2022年07月23日

第135話文明の衝突3P2


◆◆◆

 夜〜ターコルイズ自室

「失礼します」

 ドアがノックされ、軍外交担当のカムーラが入室してくる。

「すまんな、呼び出して。
 もう戦闘結果は知っていると思うが……。
 残念ながら、我らと日本国の海における戦力比は明らかで、このまま戦争に突き進んでも艦隊をいたずらに全滅させるだけだ。
 戦争ではなく、紛争として処理出来ないのか、明日軍王様に申し上げるつもりだ。
 外交部にも君のほうから根回しをしてほしい」

 カムーラの表情は曇る。

「もう宣戦布告は行っていますので、今更紛争処理は無理でしょう。
 栄えある飛空艦隊司令長官が、たったの1回戦負けただけで、まだ多数の戦力を有したまま、国の方針を覆せと言われるのかっ!!」

 カムーラは怒りを露わにするが、ターコルイズも引き下がらない。

「気持ちだけで何とかなるのであれば、いくらでも頑張るだろう。
 しかし、精神では埋めようの無いほどに差がありすぎるのだ。
 多大なコストをかけて作った艦と、膨大な年数をかけて育成してきた乗組員が敵の弾の数だけ消える!!
 こんな事が考えられるか?
 強すぎる!敵は強すぎるのだ!!
 確かに、国としてはまだ六分の1ほどの戦力損失だろう。
 しかし、戦力が有る時だからこそ、有利な条件で講和出来る。
 我らが全滅し、被害を出した後に有利な条件で講和など出来る訳がないだろう!!
 戦力が無くなってからではもう遅いのだ!!!」

 カムーラは表情を曇らせた。

「ターコルイズ様は呆けられてしまったのか!!!」

 大声を出す。

「北西新世界の開拓はクルセイリース大聖王国の発展のために必要な事!!
 そしてこれは聖王子ヤリスラ様が決定された国の大方針ですぞ。
 それをたったの1回の負け戦で覆す?笑わせないで頂きたい!!!」

「各人立場もあるだろう。
 しかし私は現実を述べている!
 飛空艦隊無くして北西世界の開拓は達成出来ない。
 しかし、日本国の兵器はその飛空艦隊を無力化するほどに強力だ。
 私は国のために、現実を述べている!!!」

「どうやら貴方は自分の負け戦を日本国が強い事として、自己の評価が下がる事を恐れているようだ。
 軍王様にはそのように報告しておく。
 失礼する!!」

 ターコルイズはカムーラを止めようとするが、彼は無視して退室した。

「馬鹿者めっ!!」

 どうしようもない組織のしがらみ。自分は部品の一つに過ぎぬのだと実感する。
 個人ではすぐに軌道修正出来るような事も、組織としては出来ない。
 ターコルイズは一人吠えるのだった。

タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 09:42| Comment(8) | 小説
この記事へのコメント
カムーラはターコルイズの部下かと思ってましたが、やりとりを見ると、ターコルイズの指示に服従していないので、別の指揮系統に属しているようです。
Posted by at 2022年07月23日 12:13
海軍で戦力の六分の一ってやばいけどな
任務→訓練→整備(休息)の三交代じゃないと徐々に磨耗するから
訓練しなきゃ練度が下がり、整備休息しないと故障が増える
再建現状でも大変だろうな
Posted by at 2022年07月23日 17:18
1回戦……敵を目にすることも無く、ただ一方的に撃ち落とされるのを『1回戦』とカウントできるのだろうか……
まぁ、勇ましい事を言う方の理屈としては正しいけど、現場としては、敵を倒すなんて夢のまた夢、敵に向かって一発撃つどころか、その姿さえ見ないまま一方的に被害を出した現場を、1回戦とは言えんわな……
Posted by at 2022年07月23日 18:57
硬直化した軍組織中間管理職の絶望、美味しいです。
Posted by at 2022年07月23日 19:30
 こうして、正確な現場の情報は歪められて
希望的楽観論に塗れた、お花畑な報告が
政治指導上層部に行く事に……( ;∀;)
Posted by YVH at 2022年07月23日 20:00
ターコイルズのおっちゃん、めちゃくちゃ有能なのでは・・・
余力のあるうちに講和、って口にした指揮官ってこの人が初めてじゃないか?
でも外交官が握りつぶしちゃうのね
この作品に出てくる敵対国の外交官ってこんな奴ばっかりww
Posted by at 2022年07月24日 01:22
>まだ六分の1ほどの戦力損失
まだ?・・(長考)・・まだ?
Posted by at 2022年07月25日 09:35
珍しくまともな政治判断が出来る将校が出て来たと思ったら、外交官がいつもの面子馬鹿だった。作者の脳内では他にバリエーション無いの?
Posted by at 2022年10月01日 21:25
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