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同時刻 ワカスーカルト東側約120km 上空
クルセイリース大聖王国 聖王直轄飛空艦隊 旗艦 聖帝ガウザー 中央司令室
中央部に浮かび上がる映像には、神話級兵器キル・ラヴァーナルが敵のワイバーンを堕とし、魔導戦列艦を粉砕する映像が映し出されていた。
港から7km先にいた敵艦1隻は、高速で距離を取ろうとしている。
「ガンドライト艦長……見たまえ、黒月族の兵器を。何と野蛮な兵器か」
聖王直轄飛空艦隊司令長官アエロリットは艦長ガンドライトに話しかけた。
「全くです、優雅さの欠片も無い。しかしワカスーカルト港の敵はエル・ガンエン殿が全滅させそうですね」
「そうだねぇ。しかし、聖王様の御心は、全ての敵の殲滅をお望みだ。
沖合に展開する敵主力艦隊はもちろん我々が片付けるとしても、ワカスーカルト沖8km付近から逃げているゴミ虫も、キル・ラヴァーナルだったか?あれでは逃がしてしまう可能性があるね」
「確かに、船としては相当に速い」
「フフフ……我らが支援してやろう」
パチン!!
アエロリットが指を鳴らすと、画面は航行する船を映し出した。
「艦長、もう射程に入っているな?」
「え?」
「この船を殲滅したまえ。「神の炎」の使用を許可する」
「ワカスーカルト沖の敵はたったの1隻、いきなり「神の炎」を使用して良いのですか?」
爆裂魔法封入型コアを使用した艦隊艦誘導魔光弾、通称「神の炎」
古の魔法帝国の遺産であり、在庫が多くあるとはいえ、一度使うと二度と作れない。
真に必要な時以外の使用を許可されていない虎の子兵器を、たったの1隻でさしたる脅威も無く、しかも本土から離れようとしている船に使用するなど、彼の常識からは考えにくい事だった。
空中戦艦は対空兵器に対する装甲はある程度厚いため、近づいて主砲で対応すれば十分であると考えていた。
「聞こえなかったのかね?「神の炎」で殲滅したまえ。
艦長、これは政治なのだよ。
軍王にこれ以上王室に対する発言権を与えてはならない。
少しでも我らが倒す必要があるのだよ」
「は……はっ!!そこまで考えが及びませんでした。失礼いたしました!!」
ガンドライトはすぐに指示を飛ばす。
「「神の炎」発射準備、1発で十分だ。目標ワカスーカルト沖合約8kmを航行中の敵艦艇!!」
「発射準備に入ります」
女性による無機質な復唱。
「コアに対する魔力注入開始、爆裂49,推進風31、炎20、急速充填モード……
エネルギー充填78%……86%……100%
注入完了、続いて封入安定化……
安定化完了、目標設定……座標入力11585571、形状認識化完了、魔力ロック完了」
次々と発射行程が行われる。
「神話級兵器「神の炎」発射準備完了」
艦長は司令を向く。
「アエロリット司令、開戦の指示を」
司令アエロリットはこれから訪れるであろう圧倒的な勝利を想像し、微かに笑う。
「フム……彼らは何が起こったか理解すること無く爆沈することになるのだね。
我が聖なる国に弓を引いた愚か者め……これより我らは聖王様に代わり、敵蛮族に対して神罰を降す!!
聖戦を開始せよ!!」
司令の命により、艦長は部下に下命する。
「聖帝ガウザー主力兵装、神話級兵器「神の炎」発射!!敵を滅ぼせ!!」
「神の炎、発射!!」
前部に取り付けられた発射管から誘導魔光弾は垂直に打ち出され、加速を開始する。
青い尾を引きながら、誘導魔光弾「神の炎」は飛翔する。
クルセイリース大聖王国 空中戦艦聖帝ガウザーは、日本国海上自衛隊第4護衛隊群、 イージス艦ちょうかい に対し、誘導弾による攻撃を開始するのだった。
タグ:日本国召喚
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同じ国でこの対抗意識っていうけど、軍王の専横ぶりに危機意識を持つのは別におかしくないのだよな……
前聖王は死去しているので、聖王子が聖王に即位したことになります
>キル・ラヴァーナルが敵のワイバーンを堕とし、魔導戦列艦を粉砕する映像が映し出されていた。
120km離れた場所(水平線の向こう側?)の映像を見る技術があるようです
いやならんよ。前聖王を指してるのは普通の理解力があれば分かると思うが?
聖王子が王位について無ければ前聖王を指すだけだし聖王の前に「今は亡き」とつけた方が分かりやすくはあるが無いからといって聖王子が即位した事にはなったりせん
>「フフフ……まさか聖王様が我らの出撃を許可して下さるとは… (第138話古の超兵器3P6 より)
出撃には聖王の許可が必要らしいので、制度上の「聖王」がいるようです。つまり誰かが即位したということになります。
艦長「神の炎、発射成功、順調に飛行中」
司令「フハハハ、敵蛮族に神罰を降してくれる!」
艦長「神の炎、2段目点火しません!」
司令「・・・・」
艦対艦誘導の誤字かと思われます
空中戦艦に乗ってる奴はみんな親戚なのかよwww
スターシステムなのか?w