒……クルスカリバー放射!!」
「いっけぇぇぇぇぇっ!!!!」
14本もの先ほどよりも太い閃光が空を駆ける。
瞬間的に方向を変え、放たれるレーザービームの様な光。
クルセイリース大聖王国の本気だった。
しかし……。
「当たりません、効果無し、効果なし!!!敵が速すぎます!位置情報からの術式構築が追いつきません!!
防衛ライン突破されました!!」
敵の放った32発もの絶望は、飛空艦隊に容赦なく迫る。
「や……止めろ……やめろぉぉぉぉっ!!!」
迎撃の手筈は取ったが、3重もの極大魔法は今回も全く効果を発揮しなかった。
無情にもミサイルの雨は飛空艦隊に到達した。
空に無数の爆発が出現し、時折誘爆して大きな火球を作り出す。
「スラリマー、ドクレース、ゲート、アコヤ爆沈!!
ズライス、アズロ、マカライト出力減衰、落ちます。
アパタイト、チュリン被弾!!」
魔信は混乱を極め、被害報告は追いつかなくなる。
魔信を入れる間も無く爆沈した艦もおり、被害把握も出来なくなる。
ダルイア艦橋は混乱を極めた。
爆沈し、四散した艦の残骸が燃えて落つ。
晴れ渡った空に炎の雨が降り注ぐ。
それはまるで終末を予感させるような光景だった。
「うおぉぉぉぉっ!!!うおぉぉぉぉぉぉおおおぉっ!!!」
ターコルイズは叫ぶ。
飛空艦ブライスとマカライトの艦長は幹部候補学校の同期だった。
気の良い奴らで、クルセイリース大聖王国の軍体系について夜遅くまで語り合った。
酔っ払って道で寝込み、上司に大目玉を喰らう事もあった。
彼らの艦は特に優秀で、厳しい訓練を……血の滲むような訓練を突破してきた猛者共だった。
練度も申し分無い。
しかし、その全てが圧倒的軍事技術の差によって崩れ去る。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
ターコルイズの目からは涙が伝う。
許せなかった。
敵国が、そして敵の力を見抜けなかった自分が。
しかし時既に遅く、何も出来ぬまま多くの兵が命を散らす。
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あきづき型も加わっているのでしょうか?
敵を容赦なく殺しまくるつもりだけは満々だし、何ならそれが相手のためだの我が国のためだの嘯きすらするけれど、自分がやり返されるとは露ほども思ってない
だからこんなにスカッとするんだよねw
飛空艦ブライスとマカライトの艦長は幹部候補学校の同期だった。
→ズライスとブライスと、どちら?
誤字なんだろうけど動揺して噛んだ的な感じもしてこのままでも良いかも
まあそういう意図ならクるスかリバーとかク、クルスかリバーみたいにもっとわざとらしくした方が良いかもしれんけど
無傷のまま引き返す、事はどちらにせよ出来なかっただろうが、あの状況であんだけ居丈高になれるとか、苦戦さえした事が無い故の傲慢か。
「殺される覚悟も無しに戦場におもむくなど、笑止千万」
つまりはそういうこと。
轢き殺される覚悟を持つものだけが信号無視を許されるように、な
それこそレミールのそれと同じ論理であって、傲慢の極致とすら、言えることなんだよな。
燃料、ミサイル消費してる日本
けどいつもより文字数少ないのが寂しい
未知の敵だし、とりあえず1発ミサイル撃ってみよ…
↓
当たったけど、油断してただけかもしれないし、もう3発撃ってみよ…
↓
大丈夫そうやから本格的に撃ったろか!(自分たちの常識では)3割の損害で軍事的には全滅扱いとなるし、32発も撃っとけばええやろ
って考えてたのかなぁ