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クルセイリース大聖王国 ワカスーカルト南南東約70km
本土防衛秘匿航空基地 コニア
小高い山に円筒状の巨大洞窟があった。
同所を整備し、ワイバーンの滑走路や空中戦艦の待機所を整備した基地、コニア
上部は森に覆われ、上から見たならば森にしか見えない。
整備された飛龍の滑走路からは、聖都防衛竜騎士団が次々と飛び立つ。
生物だからこそ出来る、同時瞬間的離陸により、瞬く間に120騎が離陸した。
力強い羽ばたきは、絶対に勝つことが出来るであろうと、見る者に絶大なる信頼を与える。
「やはり……我が軍の練度はすばらしい!!!」
聖都防衛騎士団長セイルートは、配下の軍の動きを見て笑う。
飛空戦艦の登場により、空の主戦力たる地位は奪われたが、ワイバーンにはまだ圧倒的な機動性がある。
効果的運用が出来ればさらなる戦果を期待出来るはずだ。
この戦いで、ワイバーンの有用性を認めさせ、竜騎士の地位向上を図る。
セイルートにはこのような目論みがあった。
彼自身、戦果を見届けるため、ワイバーンに騎乗して飛び立つ。
120騎にも及ぶワイバーンの大編隊はワカスーカルト港に侵入した敵を殲滅するため、コニアを飛び立つのだった。
◆◆◆
軍事都市ワカスーカルト湾 パーパルディア皇国120門級魔導戦列艦ジャスティス
風神の涙が青白く輝く。
帆いっぱいに風を受けた魔導戦列艦は動き出した。
艦長ガーラスは街を睨む。
「やはり……竜で攻撃してきましたな」
彼は隣に立つ司令バイアに話しかける。
「現時点、まだ飛行物体が飛んで来ているだけ……だが、100%攻撃だろう。
街への砲撃準備に入れ!!」
ワカスーカルトに対する無差別攻撃を準備する。
パーパルディア皇国に容赦は無かった。
「はっ!!魔導砲への魔力充填!!
砲撃準備、目標敵ワカスーカルト市街地!!」
「了解……魔導砲発射準備完りょ……」
砲撃準備完了の報告が行われようとした時、それを遮って見張り員が叫ぶ。
「至急!!至急!!ワカスーカルト山岳地帯から多数の発射炎を確認!!!」
「くそっ!!」
湾を囲むように山があり、同山から多くの発射炎が見える。
その数は多く、瞬時に数える事は不可能だった。
少し遅れて発砲音が響き渡る。
「取り舵いっぱい!!」
直線運動による予測された未来位置での被弾を避けるため、船は旋回する。
次の瞬間。
ドドドドドド……!!!!
28本もの水柱がジャスティス周辺に上がった。
2本の赤い炎も出現する。
「右舷被弾!!」
水柱の大量の海水を浴びながら、見張り員は叫ぶ。
「お……おのれぇ!!!」
右舷に被弾したクルセイリース大聖王国の陸上配備型魔導砲は、ジャスティスの新型対魔弾鉄鋼式装甲を傷つけ、凹損させるも貫通には至らなかった。
「損傷軽微!!」
「最新式だぞ!当たり前だ!!!」
回避運動を行いつつ、敵の発射位置を探す。
発射位置を砲撃したいが、魔導砲砲撃手も照準を定められないでいた。
「いったいどうすれば!!」
砲撃の数が多い。
敵は最初から待ち伏せして攻撃するつもりだったのだ。
艦長ガーラスは、敵国を睨みつけた。
「まずいぞ……え??」
囲まれた砲撃は相当な危険が伴う。
攻撃は彼の精神を削る。死の可能性が頭に浮かんだ次の瞬間、敵の発射陣地付近が猛烈な爆発に見舞われた。
ドーンドンドンドンドンドーーーォォォォ
破裂音が付近の山で跳ね返り、地鳴りの様に鳴り響く。
爆発は、正確に、連続して起こり、その爆発力は相当に凄まじい。
「何だ?敵陣が勝手に爆発しているぞ」
「いったい何が起こっているんだ??」
敵陣の爆発規模は魔導砲の弾着時の比では無く、見たことも無い威力だった。
巻き上げられた土は、ゆっくりと空へ昇る。
水兵達も、眼前の状況が理解出来ずに沈黙した。
地響きは続き、敵陣は爆発し続けた。
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ドドンドーンドンドンドーーーォォォォ のほうがかっこいいと思います