◆◆◆
夜〜ターコルイズ自室
「失礼します」
ドアがノックされ、軍外交担当のカムーラが入室してくる。
「すまんな、呼び出して。
もう戦闘結果は知っていると思うが……。
残念ながら、我らと日本国の海における戦力比は明らかで、このまま戦争に突き進んでも艦隊をいたずらに全滅させるだけだ。
戦争ではなく、紛争として処理出来ないのか、明日軍王様に申し上げるつもりだ。
外交部にも君のほうから根回しをしてほしい」
カムーラの表情は曇る。
「もう宣戦布告は行っていますので、今更紛争処理は無理でしょう。
栄えある飛空艦隊司令長官が、たったの1回戦負けただけで、まだ多数の戦力を有したまま、国の方針を覆せと言われるのかっ!!」
カムーラは怒りを露わにするが、ターコルイズも引き下がらない。
「気持ちだけで何とかなるのであれば、いくらでも頑張るだろう。
しかし、精神では埋めようの無いほどに差がありすぎるのだ。
多大なコストをかけて作った艦と、膨大な年数をかけて育成してきた乗組員が敵の弾の数だけ消える!!
こんな事が考えられるか?
強すぎる!敵は強すぎるのだ!!
確かに、国としてはまだ六分の1ほどの戦力損失だろう。
しかし、戦力が有る時だからこそ、有利な条件で講和出来る。
我らが全滅し、被害を出した後に有利な条件で講和など出来る訳がないだろう!!
戦力が無くなってからではもう遅いのだ!!!」
カムーラは表情を曇らせた。
「ターコルイズ様は呆けられてしまったのか!!!」
大声を出す。
「北西新世界の開拓はクルセイリース大聖王国の発展のために必要な事!!
そしてこれは聖王子ヤリスラ様が決定された国の大方針ですぞ。
それをたったの1回の負け戦で覆す?笑わせないで頂きたい!!!」
「各人立場もあるだろう。
しかし私は現実を述べている!
飛空艦隊無くして北西世界の開拓は達成出来ない。
しかし、日本国の兵器はその飛空艦隊を無力化するほどに強力だ。
私は国のために、現実を述べている!!!」
「どうやら貴方は自分の負け戦を日本国が強い事として、自己の評価が下がる事を恐れているようだ。
軍王様にはそのように報告しておく。
失礼する!!」
ターコルイズはカムーラを止めようとするが、彼は無視して退室した。
「馬鹿者めっ!!」
どうしようもない組織のしがらみ。自分は部品の一つに過ぎぬのだと実感する。
個人ではすぐに軌道修正出来るような事も、組織としては出来ない。
ターコルイズは一人吠えるのだった。
タグ:日本国召喚
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任務→訓練→整備(休息)の三交代じゃないと徐々に磨耗するから
訓練しなきゃ練度が下がり、整備休息しないと故障が増える
再建現状でも大変だろうな
まぁ、勇ましい事を言う方の理屈としては正しいけど、現場としては、敵を倒すなんて夢のまた夢、敵に向かって一発撃つどころか、その姿さえ見ないまま一方的に被害を出した現場を、1回戦とは言えんわな……
希望的楽観論に塗れた、お花畑な報告が
政治指導上層部に行く事に……( ;∀;)
余力のあるうちに講和、って口にした指揮官ってこの人が初めてじゃないか?
でも外交官が握りつぶしちゃうのね
この作品に出てくる敵対国の外交官ってこんな奴ばっかりww
まだ?・・(長考)・・まだ?