2022年09月13日

第136話古の超兵器P3



◆◆◆

「戦闘分析室からご報告します。
 敵は明らかに強い、いや、強すぎると言って良いでしょう。
 しかし、これほどの損害を我が方に与えるという事は、敵も主力たる大戦力をシルカーク王国周辺海域に集結させていると見て間違いありません。
 そしてその大戦力は我が国に向けられるでしょう」

 流れる沈黙。
 突然訪れた想定外の国家の危機に、皆焦燥感を隠せなかった。
 ただ一人の人物を除いて。

「今我らに向けられた大戦力を1カ所に集めて殲滅してしまえばよい。
 我が国にこれほどまでに損害を与えた大戦力を失えば奴らも簡単に再建出来ないだろう
 そして、我が本土にはとてつもない戦力があることが解ると、簡単に攻めてはこれまい」

 軍王ミネートの言葉に耳を疑う。
 それが出来れば苦労は無い。
 軍王は続ける。

「西の軍事都市、ワカスーカルトへ敵艦隊を誘い出せ。
 罠を貼るのだ。
 一斉攻撃で効果が無ければキル・ラヴァーナルを起動して殲滅する」

 荒唐無稽な案に、カムーラは軍王に問う。

「軍王様、いったいどうやって敵戦力を集中させるというのですか?」

「例えばだ、和平交渉がしたいので大使を我が国の歴史ある都市へ来てほしい。
 和平の気持ちが本物である事を示すため、単艦ではなく艦隊でワカスーカルトまで派遣してほしい……とでも伝えればどうか」

「警戒されます。
 私なら単艦を先行させ、艦隊は少し離れた位置、街をいつでも攻撃可能な箇所に配置します」

「ふむ、まずは艦隊を派遣させる事は、外交努力で何とかしろ。
 我が国民を納得させるために艦隊を見える位置まで派遣してほしい……等、言い訳は自分で考えろ。 目視出来ぬ位置まで下がられたら私に考えがある。
 まだ言えぬが艦隊が我が国の200km圏内に入るのであれば後は何とかする。
 カムーラ、お前は敵の艦隊を派遣させる事を考えろ」

「ワカスーカルトへ被害が出る可能性があります」

「そこは気にするな、元々軍人ばかりの街だ。
 家族の避難も迅速に出来る」

「ミネート様、恐れながら我が国が和平を申し入れ、それによってやってきた大使や艦隊を攻撃すると、国として約束を守らないと思われ、今後の統治に大きなマイナス要因となります。
 なによりも、聖王子様が反対なさるかと」

「ん?何を言っている、カムーラよ。
 お前は軍へ拝命する際、命をかけて国に仕えると誓ったはずだが?」

「??誓いましたが、この行為は国益に反します」

「勘違いしているようだな。
 国として動くのでは無い。
 国際的にはお前が独断で突っ走るのだ。この件に国は感知しない。
 解ったか?お前が自主的にそれを行うんだ。
 さすれば最悪の場合であっても国へのダメージは少ない。
 お前に愛国心があるなら……よく考えて自主的に行動せよ、解ったな」

「!!!!」

 組織に切り捨てられた!!カムーラに衝撃が走る。
 軍王という絶対的圧力。
 任意という名の強制。
 軍王の言葉はとてつもなく重い。
 指示を受けた場合、「はい」「承知しました」「解りました」しか選択肢は無い。

 もしも断ると、物理的に首になるだろう。
 軍王ミネートは無能には厳しいが、成功者には手厚い事で知られる。
 国益になれば、昇進がまっているに違いなかった。

「……解りました」

 カムーラは胃に痛みを感じる、穴が開きそうなほど痛い。
 彼は生き残るため、そしてチャンスをつかむために頭をフル回転させるのだった。


タグ:日本国召喚
posted by くみちゃん at 23:33| Comment(8) | 小説
この記事へのコメント
>軍へ拝命する際
→ 軍職を拝命した際 or 軍に入隊した際 ?

>国は感知しない
感知 → 関知 
Posted by at 2022年09月14日 00:30
軍王が「キル・ラヴァーナルを起動」という言葉を出したのに出席者が特に驚いていないようなので、古の超兵器のことは軍内部では広く知られていたという設定みたいです
Posted by at 2022年09月14日 01:23
「敵も主力たる大戦力をシルカーク王国周辺海域に集結させていると見て間違いありません」?
 馬鹿げていますね。
 日本が投入した戦力など、全体のほんの一部にすぎない。
 その可能性にすら気付かないとは。
Posted by at 2022年09月14日 08:59
この群王とやらは山賊が旅行者を襲ったとき山賊でなくナイフを罰するやつなんだろうな
Posted by at 2022年09月15日 08:23
いっぱい情報持ってるだろうし亡命するわ
Posted by at 2022年09月15日 21:46
罠を貼るのだ。 → 罠を張るのだ。
Posted by at 2022年09月16日 00:17
日本が、わざわざ行かなくても、軍王以下、重臣や軍幹部を1隻の飛行船で無人島にでも呼びつけて、降伏文書に署名させて、それ以外の降伏関連の法整備の書類にも署名されればいいんちゃうん?

その後、武装解除や軍の解散などの行動が伴わない場合は攻撃を再開で完膚無きまでに叩き潰すとか。

Posted by at 2022年09月16日 00:34
この回のニュアンスからキル・ラヴァーナルは核爆弾のようなものではなく、ソーラレイ的な兵器を彷彿させるね
Posted by at 2022年09月27日 12:07
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